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1 プロローグ的な 4歳前世を思い出す
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「うわぁーーーっ」
私、悪役令嬢に転生しちゃったよ。4歳の誕生日に突然思い出したっ!
「死にフラグしかない悪役令嬢……積んだ……いや、詰んだ……ん?摘んだ?」
ヒロインが誰ルートを選んでも死ぬ。
他殺、死刑、事故死、服毒自殺、飛び降り自殺、発狂死……。
悪役令嬢は今度はどんな死に方するんだろう?が話題の乙女ゲームだった。
「さすがに、玉手箱開けての老衰まで用意されてるのはギャグかと……」
実に、ヒロインには百合エンドの悪役令嬢ルートまで用意されてたんだけど、流石にヒロインと結ばれれば死なないかと思ったら……。
「一緒に死んでくださいますわよね」
って、なんでだよっ!心中エンドかよっ!
さらには、ヒロインが誰とも結ばれないバッドエンドに至っては「お前のせいで!」って逆恨みで殺されます。
ああああ、詰んだ。まじ、詰んだ……。悪役令嬢である私の人生18歳までの期間限定のようです……。
……ん?
私の人生?
悪役令嬢の私の名は「リザベーナ」。公爵家の長女。……。
この条件がなくなれば、もしかして回避できたりするんじゃない?
そうと決まれば!
ベッドから飛び降り、いや、本当に飛び降りだよ。4歳児の体格では50センチは高い。そういやぁ、いつもは、誰かにベッドから降ろしてもらってたなぁ……。うん。家族の誰かだ。今日は誰が下す番だったのか……。
両親と兄たちに溺愛されてるリザベーナなので、毎日私をベッドから降ろしてあげるのも争奪戦ですよ……。
「おとうちゃまーっ!」
あれ。お父様ってまだ言えない。やだわ。4歳になるというのに。
年齢といえば、現代日本で言うところの34歳で前世の私は死んだ。実に、清らかな体のまま死んだ。……唇すら清らかなまま……。
そして、心はそこそこいい具合に腐った状態で死んだ。まぁ、でも社会的にはバリキャリを装っていたので、一人暮らししてたアパートの部屋……会社の人が見たらびっくりするだろうなぁ……。会社に来ないからって、心配して見に来てくれる後輩……いるんだよな。うう、ごめんよ。驚かせちゃうね。腐界で不快……あう。
って、前世のことなどどうでもいい。問題は、死亡フラグ回避。
お父様はバリキャリだった私も驚くほどの社畜だ。いや、会社じゃないんだけど。国に仕えてる右宰相なんだけど。めっちゃブラック企業だよ。この国。企業じゃないけど。
ああ、この国、宰相はふたりいる。右大臣左大臣じゃないけど、右宰相と左宰相。どっちが上とかはない。
家に仕事の持ち帰りは当たり前。ってなわけで、今日も朝食前に執務室にこもっているはずのお父様に突撃です。
「おとうちゃまーっ!」
ドアをノックもせずに入った私を責めもせず、父親であるボンパーナ公爵は書類を3枚ほど床に散らしながら立ち上がる。
「おお、リザベーナ、どうしたんだ?怖い夢でも見たのか?」
世間では鬼の右宰相と言われる厳しい顔つきの父が、だらしなく目じりを下げる。
そのまま思い切り父親に抱き着く。
ここは、あざとく幼女の武器を発揮せねばなのですよ。じゃないと、死亡フラグ回避計画が……。
「あのね、おとうしゃま、私の誕生日会もうしゅぐでしょ?」
「おお、そうだぞ。やっと、かわいいかわいいリザベーナを皆に紹介できるんだ。なんだ?ドレスが気にいらないかい?だったら別のドレスを注文しよう。なぁに、10日かかるといわれたって、3日後の誕生日会までに間に合わせるようになんとかしてやろう」
……おおう、かわいい娘のわがままを叶えるために、周りに無理難題を押し付けちゃいけませんよ、お父様……。
「あのね、リザね、公爵令嬢やめるの。おにいしゃまと同じ、公爵令息になりたいのよ!」
「は?どういうことだ?」
なんと、この世界ですね、4歳の誕生日になるまで子供の誕生は公表されないんです。
なぜって、日本でも昔は七五三のお祝いあったように、幼子の死亡率が高いから。「生まれました、おめでとう、死にました」が繰り返されると、王侯貴族では跡継ぎやら婚約者決めやら、いろいろと面倒だということで、4歳の誕生日を迎えて初めて「〇〇家にお子様がお生まれになりました」って公表するわけなのよ。
つまり……、まだ、私リザベーナという”娘”がボンパーナ公爵家に生まれたということは、家族と住み込みで働いている口の堅い侍女や執事たちしか知らないのです。
「いやいや、リザベーナは兄たちとは違って、娘だから、令息にはなれないよ?」
そこを、なんとか!
