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第四章 天使くん、別れを告げる
あとがき(ネタバレ)
しおりを挟む『天使くん、バイバイ!』を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
先にネタバレを攻略本的に読むあなた様も、こんにちは。できれば、伏線を楽しんでいただけたら嬉しいです。
初めての青春ものに挑戦しようと思ったのは、アルファポリス様の『青春ボカロカップ』の告知を見たのもありますが、家の近所にある大型書店で、いわゆる『ブルーライト文芸』の棚を熱心に見ている女子高生たちを見かけたからです。
物書きの端くれとして、今はどんなタイトルが本棚を占めているのだろう? と立ち寄るのですが……動画やコミック中心なのだろうなと思っていたJKたちが、真剣に表紙やあらすじを見て本を選んでいる姿が目に入り、私も彼や彼女たちに届ける物語を書いてみたいなあと思いました。
別に感動させたいとか、心の支えになりたいとか、大層な野望などありません。ふとした時に、天使くんに会いたいなあと思っていただけたら嬉しい。寂しい時に、ひとりじゃないよ! って寄り添えるようなお話を書きたい。それだけです。
あなたの傍にも、きっと天使くんがいますから。
◇ ◇ ◇ ここからネタバレです ◇ ◇ ◇
プロットが出来上がった時に、とはいえ初めての青春ものですから、最後まで書ける自信が全くありませんでした。
ならばと、表紙絵を描いていただくことに。
素晴らしいイラストを描いていただきました相田様に、心から感謝申し上げます。
ちなみに、テーマソングはミセスグリーンアップルの『青と夏』です。
最後までお読みいただけたらお気づきかと思いますが、天使くんであるトワの背後の窓に映っているのは、実はトワのではなく、アンジの翼でした! この構成は、プロットを読み込んでくださった相田様のアイデアです。いやもうすごい。すごすぎる。語彙力吹っ飛びの術。
トワが手に持っている羽根も活かしたくなった私は、『トワが天使になる決意ができるように、アンジが病室に証拠として置いていった羽根』として利用させていただきました。結果、最後にユキナリが記憶を取り戻すきっかけとなり……このコラボ、ほんとすげくないですか!?(語彙力)。
いたずらっぽい表情のトワも、色彩も、制服デザインや体の線も、本当に理想通りで。
何度も筆が止まりそうになりましたが、このトワをお披露目しない訳にはいかないだろう! と何度も私を奮い立たせてくれました。
そんな『天使くん、バイバイ!』ですが、高校生向けに書こうということで、なるべく平易な文章を心がけました。
あとはSNS抜きには語れないだろうと、取り込んでみたり。私の担当ネイリストさんの妹さんが現役JKだったので、それとなく取材してみたり。今のJKマジで最強! て思いますけど、でも自分たちがJKの時はやっぱり最強でしたよね笑
あくまでも友情物語にしたくって、エロはなしです(R15だし!)。チュウぐらいは、と思った時もありましたけど、でもユキナリだしなあとやめました。中学生もしくは小学生ですらチュウする時代なのに、ゴメンネ笑
伏線として、アンジって……? をずっと匂わせてましたね。普段私の作品をお読みくださっている皆様には、お馴染みですし、すぐお分かりになったのではと思います。その上で、どうなっちゃうの!? と思っていただけていたら、嬉しい。
彼は、すぐ居なくなっても違和感がないようにと過ごしていました。それでも手出ししちゃうところが、少しずつ感情を取り戻していった彼の変化になっています。
トワは、達観している秀才くんです。父親に認めてもらえなかったけれど、母親からはとても愛されていて、むしろお兄ちゃんはトワのことが羨ましかったはずです。
賢いけれど、どこか天然なトワを、好きになってもらえていたら嬉しいです。リンカがトワの枕元で何を言ったのかは、ご想像にお任せしますね。
この物語で欠かせないのは、実は三ツ矢でしょう。
学年にひとりかふたりはいませんでした? 力任せのいじめっ子で、ブルドーザーみたいに人の親切や良心をひき殺していくタイプ。なぜか早めに結婚して、3人くらい子供いて、マイホームと良い車があるけど、仕事なにしてんの? 的な。
タグに密かに『三ツ矢ざまぁ』て加えておきました。こんなやつがのさばるなんて、許さないんですよ私は。見事にざまぁさせていただきました。笑
主人公のユキナリは、中学での冤罪事件以降、自分の殻に引きこもっていました。
多感な頃親友に裏切られるって、相当な心の傷だと思います。しかも周りのクラスメイトも寄ってたかって泥棒扱いしたわけで。そんな目で僕を見ていたの!? とかなりのショックです。高校でもずっとぼっちを貫いていました(アンジがいなかったわけなので、体育館裏ベンチでは一人でお昼を食べていた)。
でもエリコの息子ですから、根暗ではないし、お人好しなんですよね。滲み出る良い人! な雰囲気が、好かれたりバカにされたりしちゃう。三ツ矢は特になめてかかっていましたけど、結果間接的にざまぁされてますよね。人はどこで繋がっているか分からない、と伝わっていたら嬉しいです。
ユキナリって、仕事はそつなくこなすし、バイク持ってるし、穏やかだしで。彼が好きだっていう女子も、いたんじゃないかなあ。特に文化祭以降。姫川さん、それに気づいて密かに牽制していたら、面白いですね。
