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第二章 運命の出会いと砂漠の陰謀

〈115〉私も、新しい道への第一歩なのです 前

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 イチゴケーキを食べる皇帝、王子、騎士、魔術師に公爵を始めとする貴族、そして学生、という光景。
 気づけば、結構色々な人種を網羅していないかこれ!? と自分でビビっているレオナ。口には出せないが『圧巻』の一言である。

「うむ。初めて食べる味だが……甘く柔らか、だがこのイチゴの程よい酸味。多少甘さが苦手な者でも、食べ進められるな。うまい」


 ――皇帝の食リポって、豪華ですわねー!
 星三つ、頂けたかしら?
 サシャ君なんて、無言でもう三個目だし。
 やっぱり脳みそ使うと甘い物が欲しいわよね。
 
 
「おー。甘い! ふわふわだァ」
「……冷たいぞ、不思議な……」
 砂漠の王子二人組が、目を白黒させながらケーキを食べる様は、なかなかに面白かった。大型肉食獣が恐る恐る口に運んで。食べるとキュピーン! と目がきらめいて。
 

「ちょ、ちょっとジョエルってば、もう少しゆっくり!」
「いやだってさー! シャルももっと食べなよー! 美味しいよー!」
「ああほらジン、慌てない。まだあるから。お茶飲んで」
「んぐんぐ。ありがとテオ!」


 ……あそこの学生の団体、確実に一人おかしい人混ざってるな?

 
「これは……言い方は不適切かもですが」
 ジャンルーカが、笑む。
「なんでしょう、ジャン様」
「……ご令嬢方が好きそうな」
 

 ――はい、出たー!


「私もそう思いますわ」

 
 キラキラルビーのような、あまーいお菓子ですものね!
 一体誰を口説くのかしら!?
 あっまーい!
 
 
「だが、そうそう作れんぞ」
 ラザールが片眉を上げる。
「焼いて冷まして、その間にクリームを作って、これだけ装飾をするのに……クタクタだ」
「うふふ。ラジ様、お休みなのに頑張ってくださいましたものね」

 パティシエ・ラザールは、びっくりするほど細かくて丁寧で。本気で転職できるんじゃないかと思ったくらいだ。

「相応の対価を請求しないと、だな」
 ニヤリが恐ろしい。ニヤリ選手権があったなら、間違いなくぶっちぎりでナンバーワンだ。
 
「冷やすのは私でないと、加減も難しい」
 フィリベルトが主張するのは、氷魔法制御の難しさ。
 決して凍らせてはならない。凍った瞬間に風味も食感もダメになってしまうからだ。だが冷やさないとクリームは固まらない。パティシエさん達ってほんとに凄いよな、とレオナは思わず遠い目をしてしまう。

「我が国の王妃殿下は、ダイモンイチゴが好物ですのよ。でもなかなか手に入らなくて。このようなものを知ったら大変ね」
 とはアデリナ談。王妃が気に入る、イコール、マーカム王国全土の貴婦人方も気に入る、ということだ。

「ダイモンイチゴは、輸送が難しいからな」
 ベルナルドが口の端に生クリームを付けている。
 それを見て笑いながら、アデリナがそっとハンカチで拭う。
「んん、ありがとうアデリナ。さあ、ルスラーン。どうだい? このケーキとやらは」

 全員が、にこやかに見守る。
 ルスラーンは、皿の上のケーキにまだ手を付けておらず、硬直したままだ。

「し、信じられ……なくて、その……ただただ、嬉しいです」
「ほう」
「我が領のものを、このように食べて頂けるなど、光栄の極みです」
「レオナに感謝しろ」
 フィリベルトが、肩で肩を軽く小突く。
「あ、ああ。ありがとう」
「まあ! 私は、以前ルスラーン様とお話したことを、実行しただけですのよ。我が王国の発展のために。そして……」

