迷作集

日

　夕焼けを眺めているとやがて自分の輪郭が無くなるかのような錯覚に陥る。

　まるで心と体が離れるかのように。
　世界に私が溶けていく。
　世界は私を拒まず、私が去ろうとも世界は止めない。

　しかしそれは優しさなどではない事を私は知っている。
　お前などいてもいなくてもいいと。突き放されている。

　しかしそれは何と暖かいのだろう。
　私がいてもいなくてもいいと言うのなら。
　あと少しだけ楽しんでからそちらへと行こう。

　初めは四つん這いで歩いた朝日もいつか杖をつく。

　そして空が暗くなると共に太陽が残した光が星が輝かせ、夕日は沈む。

　しかしその夕日は、何処かではまた朝日なのだ。