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61 いいか、数学じゃねぇよっ、算数だよっ!

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「ああ、それから、これは皆さんでお茶の時間にでも」
 と、フレッドがケーキを取り出す。ホールケーキ5つ。イチゴの乗った美味しそうなやつ。よく崩さずに運べたな。
「僕も持たされたよ」
 ガトーショコラをホールで5つ。
「あ、私も」
「俺も」
「わたしも」
 ……次々に出てくる差し入れのお菓子たち。
 なんというか、連帯感がこんなところでも発揮され、クラス全員なんか持ってきた。あわわ。
 そこに、ノックが響く。
「マージ様、お茶のご用意が整いました」
 侍女さんが3人、ティーカップやティーポットが満載のカートと、3段ケーキを乗せたカートを押して入ってきた。
「あ」
 思わず声が出る侍女さん。
 ですよねー。
 勉強会のはずが、お菓子博覧会みたいになってる。
「あとで、バイキング形式で食べない?小さめにカットしてもらって、食べたいものを食べたいだけ皿にとって食べるんだ」
「お、いいねぇ!立食パーティー形式だね!」
 てなわけで、侍女さんたちにはお茶だけ残してお菓子は運んでもらいました。
「ふふふ。お菓子楽しみ」
 女子の一人が嬉しそうに笑った。
「数学苦手で、勉強も嫌いだけど、来てよかった。お菓子が待ってると思うと頑張れそう」
 それはよかった。
「じゃぁ、まずグループ分けしましょうか。みんなの実力もよくわかりませんし」
 と、サーシャが声を上げる。
 そういえば、まだ教科書まともに見てなかったんだよな。
 ぺらり。
 ん?足し算と、引き算。
 2桁、3桁、4桁、5桁……おーい、これ、11歳の勉強?
 あ、初等部の復習から入るのかな?
 しかし、文章題が面白いな。誰が考えるんだろう。
 それから、掛け算。1桁、2桁、3桁。割り算もある。
 ああ、3桁の掛け算だと……小学校3年か4年くらいの内容だっけ?そうすると、9歳か10歳か。11歳で学習するには、まぁ、少し遅いくらいと言えなくはないか。
「せっかくだから、リザークのお兄さんが用意してくれた過去の問題で実力試ししてみよう。紙と筆記具出して、問題を読み上げるよ。5問、解いてみよう」
 と、フレッドが仕切りだした。
 で、みんな適当な席について紙と筆記具を用意する。
「じゃぁ、まずは5問全部読み上げるから問題を書いてね。解く時間はそれぞれだと思うから」
 第一問、25+13
 第二問 318+1259
 第三問 1000-12
 第四問 2865-2398
 第五問 378+13+26
 うん。まずは足し算引き算か。簡単ですね。
「じゃぁ、終わったら採点するから持ってきて」
 と、なぜか自然に先生役になっているフレッドとサーシャの元に、紙を持っていく。
「え?もうリザークは解いたの?」
 サーシャがびっくりした顔をして、3問目を解いている手を止めた。
 ん?だって、簡単だよね?
「ああ、もしかして、家で一回解いてみた?」
 と、フレッドが、5問目を解き終わって顔を上げる。
 はい?
 たぶん、普通の速度だけど?
「全部、合ってる。でも、これ何?」
 フレッドが、メモしたひっ算の式を指さした。
「え?まだ習ってないっけ?」
「まだ?いや、高等部の教科書にも載ってないけど」
 まじかっ!
 ひっ算ないの?そりゃ不便だわ。
 ちらりとフレッドやサーシャの紙を覗き込むと、それぞれ別々の何かが書いてある。自分なりの計算方法?人によってバラバラ?なの?え?

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