憂鬱二散ッタ者達へ

kamo_f_

文字の大きさ
上 下
3 / 6

第三話 怪獣の嘆き

しおりを挟む
「逃げ切れたか・・・」

どっと疲れが出て、思わずその場にしゃがみ込む。
一旦、今の状況を整理しよう。
俺は日本で交通事故に遭いこの世界に転生してきた、そこで国の団長を務めていたが前世を見てしまい国を追われてしまった。
少し落ち着いたことにより疑問が再燃さいねんする。

(あの培養ばいようポッドの女の子はなんだ?)

あの子を見た瞬間に物凄い頭痛に襲われたと思った瞬間前世の記憶が頭に流れ込んできた。

(嫌なことを思い出したな)

前世の俺は紛れもないクズだった。うつ病と診断され人の目が怖くなって外に出れなくなり段々みにくくなる自分に耐えられなかった。どんどんできないことが増えていき自分が無能だと信じて疑わず常に自分を責め、挙句の果てには全部他人の所為にして最後の最後まで全てから逃げ続けていた。

(結局、この世界でも俺の居場所はなかったな)

他人に期待するのがどれだけ意味がないか前世で理解したはずなのにな、どうしてもどうしても居心地のいい場所を探してしまうんだ。無駄だって分かってても諦めきれないんだ。

(どうすればよかったのかなあ)

失敗ばかりだ、前世でも今世でもことごとく間違いを選んでしまう。どうしようもない現実に怒りをつのらせ思わず叫ぶ。

「俺がなにしたっていうんだよ!!!!」

どこまでも静かな森に怪獣のルサンチマンが響く。

(ほらな、またすぐに人のせいにする、どーしようもない)

一度でも努力した、頑張ったって言い切れることがあるか?ないんだ。俺は生まれてこのかた何にも頑張れなかったし我慢できなかったんだ。その割には何者かに成れる、俺は特別なんだって考えに縋り付いて人を馬鹿にしてたんだ。

(救いようがねーな、、、、もう死のうか)

一度目の人生で何度も何度も考え常に頭から離れなかった自らで命を絶つということ。

(まさか二度目の人生で自殺することになるとわな)
あまりの馬鹿らしさに自然と笑みがこぼれる。ふと視線をあげた数メートル先にちょうどいい木を見つけ自分の着ていた着物の帯を結び輪っかを作り木に引っかける。

(来世は人に迷惑かけないで生きたいな)

「うぅ、、、」

情けない自分が悔しくて悲しくて涙が止まらない。そして先ほど自分で作った輪っかに首を通し瞳から溢れる雨を止ます為に自らがてるてる坊主になる。

一分...........十分.........................................................一時間。

森はまた独りになった………筈だった……

(あれえ???全然死ねないんですけど、しっかり息できてないはずなのに余裕で一時間経っちゃったんですけど、、、、、、、、、、、)

なんとも今の姿が滑稽な気がして恥ずかしくなり地面に降りる、今の何が失敗だったのかよく考えてみる、、、、、

「あ!!そういえば俺人じゃねーじゃん!!」

馬鹿でかい間抜け声が響き、木々が揺れ森が笑う。

(そっかそっか、よくよく考えてみたら俺今鬼なんだ。そりや首つっても死ねない訳だわ)

何とか他にいい方法がないか必死に頭を動かし考える、木に登り頭から飛び降りるが地面に穴が開くだけで傷一つできない。他にもいろいろ試すが分かったことは物凄く頑丈がんじょうな体ってことだけが分かる。

「はあはあはあ、、、くそ!!くそ!!!!」

段々イライラしてきて手当たり次第周りにあたるが木々が倒れるだけで血は一滴も流れない。

「はははははっははははははっは、、くくく」

鬼神の笑い声が森に響く。

(なんかもういいや、疲れた)

そのまま地面に寝っ転がり目をつぶる。

_____

「ん、、やべえ寝ちゃってたか」
そう言いながら目をこすりながら瞼を上げようとする鬼神。

(いくら森の中とは言え危機感がなさすぎるな)
目を開け見たことない天井と目が合う

(あれ、俺昨日最後どうしたっけ)
そんなことを考えつつ周りを見渡すとここが屋内なことに気づく、もっと言うと誰かの部屋であることに気づいてしまう。

(んあ!?俺は昨日一体何をしたんだ)
そう思い、必死に昨日の出来事を思い出す。めちゃくちゃメンヘラになって死のうとして何度も失敗して疲れてその場で寝たよな。
何度も何度も昨日の記憶を確認していたところ、部屋の扉が開く音がする。

音の方向に目を向けるとそこには











____
この国(NARO)について

この国は帝の内裏だいり(住居)を中心に
内裏→第一住宅地→白層街はくそうがい灰森はいりん灰層街はいそうがい→第二住宅地→黒層街こくそうがい黒森こくりんと円形に広がっていく。

この国は二種類の人種によって構成されている。
・孤狐 (シュテン、姫様、悟浄、、、、など)
・威呑

ドグとイノの居住地は灰森を境に分けられている。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。

アーエル
ファンタジー
旧題:私は『聖女ではない』ですか。そうですか。帰ることも出来ませんか。じゃあ『勝手にする』ので放っといて下さい。 【 聖女?そんなもん知るか。報復?復讐?しますよ。当たり前でしょう?当然の権利です! 】 地震を知らせるアラームがなると同時に知らない世界の床に座り込んでいた。 同じ状況の少女と共に。 そして現れた『オレ様』な青年が、この国の第二王子!? 怯える少女と睨みつける私。 オレ様王子は少女を『聖女』として選び、私の存在を拒否して城から追い出した。 だったら『勝手にする』から放っておいて! 同時公開 ☆カクヨム さん ✻アルファポリスさんにて書籍化されました🎉 タイトルは【 私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください 】です。 そして番外編もはじめました。 相変わらず不定期です。 皆さんのおかげです。 本当にありがとうございます🙇💕 これからもよろしくお願いします。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

処理中です...