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特別編3:異世界

巨大な目

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セラさんが魔法を巧みに操って地面を切り取っていく。

地中を進んで行かなければならないのかと思っていたけど、何十メートルか魔法で地面を削ったら下に空洞が現れた。

全員でその空洞に飛び込む。アウラさんが次の掘削位置を指示してくれるので更に下に向かって魔法を撃ち込む。

セラさんの魔法操作は物凄く丁寧で正確だ。魔法ってそんな精密な制御が出来るんだね。

「もしかしてヌスクァムの魔法使いの人ってみんなセラさんみたいに出来たりします?」
「流石にセラ程の制御が出来るのはリファナくらいだよ。あとは三大魔法使いくらいじゃないかな」
「そうなんですね…」

シルヴァさんも制御はそこそこ自信があるとは言っているけど、セラさん程ではないらしい。

「制御って何かコツとかありますか?」
「特にはないけど強いて言うなら練習かな」

帰ったらリオさんに教えてもらおうかな。

セラさんにオーバーブーストを掛けて、アウラさんのナビゲーションで順調に進んでいく。

〈何か変ですね〉

どうしたのレナトゥス?

〈掘削可能範囲に作為的なものを感じます。誘導されているのでは?〉
[不規則に見えますが、確かに違和感を感じます]

2人がそう言うなら罠の可能性が高い。

「さてどうしたものか…深部に行くにはこの方法しかないのだろう?」
[はい]

シルヴァさんがアウラさんに尋ねている。

「それなら罠でも飛び込むしかないんじゃないか?」
「つまり俺達に選択肢は無いって事だな。」

レイナスさんとヒサメさんがそう言うと他の皆さんも頷いていた。

「最悪、破壊非推奨箇所を破壊すれば脱出できそう」
「そうだな、最後の手段だ。その時はミナに脱出路を作ってもらおうか」
「分かりました」

アンネさんの意見に同意するシルヴァさん。

周囲を警戒しつつ深部を目指す。

ある程度進んだ時、これまでよりも大きな空間に出た。

「奥に何かいるな」

マティアスさんがそう言った瞬間、キラリと何かが光った。

[注意、魔力反応増大]

私が防御魔法を貼るのは間に合わない。

奥で光ったのは《レイブラスター》の何十倍もの大きさの光線だった。

「任せろ」

マティアスさんが2本の剣を構えて前に出る。

え、まさか……

剣を交差させて構え、光線が到達する瞬間に思い切り振り抜いた。光線は四つに分断され上下左右にバラバラに飛んでいき、内壁にぶつかって大爆発を起こしている。

あれを斬っちゃうんだ…スゴい。

「不意打ちで殲滅するつもりだった様だな」

マティアスさんは剣を軽く振りながら奥を睨む。奥は暗くて何がいるのか分からない。

[解析完了。視覚に簡易表示します]

アウラさんが敵の正体を教えてくれる。

壁に張り付いた巨大な目玉。
そこから光線が撃たれたみたいだった。

「反撃します」

セラさんが《ルインブレイザー》を放つ。

「魔法攻撃を開始する。その間に斬り込んでくれ。ヒサメとミナ前衛に加わってくれ」
「了解」「はい!」

シルヴァさんの指示で私とヒサメさんは前衛に合流。

「行くぞ!」
「はい!」

セラさんとシルヴァさんが魔法を撃ってくれているけどダメージが無い。

〈どうやら人間界のドゥームと同じ性質を持っている様です〉

それだとヴォイド系じゃないとダメージを与えられないって事だよね。

全員に《ヴォイドダーヴァム》を掛けて能力を付与する。

「ミナはそんな事までできるのか」
「はい。虚空の覇者ヴォイドマスターさんに教えてもらいました」

聞いてきたマティアスさんは自分で能力が使えるのは知っているけど、少しでも負担が減らせるかも知れないから私が付与する事にした。

「これで攻撃が通るんだな?あとは接近するだけだ!」

全員速度を上げて目玉に向かうけど、また魔力が集まっている。

「マティアスさん、さっきのでまた防ぎますか?」
「いや、後方にセラ達がいるから切れ端が当たるかも知れない」
「それなら今度は私がやります」

確認をしてから前に出る。
目玉が撃ってきたのは今度も光線。

私はオーバーブーストを掛けてから《ヴェンデッタ》を発動。光線を跳ね返す。

あれが無敵の存在なら跳ね返した光線に当たってもノーダメージだよね。だから私がやっても大丈夫!

……そう思っていたんだけど、目玉は光線で中心に大きな穴を空けていた。

「…貫通しているが?」

ヒサメさんが穴を見ながら言ってくる。
目玉の後ろの壁も破壊して大きな穴になっていた。

「ええと…なんで??」

もしかして《ヴェンデッタ》に《ヴォイドダーヴァム》が付与されたの?

[それは有り得ません。解析中……分かりました。クリティカルした様です]

えぇ…。

「幸運のせいで余計なダメージが入ってしまいました…」

ど、どうしよう…ファルシュングにどんな影響があるか…。

「まあ、やっちまったもんはしょうがないよな。気にすんな」

レイナスさんはそう言って笑いかけてくれる。

「影響については調べてもらうとして、俺達は深部に行くのが最優先だ」
「そうそう。ミナちゃんならこれくらいはするって分かってた」

シルヴァさんとアンネさんがフォロー?してくれた。

目玉は活動を止めて、ゆっくりと崩れているので倒せたみたい。

「ミナさんの空けた穴の先に空洞がありますね」
[そこから案内を再開します]

あとはセラさんとアウラさんに任せよう…。
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