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「おや、今日も飲み会かい?残業はしてかないみたいだね。ご意見は、またファイルに挟んでおくよ」
「ありがとうございますチーフ!」
持ってきたワンピースに着替えて、リュックに着て来たジーパンとTシャツを入れます。
それから、小さなショルダーバックを持って、菜々さんの待つコインロッカーに向かいました。
「結梨絵ちゃんいらっしゃい!今日はありがとうね!」
「あ、いえ、私のほうこそ、菜々さんにまた化粧してもらえるなんて……」
菜々さん本人は行かないのに。
「いいのいいの!私、化粧するの趣味だから。今日は落ち着いた色のワンピースなんだね。どんな雰囲気に仕上げようかな」
菜々さんが私の服装を見て楽しそうに微笑みました。
どうやら、化粧するのが趣味というのは、嘘ではないみたいです。
「あ、忘れました……」
そういえば、菜々さんにお礼をしようと考えていたペーパーウエイトを持ってくるのを忘れてしまいました。
「ん?またコンタクトを持ってきてないの?」
「いえ、コンタクトは持ってきました。あ、そうですね、化粧を始める前に、はめますね」
と、カバンの中からコンタクトを取り出そうとして菜々さんに止められました。
「あ、コンタクト、しないほうがいいと思うの。うん、しないほうがいいから、絶対!」
「え?なぜですか?」
意味が分からなくて首を傾げます。
「えーっと、なぜかっていうと……」
菜々さんが視線をさまよわせた後、私を見ました。
「写真」
「え?」
「そうウエブサイトでお店の写真見たよね?あれ、写真だと壁面の画像きれいだけど、店内で見るとなんていうの粒子が見えるっていうか、映像が荒いっていうか……」
あれ?菜々さんは行ったことがあるのでしょうか?
「だから、えっと、眼鏡もコンタクトもなしでぼやけた感じで見えたほうが、本物の水族館っていうか、海の中みたいで楽しめるから!」
「そうなんですか?」
菜々さんが大きく何度もうなずきます。
「そう、そうなの。だから、今日はコンタクトなしがいいと思う。えっと、待ち合わせの場所は駅だから、えっと、私も駅までは一緒に行くし、だから、ね?」
「は、はぁ……。わかりました。せっかくなので、ではコンタクトなしで楽しもうと思います」
今日だけは楽しもう。
和臣さんが……菜々さんの話を、どんな顔でするか……。今日は確かめないでいよう。
うん、せっかくです。今日だけです。
「ばか……だなぁ」
「え?結梨絵ちゃん何かいいましたか?」
「い、いえ、あの、何でもないです。その、せっかく用意した菜々さんへのお礼を忘れてしまって……バカだなぁと思いまして……」
「お礼?お礼なんていらないよ!私が無理に頼み込んだんだし」
菜々さんがふと手を止めました。
「あの、本当に無理言っちゃってごめんね。いやだったら言ってね?」
心配そうな目が見えます。
アイメイクをしてもらっていたので、菜々さんの顔が近いので眼鏡なしでも表情がわかりました。
「無理じゃないですよ。本当に、暇ですし、ウエブサイトを見たらとても面白そうなお店でしし」
「うん、そうなんだけど、あー、一緒に行く相手が苦痛っていうこともあるでしょ?」
菜々さんの目がなんだか探りを入れているように見えます。
「苦痛じゃないですよ?話していて楽しいですし」
菜々さんの顔が離れました。
どんな顔をしているのか分かりません。
「よかった。うん、まずはそうだよね。苦痛じゃないのは大切。そっか、楽しいって思ってるならうん」
声はほっとしている。
ほっと?
「ありがとうございますチーフ!」
持ってきたワンピースに着替えて、リュックに着て来たジーパンとTシャツを入れます。
それから、小さなショルダーバックを持って、菜々さんの待つコインロッカーに向かいました。
「結梨絵ちゃんいらっしゃい!今日はありがとうね!」
「あ、いえ、私のほうこそ、菜々さんにまた化粧してもらえるなんて……」
菜々さん本人は行かないのに。
「いいのいいの!私、化粧するの趣味だから。今日は落ち着いた色のワンピースなんだね。どんな雰囲気に仕上げようかな」
菜々さんが私の服装を見て楽しそうに微笑みました。
どうやら、化粧するのが趣味というのは、嘘ではないみたいです。
「あ、忘れました……」
そういえば、菜々さんにお礼をしようと考えていたペーパーウエイトを持ってくるのを忘れてしまいました。
「ん?またコンタクトを持ってきてないの?」
「いえ、コンタクトは持ってきました。あ、そうですね、化粧を始める前に、はめますね」
と、カバンの中からコンタクトを取り出そうとして菜々さんに止められました。
「あ、コンタクト、しないほうがいいと思うの。うん、しないほうがいいから、絶対!」
「え?なぜですか?」
意味が分からなくて首を傾げます。
「えーっと、なぜかっていうと……」
菜々さんが視線をさまよわせた後、私を見ました。
「写真」
「え?」
「そうウエブサイトでお店の写真見たよね?あれ、写真だと壁面の画像きれいだけど、店内で見るとなんていうの粒子が見えるっていうか、映像が荒いっていうか……」
あれ?菜々さんは行ったことがあるのでしょうか?
「だから、えっと、眼鏡もコンタクトもなしでぼやけた感じで見えたほうが、本物の水族館っていうか、海の中みたいで楽しめるから!」
「そうなんですか?」
菜々さんが大きく何度もうなずきます。
「そう、そうなの。だから、今日はコンタクトなしがいいと思う。えっと、待ち合わせの場所は駅だから、えっと、私も駅までは一緒に行くし、だから、ね?」
「は、はぁ……。わかりました。せっかくなので、ではコンタクトなしで楽しもうと思います」
今日だけは楽しもう。
和臣さんが……菜々さんの話を、どんな顔でするか……。今日は確かめないでいよう。
うん、せっかくです。今日だけです。
「ばか……だなぁ」
「え?結梨絵ちゃん何かいいましたか?」
「い、いえ、あの、何でもないです。その、せっかく用意した菜々さんへのお礼を忘れてしまって……バカだなぁと思いまして……」
「お礼?お礼なんていらないよ!私が無理に頼み込んだんだし」
菜々さんがふと手を止めました。
「あの、本当に無理言っちゃってごめんね。いやだったら言ってね?」
心配そうな目が見えます。
アイメイクをしてもらっていたので、菜々さんの顔が近いので眼鏡なしでも表情がわかりました。
「無理じゃないですよ。本当に、暇ですし、ウエブサイトを見たらとても面白そうなお店でしし」
「うん、そうなんだけど、あー、一緒に行く相手が苦痛っていうこともあるでしょ?」
菜々さんの目がなんだか探りを入れているように見えます。
「苦痛じゃないですよ?話していて楽しいですし」
菜々さんの顔が離れました。
どんな顔をしているのか分かりません。
「よかった。うん、まずはそうだよね。苦痛じゃないのは大切。そっか、楽しいって思ってるならうん」
声はほっとしている。
ほっと?
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