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魔法が使えないから……

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「どういう人がいるのかな?」
「おばばと、それから妹と弟たち」
 うん。あとは?と聞こうとしてお母さんやお父さんがいないという可能性を考えて聞くのをやめた。
 魔力0……は捨てられる。親が捨てない可能性はない。捨てられた子供と、おばばという人だけの集まりかもしれない。5人か……。
「私、村に行っても大丈夫かな?よそ者は入れないとかそういうのない?」
「大丈夫だよ。俺たちみんな低級民だし……ユキが嫌じゃなきゃ、村に来くれよ」
 低級民って魔力0の人間のことでしょ。
「私も低級民だよ……って言いたいけれど」
 駄目だ。やっぱり。
 今更ながら頭にくる。
「自分たちのこと自分で低級民なんて言わないでいいんだよ!人はみな平等なんだから。なんで、魔力があるなしで低級だとか言うんだろう!人を物のように投げ捨てたりするあいつらの方がよほど低級低俗最低だよっ!」
 思わず叫べば、ネウス君がびっくりして目を丸くしてる。
「で、でも、俺たち、魔力がねぇから、何も出来ない……」
「何もできない?」
 何それ。
「ネウス君は、サボテンも見つけられるし砂ネズミも取れる、それに妹のために薬を探しに行けるし、私の道案内もできる、できることだらけじゃない!」
 怒りのテンションそのままで、ネウス君の両肩をつかんで揺さぶる。
「だけど……」
 だけど何?
 なんで、魔力のあるなしでここまで卑下するようになっちゃうの?
「魔法が使えねぇと……火も出せねぇし、麦も育てられない」
 は?どういうこと?
 ディラの顔を見る。
『そんなことはないぞ。魔法が使えなくても火の魔石があれば火は出せるし、土の魔石があれば麦も育つ』
 は?
 魔法に魔石?
 この世界の常識が分からない。もしかして地球とは根本的にいろいろなことが違うっていうの?
 物理法則だとか科学や化学的なことも違う?
 歩いて、歩いて、久しぶりに緑が目に飛び込んできた。
 オアシスみたいな場所ではない。荒野を超えると、森が広がっているようだ。
 その、森のほんの入り口に、村はあった。
 いいや、村なんて物じゃない。テントよりは少しだけ建物らしいものが、いくつかあるだけだ。
 日よけができる屋根がかろうじてある。そんなものだ。
「あ、ネウス兄ちゃんお帰り」
 壁もない。その屋根の下から5歳くらいの男の子が飛び出してきた。
 この子もまた、骨と皮だけのやせ細った姿。
 ボロ布を身にまとい、顔も手足もあかで薄汚れ、髪の毛はもさもさ。
 髪の色や肌の色はネウス君とは違う。妹や弟たちと言っていたが、魔力0で捨てられた子供たちで血のつながりはないのかもしれない。



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