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第三章 帝国留学と闇の里
〈154〉お誕生日はお忍びデートだそうです?
しおりを挟む帝国学校は、ようやく落ち着いたかのように見える。
貴族クラスの主要人物のうち、ミハルとラマンが居なくなり、あっという間に数ヶ月。風から月の季節に移ろうとしていた。
もちろん、未だにミハルの居た証明であるかのような何かを見る度に――校内の礼拝所や、そのすぐ側のベンチ――レオナの胸の奥は、ツキンと痛む。
護衛のオリヴェルは少尉に戻り、エリーゼの墓参りをして整理してきた、と多少スッキリした顔をしていて。
――きっと、少しずつ、進んでいるんだわ……
なんとなく、この『痛み』がなくなることを恐れていたレオナだが、「時間とともに痛みが癒えることは、責めるべきものでは無いと私は思います。オリヴェルを見たら、お分かりになるでしょう」とマクシムがそっと囁いてくれて。忘れなければ、それで良いのかな、とようやく思えるようになった。
そしてこの数ヶ月、レオナとジンライは、ひたすらに念願であった勉強をしてきた。魔道具の研究はもちろんのこと、王政とは異なる帝国政治の基礎や、元老院の成り立ちは興味深く、広大な土地と様々な民族をどう政治的にまとめているのか、は非常に良い勉強になった。魔道具を用いた生産や物流の工夫も、現地に見学に行きたいくらいの充実さである。
そんなレオナ達の学びに対する真摯な姿勢が、周りにも良い影響を与えたのかもしれない。
教室の端っこで小さくなっていた少数の女子学生達は、ペトラやレオナ、マリーが講義中に積極的に発言することもあり、表情が明るくなってきた気がしている。
それは何も女子学生に限ったことではない。
軍人にならなければならない、と親から放り込まれてしまったひ弱男子達も同様なのである。
「ごきげんよう!」
目に見える大きな変化として、レオナが誰宛ということもなく、クラスルームに入る時にする挨拶に、次々返事が来るようになった。
むしろ、かつての猿軍団達の方が、居心地悪そうに端っこで固まっている。
「はよ」
「うす」
ペトラとディートヘルムも、なんだかんだ仲良くなってきた気がするなあ、とレオナは毎朝ニコニコしてしまう。
二人とも遠慮しない性格であるし、ぎゃいぎゃいやり合うのもまた、喧嘩するほど、ってやつかな? と思うのだ。
しかもディートヘルムは時々あちこち怪我をしていて、どうしたのかと聞くと必ず
「……るせー。いつものやつだ、気にすんな」
と言うから、微笑ましくなってしまう。
なんとあれから、親子喧嘩しまくりらしいのだ。
マクシムいわく、「調度品が壊れるそうで。執事が別の意味で泣いています」なのだそう。
「ふわあ~ねむ!」
ペトラが大きな欠伸をしたので
「大丈夫すか?」
とジンライが声を掛けると
「寝てないの。今から寝るー」
との答えが。
そして机に突っ伏しながら、
「レオナが無茶なこと言うからさー。ジン、怒っといて……」
とブツブツ言いながら、静かになった。
「家で寝れば良いのに?」
ジンライが首をひねる。
レオナとマリーは、多分貴方に会いに来てるのよ、とは言えずに、顔を見合わせて笑った。
――ペトラ、すっかり可愛い女のコ(もしくは黒猫)って感じ。
最初の印象が嘘みたい!
だが、研究所のデスクでは、以前と変わらないらしい。
ヤンが書類を届けに行って「やっぱり怖かったっす」と言っていた。ともあれこうやって気の抜ける場所ができたのは良いことかな、とレオナは思い直す。
「おはようございます! 講義を始めますよー」
ホンザの声で、学生達は素直に席に着いた。
◇ ◇ ◇
「レオナ、次の休みの朝迎えにくる」
「ほえ?」
いつものように、タウンハウスのディナータイムに押しかけてきた皇帝ラドスラフ。
なんでも、皇城よりここの食事の方が美味しいとかなんとか。レオナが作る調味料が使われているのだから、そうなるかな、と皆納得はしているが、未だに緊張するのは許して頂きたい、というのが共通認識だ。
「えーと、どちらへ行かれるのでしょう?」
「はあ。頓着がないというか、なんというか」
「ふふ」
マリーが背後で思わず微笑んだ。
ラドスラフが苦笑で促すと
「レオナ様の、お誕生日ですよ」
と続ける。
「あっ……」
――わーすれーてたー!
「完全に忘れてた顔だな」
「レオナさん……」
――あっ、ジンライまでひいてる!
