8 / 96
8
しおりを挟む
菜々さんに連れられて、居酒屋へ。すでにほかのメンバーは集まっていたようで、居酒屋の入り口で予約した人の名を告げると席に案内されました。
「遅くなってごめんなさい」
席には女子二人と、スーツ姿の男が3人。ラフな格好の男が2人座っていました。
「今、飲み物注文して、これから自己紹介始めるところ。ちょうどよかった」
中央に座っているスーツ姿の男の人がメニューを菜々さんに差し出します。
「げ、」
メニューを受け取り席に座ろうとした菜々さんが、のどの奥から声を出す。
げ?
「げ、……なんでお前が」
一番手前に座っていたスーツ姿の男が、菜々さんと同じように声を上げました。
「いや、そっちこそ、なんでここに……」
どうやら、こういう席では会いたくない知り合いだったようです。
うん、元カレとかね。そういうのありますよね。
深く突っ込まないでおいたほうがいい案件ですよね、きっと……。
「え?何?二人は知り合いなの?」
メニューを渡した男が触れないでいい案件に触れました。
「あ、まぁ……」
と、菜々さんが言葉を濁し、スーツ男が話題を変えた。
「それより、自己紹介はじめようか。遅れて来た二人は飲み物頼んで。飲み放題だから、ここに書いてあるの全部」
飲み放題。
ふふふ。ごちそうになります。
眼鏡をはずしているので、メニューは机の上ではなく両手で持って目の前に持ってきてみないと読めません。
そうこうしてる間に、自己紹介が進んでいたようで。
「次は何ちゃん?」
とんとんと、隣に座る菜々さんが腕をつついた。
「あ、結梨絵です。初めまして。えっと、モスコミュールを飲もうと思います」
あ。
男性陣がぷっと笑いました。
「す、すいません、メニューを考えていたので」
と言って口を押える。
これじゃぁ、男性陣に興味がないと言っているようなものです。自己紹介を聞いていなかったのがバレバレです。
合コンに来た女がそんなんじゃぁ、菜々さんの立場が……。
「え、っと、皆さんは何を注文したんですか?」
興味があるふりをするのは、質問するのが一番だって、偉い人が言ってたような気がします。
「ああ、僕たちは、全員仲良く、とりあえず生」
一番遠く離れている席の男性が答えた。
「私はとりあえずソルティドック」
「とりあえずウーロン茶」
菜々さんを挟んで隣の女性が答えた。
あ、いい人です。
なんか私がぼけちゃったのに、場を盛り上げようとしてくれます。菜々さんのお友達ですよね?みんないい人。
「遅くなってごめんなさい」
席には女子二人と、スーツ姿の男が3人。ラフな格好の男が2人座っていました。
「今、飲み物注文して、これから自己紹介始めるところ。ちょうどよかった」
中央に座っているスーツ姿の男の人がメニューを菜々さんに差し出します。
「げ、」
メニューを受け取り席に座ろうとした菜々さんが、のどの奥から声を出す。
げ?
「げ、……なんでお前が」
一番手前に座っていたスーツ姿の男が、菜々さんと同じように声を上げました。
「いや、そっちこそ、なんでここに……」
どうやら、こういう席では会いたくない知り合いだったようです。
うん、元カレとかね。そういうのありますよね。
深く突っ込まないでおいたほうがいい案件ですよね、きっと……。
「え?何?二人は知り合いなの?」
メニューを渡した男が触れないでいい案件に触れました。
「あ、まぁ……」
と、菜々さんが言葉を濁し、スーツ男が話題を変えた。
「それより、自己紹介はじめようか。遅れて来た二人は飲み物頼んで。飲み放題だから、ここに書いてあるの全部」
飲み放題。
ふふふ。ごちそうになります。
眼鏡をはずしているので、メニューは机の上ではなく両手で持って目の前に持ってきてみないと読めません。
そうこうしてる間に、自己紹介が進んでいたようで。
「次は何ちゃん?」
とんとんと、隣に座る菜々さんが腕をつついた。
「あ、結梨絵です。初めまして。えっと、モスコミュールを飲もうと思います」
あ。
男性陣がぷっと笑いました。
「す、すいません、メニューを考えていたので」
と言って口を押える。
これじゃぁ、男性陣に興味がないと言っているようなものです。自己紹介を聞いていなかったのがバレバレです。
合コンに来た女がそんなんじゃぁ、菜々さんの立場が……。
「え、っと、皆さんは何を注文したんですか?」
興味があるふりをするのは、質問するのが一番だって、偉い人が言ってたような気がします。
「ああ、僕たちは、全員仲良く、とりあえず生」
一番遠く離れている席の男性が答えた。
「私はとりあえずソルティドック」
「とりあえずウーロン茶」
菜々さんを挟んで隣の女性が答えた。
あ、いい人です。
なんか私がぼけちゃったのに、場を盛り上げようとしてくれます。菜々さんのお友達ですよね?みんないい人。
20
お気に入りに追加
1,639
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
夫に離縁が切り出せません
えんどう
恋愛
初めて会った時から無口で無愛想な上に、夫婦となってからもまともな会話は無く身体を重ねてもそれは変わらない。挙げ句の果てに外に女までいるらしい。
妊娠した日にお腹の子供が産まれたら離縁して好きなことをしようと思っていたのだが──。
王女の影武者として隣国に嫁いだ私は、何故か王子に溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
王女アルネシアの影武者である私は、隣国の王子ドルクス様の元に嫁ぐことになった。
私の正体は、すぐにばれることになった。ドルクス様は、人の心を読む力を持っていたからである。
しかし、両国の間で争いが起きるのを危惧した彼は、私の正体を父親である国王に言わなかった。それどころか、私と夫婦として過ごし始めたのである。
しかも、彼は何故か私のことをひどく気遣ってくれた。どうして彼がそこまでしてくれるのかまったくわからない私は、ただ困惑しながら彼との生活を送るのだった。
女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…
アラフォー王妃様に夫の愛は必要ない?
雪乃
恋愛
ノースウッド皇国の第一皇女であり才気溢れる聖魔導師のアレクサは39歳花?の独身アラフォー真っ盛りの筈なのに、気がつけば9歳も年下の隣国ブランカフォルト王国へ王妃として輿入れする羽目になってしまった。
夫となった国王は文武両道、眉目秀麗文句のつけようがないイケメン。
しかし彼にはたった1つ問題がある。
それは無類の女好き。
妃と名のつく女性こそはいないが、愛妾だけでも10人、街娘や一夜限りの相手となると星の数程と言われている。
また愛妾との間には4人2男2女の子供も儲けているとか……。
そんな下半身にだらしのない王の許へ嫁に来る姫は中々おらず、講和条約の条件だけで結婚が決まったのだが、予定はアレクサの末の妹姫19歳の筈なのに蓋を開ければ9歳も年上のアラフォー妻を迎えた事に夫は怒り初夜に彼女の許へ訪れなかった。
だがその事に安心したのは花嫁であるアレクサ。
元々結婚願望もなく生涯独身を貫こうとしていたのだから、彼女に興味を示さない夫と言う存在は彼女にとって都合が良かった。
兎に角既に世継ぎの王子もいるのだし、このまま夫と触れ合う事もなく何年かすれば愛妾の子を自身の養子にすればいいと高をくくっていたら……。
連載中のお話ですが、今回完結へ向けて加筆修正した上で再更新させて頂きます。
王太子の子を孕まされてました
杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。
※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。
元カノと復縁する方法
なとみ
恋愛
「別れよっか」
同棲して1年ちょっとの榛名旭(はるな あさひ)に、ある日別れを告げられた無自覚男の瀬戸口颯(せとぐち そう)。
会社の同僚でもある二人の付き合いは、突然終わりを迎える。
自分の気持ちを振り返りながら、復縁に向けて頑張るお話。
表紙はまるぶち銀河様からの頂き物です。素敵です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる