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 うん、きっとそうだ。お友達に会うためにお茶会に頻繁に参加していたんだよね?きっと……。
 親しくしていたお友達がいるなら、やはりなるべくお茶会にはいかない方がいいだろう。流石に、バレないわけがない。
 次はお父様と参加するのだ。友達と話をするような時間を持たなければ大丈夫。きっと。
 日が沈んでからは、特別にランプを使わせてもらえた。
 ランプの明かりでは、糸の微妙な色の違いが分からないため、カスミソウを仕上げていく。白は薄暗い明りでもよく目立つ。
 日が昇ってからも手を止めることなく刺繍を続け、お父様が朝食を終える時間には完成した。
 我ながら、とても素敵なヒヤシンスとカスミソウの刺繍が完成した。
 お店で見た売り物にも負けないできだ。
 ……もしかしたら、よく頑張ったと、お父様に褒めてもらえるのではないか……?なんてほんの少しだけ思っていたのに。
「これはいったい何のつもりだ!ふざけているのか!」侯爵夫人にお礼として贈るハンカチだぞ?」
 お父様はハンカチを一目見て怒り出した。
「女性に青や紫なんか贈る馬鹿がいるか!ピンクや黄色、もっと華やかな女性らしい色のものがあるだろう!」
 どうして、私は褒めてもらえるかもなんて思ったんだろう。
「……申し訳ありません。いただいたドレスの色が……」
「ちっ。言い訳か」
 お父様の舌打ちに、それ以上言葉を続けることができなかった。
「まぁいい。お礼が遅くなれば失礼にあたる。ちゃんと手紙を書いてハンカチを送っておけ。ハンカチは自分が選んで刺繍したと書いておけよ。お前が個人的にその色を選んだと分かるようにな!子爵家のセンスが疑われたらたまったもんじゃない!」
「はい……」
 小さく返事を返して、お父様の執務室を後にしようとしたところで声が掛かる。
「昨日は一日仕事をさぼったのですから、今日はしっかり働いてくださいね」
 大量の書類を、家令に渡された。
 アイリーンの代わりにお茶会に出席するのも、徹夜で刺繍をするのも……。仕事じゃないんだ。
 渡された書類を見て小さくため息が出た。
「ああ、それから、一人侍女がやめてしまったのでその分の仕事もお願いしますね」
 屋根裏部屋で手紙を仕上げ、ハンカチにアイロンをかけて手紙とともに封筒に入れて、届けるようにお願いする。
 書類仕事をしようと部屋に戻ろうとしたときに通いの侍女につかまった。
「ちょっと、お嬢様、どういうつもり?」
「え?」
「アイリーン様と奥様がいないからって好き勝手やってんじゃないわよ!」
 腰に手を当てた侍女が、はたきで、私の顔の周りをパタパタとはたいた。
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