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別視点 数学教師によるクラス分けテスト採点
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問20
ユニコーン(一角獣)とバイコーン(二角獣)とトライコーン(三角獣)が合わせて9頭いました。
全部で角の数は20本になります。また、ユニコーンとトライコーンを合わせると、バイコーンの二倍になります。
ユニコーンとバイコーンとトライコーンはそれぞれ何頭いるでしょう。
王都にある名門中等部。
物語の主人公であるリザークがあまりにも興味がなさ過ぎて、学校の名前さえ出てこないですが、名前はあります。
ヴァルキア学園中等部である。
そのヴァルキア学園中等部の一室に、数学教師がずらりと20名集まっていた。
「まったく、主任には困った物ですよねぇ」
「本当に、この問20、こんなの解ける新入生がいるわけないじゃないですか」
「模範解答を作るのに、答えのすり合わせで3人で解いたら答えが合わなくて別に2人駆り出されたそうですよ」
「いやぁ、実は私も試しに解いてみましたが、徹夜しちゃいましたよ。そんな難問をクラス分けテストの時間内に解けというのは……」
「この問19が解ければ特別優秀。解けなくて普通。まぁ、事実上、万点は90点でしょうな。95点あれば稀に見る有能な人間」
と、ぼそぼそとうわさ話をしながら、数学教師はクラス分けテストの答案用紙が届くのを待っていた。
明日にはクラス分け発表をしなければならない。そのため、テストが終わってすぐに答え合わせをするために待機しているのだ。
210名の生徒を7クラスに分ける。
数学のテストの採点は一人21枚。10人で採点をし、10人が間違いないか確認作業。その後、点数順に並べて記録する。
記録に間違いがないか、今度は初めの10人が確認するというわけだ。
ちなみに、ヴァルキア学園中等部は完全実力主義。
例え王族だろうと高位貴族だろうと何ら忖度が働くことはない。
「そういえば、今年は第二王子フレッド殿下がご入学されたんですな」
「ええ、お兄様である第一王子は学年トップでSクラスになりましたわね。流石に優秀な家庭教師に教えられている王族は違いますわ」
「教師が優秀だからと生徒も優秀とは限りませんぞ?」
「あら、そうですわね。優秀な先生が教えようとも、しょせんFクラスは出来損ないばかりですものね」
「ふふふ。まぁ、そうはっきり言うものではなかろう」
「待ってください。Fクラスだけが出来損ないみたいな言い方はどうかと思います」
「あははは、まぁ、うん、数学だけで言えば、Bクラスあたりから出来損ないが混じりこむのは確かだな。他の教科でなんとかBクラスに滑り込んだだけの人間もいるからなぁ」
「Fクラスの人間は総じて出来損ないですけどね。むしろ、数学だけが優秀な人間が混じりこむ空きもないくらい」
くすくすと笑う数学教師たちを、苦々しい表情で見ているのは、4年F組の担任イリスだ。1年生からずっと担任替えはない。
もう生徒たちとの付き合いはまるっと3年。
勉強はできないけれど、それでもかわいいところのある生徒たちだと、愛着も湧いている。
何故、出来損ないなどと笑い飛ばすことができるのか。
F組にだって、頑張ればもっと伸びる子たちはたくさんいた。
だけれど、いつしか子供たちは出来損ない、出来損ないと言われ続けて潰れていった。
あるものは学校をやめ、またある者は登校が減り、またある者は、ただ教室にいるだけになってしまった。
「さあ、おしゃべりはここまでです。採点をお願いしますよ!」
がらりとドアが開き、数学主任が大量の解答用紙を抱えて現れる。
「ほほう、〇。〇。〇。うん、順調に正解していますね。……ああ、やはり19問目、20問目は解けませんでしたか。しかし事実上の満点90点ですね」
「こちらも90点出ました」
「ふむ。この子たちはSクラスかな。それとも、他の教科で足を引っ張ってCクラスあたりまで落ちてしまいますかな?」
数学教師が採点をしている間を数学主任が歩いて見て回っている。
いや、見て回っているのは、SクラスからDクラスの担当数学教師だけだ。
Fクラス担任イリスは、渡された答案用紙に視線を落とす。
すでに、ある程度仕分けされているらしい。
90点出ましたと声を上げているのはSクラスやAクラスの担当教師だ。空欄がほとんどない答案用紙が並んでいるのだろう。
イリスに渡っている答案用紙は、半分以上が空欄のものばかり。
小さくため息が漏れる。
しかし、その小さなため息は、ベテラン女性教師の叫び声でかき消された。
「ま、ま、満点、満点でましたっ」
主任が声を上げた教師に視線を向ける。
「また90点が出たのか。うむ。今年はなかなか粒ぞろいのようですね」
女性教師が答案用紙を持ち上げて立ち上がる。
「違います主任、満点です、満点。100点満点」
ざわりと、教室全体が揺れる。
まさか?
