83 / 96
83
しおりを挟む
「下地がまだですよ」
「え?下地?」
「下地を使わないと、ファンデーションは肌から浮いてしまいます。もしくはすぐに崩れてしまいます」
黒崎さんにはわかるだろうかと思ったら、あっと少し大きな声を出しました。
「塗装と同じなのか!」
塗装ですか。
世の女性が聞いたらちょっと起こりますよ。化粧が塗装なんて……。
「これが、下地クリームですね。それから、クマやそばかす、ニキビ跡やシミを隠すのにコンシーラーを使います。肌に陰影を出して立体的にするにはシャドーファンデ。そして就職活動のメイクには関係ありませんが、肌に艶を出すためのパウダーを使うこともありますね」
次々にファンデーション関連商品を手にとりかごに放り込みます。
「ちょ、ちょ、ちょっと待って。ファンデーションって、顔に、こんなにも塗っているのか?」
「人によりますが、百均で売っているものは、幅広く売れている一般的な商品ですから。多くの人が使っているでしょうね」
黒崎さんが唖然としています。
「それから、続けてもいいですか?ファンデーションを塗るためのパフにスポンジ。口紅を塗るのにはこの紅筆。口紅以外に、縁取りをするペンシル、艶を出すグロス。割と口紅関連は少ないですね」
「口紅と紅筆だけでいいかと思っていた……ペンシルにグロス?」
「唇の皮膚が弱い人は、口紅の下に口紅の下地を使ったりもしますよ」
「そうか……」
続けてアイメイクに必要なものを上げていきます。黒崎さんは最後まで聞き終わり、カゴの中にたくさん入れられた商品を見てちょっとやつれています。
「こんなに必要だったのか……」
「いえ、まだ足りていませんよ?」
「は?」
「メイクをした後は、メイク落としで落とさなければいけません。メイク落とし、洗顔、それから化粧水、乳え……」
「待った、待った……どうしたらいいんだ?まさか、こんなに化粧が大変なものだと思わなかった……」
とりあえず、百均で黒崎さんが会計を済ませます。
「私、百均は好きなんですが、化粧品類は主にこっちを利用しています」
スーパーの中の百均なので、店内を移動すればすぐに化粧品売り場があります。ついでなので案内します。
「日常使いしやすい低価格の化粧品メーカーの品です」
百均の化粧品類も、問題があればすぐに店内から撤去するなど品質管理もされてはいる。
値段が安いから粗悪品、値段が高いから質がいいとも限らないのが化粧品です。だけど、百均化粧品には問題が一つだけあるのです。百均はどれだけ気に入っていても、次に買いに行ったときに同じ品があるとは限らないのです。だから、使ってません。
毎回違う品を使うのは結構大変です。
「スーパーだよな、こんなに多くの化粧品メーカーの品が置いてあるのか?」
そうです。スーパーでも何社もの低価格化粧品が置かれています。
「どこがおすすめなんだ?」
黒崎さんが私の顔を見ました。小さく首を振って見せます。
「人それぞれですし、口紅はこちら、アイシャドウはあちらと選べばいいと思いますよ」
「そうだな。うん……だが……ファンデーションだけでも、これだけ種類があるのか?液体、パウダー、固形?水性、塗るとパウダー?さっぱりわからない、皮脂を抑える?毛穴を隠す?……どれがいいんだ?」
小さく首を振ります。
「さぁ、時間がありませんので、帰りましょう」
黒崎さんに背を向けてスーパーを後にします。
「え?下地?」
「下地を使わないと、ファンデーションは肌から浮いてしまいます。もしくはすぐに崩れてしまいます」
黒崎さんにはわかるだろうかと思ったら、あっと少し大きな声を出しました。
「塗装と同じなのか!」
塗装ですか。
世の女性が聞いたらちょっと起こりますよ。化粧が塗装なんて……。
「これが、下地クリームですね。それから、クマやそばかす、ニキビ跡やシミを隠すのにコンシーラーを使います。肌に陰影を出して立体的にするにはシャドーファンデ。そして就職活動のメイクには関係ありませんが、肌に艶を出すためのパウダーを使うこともありますね」
次々にファンデーション関連商品を手にとりかごに放り込みます。
「ちょ、ちょ、ちょっと待って。ファンデーションって、顔に、こんなにも塗っているのか?」
「人によりますが、百均で売っているものは、幅広く売れている一般的な商品ですから。多くの人が使っているでしょうね」
黒崎さんが唖然としています。
「それから、続けてもいいですか?ファンデーションを塗るためのパフにスポンジ。口紅を塗るのにはこの紅筆。口紅以外に、縁取りをするペンシル、艶を出すグロス。割と口紅関連は少ないですね」
「口紅と紅筆だけでいいかと思っていた……ペンシルにグロス?」
「唇の皮膚が弱い人は、口紅の下に口紅の下地を使ったりもしますよ」
「そうか……」
続けてアイメイクに必要なものを上げていきます。黒崎さんは最後まで聞き終わり、カゴの中にたくさん入れられた商品を見てちょっとやつれています。
「こんなに必要だったのか……」
「いえ、まだ足りていませんよ?」
「は?」
「メイクをした後は、メイク落としで落とさなければいけません。メイク落とし、洗顔、それから化粧水、乳え……」
「待った、待った……どうしたらいいんだ?まさか、こんなに化粧が大変なものだと思わなかった……」