 レオナは、ラドスラフを見やる。
 目が合って、頷かれた。

「新たな、挑戦をしたいと思いましたの」

 ざわり、と空気が動いた。

「どうか皆様、食べながらで結構ですので、お聞きくださいませ」

 レオナは、皆の前に進み出て――礼をした。

「まずは、皇帝陛下。改めて今宵、お越し頂きましたことを心より感謝申し上げます」

「うむ。こちらこそ。とても楽しい夜を、ありがとう」
 だいぶ砕けた口調に、嬉しくなる。

「大変嬉しゅう存じますわ! 私が今日、父のベルナルドに無理を言ってこの場を設けましたのは、皇帝陛下とタウィーザ殿下との塩胡椒貿易協定の橋渡しはもちろんのこと、皆様をねぎらいたいと考えたからです」

 レオナは、この場に居る全員、一人一人と目を合わせる。

「タウィーザ殿下は、遠路はるばるお越しくださいました。――大変なことも起きてしまいましたけれども、こうして交流でき、とても光栄ですわ」
「レオナ嬢。ローゼン公爵閣下、フィリベルト殿に多大なる迷惑をかけたにも関わらず、こうして同じ場に招いてもらえたこと、心より感謝申し上げる。アザリー代表として、これから誠意を持って対応していく所存だ」
「ふふ。新たなご縁、大変嬉しゅう存じます」
「こちらこそだよォ!」

「また、騎士団及び魔術師団の皆様。我が王国を守るため日々ご尽力頂いておりますこと、心より感謝はもちろんのこと、尊敬致しております」
 代表を買って出たのは、もちろん。
「……騎士団副団長として、その言葉、大変名誉なこととして拝受する。だが、ローゼン公爵家に降りかかった脅威を完全に排除できなかったことについては、心よりお詫び申し上げたい」
「いいえ、ジョエル兄様。皆様のお陰でこうして無事に在りますのよ。本当にありがたく存じますわ! 皆様本当にお疲れのことと存じます。どうか英気を養ってくださいませね」
「分かったよー! ルス以外ねー!」
「まあ!」
「うぐっ」
 
「ふふ。……シャル、ゼル、テオ、ジンライ」
「ちょっと、レオナ。なんなの? さっきから改まって。嫌よ? 嫌な予感しかしないわよ?」
「おい……レオナ?」
「レオナさん?」
「あ……う……」
「本当にありがとう。貴方がたのお陰で、とっても学院生活が楽しいの!」

 すう、とレオナは大きく息を吸った。

「だからこそ、今のままではいけないと、思いました」
「レオナ? やめて?」
 
 シャルリーヌが、泣きそうになっている。
 さすが親友ね、とレオナは眉を下げてしまう。

「今回、ダイモン領のイチゴ輸送を実験的に行ったのは、私自身の力試しでもありました。お兄様と相談しながら考案したのは、採氷と保管と流通を兼ね備えた、魔道具と輸送経路です。ダイモンのイチゴは温度管理が難しく、イチゴ自体も脆い。それを、なるべくお金をかけず、安全に運ぶ。とても難しい試みでしたが、このように少しだけ実現して、皆様の笑顔が見られました」

『療養中』のフィリベルトの時間をたくさんもらえた。
 そして得られた手応え。
 それが、レオナの背中を押した。
 
「今、マーカムは、ブルザーク皇帝陛下より、ありがたいお話を頂いております。帝国の内政が落ち着いた今、次は新たなる人材を欲している、と」

 ベルナルドとアデリナが、ぎゅ、と手を繋いだ。

「……私は、まずは――ブルザークへ留学したいと思っております」

 ――しん、と静まりかえる。

 
 静寂を破ったのは
「なんで? 一緒に卒業しようよ。まずは、て何?」
 シャルリーヌ。
 が、レオナは困ったように見つめるだけだ。
「嫌よ、レオナ。嫌!」
「シャル。大丈夫よ、一緒に卒業するわ。帰って来るから」
「ほ、ほんと?」
「ほんとよ。ごめんね。でも――この国で、魔女って言われるのに疲れちゃったの」

 身動きが取れなくて。
 何をしても、噂、陰口、嫉妬。
 ――でも、学びたくて。

「お兄様のように、魔道具の研究もしてみたいと思いましたの。調理の魔道具があれば、誰でも簡単に、このようなお料理が作れるようになるかもしれない。そこに昨日、皇帝陛下が」