主任が奪うように答案用紙を女性教師から取り上げ、食い入るように見る。
「確かに……確かに、19問も、20問も解けている……あの制限時間内に、これを解いたというのか……天才だ!今年のヴァルキア学園に天才が現れた!」
興奮気味に答案用紙を掲げる主任。
その陰で、イリスもまた興奮していた。
「わずか下から6問しか解いていないから30点にしかならないが……19問も20問も正解している……」
そして、その下の答案用紙。1,5,10,15,19,20と、飛び飛びで6問しか解かれていない答案用紙。
「これも……30点しかないけれど、全部正解だ……しかし、この謎の記号を使った式はなんだ?」
原石だ。
満点は取れていないが、間違いなく数学の才能を秘めた原石!
イリスがブルリと体を震わす。
教えてみたい。いいや、話をしてみたい。
だが、この子たちはFクラスにはならないんだろうな。
すべての採点を終え、点数を一覧にしたものを事務員に提出すると、数学教師たちはふぅーと息を吐きだし帰り支度を始めた。
答案用紙を前に、数学主任が満足そうに笑った。
「まさか、19問目を解いたものが3名もいるとは。今年は豊作だな20問目を解けたものはこのサーシャという女子一人だけだったが……まさか、解くものが現れるとは」
数学主任が確認しているのは合計点が80点以上の答案用紙のみ。
……イリスの元に、19問目を解いてある3名、20問目も解いてある2名の答案用紙があった。
点数は、0点、30点、30点。
Fクラスの伝説は、始まったばかり。
たぶん。
ユニコーン(一角獣)とバイコーン(二角獣)とトライコーン(三角獣)が合わせて9頭いました。
全部で角の数は20本になります。また、ユニコーンとトライコーンを合わせると、バイコーンの二倍になります。
ユニコーンとバイコーンとトライコーンはそれぞれ何頭いるでしょう。
王都にある名門中等部。
物語の主人公であるリザークがあまりにも興味がなさ過ぎて、学校の名前さえ出てこないですが、名前はあります。
ヴァルキア学園中等部である。
そのヴァルキア学園中等部の一室に、数学教師がずらりと20名集まっていた。
「まったく、主任には困った物ですよねぇ」
「本当に、この問20、こんなの解ける新入生がいるわけないじゃないですか」
「模範解答を作るのに、答えのすり合わせで3人で解いたら答えが合わなくて別に2人駆り出されたそうですよ」
「いやぁ、実は私も試しに解いてみましたが、徹夜しちゃいましたよ。そんな難問をクラス分けテストの時間内に解けというのは……」
「この問19が解ければ特別優秀。解けなくて普通。まぁ、事実上、万点は90点でしょうな。95点あれば稀に見る有能な人間」
と、ぼそぼそとうわさ話をしながら、数学教師はクラス分けテストの答案用紙が届くのを待っていた。
明日にはクラス分け発表をしなければならない。そのため、テストが終わってすぐに答え合わせをするために待機しているのだ。
210名の生徒を7クラスに分ける。
数学のテストの採点は一人21枚。10人で採点をし、10人が間違いないか確認作業。その後、点数順に並べて記録する。
記録に間違いがないか、今度は初めの10人が確認するというわけだ。
ちなみに、ヴァルキア学園中等部は完全実力主義。
例え王族だろうと高位貴族だろうと何ら忖度が働くことはない。
「そういえば、今年は第二王子フレッド殿下がご入学されたんですな」
「ええ、お兄様である第一王子は学年トップでSクラスになりましたわね。流石に優秀な家庭教師に教えられている王族は違いますわ」
「教師が優秀だからと生徒も優秀とは限りませんぞ?」
「あら、そうですわね。優秀な先生が教えようとも、しょせんFクラスは出来損ないばかりですものね」
「ふふふ。まぁ、そうはっきり言うものではなかろう」
「待ってください。Fクラスだけが出来損ないみたいな言い方はどうかと思います」