とりあえず、百均で黒崎さんが会計を済ませます。
「私、百均は好きなんですが、化粧品類は主にこっちを利用しています」
スーパーの中の百均なので、店内を移動すればすぐに化粧品売り場があります。ついでなので案内します。
「日常使いしやすい低価格の化粧品メーカーの品です」
百均の化粧品類も、問題があればすぐに店内から撤去するなど品質管理もされてはいる。
値段が安いから粗悪品、値段が高いから質がいいとも限らないのが化粧品です。だけど、百均化粧品には問題が一つだけあるのです。百均はどれだけ気に入っていても、次に買いに行ったときに同じ品があるとは限らないのです。だから、使ってません。
毎回違う品を使うのは結構大変です。
「スーパーだよな、こんなに多くの化粧品メーカーの品が置いてあるのか?」
そうです。スーパーでも何社もの低価格化粧品が置かれています。
「どこがおすすめなんだ?」
黒崎さんが私の顔を見ました。小さく首を振って見せます。
「人それぞれですし、口紅はこちら、アイシャドウはあちらと選べばいいと思いますよ」
「そうだな。うん……だが……ファンデーションだけでも、これだけ種類があるのか?液体、パウダー、固形?水性、塗るとパウダー?さっぱりわからない、皮脂を抑える?毛穴を隠す?……どれがいいんだ?」
小さく首を振ります。
「さぁ、時間がありませんので、帰りましょう」
黒崎さんに背を向けてスーパーを後にします。
10
お気に入りに追加
1,639
あなたにおすすめの小説
傷痕~想い出に変わるまで~
櫻井音衣
恋愛
あの人との未来を手放したのはもうずっと前。
私たちは確かに愛し合っていたはずなのに
いつの頃からか
視線の先にあるものが違い始めた。
だからさよなら。
私の愛した人。
今もまだ私は
あなたと過ごした幸せだった日々と
あなたを傷付け裏切られた日の
悲しみの狭間でさまよっている。
篠宮 瑞希は32歳バツイチ独身。
勝山 光との
5年間の結婚生活に終止符を打って5年。
同じくバツイチ独身の同期
門倉 凌平 32歳。
3年間の結婚生活に終止符を打って3年。
なぜ離婚したのか。
あの時どうすれば離婚を回避できたのか。
『禊』と称して
後悔と反省を繰り返す二人に
本当の幸せは訪れるのか?
~その傷痕が癒える頃には
すべてが想い出に変わっているだろう~
私にモテ期とか冗談でしょ? アラサーオタ喪女に突然の逆ハーレム
ブラックウォーター
恋愛
アラサー、独身、彼氏なし、趣味サブカル全般。
28歳の会社員、秋島瞳は単調な毎日を過ごしていた。
休日はDVDやネット動画を観て過ごす。
食事は外食かズボラ飯。
昨日までは…。
同期でやり手の上司、克己。
エリートで期待のルーキー、勇人。
会社創業者一族で貴公子、龍太郎。
イケメンたちになぜか付き合ってくれと言われて…。
なんの冗談?私にモテ期っておかしいって!
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
婚約破棄? あ、ハイ。了解です【短編】
キョウキョウ
恋愛
突然、婚約破棄を突きつけられたマーガレットだったが平然と受け入れる。
それに納得いかなかったのは、王子のフィリップ。
もっと、取り乱したような姿を見れると思っていたのに。
そして彼は逆ギレする。なぜ、そんなに落ち着いていられるのか、と。
普通の可愛らしい女ならば、泣いて許しを請うはずじゃないのかと。
マーガレットが平然と受け入れたのは、他に興味があったから。婚約していたのは、親が決めたから。
彼女の興味は、婚約相手よりも魔法技術に向いていた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
アラフォー王妃様に夫の愛は必要ない?
雪乃
恋愛
ノースウッド皇国の第一皇女であり才気溢れる聖魔導師のアレクサは39歳花?の独身アラフォー真っ盛りの筈なのに、気がつけば9歳も年下の隣国ブランカフォルト王国へ王妃として輿入れする羽目になってしまった。
夫となった国王は文武両道、眉目秀麗文句のつけようがないイケメン。
しかし彼にはたった1つ問題がある。
それは無類の女好き。
妃と名のつく女性こそはいないが、愛妾だけでも10人、街娘や一夜限りの相手となると星の数程と言われている。
また愛妾との間には4人2男2女の子供も儲けているとか……。
そんな下半身にだらしのない王の許へ嫁に来る姫は中々おらず、講和条約の条件だけで結婚が決まったのだが、予定はアレクサの末の妹姫19歳の筈なのに蓋を開ければ9歳も年上のアラフォー妻を迎えた事に夫は怒り初夜に彼女の許へ訪れなかった。
だがその事に安心したのは花嫁であるアレクサ。
元々結婚願望もなく生涯独身を貫こうとしていたのだから、彼女に興味を示さない夫と言う存在は彼女にとって都合が良かった。
兎に角既に世継ぎの王子もいるのだし、このまま夫と触れ合う事もなく何年かすれば愛妾の子を自身の養子にすればいいと高をくくっていたら……。
連載中のお話ですが、今回完結へ向けて加筆修正した上で再更新させて頂きます。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる