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 で、初夏ちゃんが丸山君を狙ってるんでしたよね。でも、誰が誰?自己紹介を聞いてなかったから全然分かりません。
 えーっと、とりあえず、菜々さんの知り合い……元カレなのかなんなのかよくわからない人だけは、間違いなく丸山君とは違いますよね。
 というわけで、目の前に座ってる菜々さんの元カレ(仮)さんと話をしてれば問題ないはずですね。
 ちょうど、一番端っこ同士ですし、不自然はないはずです。
 と思ったけれど、菜々さんや男性側の一番遠い席の人が上手に気をまわして会話を進めてくれるので、話を振られた時以外はもぐもぐごくごくと、食事をすすめております。
「はー、この魚おいしいな、初めて食べた」
 同じように箸を動かし続けている菜々さんの元カレ(仮)がちょっと驚いたような声を上げました。表情はよくわかりません。
 眼鏡をかけていないので顔はぼんやりしか分からないのです。
 イケメンなのか普通なのかの判断も怪しい。かろうじて、眼鏡をかけてなくて、前髪を中央で二つに分けていて剥げてない。眉毛は太くもなく細くもない。太ってもないなというのがわかる程度ですね。
「驚くほどおいしいんですか?」
 気になって海鮮盛りに乗っていた同じ赤身の刺身を口に入れる。
「あ、これ、クジラですね」
 クジラは確かに海鮮だけど魚ではない。
 魚だと思って口に入れると驚くのは分かります。
「え?これがクジラなのか。初めて食べたけど、どの魚とも違うし、肉……と言われても、近い肉は何か言われてもむつかしいな」
「そうですねぇ。クジラの唐揚げは、ビーフジャーキーとマグロの竜田揚げの中間っぽい感じだって言ったりしますが……刺身はレバーっぽくて苦手な人もいるらしいですけど……」
「ああ、レバーか。言われてみれば、肉ほどの硬さがなくて柔らかいし、魚介のような生臭さというよりは、レバー寄りの臭みと言われれば」
「言われないとレバーじゃないですよね。あ、レバーが苦手な人が食べると、めちゃくちゃレバーだって思うんでしょうか?」
 もう一切れクジラの刺身を口にする。
 うん、レバーほどレバー臭さなんてないのですけどねぇ。
「わかる気がする。僕、きゅうりが苦手なんだけどさ、サンドイッチに挟まってるだろう?」
「ええ、コンビニのサンドイッチには挟まってないのも増えましたけど、食堂のサンドイッチにはきゅうり挟まってますよね」
「そうそう、食堂!きゅうりを抜いても、一度挟んであるときゅうりの風味がハムにもパンにも残ってるんだよ。ほかの人に言わせればそれくらいって言うんだけど……だめなんだよ、あれが」
 そうそうって相槌打ちながら話をしていますが、食堂ってどの食堂の話なんでしょう?私が言ったのは学食のことなのですが。私の職場の……。
「ぷっ」
 隣で菜々さんが笑った。
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