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時計を見れば、今日も残業24分。
今から掲示板に貼って、学生相談室に提出すれば、ちょうど残業時間30分。
ロッカーから荷物を取り出します。
「昨日は菜々さんに合コンに連れてってもらったから、リュック置いてったんでした」
荷物をリュックに入れ直しながら、ふと昨日のことを思い出しました。
変わったメニューのある居酒屋だったなあ。
お酒もおいしかったです。薄いだけのチューハイ、甘いだけのカクテルという安っぽいお酒は一つもありませんでしたし。
目の前に座っていた人が店を選んだって言っていました。名前も結局知らないままで、顔もぼんやりしか見ていません。
それから、菜々ちゃんを送っていくと言って二人でタクシーに乗り込むところを思い出します。
「偶然きっかけで、また付き合い始めたりしてね?」
学生相談室は、食堂のある中央棟から東に10mほど行った3号棟にある。二つの棟をつなぐ渡り廊下の入り口付近で菜々さんとは会いました。
今日は、いません。
さすがにそんなに何度も会うわけありませんね。
学生相談室のドアをノックする。
やはり、今日も返事はありません。この時間はすでに勤務時間が終わっているんでしょうか。
どういう人が学生相談室の担当なのでしょう?
もしかして、スクールカウンセラーみたいな人?だとすると、この大学専任ではなくて、他の大学と兼任していて、週に何回かしか来ないとという可能性もありますね。
私は学生じゃないから、学生相談室がどのような時に誰が活用するのか説明を受けているわけではないので、よくわかりません。
箱の中に申し送りの紙を入れて今日の仕事はオールクリア。
さぁ、今日は何を食べようかな。
昨日はおかげさまで結構がっつり食べて飲んだので、今日はあっさりカロリー抑え目の夕飯にしたほうがよさそうです。
「アーティチョークだよ、アーティチョーク」
え?
昨日食べたものを思い出していると、そのままずばりの単語が聞こえてきました。
しかも、この声!
目の前に座っていたあの人の声です!
振り返ると、背の高い眼鏡をかけたスーツ姿のイケメンが立っていた。
「あ」
まさか、このイケメンさんが昨日の人?
眼鏡、かけてなかったけど、昨日ははずしていただけでしょうか?
いくら顔がぼんやりしか見えないとは言っても、眼鏡をかけているかかけてないかは分かりますからね。
髪型も、違うようです。
「何か、用ですか?」
顔をじろじろ見ていたら、スマホから顔をはなして話しかけられました。
冷たい声。
そりゃ、いくらぶしつけに顔をじろじろ見ちゃったからって……。氷のような声です。
「ご、ごめんなさい、あ、えーっと。失礼します」
違う。違います。
声は似ていますけど、別人です。眼鏡も、前髪も違うもの。
踵を返して廊下を速足で歩いて立ち去ります。
今の人は、クールビューティーな顔。
銀縁の眼鏡の奥には切れ長の瞳。前髪は後ろに流していて賢そうな眉と額が見えてた。
それから……って、私ってば、そこまで相手の顔をしっかり観察していたってことでしょうか?
昨日の人かもしれないと思ったからって、やっぱり失礼でした。
って、そもそも、昨日の人かもと思ったからって、なぜそこまでじっと見てしまったのでしょう……。
別に、もう一度会いたいとか、そんなこと思ってたわけじゃないんんですけど。
今から掲示板に貼って、学生相談室に提出すれば、ちょうど残業時間30分。
ロッカーから荷物を取り出します。
「昨日は菜々さんに合コンに連れてってもらったから、リュック置いてったんでした」
荷物をリュックに入れ直しながら、ふと昨日のことを思い出しました。
変わったメニューのある居酒屋だったなあ。
お酒もおいしかったです。薄いだけのチューハイ、甘いだけのカクテルという安っぽいお酒は一つもありませんでしたし。
目の前に座っていた人が店を選んだって言っていました。名前も結局知らないままで、顔もぼんやりしか見ていません。
それから、菜々ちゃんを送っていくと言って二人でタクシーに乗り込むところを思い出します。
「偶然きっかけで、また付き合い始めたりしてね?」
学生相談室は、食堂のある中央棟から東に10mほど行った3号棟にある。二つの棟をつなぐ渡り廊下の入り口付近で菜々さんとは会いました。
今日は、いません。
さすがにそんなに何度も会うわけありませんね。
学生相談室のドアをノックする。
やはり、今日も返事はありません。この時間はすでに勤務時間が終わっているんでしょうか。
どういう人が学生相談室の担当なのでしょう?
もしかして、スクールカウンセラーみたいな人?だとすると、この大学専任ではなくて、他の大学と兼任していて、週に何回かしか来ないとという可能性もありますね。
私は学生じゃないから、学生相談室がどのような時に誰が活用するのか説明を受けているわけではないので、よくわかりません。
箱の中に申し送りの紙を入れて今日の仕事はオールクリア。
さぁ、今日は何を食べようかな。
昨日はおかげさまで結構がっつり食べて飲んだので、今日はあっさりカロリー抑え目の夕飯にしたほうがよさそうです。
「アーティチョークだよ、アーティチョーク」
え?
昨日食べたものを思い出していると、そのままずばりの単語が聞こえてきました。
しかも、この声!
目の前に座っていたあの人の声です!
振り返ると、背の高い眼鏡をかけたスーツ姿のイケメンが立っていた。
「あ」
まさか、このイケメンさんが昨日の人?
眼鏡、かけてなかったけど、昨日ははずしていただけでしょうか?
いくら顔がぼんやりしか見えないとは言っても、眼鏡をかけているかかけてないかは分かりますからね。
髪型も、違うようです。
「何か、用ですか?」
顔をじろじろ見ていたら、スマホから顔をはなして話しかけられました。
冷たい声。
そりゃ、いくらぶしつけに顔をじろじろ見ちゃったからって……。氷のような声です。
「ご、ごめんなさい、あ、えーっと。失礼します」
違う。違います。
声は似ていますけど、別人です。眼鏡も、前髪も違うもの。
踵を返して廊下を速足で歩いて立ち去ります。
今の人は、クールビューティーな顔。
銀縁の眼鏡の奥には切れ長の瞳。前髪は後ろに流していて賢そうな眉と額が見えてた。
それから……って、私ってば、そこまで相手の顔をしっかり観察していたってことでしょうか?
昨日の人かもしれないと思ったからって、やっぱり失礼でした。
って、そもそも、昨日の人かもと思ったからって、なぜそこまでじっと見てしまったのでしょう……。
別に、もう一度会いたいとか、そんなこと思ってたわけじゃないんんですけど。
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