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それから

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 ひたすらポテチ愛について語っている。どれほど美味しいのか、調理場で調理した人間を探して幾度となく作らせている……太るぞ……陛下たちも気に入っている?ジャガイモの生産量を増やす?……そこまでか!
「で、そのお菓子の名前を教えてほしい?はい?今さら?例の名前を知らないお菓子を頼むと言っていて不便?」
 だから、今さらかよ!
 最後の1枚は、ビッチリ文字で埋まっていた他の6枚とは違い、たった一言だけ書かれていた。
 ありがとう。
 文字を習いたての子供でさえもっとましな字が書けそうなくらい下手くそな字で、一言だけ。
「特別な場合にしかペンは持たないんじゃないのか……?」
 これも代筆させればいいのに。紙には、ところどころ油染みがあって……、ポテチを食べた手で触った跡が残っている。
「そういうとこやぞ……」
 返事は1枚だけ。紙に大きな文字で書いて送った。殿下が自分で読めるように。「ポテチ」とだけ書いて。

 さらに2週間が経ち、一面蓮に覆われた池の中央に設置されたガゼボで殿下とお茶を飲む。
 用意されたのはケーキとポテチ。……あら、殿下ちょっとばかりふっくらしてません?このまま太り続けてしまったらセイラに嫌われません?『デブとハゲと胸毛と水虫は無理!』って言ってたし。
 これはまずい。
「ふごぉぉぉぉっ」
「おお!もうお告げか!」
 ワクワクした目で殿下が私を見る。
「ポテチを食べ続けると太る……デブ……嫌われる……」
 殿下がポテチを見た。
「た、食べると太る……その、エリータも太った男は嫌いか?だが、ポテチを食べては駄目だと言われたら……ケーキも食べられないポテチもだめじゃ……俺は、俺は……この先何を楽しみに生きて行けばいいんだ……」
 大げさだな、おい!
 そういえばセイラも太ったって言ってた。『あー太った。ダイエットしなくちゃ。でも運動嫌いなんだよなぁ』と。
「食べた分運動すれば問題ありませんわ」
 殿下がぱぁーっと顔を輝かせた。
「ポテチを食べてもいいんだな?運動くらいどれだけでもしてやる。早速剣術や馬術の授業を増やしてもらうか」
 単純だな。
 単純だな。
「そうだ、エリータ、ダンスのレッスンを一緒にどうだ?」
 へ?あれ?もしかして、私も……太ってきています?
 そんなバカな……いえ、でも夢の中の私は、皇太子と婚約してからというもの、毎日厳しい王妃教育を受け、体も頭も酷使していましたが。今は割とゆったりまったり生活……。
「わ、私も太ったと殿下はおっしゃりたいのですね……」
 普通女性に言うか?何でもはっきり言いすぎだよ!いや、まぁ太ったなんて単語は使ってないけれど。
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