「昼間は、余とデートだ。もし誘われても、他のは断われ」
――ごめんあそばせ。皇帝とデートなの、うふ。
って、言えるかあああああ!
「ありがたく存じます」
「む」
「はい?」
「余とデートだぞ」
デート、という単語をものすごく強調されたので、意味くらい知ってるけどな? と思いつつ
「はい、嬉しゅう存じますわ」
とニコリと返すレオナが、ラドスラフは面白くない。
「動揺せんな? ……まさか、デートをしたことがあるのか」
「? はい」
ぎょ! と全員が固まる。
「……ほーう?」
めらり、と皇帝周辺の空気が熱くなったのは、気のせいだと思いたい。そしてシモンが、震えながら空に向かって祈っているのも。
「……楽しみにしていろ」
バサリ、とマントを翻して突然立ち上がったかと思うと、皇帝は食後のお茶を飲まずに去って行った。当然見送る暇もなく、シモンだけが慌ただしくついて行った。
「えーと、レオナさん、頑張ってくださいね……」
ジンライが震えながら、ごくりと喉仏を揺らした。
「うん?」
誕生日に何を頑張れば良いのだろう? と考えてみたが、答えは出なかった。
※ ※ ※
そして約束通りの日の朝、タウンハウス。
「おはよう、レオナ」
「ごきげんよう、ラース様。わざわざのお迎え、光栄にございます」
皇帝ラドスラフは、ホンブルグハットと呼ばれる、少し中折れでつばの狭いシルクハットのような帽子を被っていて、髪はまとめて編み込み左側に流し、白いドレスシャツに金ボタンの黒ベスト、黒い細身のスラックスにロングブーツ、という軽装だった。
レオナは街歩き用のロングワンピース。白いレースのもので襟ぐりが浅く、ボルドーのロングガウンを胸の前にリボンで何ヶ所かしばって着る。そうすると前みごろに白のレースが見えるのみで、細部と袖には凝った刺繍が金糸で入っている、赤いドレスのようになる。シンプルなパールネックレスに『皇帝の赤』だけペンダントトップとして付けてきた。日除けにつば広の白帽子を斜めにかぶるが、赤いリボンに薔薇のコサージュがついている。
「美しい。薔薇の女神」
「お褒めに預かり恐縮ですわ」
「……本音だぞ?」
「まあ!」
「さて、馬で行きたいんだが」
「はい。引っ張り上げてくだされば」
「……前に乗ったことがあるのか」
「はい。マーカムでも、馬術を取っておりましたのよ」
既に馬上にいる、護衛のマクシムとオリヴェルが、苦笑している。
「むう」
「ラース様、私何か粗相を?」
眉をひそめるラドスラフに、レオナが手を伸ばしながら不安になって思わず聞くと
「ああ、いや……すまん、拗ねた」
レオナを馬の前に横乗せしながら
「へっ!?」
「一つで良いから、十六になったレオナの、初めてが欲しいのだ」
と囁かれた。
――!?
なんかものすごい近くで、ものすごいこと言われた!
「くく。まあ、今日を楽しんでくれ」
「は、はい」
馬を進めるラドスラフを見送るマリーとシモンは、とにかく無事に帰って来ますように、と、どこかに居るであろうナジャに託した。
目的地を知らされずそうして走ること、五分あまり。
レオナは我慢できずに
「朝から、どちらへ?」
と聞いてみる。
「ふむ。今はちょうど良い季節でな」
「?」
ラドスラフの操る馬は、軽快に走る。
あまり揺れず、赤毛で優しい顔をしていた。
「……見えて来たぞ」
皇都から馬で東へ走ると、あっという間に海が見えてくる。幸い良い天気で、今日から始まった月の季節の風は、いくぶん熱さがマシになっていた。
小高い丘から、眼下に臨む広大な青。最も眺めが良いと思われる場所に連れてきてくれたに違いない、とレオナは感動を覚えていた。
「わぁ!」
「あれが、海だ」
「大きい……!」
レオナは、前世でもそれほど海へは行かなかった。
泳ぐのが苦手だったし、そもそも一緒に海に行くような友達もいなかったからだ。
この世界でも青い、となぜかレオナは胸が締め付けられた。
水平線を何隻かの帆船が行き交っていて、太陽の光がキラキラと反射している。
「綺麗……」
「初めて、か? 海は」
「初めてですわ!」
レオナが笑顔で振り返ると、ラドスラフが見たことのないような穏やかな顔をしていた。
「そうか。そなたに、この平和な海を見せられて良かった」
「ラース様……」
軍船のいない海は、凪いでいて。
