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不敬発言
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「うふふ、おいしい物が食べられて幸せ?」
「ち、違うわ、エミリーとこうしていられて幸せ!もちろんおいしい物が食べられるのも幸せだけど……お友達がいなかったから。こんなふうにお茶会ができるなんて幸せ」
エミリーが笑っている。
「ずっと、この時間が続くといいわね……」
エミリーの呟きには曖昧に笑って何も答えなかった。
だって、きっとエミリーだって分かっている。
ずっと続かないって。
舞踏会は終わりの時間がくるし。
次の舞踏会まで会えないし。
そうして……今は定期的に開催されている月に1度の舞踏会だって、いつ開催されなくなるか分からない。
貴族の子息令嬢のお見合いの場という名目で開かれているロイホール公爵夫人の主催する舞踏会。
ロイホール公爵夫人に何かあれば……気持ちが変わってしまえば、いつ開催されなくても不思議はない。
ああ、でも裏の目的は、なかなか婚約しない皇太子殿下のお見合いのためだと言われている。
とすると、王妃様や王室も関わっているのかもしれない。
だとすれば皇太子殿下に婚約者ができるまでは、別の誰かが主催して続けられるかもしれない。でも、決まってしまえば……。
「あーあ、皇太子殿下,ずっと婚約しなきゃいいのに」
「え?な、何?いきなり、こ、皇太子……で、殿下が、何?なんで?あの、何でそんなこと?」
エミリーがとても驚いたようで、口に入れかけていたサンドイッチを手から取り落としかけている。
「あ、不敬?そ、そうよね。ああ。これも内緒ね。内緒。こんなこと言っていたの、内緒ね。そうよね。王家の血が絶えるとかそんな問題にも発展する話ね。あああ、でも、でも」
エミリーが花の紅茶をこくりと一口飲んで気持ちを落ち着かせたようだ。
「ああ、そう、ええ、内緒よ、うん、もちろん、私のことじゃないわね、ええ、あ、違う、その、内緒」
「私のことじゃない?もちろんエミリーのことも内緒にするよわ?驚いてサンドイッチ落としかけたこととか」
「もうっ、リリーったら、意地悪さんっ。で、えっと、何?どうしていきなり皇太子殿下が婚約しなきゃいいなんて……」
一応、不敬にあたるといけないので、二人きりとはいえ、若干声を落として話をする。
「だって、ロイホール公爵夫人のこの月に1度のお茶会、皇太子殿下のお見合い目的でしょ?婚約者が出来たあとは、もしかしたら開催されなくなるかも。いえ、開催されたとしても3カ月に1度とか頻度が落ちるかもしれないし……エミリーと会えなくなったらやだなぁって。皇太子殿下がいつまでも婚約しなければ、ずっと今のまま続くのかなって思ったら、つい……」
エミリーがふっと小さく笑う。
================
エミリー慌てる。何があった?wwww
このあたりのやり取りをきっかけに、会う方法をもうちょっと考え出す二人。
そもそも、突然次回の舞踏会なくなったらもう一生会えないとかになるぞ?
いや、必至にお互いを探しまわるかな。
そうすると……
エミリーは、ローレル様の名前を出していたのを耳にする。ローレル様にリリーのことを尋ねる。
知らないとローレル様は答える。
他の人に尋ねるとエカテリーゼ様が「いつも仮病を使っている」と言っていたと話が出てくる。
「いつも」ということはリリーを知っているということになり、どこの誰か無事に正体を突き止める。
だが、問題は「仮病」だと言ったことだ。
男性アレルギーのことを知っているだけに「仮病」扱いをしたエカテリーゼのことを、皇太子は……
じゃじゃーん
っていう展開も、短編ならありだったな。
……すいません、短編展開諦めてください。まだ続きます……
「ち、違うわ、エミリーとこうしていられて幸せ!もちろんおいしい物が食べられるのも幸せだけど……お友達がいなかったから。こんなふうにお茶会ができるなんて幸せ」
エミリーが笑っている。
「ずっと、この時間が続くといいわね……」
エミリーの呟きには曖昧に笑って何も答えなかった。
だって、きっとエミリーだって分かっている。
ずっと続かないって。
舞踏会は終わりの時間がくるし。
次の舞踏会まで会えないし。
そうして……今は定期的に開催されている月に1度の舞踏会だって、いつ開催されなくなるか分からない。
貴族の子息令嬢のお見合いの場という名目で開かれているロイホール公爵夫人の主催する舞踏会。
ロイホール公爵夫人に何かあれば……気持ちが変わってしまえば、いつ開催されなくても不思議はない。
ああ、でも裏の目的は、なかなか婚約しない皇太子殿下のお見合いのためだと言われている。
とすると、王妃様や王室も関わっているのかもしれない。
だとすれば皇太子殿下に婚約者ができるまでは、別の誰かが主催して続けられるかもしれない。でも、決まってしまえば……。
「あーあ、皇太子殿下,ずっと婚約しなきゃいいのに」
「え?な、何?いきなり、こ、皇太子……で、殿下が、何?なんで?あの、何でそんなこと?」
エミリーがとても驚いたようで、口に入れかけていたサンドイッチを手から取り落としかけている。
「あ、不敬?そ、そうよね。ああ。これも内緒ね。内緒。こんなこと言っていたの、内緒ね。そうよね。王家の血が絶えるとかそんな問題にも発展する話ね。あああ、でも、でも」
エミリーが花の紅茶をこくりと一口飲んで気持ちを落ち着かせたようだ。
「ああ、そう、ええ、内緒よ、うん、もちろん、私のことじゃないわね、ええ、あ、違う、その、内緒」
「私のことじゃない?もちろんエミリーのことも内緒にするよわ?驚いてサンドイッチ落としかけたこととか」
「もうっ、リリーったら、意地悪さんっ。で、えっと、何?どうしていきなり皇太子殿下が婚約しなきゃいいなんて……」
一応、不敬にあたるといけないので、二人きりとはいえ、若干声を落として話をする。
「だって、ロイホール公爵夫人のこの月に1度のお茶会、皇太子殿下のお見合い目的でしょ?婚約者が出来たあとは、もしかしたら開催されなくなるかも。いえ、開催されたとしても3カ月に1度とか頻度が落ちるかもしれないし……エミリーと会えなくなったらやだなぁって。皇太子殿下がいつまでも婚約しなければ、ずっと今のまま続くのかなって思ったら、つい……」
エミリーがふっと小さく笑う。
================
エミリー慌てる。何があった?wwww
このあたりのやり取りをきっかけに、会う方法をもうちょっと考え出す二人。
そもそも、突然次回の舞踏会なくなったらもう一生会えないとかになるぞ?
いや、必至にお互いを探しまわるかな。
そうすると……
エミリーは、ローレル様の名前を出していたのを耳にする。ローレル様にリリーのことを尋ねる。
知らないとローレル様は答える。
他の人に尋ねるとエカテリーゼ様が「いつも仮病を使っている」と言っていたと話が出てくる。
「いつも」ということはリリーを知っているということになり、どこの誰か無事に正体を突き止める。
だが、問題は「仮病」だと言ったことだ。
男性アレルギーのことを知っているだけに「仮病」扱いをしたエカテリーゼのことを、皇太子は……
じゃじゃーん
っていう展開も、短編ならありだったな。
……すいません、短編展開諦めてください。まだ続きます……
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