だって、令嬢だと、悪役令嬢になる。18で死ぬしかないんだから。ボンパーナ家に令嬢は生まれなかったことにしてくれよっ!運命改変ってやつよ!これ以上ないまとめて死亡フラグ回避じゃない?
「おとーしゃま、リザね、ずっとおとーしゃまと一緒にいたいのよ。うんと、女の子はお嫁に行かないと駄目なんでしょ?そんなのいやなのよ。ずっとおとーしゃまといっしょにいたいのよ」
あざとく、あざとく、泣きそうな顔でお父様の顔を見る。
「り、り、リザベーナァァァ。嫁になどやらぬ。絶対やらぬぞぉ!」
お父様、号泣。
あの、まぁ、いいから、話を聞け。
「それからね、お兄しゃまのように、おとーしゃまのお仕事手伝いたいのよ。だから、リザもお兄しゃまと一緒がいいの」
いくらお父様が嫁にはやらんっていってもな、王家から来るんだよっ。
断れない第一王子(獄中死フラグ)との婚約話とか、第二王子(発狂死フラグ)との婚約話とかがっ!
「そうか、そうか。リザはそんなにお父様のことが大好きなんだな。よし、分かった!家族会議だ!」
というわけで、朝食の時間に家族会議が始まりました。
=======
10話までは、主人公周りの環境説明みたいな感じです。
学園での下剋上関係は10話以降本格的にスタートのハズ……。
私、悪役令嬢に転生しちゃったよ。4歳の誕生日に突然思い出したっ!
「死にフラグしかない悪役令嬢……積んだ……いや、詰んだ……ん?摘んだ?」
ヒロインが誰ルートを選んでも死ぬ。
他殺、死刑、事故死、服毒自殺、飛び降り自殺、発狂死……。
悪役令嬢は今度はどんな死に方するんだろう?が話題の乙女ゲームだった。
「さすがに、玉手箱開けての老衰まで用意されてるのはギャグかと……」
実に、ヒロインには百合エンドの悪役令嬢ルートまで用意されてたんだけど、流石にヒロインと結ばれれば死なないかと思ったら……。
「一緒に死んでくださいますわよね」
って、なんでだよっ!心中エンドかよっ!
さらには、ヒロインが誰とも結ばれないバッドエンドに至っては「お前のせいで!」って逆恨みで殺されます。
ああああ、詰んだ。まじ、詰んだ……。悪役令嬢である私の人生18歳までの期間限定のようです……。
……ん?
私の人生?
悪役令嬢の私の名は「リザベーナ」。公爵家の長女。……。
この条件がなくなれば、もしかして回避できたりするんじゃない?
そうと決まれば!