幼なじみの姫川さんは美人で才女なので、モテていましたけれど、表面しか見ない男子に興味が全くなくて。『なんでもできて当たり前』な結構しんどいポジションにいる彼女を、ユキナリがのほほんと「あーちゃんは、あーちゃんだよ」と言いながら寄り添ってくれるのが、何よりも幸せなんです。胃袋を掴もうとしたものの、料理の才能はなかったらしく、結局ユキナリが料理係になったらしいですが。料理だけはできない女子。
白崎さんは、当初の予定ではもっとギャルギャルしていて、むしろ姫川さんと敵対する立ち位置を考えていました。プロットでもそうだったんですが、三ツ矢が強すぎた笑
私の知っているギャルって、口調や態度は強いけど中身はピュアなので、こうなりました。トワ、押しかけ女房的に受け入れちゃいましたね。ギャルは苦手って言っていたのに。
そして、アンジ。
来栖=クロス
庵士=Ange(フランス語でエンジェル)
いやもうバレバレな存在ですが。天使らしくない、不器用強面は作者の性癖です(おなじみですね)。プリンのシーンはとってもお気に入りです。カフェ、実在します。
渋谷で衝動的に走って、目立つことをしてしまった……となり、以降の学校では息をひそめるように寝たフリをしていた。
それでも、ユキナリの背中を押すためにはギギギと動き出す、影のロボットヒーロー。白崎さん、怖がらせてゴメンネ。
物語の最後に、みんなの幸せな未来が書けて良かったなあと思います。ユキナリはトワに分け与えたものがあるので、少しだけ先にこの世を去るけれども、とても満足しています。
この中の『天使くん』は、誰のことだったのでしょうか。
アンジでもあり、トワでもあり、ユキナリでもある、と私は思います。
忘れているだけで、あなたの横にもほら、いるんですよ。
いつか笑顔で「バイバイ!」を言うために、今日も頑張りましょう!
ありがとうございました。
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構成力もさることながら、キャラクターワークがばっちり生かされた「リアル」を感じることができたのが、とても良かったです。群像劇ってWEBだと敬遠されがちですが、青春を描く上では自分以外の誰かが絶対に必要で。だからこそそれぞれのキャラクターたちに視点を当てて、最後にちゃんと「天使くん」に終結してくれたことが作品の完成度をグンと高めたんだなと思います(偉そうにすみません)
えーじゅさんと言えばやはり「異世界ファンタジー」の印象が強いのですが、私はこの作品でえーじゅさんの書く青春が、すごく好きになりました。学校一の美人とラブコメしてもいいし、クラスメートに内緒でVtuberになってもいいですが、友達や自分と向き合う限りある時間を等身大で駆け抜けたこの四人のことを応援できて、本当によかったです。書いてくださってありがとうございます。一人でも多くの人に、天使君が届いてくれたら嬉しいです。
改めて執筆&連載お疲れさまでした!✨
貴葵様
感想ありがとうございます😭
タイトルも含め、ハピエンで伏線回収させていただきましたー‼️笑
おっしゃる通りで、等身大の群像劇を書きたかったのです。キャラメイクを楽しみつつ、感情移入してもらえたり、疑似体験してもらえたりしたら嬉しいなと思って書きました(三ツ矢含めて笑)。
青春もの、初めて書いたのですが『好き』と言っていただけることが本当に何よりも嬉しいです💖
命のこと、友達のこと、進路のこと、めいっぱい悩む天使くんたちとの時間を楽しんでいただき、ありがとうございました😇💞
たくさんの人に届きますようにー๛ก(ー̀ωー́ก)✨✨笑
完結お疲れ様でした!!
文化祭、修学旅行……イベントの度に盛り上がって、トラブルもあって、でもその分みんなのことを知れて。
『これぞ青春!』みたいな物語に気付けば夢中になっていました♪
そんな物語だからこそ、トワくんの体調が描かれる度に心配になりました。みんなが前に進んでいくけど……
そんな不安を抱えて読み進めると、驚きの展開の数々。予想外、だけど読み返したら気付けたかも知れない伏線が気持ちよかったです!
キャラクター、展開、伏線。その全部が最高な素晴らしい物語をありがとうございました!!
栗尾様
感想ありがとうございます‼️
最後までお読みいただけ、とっても嬉しいです🥹
初めての青春ものでしたので、ちゃんと青春できているかな⁉️と不安でした。『これぞ青春!』のコメントが本当に嬉しいですし、ホッといたしました✨
トワの体調や伏線など、ラストエピソードへ向けて積み重ねたものが報われたなあと思いました‼️全部が最高と言っていただけるだなんて😭幸せです。
こちらこそ、励みになるお言葉をありがとうございましたm(_ _)m
完結お疲れ様でした。
文化祭に修学旅行、友達とならどれも楽しい思い出ですよね。
これぞ青春だな、と何度も五人の楽しさにこちらまで楽しくなってきてしまいました( *´艸`)フフ
その反動もあって、読むのが苦しくなるぐらい胸が締め受けられました。
天使くんの病院のシーンは特に、日に日に弱っていくのが目に見えてしまって。゚(゚´ω`゚)゚。
そして最後は、最高のエンディングでした。
素晴らしいお話をありがとうございました😭
柊様
感想ありがとうございますm(_ _)m
これぞ青春!というのを書いてみたかったので、とても嬉しいお言葉です🥹わちゃわちゃしてるキャラたち、書いている私にとっても、可愛くて楽しかったです。
トワの状態は、エンドへ向けて必要なことであっても辛かったですよね😭だからこそ、あの最後があるのですけれど……これもなかなかのチャレンジでした。
最高のエンディングと言っていただけて、本当に嬉しいです😭書いて良かった‼️と思いました。
最後まで応援いただき、本当にありがとうございました💖