25 / 110
魔法が使えないから……
しおりを挟む
「どういう人がいるのかな?」
「おばばと、それから妹と弟たち」
うん。あとは?と聞こうとしてお母さんやお父さんがいないという可能性を考えて聞くのをやめた。
魔力0……は捨てられる。親が捨てない可能性はない。捨てられた子供と、おばばという人だけの集まりかもしれない。5人か……。
「私、村に行っても大丈夫かな?よそ者は入れないとかそういうのない?」
「大丈夫だよ。俺たちみんな低級民だし……ユキが嫌じゃなきゃ、村に来くれよ」
低級民って魔力0の人間のことでしょ。
「私も低級民だよ……って言いたいけれど」
駄目だ。やっぱり。
今更ながら頭にくる。
「自分たちのこと自分で低級民なんて言わないでいいんだよ!人はみな平等なんだから。なんで、魔力があるなしで低級だとか言うんだろう!人を物のように投げ捨てたりするあいつらの方がよほど低級低俗最低だよっ!」
思わず叫べば、ネウス君がびっくりして目を丸くしてる。
「で、でも、俺たち、魔力がねぇから、何も出来ない……」
「何もできない?」
何それ。
「ネウス君は、サボテンも見つけられるし砂ネズミも取れる、それに妹のために薬を探しに行けるし、私の道案内もできる、できることだらけじゃない!」
怒りのテンションそのままで、ネウス君の両肩をつかんで揺さぶる。
「だけど……」
だけど何?
なんで、魔力のあるなしでここまで卑下するようになっちゃうの?
「魔法が使えねぇと……火も出せねぇし、麦も育てられない」
は?どういうこと?
ディラの顔を見る。
『そんなことはないぞ。魔法が使えなくても火の魔石があれば火は出せるし、土の魔石があれば麦も育つ』
は?
魔法に魔石?
この世界の常識が分からない。もしかして地球とは根本的にいろいろなことが違うっていうの?
物理法則だとか科学や化学的なことも違う?
歩いて、歩いて、久しぶりに緑が目に飛び込んできた。
オアシスみたいな場所ではない。荒野を超えると、森が広がっているようだ。
その、森のほんの入り口に、村はあった。
いいや、村なんて物じゃない。テントよりは少しだけ建物らしいものが、いくつかあるだけだ。
日よけができる屋根がかろうじてある。そんなものだ。
「あ、ネウス兄ちゃんお帰り」
壁もない。その屋根の下から5歳くらいの男の子が飛び出してきた。
この子もまた、骨と皮だけのやせ細った姿。
ボロ布を身にまとい、顔も手足もあかで薄汚れ、髪の毛はもさもさ。
髪の色や肌の色はネウス君とは違う。妹や弟たちと言っていたが、魔力0で捨てられた子供たちで血のつながりはないのかもしれない。
「おばばと、それから妹と弟たち」
うん。あとは?と聞こうとしてお母さんやお父さんがいないという可能性を考えて聞くのをやめた。
魔力0……は捨てられる。親が捨てない可能性はない。捨てられた子供と、おばばという人だけの集まりかもしれない。5人か……。
「私、村に行っても大丈夫かな?よそ者は入れないとかそういうのない?」
「大丈夫だよ。俺たちみんな低級民だし……ユキが嫌じゃなきゃ、村に来くれよ」
低級民って魔力0の人間のことでしょ。
「私も低級民だよ……って言いたいけれど」
駄目だ。やっぱり。
今更ながら頭にくる。
「自分たちのこと自分で低級民なんて言わないでいいんだよ!人はみな平等なんだから。なんで、魔力があるなしで低級だとか言うんだろう!人を物のように投げ捨てたりするあいつらの方がよほど低級低俗最低だよっ!」
思わず叫べば、ネウス君がびっくりして目を丸くしてる。
「で、でも、俺たち、魔力がねぇから、何も出来ない……」
「何もできない?」
何それ。
「ネウス君は、サボテンも見つけられるし砂ネズミも取れる、それに妹のために薬を探しに行けるし、私の道案内もできる、できることだらけじゃない!」
怒りのテンションそのままで、ネウス君の両肩をつかんで揺さぶる。
「だけど……」
だけど何?
なんで、魔力のあるなしでここまで卑下するようになっちゃうの?
「魔法が使えねぇと……火も出せねぇし、麦も育てられない」
は?どういうこと?
ディラの顔を見る。
『そんなことはないぞ。魔法が使えなくても火の魔石があれば火は出せるし、土の魔石があれば麦も育つ』
は?
魔法に魔石?
この世界の常識が分からない。もしかして地球とは根本的にいろいろなことが違うっていうの?
物理法則だとか科学や化学的なことも違う?
歩いて、歩いて、久しぶりに緑が目に飛び込んできた。
オアシスみたいな場所ではない。荒野を超えると、森が広がっているようだ。
その、森のほんの入り口に、村はあった。
いいや、村なんて物じゃない。テントよりは少しだけ建物らしいものが、いくつかあるだけだ。
日よけができる屋根がかろうじてある。そんなものだ。
「あ、ネウス兄ちゃんお帰り」
壁もない。その屋根の下から5歳くらいの男の子が飛び出してきた。
この子もまた、骨と皮だけのやせ細った姿。
ボロ布を身にまとい、顔も手足もあかで薄汚れ、髪の毛はもさもさ。
髪の色や肌の色はネウス君とは違う。妹や弟たちと言っていたが、魔力0で捨てられた子供たちで血のつながりはないのかもしれない。
26
お気に入りに追加
2,962
あなたにおすすめの小説
私を虐げてきた妹が聖女に選ばれたので・・・冒険者になって叩きのめそうと思います!
れもん・檸檬・レモン?