ベッドから飛び降り、いや、本当に飛び降りだよ。4歳児の体格では50センチは高い。そういやぁ、いつもは、誰かにベッドから降ろしてもらってたなぁ……。うん。家族の誰かだ。今日は誰が下す番だったのか……。
両親と兄たちに溺愛されてるリザベーナなので、毎日私をベッドから降ろしてあげるのも争奪戦ですよ……。
「おとうちゃまーっ!」
あれ。お父様ってまだ言えない。やだわ。4歳になるというのに。
年齢といえば、現代日本で言うところの34歳で前世の私は死んだ。実に、清らかな体のまま死んだ。……唇すら清らかなまま……。
そして、心はそこそこいい具合に腐った状態で死んだ。まぁ、でも社会的にはバリキャリを装っていたので、一人暮らししてたアパートの部屋……会社の人が見たらびっくりするだろうなぁ……。会社に来ないからって、心配して見に来てくれる後輩……いるんだよな。うう、ごめんよ。驚かせちゃうね。腐界で不快……あう。
って、前世のことなどどうでもいい。問題は、死亡フラグ回避。
お父様はバリキャリだった私も驚くほどの社畜だ。いや、会社じゃないんだけど。国に仕えてる右宰相なんだけど。めっちゃブラック企業だよ。この国。企業じゃないけど。
ああ、この国、宰相はふたりいる。右大臣左大臣じゃないけど、右宰相と左宰相。どっちが上とかはない。
家に仕事の持ち帰りは当たり前。ってなわけで、今日も朝食前に執務室にこもっているはずのお父様に突撃です。
「おとうちゃまーっ!」
ドアをノックもせずに入った私を責めもせず、父親であるボンパーナ公爵は書類を3枚ほど床に散らしながら立ち上がる。
「おお、リザベーナ、どうしたんだ?怖い夢でも見たのか?」
世間では鬼の右宰相と言われる厳しい顔つきの父が、だらしなく目じりを下げる。
そのまま思い切り父親に抱き着く。
ここは、あざとく幼女の武器を発揮せねばなのですよ。じゃないと、死亡フラグ回避計画が……。
「あのね、おとうしゃま、私の誕生日会もうしゅぐでしょ?」
「おお、そうだぞ。やっと、かわいいかわいいリザベーナを皆に紹介できるんだ。なんだ?ドレスが気にいらないかい?だったら別のドレスを注文しよう。なぁに、10日かかるといわれたって、3日後の誕生日会までに間に合わせるようになんとかしてやろう」
……おおう、かわいい娘のわがままを叶えるために、周りに無理難題を押し付けちゃいけませんよ、お父様……。
「あのね、リザね、公爵令嬢やめるの。おにいしゃまと同じ、公爵令息になりたいのよ!」
「は?どういうことだ?」
なんと、この世界ですね、4歳の誕生日になるまで子供の誕生は公表されないんです。
なぜって、日本でも昔は七五三のお祝いあったように、幼子の死亡率が高いから。「生まれました、おめでとう、死にました」が繰り返されると、王侯貴族では跡継ぎやら婚約者決めやら、いろいろと面倒だということで、4歳の誕生日を迎えて初めて「〇〇家にお子様がお生まれになりました」って公表するわけなのよ。
つまり……、まだ、私リザベーナという”娘”がボンパーナ公爵家に生まれたということは、家族と住み込みで働いている口の堅い侍女や執事たちしか知らないのです。
「いやいや、リザベーナは兄たちとは違って、娘だから、令息にはなれないよ?」
そこを、なんとか!
だって、令嬢だと、悪役令嬢になる。18で死ぬしかないんだから。ボンパーナ家に令嬢は生まれなかったことにしてくれよっ!運命改変ってやつよ!これ以上ないまとめて死亡フラグ回避じゃない?
「おとーしゃま、リザね、ずっとおとーしゃまと一緒にいたいのよ。うんと、女の子はお嫁に行かないと駄目なんでしょ?そんなのいやなのよ。ずっとおとーしゃまといっしょにいたいのよ」
あざとく、あざとく、泣きそうな顔でお父様の顔を見る。
「り、り、リザベーナァァァ。嫁になどやらぬ。絶対やらぬぞぉ!」
お父様、号泣。
あの、まぁ、いいから、話を聞け。
「それからね、お兄しゃまのように、おとーしゃまのお仕事手伝いたいのよ。だから、リザもお兄しゃまと一緒がいいの」
いくらお父様が嫁にはやらんっていってもな、王家から来るんだよっ。
断れない第一王子(獄中死フラグ)との婚約話とか、第二王子(発狂死フラグ)との婚約話とかがっ!
「そうか、そうか。リザはそんなにお父様のことが大好きなんだな。よし、分かった!家族会議だ!」
というわけで、朝食の時間に家族会議が始まりました。
=======
10話までは、主人公周りの環境説明みたいな感じです。
学園での下剋上関係は10話以降本格的にスタートのハズ……。
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