上 下
50 / 54
世界のおわり

あとがき(ネタバレ)

しおりを挟む

 気づいたら、獣人も人間も王様が「めんどくさい」って言ってる……やっべえぞコレ! ってなりました。
 無事終わってよかったです!

 はい。わたくし恒例のネタバレあとがきです。こんにちは。
 最後までお読みいただき、心から感謝申し上げます。本当にありがとうございます。
 
 さて。

 前の魔王は、争わないために隔離しろと言い、今の魔王は隔たりこそが災いだと言いました。
 大いなる矛盾ですね。
 私の超勝手な個人的意見ですが、争いっていうのはお互いの『無理解』から始まるんじゃないかなあと思っています。
 
 一会社員として、いろいろな国の方とお仕事をする機会があるんですが(北米、EU圏、インド含むアジア圏)、カルチャーギャップやバイアス(偏見)、こうあるべき論は本当に危険です。言葉の壁以上に。お互い英語が第二言語の場合なおさらです。意図せず、そんな実体験を交えたお話になった気がします。

 そして、白状します。

 もともと、このお話はカクヨムの「お仕事中編コンテスト」に向けて書きました。
 ツイッターで、フォロワーの皆様が参加されていたので、ノリで。

 ほんと、軽いノリでした……

 ちゃんとしたプロットがあったのは、第10話『癒しの泉』まで、です。コンテストの締め切りも、そこまで。
 序盤も序盤やないかい! (セルフツッコミ)
 つまりは、ノープラン・ノープロット。ほぼ書き下ろしです。すんませんっしたぁ!!(全力五体投地)
 だってアクイラ(黒鷲)とかパンテラ(半分豹)とかの名前、ただの鷲、豹、ですもんねっ。



 個人的なことですが、私はまだ執筆経験が一年しかありません。
 あえて、色々な書き方をしてみようと試みているところです。人称やジャンルを変えてみたり、中編を書いたり、短編を書いたり。
 ノープラン・ノープロットは、実は初めてではありません。『薔薇魔女』の帝国留学編は、毎日行き当たりばったりの書下ろしでした。ただし、それは書き慣れたキャラたちで、という大前提があってのこと。
 長編まるごとノープランは初めての試みでした。良いか悪いかはさておき、私にとって非常に良い経験になりました。
 これもすべて、読んでくださる皆様のお陰です。感謝しかありません……!
 
 ノープランといっても、作品テーマはありました。
 もふもふ通訳は、言語と種族の隔たりがもたらした世界の終わり、です。
 大いなる力を持った人が持つ偏見と思い込みは、世界をすら滅ぼす。杏葉が転移したときには、すでに末期状態からのスタートでした。
 

 魔王となったマードックは、こじらせエリートがイメージです。
 周りに一人はいらっしゃると思います。この俺様が正しいことをしてやっているのに、受け入れないとはどういうことだ! ならば、全て滅ぼしてしまえ! 系。あ、いませんか、そうですか……私の周り、濃いぃですからねぇ(カクヨムのエッセイご参照)。
 時々ニュースにもありますね。別れ話がこじれて悲劇が起きてしまう。
 どうしてそうなった? は、結局受け入れて欲しいってことかなあと想像しました。
 だから、実際は大事に思ってくれる人がいたって分かって、あっさり納得してしまった、となりました。彼、賢いですからね。

 そしてセル・ノアは、親からの承認欲求に飢えた子供、です。悲劇にあっても、見向きもされなかった父親への。
 ただそばにいて、抱きしめてあげたらそれだけで良かった。
 瀕死の子供! と、本能で助けたのは、そういうことでした。彼にとって、実は種族うんぬん関係なかったんですね。
 
 
 杏葉は、保険金にたかる親族たちに心底疲弊していて、さらにすがった将来の夢さえ理不尽に奪われて、絶望の淵にありました。
 強い意思はマイナスに振れると、大変なことになります。
 精霊の元締め(!?)になっていた前魔王に目をつけられちゃいましたね。
 一生懸命すぎて、私も心配になりました。ガウルさんに出会えて本当に良かったね、と思っています。あともふもふ。
 
 そしてガウルさん。
 私にしては珍しく、正統派スパダリになりました。ポンコツヘタレヒーロー好きの性癖は、出てきませんでしたね。
 たまにブランカに説教されるくらいでしょうか。ブランカさん強し!
 貴族である自分が嫌で。ただ友達を探すために鍛えたら、騎士団長になってしまって、それも嫌で。
 純粋に自分を自分として見てくれる人はいないのだろうか、と思っていたんですね。だから、幼馴染のアンディのことが好きだった。純粋に友達だったから。そんなガウルのことを、杏葉は下心なしにそのまんま大好き! と言ってくれた。貴族でも団長でもなく、ガウルだから。ガウルさん(なぜかさんづけしてしまう)も、杏葉に会えて良かったね、と思います。

