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42 満身創痍
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「うごーっ、感動だぜっ!」
マージが泣いた。
「そうか、我が剣は主に捧げるっていうやつだなっ!4Fの人間は、すでに4Sという主を見つけることができたのかっ!」
い?
「それはどうかな?」
フレッドが困った顔をする。
「そうだよな。高等部に進学するだけが人生じゃないもんな。高等部に進学して騎士になった者に仕えるっていうのを夢にしたっていいんだもんなっ!信用できる主を持てるなんて、人生この上ない幸せだぞっ!」
と、袖口で涙をぬぐいながらマージが熱弁する。
「そ、そうだよ、たとえ進学が叶わなくたって、僕たちの人生は終わるわけじゃない」
ん?あれ?クラスメイトの目がキラキラし始めたよ。
「そうですね。逆境に陥ろうとも、腐らず勉学に励む人間と、ある程度の位置で満足して努力を怠り他の物をさげすむ人間、求められるのはどちらでしょう」
フレッドの言葉にさらに目の輝きが増す。
いやぁ、なんていうの?フレッドって、やっぱり有能だよね。人の心を掌握すると言うか洗脳するというか、なんか、こう、やる気を引き出す言葉上手に使うことができるあたり、上に立つ人間向きというか……。カリスマ的だよねぇ。
ピィーーっと高い笛の音が鳴り響いた。
コートの中の選手たちが動きを止め、整列していく。
模擬剣を取られた選手はすでにコート外だ。
残っていた選手はわずか20名ほど。
Sクラスは7名残っている。Aクラスが5名。Bクラスが2名。Dクラスが1名EとFはゼロ。
「さすがSクラスは圧勝かな」
と、誰がの言葉に、フレッドがつぶやいた。
「すごいな、Cクラス」
うんと、頷く。
「かっこいいな、Cクラス」
うんと、頷く。
Cクラスの生徒は6人残っていた。Sクラスには負ける。けど、AクラスやBクラスには勝ったのだ!
ただ、SクラスやAクラスと違い、満身創痍と呼びたくなるほどの姿だ。
必死に全力で戦い抜いた。
その末、最後までコートに立っていられた。そう思うと胸熱である。
終わりに近く、コートの中の人数が減るばほど、不利になるだろう。SクラスもAクラスもBクラスも、Cクラスを狙うようになるはずだ。その状況で6人残ったのだ。
「順位を発表する。1位Sクラス、2位Aクラス、3位Bクラス、4位Cクラス……」
「ちょっ、なんでだよっ!Sクラスの次はCだろっ!」
マージが怒った。
「残った人数勝負じゃないからね。残った人数の模擬剣に、他のクラスから奪った模擬剣の数を足した合計で順位が決まるから」
と、クラスメイトの一人がルール説明をしてくれる。
……って、補給班のメンバーだ。事前にいろいろ情報集めてるんだね。ほかの競技についても詳しいのかな。
「な、なんだよ。それ、戦争だったら、生き残った人間が多いほうがいいだろ?なんで、殺した人間が多いほうが優秀なんだよっ」
マージが悔しそうにつぶやく。
「ほんっと、マージは将軍向きかもね」
フレッドがマージの背中を叩いた。
「でも、これはルールがあるなかでの競技だからね。その競技でどのように勝ち星を挙げるかが、司令塔の役目だ。質じゃなく数。奪いやすいところからまずは模擬剣を奪いにかかる。人数が多いうちにいくつ取れるかが勝負の分かれ目だったんだろうね。Cクラスの選手を誰かが抑えている間に、AクラスやBクラスはEやFから奪っていったんだろう」
「うー、うーっ」
マージがうなってる。理解はしたけど、まだ納得しきれないってところかな。
気持ち的にはボロボロになってまで頑張った人たちに感情移入しちゃう気持ちは分かるけど。かといって涼しい顔してる人間が努力してないかといえば、兄1とか聖剣なんて言われてるけど、努力も人一倍どころか人5倍くらいしてるの知ってるからね。
だから、まぁ、勝負は勝負だったというしか……。
マージが泣いた。
「そうか、我が剣は主に捧げるっていうやつだなっ!4Fの人間は、すでに4Sという主を見つけることができたのかっ!」
い?
「それはどうかな?」
フレッドが困った顔をする。
「そうだよな。高等部に進学するだけが人生じゃないもんな。高等部に進学して騎士になった者に仕えるっていうのを夢にしたっていいんだもんなっ!信用できる主を持てるなんて、人生この上ない幸せだぞっ!」
と、袖口で涙をぬぐいながらマージが熱弁する。
「そ、そうだよ、たとえ進学が叶わなくたって、僕たちの人生は終わるわけじゃない」
ん?あれ?クラスメイトの目がキラキラし始めたよ。
「そうですね。逆境に陥ろうとも、腐らず勉学に励む人間と、ある程度の位置で満足して努力を怠り他の物をさげすむ人間、求められるのはどちらでしょう」
フレッドの言葉にさらに目の輝きが増す。
いやぁ、なんていうの?フレッドって、やっぱり有能だよね。人の心を掌握すると言うか洗脳するというか、なんか、こう、やる気を引き出す言葉上手に使うことができるあたり、上に立つ人間向きというか……。カリスマ的だよねぇ。
ピィーーっと高い笛の音が鳴り響いた。
コートの中の選手たちが動きを止め、整列していく。
模擬剣を取られた選手はすでにコート外だ。
残っていた選手はわずか20名ほど。
Sクラスは7名残っている。Aクラスが5名。Bクラスが2名。Dクラスが1名EとFはゼロ。
「さすがSクラスは圧勝かな」
と、誰がの言葉に、フレッドがつぶやいた。
「すごいな、Cクラス」
うんと、頷く。
「かっこいいな、Cクラス」
うんと、頷く。
Cクラスの生徒は6人残っていた。Sクラスには負ける。けど、AクラスやBクラスには勝ったのだ!
ただ、SクラスやAクラスと違い、満身創痍と呼びたくなるほどの姿だ。
必死に全力で戦い抜いた。
その末、最後までコートに立っていられた。そう思うと胸熱である。
終わりに近く、コートの中の人数が減るばほど、不利になるだろう。SクラスもAクラスもBクラスも、Cクラスを狙うようになるはずだ。その状況で6人残ったのだ。
「順位を発表する。1位Sクラス、2位Aクラス、3位Bクラス、4位Cクラス……」
「ちょっ、なんでだよっ!Sクラスの次はCだろっ!」
マージが怒った。
「残った人数勝負じゃないからね。残った人数の模擬剣に、他のクラスから奪った模擬剣の数を足した合計で順位が決まるから」
と、クラスメイトの一人がルール説明をしてくれる。
……って、補給班のメンバーだ。事前にいろいろ情報集めてるんだね。ほかの競技についても詳しいのかな。
「な、なんだよ。それ、戦争だったら、生き残った人間が多いほうがいいだろ?なんで、殺した人間が多いほうが優秀なんだよっ」
マージが悔しそうにつぶやく。
「ほんっと、マージは将軍向きかもね」
フレッドがマージの背中を叩いた。
「でも、これはルールがあるなかでの競技だからね。その競技でどのように勝ち星を挙げるかが、司令塔の役目だ。質じゃなく数。奪いやすいところからまずは模擬剣を奪いにかかる。人数が多いうちにいくつ取れるかが勝負の分かれ目だったんだろうね。Cクラスの選手を誰かが抑えている間に、AクラスやBクラスはEやFから奪っていったんだろう」
「うー、うーっ」
マージがうなってる。理解はしたけど、まだ納得しきれないってところかな。
気持ち的にはボロボロになってまで頑張った人たちに感情移入しちゃう気持ちは分かるけど。かといって涼しい顔してる人間が努力してないかといえば、兄1とか聖剣なんて言われてるけど、努力も人一倍どころか人5倍くらいしてるの知ってるからね。
だから、まぁ、勝負は勝負だったというしか……。
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