 ラドスラフが頷き、その後を引き継ぐ。
 
「今回、公開演習や学院見学を通して、マーカムにも優秀な人材が多いことを知った。長年の帝国の教育体制は、凝り固まって自浄作用をなくし、目詰まりを起こしていることは否めない。そこで、宰相であるベルナルドに、国として『交換留学制度』を作らないかと提案した。学院の講師に聞いたが、フィリベルトの例は、かなり強引に単位を認めさせたそうだな」

 フィリベルトが苦笑している。

「そうではなく、公的に単位を認める制度を来年から導入したいと考えている。また、留学を希望する優秀な学生には、十分な支援をして、資金がなくとも留学できるよう、招待したい。――ジンライ」

「へっ!? は、はいっ」

「そなたを、招待学生の第一号としたい。検討せよ」
「はえっ!? えっ!」
「くく。慌てるな。まだ時間はある。サシャ」
「はははいっ、書類は後ほどお渡しししまーす!」

 ジンライ、呆然である。

「そなたを選んだ理由はな、豊富な魔力、鍛治職人の忍耐力と器用さ。魔道具作りに最適だぞ。あとはその生真面目さだな」
「え、え、えと、はう!」
「くく。サシャに似てるのもあるか」
「ええええ! ぼぼ僕こんなごごごつくないでふよ」
「くくく」 

 ラドスラフが、目線でレオナに次を、と促してくれる。

 
 ――いよいよ皇帝と、目で会話できるようになっちゃったよ……

 
「皇帝陛下、ありがたく存じますわ。皆様、私は、来年の立太子式典を終えてから、旅立つ心づもりですの。どうかそれまで、これまでと変わらず、ともに過ごして頂ければと存じます」

 一礼。
 ――が、しばし誰も口を開けなかった。

 公爵令嬢が他国に学びに出るなど、前代未聞。
 他国へ出るイコール嫁ぐ、が常識であるからだ。
 それをレオナは、破ると言っている。

「ま、一生行くわけでもない。手紙のやり取りはできるし、帰ろうと思えば帰れる」
 ベルナルドが、努めて明るく言う。
「私達は、レオナのやりたいように応援するだけだよ」
「お父様……」
「さあ皆、夜も更けた。食べ残しはないかな?」
「うぐぐ。とりあえず、ケーキのお代わりだ!」
 ゼルが、空気を変えてくれて。
 ふ、と緊張した空気が和み、皆それぞれお代わりをしたり、お茶を飲んだり。お開きへ向けて準備をし始めた。
 
 レオナは、シャルリーヌに歩み寄り、その背をさする。
「シャル……」
「なによ! いっつも勝手に決めちゃって!」
「違うわ。シャルが居るからよ? 離れてても、仲良し。でしょう?」
「うー! ズルい言い方! 相談ぐらい!」
「うん。水臭いよね。ごめんね……」
「……分かってる。分かってるの!」

 レオナが陰口に傷ついていても、結局見てるだけ。
 交換留学制度の情報は、開示できないもの。

「悔しいわ……貴方を、守りたいのに……」
「シャル?」
 シャルリーヌは、下唇を噛む。
 
 幼い時に誓った。この不器用で、真面目で控えめな薔薇魔女を、私が守るのだと。だが、襲撃された時も、将来を決めた時も、何もできなかった。無力感。

「私も頑張るから。レオナの親友であるために」
「何言ってるの? シャルは、ずっと私の大切な親友よ?」
「そういうことじゃないの!」

 魔力は少ししかない。
 ならば別の道を、と足掻いていこう、とシャルリーヌは決意した。

「ふふ。一緒に頑張りましょうね!」
 ゼルやテオ、ジンライがシャルリーヌを慰めているのに任せて、レオナが振り返ると
「レオナ」
 ルスラーンが、とても真剣な顔で見下ろしていた。
「……少し、話したい」
 こくり、と頷くと、ルーカスが無言で、脇の小部屋に案内をしてくれた。
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