 ダンさんとジャスパーは、お気に入りコンビです。
 葉巻の髭オヤジと、若干ヘタレだけど仕事できる若造。疑似親子でもあり、コンビでもあり。
 ダンさん、もう少し活躍させてあげたかったなあ。娘を嫁に出しすぎオヤジになってしまったのは、気のせいだろう。
 
 リリとクロッツ。
 気まぐれ猫(元奴隷)と、サイコドーベルマン(エリート貴族)。なぜかリリに頭が上がらないクロッツ。そのパワーバランスが気に入っています。
 
 実はクロッツ、初対面でリリになめた態度とって、顔面を爪バリバリされてます。貴族の自分にそんなことをする獣人はいなかったわけで。プライド即へし折られ目が覚め、サイコだけ残りました(おおぅ)。微妙に空気読まないので、基本的に無視される人です。情けない遠吠えばっかりさせてゴメンネ。最後ほら、遠吠えも役立つって風に書いておいたから。許してね。
 
 リリは、実力だけでのし上がってきたので、獣人騎士団では一目置かれています。誰かが口説こうとしても、先に感情読まれるので、逃げられておしまい。
 ハスキーと戯れる茶虎猫の動画を見て思いついたキャラです。小さな頃は、ガウルさんにゴロゴロしていたらしいですよ(言うとキシャーッて怒る。多分照れ隠し)。ジャスパーのことは、ヘタレだけど一生懸命で優しいので、初対面から大好きでした。あと彼には下心がなかった。能力を利用しようと近づいてくる奴しかいなかったリリにとって、純粋でいい匂いがする存在が見つかってよかったなと思います。幸せになってね。(ジャスパーは大人しく尻に敷かれよう)
 
 レーウ陛下は……やっぱり自然とこうなる運命なのですね。
 ちゃんと威厳のある金獅子王にしようと思っていたんですよ(最初はね)!? 余は~とか言わせましたし!
 でも、ウズウズしてきちゃいましたよね。暴れるライオン、見たかったですよね。ね。ね?
 サファリパークでも永遠見ていられます、ライオン。メスハーレムのど真ん中でおなか出してひっくり返っているのを見ると、これぞ王様! ってなります。

 ランヴァイリーは、一風変わったエルフでした。最初はガウルさんのライバルにしたかったんですけど、ガウルさんが強すぎてならなかったです。残念。
 心が動かない長寿のエルフにとって、感情を波立たせる杏葉は希少で、物珍しかった。可愛い、楽しい、なんて何十年ぶりに思ったかな? という感じで。
 ガウルと杏葉の子孫をずっと見守ってくれる存在になると思います。

 
 杏葉たちの旅は、まだまだ続いていきますので、心の中で応援してくださったら幸せです。
 そして、もしよかったら、お気に入りのキャラを教えてくださいね。
 (金獅子レーウ陛下、人気高そうだな~!)
 
 今後番外編として、
  クロッツがガウルさんを大好きになった話
  セル・ノアと少年のその後
 を予定しておりますので、どうぞお楽しみに。

 ではまた、どこかで!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

異世界着ぐるみ転生

こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生 どこにでもいる、普通のOLだった。 会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。 ある日気が付くと、森の中だった。 誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ! 自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。 幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り! 冒険者?そんな怖い事はしません! 目指せ、自給自足! *小説家になろう様でも掲載中です

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

【完結】魔法は使えるけど、話が違うんじゃね!?

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
「話が違う!!」  思わず叫んだオレはがくりと膝をついた。頭を抱えて呻く姿に、周囲はドン引きだ。 「確かに! 確かに『魔法』は使える。でもオレが望んだのと全っ然! 違うじゃないか!!」  全力で世界を否定する異世界人に、誰も口を挟めなかった。  異世界転移―――魔法が使え、皇帝や貴族、魔物、獣人もいる中世ヨーロッパ風の世界。簡易説明とカミサマ曰くのチート能力『魔法』『転生先基準の美形』を授かったオレの新たな人生が始まる!  と思ったが、違う! 説明と違う!!! オレが知ってるファンタジーな世界じゃない!?  放り込まれた戦場を絶叫しながら駆け抜けること数十回。  あれ? この話は詐欺じゃないのか? 絶対にオレ、騙されたよな?  これは、間違った意味で想像を超える『ファンタジーな魔法世界』を生き抜く青年の成長物語―――ではなく、苦労しながら足掻く青年の哀れな戦場記録である。 【注意事項】BLっぽい表現が一部ありますが、BLではありません      (ネタバレになるので詳細は伏せます) 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう 2019年7月 ※エブリスタ「特集 最強無敵の主人公~どんな逆境もイージーモード!~」掲載 2020年6月 ※ノベルアップ+ 第2回小説大賞「異世界ファンタジー」二次選考通過作品(24作品) 2021年5月 ※ノベルバ 第1回ノベルバノベル登竜門コンテスト、最終選考掲載作品 2021年9月 9/26完結、エブリスタ、ファンタジー4位

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

処理中です...