「あははは、まぁ、うん、数学だけで言えば、Bクラスあたりから出来損ないが混じりこむのは確かだな。他の教科でなんとかBクラスに滑り込んだだけの人間もいるからなぁ」
「Fクラスの人間は総じて出来損ないですけどね。むしろ、数学だけが優秀な人間が混じりこむ空きもないくらい」
くすくすと笑う数学教師たちを、苦々しい表情で見ているのは、4年F組の担任イリスだ。1年生からずっと担任替えはない。
もう生徒たちとの付き合いはまるっと3年。
勉強はできないけれど、それでもかわいいところのある生徒たちだと、愛着も湧いている。
何故、出来損ないなどと笑い飛ばすことができるのか。
F組にだって、頑張ればもっと伸びる子たちはたくさんいた。
だけれど、いつしか子供たちは出来損ない、出来損ないと言われ続けて潰れていった。
あるものは学校をやめ、またある者は登校が減り、またある者は、ただ教室にいるだけになってしまった。
「さあ、おしゃべりはここまでです。採点をお願いしますよ!」
がらりとドアが開き、数学主任が大量の解答用紙を抱えて現れる。
「ほほう、〇。〇。〇。うん、順調に正解していますね。……ああ、やはり19問目、20問目は解けませんでしたか。しかし事実上の満点90点ですね」
「こちらも90点出ました」
「ふむ。この子たちはSクラスかな。それとも、他の教科で足を引っ張ってCクラスあたりまで落ちてしまいますかな?」
数学教師が採点をしている間を数学主任が歩いて見て回っている。
いや、見て回っているのは、SクラスからDクラスの担当数学教師だけだ。
Fクラス担任イリスは、渡された答案用紙に視線を落とす。
すでに、ある程度仕分けされているらしい。
90点出ましたと声を上げているのはSクラスやAクラスの担当教師だ。空欄がほとんどない答案用紙が並んでいるのだろう。
イリスに渡っている答案用紙は、半分以上が空欄のものばかり。
小さくため息が漏れる。
しかし、その小さなため息は、ベテラン女性教師の叫び声でかき消された。
「ま、ま、満点、満点でましたっ」
主任が声を上げた教師に視線を向ける。
「また90点が出たのか。うむ。今年はなかなか粒ぞろいのようですね」
女性教師が答案用紙を持ち上げて立ち上がる。
「違います主任、満点です、満点。100点満点」
ざわりと、教室全体が揺れる。
まさか?
主任が奪うように答案用紙を女性教師から取り上げ、食い入るように見る。
「確かに……確かに、19問も、20問も解けている……あの制限時間内に、これを解いたというのか……天才だ!今年のヴァルキア学園に天才が現れた!」
興奮気味に答案用紙を掲げる主任。
その陰で、イリスもまた興奮していた。
「わずか下から6問しか解いていないから30点にしかならないが……19問も20問も正解している……」
そして、その下の答案用紙。1,5,10,15,19,20と、飛び飛びで6問しか解かれていない答案用紙。
「これも……30点しかないけれど、全部正解だ……しかし、この謎の記号を使った式はなんだ?」
原石だ。
満点は取れていないが、間違いなく数学の才能を秘めた原石!
イリスがブルリと体を震わす。
教えてみたい。いいや、話をしてみたい。
だが、この子たちはFクラスにはならないんだろうな。
すべての採点を終え、点数を一覧にしたものを事務員に提出すると、数学教師たちはふぅーと息を吐きだし帰り支度を始めた。
答案用紙を前に、数学主任が満足そうに笑った。
「まさか、19問目を解いたものが3名もいるとは。今年は豊作だな20問目を解けたものはこのサーシャという女子一人だけだったが……まさか、解くものが現れるとは」
数学主任が確認しているのは合計点が80点以上の答案用紙のみ。
……イリスの元に、19問目を解いてある3名、20問目も解いてある2名の答案用紙があった。
点数は、0点、30点、30点。
Fクラスの伝説は、始まったばかり。
たぶん。
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