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「幸せそうに、天井画を眺めていた君も、花の名前も知らない君も、俺は」
「出て行ってくださいっ!ルード様っ!」
せっかく作っていた笑顔だったのに。
涙が溢れてきた。
「これ以上、あなたに触れられたら、私は私でいられなくなります」
だめだと分かっているのに。その手に抱きしめられたいと望んでしまう。
アイリーンの評判を落とすわけにはいかない。
そして……。
「もう、これ以上、ルード様の口から、ヴァイオレッタを悪く言う言葉も聞きたくありません……」
「それは……」
確かに私は家でアイリーンに使用人のように扱われていた。でも、それはお父様が私にそうしていたからだろう。
雑巾を投げつけるのも、ドレスに針を仕込むのも、全部侍女たちの仕業だ。アイリーンは私に自慢話をして、私を馬鹿にする。ただそれだけ。
食事抜きだと決めるのも、無理な仕事を押し付けるのも、お父様だ。
いいえ、時には私をいやらしい目で見る家令も、私を思い通りにできないと食事抜きになる。
お義母様もアイリーンも、私を使用人のように扱うだけ。それは、お父様が自分子じゃないと言うから。
子爵家の血が入ってない、どこの誰とも分からない男の子だと。
そう、養ってやっているのだ、使用人として働くのは当然だというお父様の言葉に従っているだけ。
ヴァイオレッタである私も、ヴァイオレッタのフリをしているアイリーンも……。
「使用人に命じてドレスに針を刺すような人はいません……」
ルーノ様がうろたえた。
「すまない、君の言葉を疑って……その、言い訳になるかもしれないが、アイリーンの身を案じるあまり……」
”アイリーン”の身を案じるあまり、”ヴァイオレッタ”を悪者にしたのよね。
「出ていって……もう、二度とお会いしたくありません……」
低い声でルード様に告げる。
アイリーンが出産して戻ってきても、ルード様と会わなければ話がかみ合わなくて不信に思われることもないだろう。
ルード様は、まだ何か言いたそうにしていたけれど、私の意志が固いと思ったのか、小さく首をふり、部屋を出て行った。
……ぽたぽたと涙が落ちる。
これで、よかったんだ。
食欲なんてないけれど、せっかく用意された食事を無理に食べる。
スープはすでに冷めてしまっていた。
パンをちぎってスープに浸して口に運ぶ。
食べ終わったのを見計らって、侍女が食器を下げてお茶を入れてくれた。
……私とルード様とのやり取りを見ていただろうが、何も言わない。表情にも見せない。
これが、本当の侍女の姿なんだろう……。
ルード様に生意気な口を利ける立場だと思ってるの!と、子爵家だったらお茶をぶっかけられていたかもしれない。
========
エール!ありがとうございます!いつの間にか増えてた!!!
ははは。まるっきりハーレクインロマンスに出てくる男だなwww
人の話を聞かない、自分の思い込みで動いて、ヒロインにぶちぎれられる。
さ、このまま後で誤解だったことを知って平謝りするがいいwww
って、思いながら書いてました。
ハーレクインロマンスは、漫画で読みます。小説は昔は時々読んでましたが「翻訳の文章」って独特な雰囲気があって、ちょっと私には漫画の方が読みやすいので今は漫画ばかリです。
ちなみに、ハーレクインロマンス読んでいる人は知ってると思うんですが……「シークレットベビー」ものが書きたい!と思っていたはずなのに、予定がガンガン変わって、こんな状態。
そう、正直に白状すると、はじめ考えていた話は、妹のアイリーンは、出産で亡くなる予定でした。
(*´ω`*)シークレットベビーものの「自分の子」パターンと双璧をなす「親友、姉妹などの子」ですね。
毎度思うんだけど、ハーレクインって一夜の命中率高すぎません?
「出て行ってくださいっ!ルード様っ!」
せっかく作っていた笑顔だったのに。
涙が溢れてきた。
「これ以上、あなたに触れられたら、私は私でいられなくなります」
だめだと分かっているのに。その手に抱きしめられたいと望んでしまう。
アイリーンの評判を落とすわけにはいかない。
そして……。
「もう、これ以上、ルード様の口から、ヴァイオレッタを悪く言う言葉も聞きたくありません……」
「それは……」
確かに私は家でアイリーンに使用人のように扱われていた。でも、それはお父様が私にそうしていたからだろう。
雑巾を投げつけるのも、ドレスに針を仕込むのも、全部侍女たちの仕業だ。アイリーンは私に自慢話をして、私を馬鹿にする。ただそれだけ。
食事抜きだと決めるのも、無理な仕事を押し付けるのも、お父様だ。
いいえ、時には私をいやらしい目で見る家令も、私を思い通りにできないと食事抜きになる。
お義母様もアイリーンも、私を使用人のように扱うだけ。それは、お父様が自分子じゃないと言うから。
子爵家の血が入ってない、どこの誰とも分からない男の子だと。
そう、養ってやっているのだ、使用人として働くのは当然だというお父様の言葉に従っているだけ。
ヴァイオレッタである私も、ヴァイオレッタのフリをしているアイリーンも……。
「使用人に命じてドレスに針を刺すような人はいません……」
ルーノ様がうろたえた。
「すまない、君の言葉を疑って……その、言い訳になるかもしれないが、アイリーンの身を案じるあまり……」
”アイリーン”の身を案じるあまり、”ヴァイオレッタ”を悪者にしたのよね。
「出ていって……もう、二度とお会いしたくありません……」
低い声でルード様に告げる。
アイリーンが出産して戻ってきても、ルード様と会わなければ話がかみ合わなくて不信に思われることもないだろう。
ルード様は、まだ何か言いたそうにしていたけれど、私の意志が固いと思ったのか、小さく首をふり、部屋を出て行った。
……ぽたぽたと涙が落ちる。
これで、よかったんだ。
食欲なんてないけれど、せっかく用意された食事を無理に食べる。
スープはすでに冷めてしまっていた。
パンをちぎってスープに浸して口に運ぶ。
食べ終わったのを見計らって、侍女が食器を下げてお茶を入れてくれた。
……私とルード様とのやり取りを見ていただろうが、何も言わない。表情にも見せない。
これが、本当の侍女の姿なんだろう……。
ルード様に生意気な口を利ける立場だと思ってるの!と、子爵家だったらお茶をぶっかけられていたかもしれない。
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エール!ありがとうございます!いつの間にか増えてた!!!
ははは。まるっきりハーレクインロマンスに出てくる男だなwww
人の話を聞かない、自分の思い込みで動いて、ヒロインにぶちぎれられる。
さ、このまま後で誤解だったことを知って平謝りするがいいwww
って、思いながら書いてました。
ハーレクインロマンスは、漫画で読みます。小説は昔は時々読んでましたが「翻訳の文章」って独特な雰囲気があって、ちょっと私には漫画の方が読みやすいので今は漫画ばかリです。
ちなみに、ハーレクインロマンス読んでいる人は知ってると思うんですが……「シークレットベビー」ものが書きたい!と思っていたはずなのに、予定がガンガン変わって、こんな状態。
そう、正直に白状すると、はじめ考えていた話は、妹のアイリーンは、出産で亡くなる予定でした。
(*´ω`*)シークレットベビーものの「自分の子」パターンと双璧をなす「親友、姉妹などの子」ですね。
毎度思うんだけど、ハーレクインって一夜の命中率高すぎません?
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