ゆっくりと時が流れるようだ。
「ふん、初めての海ということは」
ラドスラフが馬首を返す。
「船も、だな?」
「!」
丘を下りて港に向かうと、大きな帆船がタラップを下ろしていて、その脇に軍人達。
思わずレオナがビクリとすると、
「……安心しろ、海軍ではない」
ラドスラフが後ろで柔らかい声を出した。
確かに、皆が笑顔で手を振ってくれている。
レオナも手を振って応える。
「あら?」
見知った顔がいるなと思ったら。
「レオナ嬢!」
「ヨナターン様!」
イケメンジムトレーナー、じゃなかった、州軍総大将だ。
「州軍の船です。ご安心を」
馬から降りて挨拶をすると、キラリン、とウインクされた。後ろの軍人たちも、思い思いにウインクしたり、親指を立てたり、ウェルカムなのは伝わるが、なんだかノリが軽い。
「さすが皇帝陛下の特別な方ですね!」
金髪の長い髪を後ろにまとめている、ムチムチの彼が明るく話しかけてきた。
「これはボジェクと言うが、覚えんで良い」
「陛下ぁ!」
「さ、乗るぞ」
ガン無視皇帝のご降臨である。
「へっ!?」
「お気をつけて」
「のちほど、お迎えに上がります」
「えっ、マクシム中佐もオリヴェルも、乗らないの?」
「「管轄が違うので」」
「はあ?」
グイグイ引っ張るラドスラフに逆らえず、木のタラップを上がっていき――
船内に入った瞬間、ふわりと揺れ、ゆらゆらとしているはずがだんだん感じなくなる。
「こっちだ」
先導する皇帝、後ろは州軍総大将。
そして、甲板には……
「やあ!」
「っ!」
レオナは、無言で駆け出し、その胸に飛び込んだ。
「驚いたかい?」
「お父様? お父様っ!」
「うん、うん。元気そうだね」
「ふふ、レオナったら」
「お母様!」
ベルナルドのハグの次は、アデリナで。
「大人びちゃって、まあ。ちょっと見ない間にすぐ成長しちゃうのね。寂しいわ」
「次は、私だよ?」
「お兄様ぁー!」
ついに涙が溢れて止まらなくなった。
「レオナ……愛する妹」
「お兄様、大好き!」
なんと、ローゼン公爵家勢揃いのサプライズだった。
「どうだ、レオナ」
涙が止まらないままにレオナは、ラドスラフを振り向く。
「もう! デートと仰ったのに!」
「デートの方が良かったか?」
「もう! もう!」
「くくくく」
「錨を、あげろー!」
満を持して、ヨナターンが叫んだ。
※ ※ ※
「ラースから、レオナを大変な事件に巻き込んでしまったと連絡をもらってね」
レオナはあえて詳細を伏せていたが、やはり皇帝的にそうはいかなかったのだろう。
なにせ、友好国の最大権力を持つ公爵家の令嬢だ。
「なら、誕生日に会わせろって言ったのさ」
「ふん。塩胡椒貿易協定の話もあるからな」
「まあ! お話は、どこまで進んだのですか?」
「レオナったら、お誕生日よ?」
「はは、相変わらずだなあ」
船上での楽しいブランチ。
帝国の近くを周遊するのみとはいえ、観光船のように素晴らしい景色を見ながら、家族との再会。積もる話は終わらず、タウンハウスに一晩泊まっていってもらうことにした。
「知らんぞ。宰相が帰らんと困るとか言われても」
「いい。一日延びたくらいなんとかするだろ」
ラドスラフは、ベルナルド相手だと本当に楽しそうだなとレオナは改めて思った。
――そしてさらに。
「え!」
港に船が着き、タラップが掛けられ、さあどうぞ、となった瞬間、レオナははしたなくも走った。
走って――下で笑顔で待っていた彼に、抱きついた。
「ヒューゴー!」
「はい。来ちゃいました」
「嬉しいっ!!」
ぎゅぎゅーぐりぐり。
懐かしい、陽だまりの匂い。
「さ、ディナーはレオナの手料理がいいな」
ベルナルドが笑って。
「ええ! 皆様、是非いらして!」
結局、アレクセイとディートヘルム、ペトラ、ヤンも呼んで。
たくさんパンを焼いて、揚げ鶏、カツレツ、ローストビーフ。サラダにスープに、デザートは甘い焼き菓子。
夜通し話して……明け方、眠った。
そうしてレオナは、十六歳になった日を、心ゆくまで楽しんだのだった。
「ぼ、ぼくも行きたかったのにーーーーー!」
官吏に離してもらえず、サシャは皇城で一人泣いていた。
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