アヒル

司悠

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プロローグ

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 あぁ、いい天気。ボクは光エナジーからの啓示を受けたように氏神神社へ行ってみた。サクラが人の志しを高めるように咲き誇っている。老婆が腰を曲げ、
「咲きまあた、咲きまあた、平成桜、咲きまあた」と呟きながら通り過ぎていった。
 サクラは、フゥ~と一息で、ため息がときめきに変わるみたいに、またいきなり風向きが変わるみたいに、一息、いきなり、一気に咲いた。平成になって初めてのサクラが咲いた。世の中が踊って見える。自然のメカニズムってまるで魔法だ。サクラと一緒にすべてがチェンジする。裏になった昭和、その表は平成だ。時代はチェンジ、チェンジだ。
レモンイエローの光はチェリーブロッサムにーー 。 人の心だっていつもいつも振り子のようにゆれていたけれど、ときに神秘に、ときに不思議に、ときに三段跳びのようにホップ、ステップ、ジャンプーー 変わる、変わるよ、変わった。
 サクラが咲いたら何かが変わるって、風のように、愛のように、夢のつづきのようにチェンジよ。アヒルだって代償はあったけれどハクチョウになった。アヒルの心とハクチョウの心、光と影、表と裏、チェンジだ。光が雲を突き破って新しく空気が動く。空の青を亙っていった光、コラボしながら平面的な静けさを讃えあっていく。さらに光と影が重なりあいながら変幻自在にサクラ、サクラの蕾を花まで、人生に必然があるように自然にもーー あぁ、チャーミングな出来事よ。
 あっ、アイ? アイだ。そんな中にアイがいた。三角公園のブランコに腰掛けている。ブランコなのに心は揺れていないね。
「アイ(愛)、随分とさがしたよ」 
アイは怪訝な顔をしている。
「ユウ(悠生)だよ」
「人違いでしょう」
「えっ、えっ、えっ? 」
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