ファンタジー
私には双子の妹がいる
この世界はいつの頃からか妹を中心に回るようになってきた・・・私を踏み台にして・・・
妹が聖女に選ばれたその日、私は両親に公爵家の慰み者として売られかけた
そんな私を助けてくれたのは、両親でも妹でもなく・・・妹の『婚約者』だった
婚約者に守られ、冒険者組合に身を寄せる日々・・・
強くならなくちゃ!誰かに怯える日々はもう終わりにする
私を守ってくれた人を、今度は私が守れるように!
追放しなくて結構ですよ。自ら出ていきますので。
華原 ヒカル
ファンタジー
子爵家の令嬢であるクロエは、仕える身である伯爵家の令嬢、マリーに頭が上がらない日々が続いていた。加えて、母が亡くなって以来、父からの暴言や暴力もエスカレートするばかり。
「ゴミ、屑」と罵られることが当たり前となっていた。
そんな、クロエに社交界の場で、禁忌を犯したマリー。
そして、クロエは完全に吹っ切れた。
「私は、屑でゴミですから、居なくなったところで問題ありませんよね?」
これで自由になれる。やりたいことが実は沢山ありましたの。だから、私、とっても幸せです。
「仕事ですか?ご自慢の精神論で頑張って下さいませ」
【完結】捨てられ令嬢は王子のお気に入り
怜來
ファンタジー
「魔力が使えないお前なんてここには必要ない」
そう言われ家を追い出されたリリーアネ。しかし、リリーアネは実は魔力が使えた。それは、強力な魔力だったため誰にも言わなかった。そんなある日王国の危機を救って…
リリーアネの正体とは
過去に何があったのか
継母の心得
トール
恋愛
【本編第一部完結済、2023/10〜第二部スタート ☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定☆】
※継母というテーマですが、ドロドロではありません。ほっこり可愛いを中心に展開されるお話ですので、ドロドロ重い、が苦手の方にもお読みいただけます。
山崎 美咲(35)は、癌治療で子供の作れない身体となった。生涯独身だと諦めていたが、やはり子供は欲しかったとじわじわ後悔が募っていく。
治療の甲斐なくこの世を去った美咲が目を覚ますと、なんと生前読んでいたマンガの世界に転生していた。
不遇な幼少期を過ごした主人公が、ライバルである皇太子とヒロインを巡り争い、最後は見事ヒロインを射止めるというテンプレもののマンガ。その不遇な幼少期で主人公を虐待する悪辣な継母がまさかの私!?
前世の記憶を取り戻したのは、主人公の父親との結婚式前日だった!
突然3才児の母親になった主人公が、良い継母になれるよう子育てに奮闘していたら、いつの間にか父子に溺愛されて……。
オタクの知識を使って、子育て頑張ります!!
子育てに関する道具が揃っていない世界で、玩具や食器、子供用品を作り出していく、オタクが行う異世界育児ファンタジー開幕です!
番外編は10/7〜別ページに移動いたしました。
影の聖女として頑張って来たけど、用済みとして追放された~真なる聖女が誕生したのであれば、もう大丈夫ですよね?~
まいめろ
ファンタジー
孤児だったエステルは、本来の聖女の代わりとして守護方陣を張り、王国の守りを担っていた。
本来の聖女である公爵令嬢メシアは、17歳の誕生日を迎えても能力が開花しなかった為、急遽、聖女の能力を行使できるエステルが呼ばれたのだ。
それから2年……王政を維持する為に表向きはメシアが守護方陣を展開していると発表され続け、エステルは誰にも知られない影の聖女として労働させられていた。
「メシアが能力開花をした。影でしかないお前はもう、用済みだ」
突然の解雇通知……エステルは反論を許されず、ろくな報酬を与えられず、宮殿から追い出されてしまった。
そんな時、知り合いになっていた隣国の王子が現れ、魔導国家へと招待することになる。エステルの能力は、魔法が盛んな隣国に於いても並ぶ者が居らず、彼女は英雄的な待遇を受けるのであった。
理想とは違うけど魔法の収納庫は稼げるから良しとします
水野忍舞
ファンタジー
英雄になるのを誓い合った幼馴染たちがそれぞれ戦闘向きのスキルを身に付けるなか、俺は魔法の収納庫を手に入れた。
わりと便利なスキルで喜んでいたのだが幼馴染たちは不満だったらしく色々言ってきたのでその場から立ち去った。
お金を稼ぐならとても便利なスキルじゃないかと今は思っています。
*****
ざまぁ要素はないです
婚約破棄と追放をされたので能力使って自立したいと思います
かるぼな
ファンタジー
突然、王太子に婚約破棄と追放を言い渡されたリーネ・アルソフィ。
現代日本人の『神木れいな』の記憶を持つリーネはレイナと名前を変えて生きていく事に。
一人旅に出るが周りの人間に助けられ甘やかされていく。
【拒絶と吸収】の能力で取捨選択して良いとこ取り。
癒し系統の才能が徐々に開花してとんでもない事に。
レイナの目標は自立する事なのだが……。
7個のチート能力は貰いますが、6個は別に必要ありません
ひむよ
ファンタジー
「お詫びとしてどんな力でも与えてやろう」
目が覚めると目の前のおっさんにいきなりそんな言葉をかけられた藤城 皐月。
この言葉の意味を説明され、結果皐月は7個の能力を手に入れた。
だが、皐月にとってはこの内6個はおまけに過ぎない。皐月にとって最も必要なのは自分で考えたスキルだけだ。
だが、皐月は貰えるものはもらうという精神一応7個貰った。
そんな皐月が異世界を安全に楽しむ物語。
人気ランキング2位に載っていました。
hotランキング1位に載っていました。
ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる