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特別編3:異世界
覚醒
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「おい!どこに行く?」
「私は帰る!」
代官の遣いに止められてもそれを振り払い帰っていく魔法使い。
「今詠唱しました?」
「一応、簡易詠唱で発動しました」
不完全な魔法なら詠唱をかなり削れるらしい。アニエスさんはあの魔法使いが使用した程度の精度で手早く魔法を完成させて作動させたからほんの少しの詠唱だけで完成させられたそう。
魔法って奥が深いんだね。
「ええい!この魔女共を捕らえろ!抵抗するなら斬り捨てて構わん!」
代官の遣いが声を荒げると後ろにいた兵士達はそれぞれ剣を抜いてこちらに向かってくる。
「結局こうなっちゃうんだね。私達が反撃したら罪状が増えちゃうかな?」
「私が説明するから大丈夫だよ。今は自分達の身を守る事を最優先して」
ほのかさんの問いに答えるシャーナさんは拳を握りしめ構えをとっている。
「死なない程度に痛めつけるだけだね?」
「その通りです。手加減には気を付けてくださいね」
アンネさんは風のエレメンタルを両手に集めて、アニエスさんは2本の剣を抜いて構えた。
私はほのかさんの横で魔法を使って援護しよう。
援護と言ってもこの程度の相手に危ない所は無いと思う。なので私のやる事はその逆だ。
アンネさん、アニエスさん、シャーナさんが次々と倒していく兵士を戦闘に復帰出来ない程度に回復させていく。
アニエスさんはもっと手加減するかと思ったけど、意外と容赦なく瀕死レベルまでダメージを与えていた。
結構意外…。
「すみませんミナさん。私達手加減が苦手なのです…」
ダインスレイヴとアガートラームを巧みに操って兵士を薙ぎ倒しながらアニエスさんが謝ってくる。
「いえいえ、大丈夫ですよ」
最悪死にたてなら生き返せるからね。
「お、おのれ…我らに逆らってタダで済むと思うなよ…!」
「面倒だしこのまま代官の所まで攻め上がって陥落させちゃう?」
「大事にしちゃダメですよ。私達は戦争をしたい訳じゃないんですから」
ほのかさんは過激だなあ。
「じゃあ…どうするこの人?埋めとく?」
「いやいや埋めるって…。このまま帰ってもらいましょうか。代官さんに魔石は渡せないと伝えてもらいましょう。でもこの街を守る為に魔石は使うつもりです。それで良いではないですか」
街が魔石を必要としているのは分かるけど、難癖をつけて奪おうとするのはおかしいよ。
「お前達が魔石を寄越さないなら仕方がない。我々にも考えがある」
「何をするつもりですか…?」
「この街から孤児を排除する。街に住み着いて盗みを働き汚しているゴミを一つ残らず無くしてやる!」
街の孤児達全員を人質に取ろうと言うの?
「ホントくだらない。代官って人は自分の手元に魔石が無いと気が済まないんだね」
アンネさんは怒りを押し殺す様に溜息を吐いた。
「既にゴミ掃除は始まっている」
「まさか…!」
《ハイパークレアボイアンス》で街の様子を見ると、まだ合流していない子供達が兵士に捕まえられているのが見えた。
無理矢理連れて行かれた先にはサトライヒ商会のあの男の人達。
1人が手に持っていたのは…焼印だ。
鉄の棒の先に取り付けられたそれは赤熱化していてそれを嫌がる子供の背中に押し当てて……
「何て事を…!やめさせてください!」
「魔女は遠くで起こっている事も見えると言う事か。それだけ優秀な魔法使いなら私の所で飼ってやっても良いぞ」
口角を釣り上げて勝ち誇った様に言う遣いの人。
「ミナちゃん、やっぱこの人やっちゃおう」
「おっと、私に何かすれば孤児達がどうなるか分かるよな?」
周りの精霊達もほのかさんの感情を読み取って怒りに打ち震えている。
卑劣な人だ。
必死に生きている子供達を捕まえて奴隷にするなんて、許せない…!
「ミナさん…?」
「私、あの人を許せないです…」
自分の周りの気温が上がった気がした。
込み上げてくるのは怒りの感情…?
この人を…ユルセナイ。
「ミナちゃん…ちょっと?」
「ホノカ、下がって。様子が変だよ」
アンネさんがほのかさんの手を引いて下がらせてくれた。
うん。その方がいい。
「な、何をする気だ…?私に手を出したら──」
「手を出したらどうするの?」
「手を…出し…たら……孤児共…を……」
首を押さえて蹲る遣い。
「どうするの?」
「がっ…!はぁっ…!……やめてくれ…私が…悪かった……!」
ゆっくりと歩み寄る。
「ミナさん!やめてください、死んでしまいますよ!」
アニエスさん、私何もしてないよ?
ただこの人が勝手に苦しんでるだけ。
振り返った時に気付いた。
背中に黒い翼が現れていた。
黒いモヤの様なものもユラユラと纏わり付いている。
これは…《エスカシャイターン》?
まあいいや。目の前のこの男をうんと苦しめてやるんだ。
そうだ。
苦しめて…コロシテヤル。
「ミナさん!」
アニエスさんが男の目の前にアガートラームを飛ばして突き立てた。剣から結界が発生して私の圧力を防いでいる。
何でそんな男を庇うの?
「正気に戻ってください!」
アニエスさんは2本の剣で私に斬りかかってきた。
私は片手で受け止める。
頭の中にあったモヤモヤが無くなってスッキリしてきた。
あれ…?アガートラームがもう一本?
その剣2本あるんだ?
ダインスレイヴが私の周りにある黒いモヤを吸い取って、アガートラームが私に光を送り込んでくる。
「ミナさん、その力は危険です。普通の人には耐えられません…すぐに抑えてください…」
苦しそうに言ってくるアニエスさん。
《エスカシャイターン》を押さえ込んでくれているんだ…。
そうだよ。こんな力普通の人に使うなんてどうかしてる。
引っ込む様に念じたら《エスカシャイターン》は消えてくれた。
「良かった…」
その場に崩れるアニエスさんを抱き留める。
「ごめんなさい…助かりました」
「良かった…正気に戻ってくれて…」
アニエスさんはかなり消耗していた。
シャーナさんとリムちゃんはアンネさんが結界の様なものを張っていたので無事。
遣いの人は両手で頭を覆って丸くなって震えていた。
「私は帰る!」
代官の遣いに止められてもそれを振り払い帰っていく魔法使い。
「今詠唱しました?」
「一応、簡易詠唱で発動しました」
不完全な魔法なら詠唱をかなり削れるらしい。アニエスさんはあの魔法使いが使用した程度の精度で手早く魔法を完成させて作動させたからほんの少しの詠唱だけで完成させられたそう。
魔法って奥が深いんだね。
「ええい!この魔女共を捕らえろ!抵抗するなら斬り捨てて構わん!」
代官の遣いが声を荒げると後ろにいた兵士達はそれぞれ剣を抜いてこちらに向かってくる。
「結局こうなっちゃうんだね。私達が反撃したら罪状が増えちゃうかな?」
「私が説明するから大丈夫だよ。今は自分達の身を守る事を最優先して」
ほのかさんの問いに答えるシャーナさんは拳を握りしめ構えをとっている。
「死なない程度に痛めつけるだけだね?」
「その通りです。手加減には気を付けてくださいね」
アンネさんは風のエレメンタルを両手に集めて、アニエスさんは2本の剣を抜いて構えた。
私はほのかさんの横で魔法を使って援護しよう。
援護と言ってもこの程度の相手に危ない所は無いと思う。なので私のやる事はその逆だ。
アンネさん、アニエスさん、シャーナさんが次々と倒していく兵士を戦闘に復帰出来ない程度に回復させていく。
アニエスさんはもっと手加減するかと思ったけど、意外と容赦なく瀕死レベルまでダメージを与えていた。
結構意外…。
「すみませんミナさん。私達手加減が苦手なのです…」
ダインスレイヴとアガートラームを巧みに操って兵士を薙ぎ倒しながらアニエスさんが謝ってくる。
「いえいえ、大丈夫ですよ」
最悪死にたてなら生き返せるからね。
「お、おのれ…我らに逆らってタダで済むと思うなよ…!」
「面倒だしこのまま代官の所まで攻め上がって陥落させちゃう?」
「大事にしちゃダメですよ。私達は戦争をしたい訳じゃないんですから」
ほのかさんは過激だなあ。
「じゃあ…どうするこの人?埋めとく?」
「いやいや埋めるって…。このまま帰ってもらいましょうか。代官さんに魔石は渡せないと伝えてもらいましょう。でもこの街を守る為に魔石は使うつもりです。それで良いではないですか」
街が魔石を必要としているのは分かるけど、難癖をつけて奪おうとするのはおかしいよ。
「お前達が魔石を寄越さないなら仕方がない。我々にも考えがある」
「何をするつもりですか…?」
「この街から孤児を排除する。街に住み着いて盗みを働き汚しているゴミを一つ残らず無くしてやる!」
街の孤児達全員を人質に取ろうと言うの?
「ホントくだらない。代官って人は自分の手元に魔石が無いと気が済まないんだね」
アンネさんは怒りを押し殺す様に溜息を吐いた。
「既にゴミ掃除は始まっている」
「まさか…!」
《ハイパークレアボイアンス》で街の様子を見ると、まだ合流していない子供達が兵士に捕まえられているのが見えた。
無理矢理連れて行かれた先にはサトライヒ商会のあの男の人達。
1人が手に持っていたのは…焼印だ。
鉄の棒の先に取り付けられたそれは赤熱化していてそれを嫌がる子供の背中に押し当てて……
「何て事を…!やめさせてください!」
「魔女は遠くで起こっている事も見えると言う事か。それだけ優秀な魔法使いなら私の所で飼ってやっても良いぞ」
口角を釣り上げて勝ち誇った様に言う遣いの人。
「ミナちゃん、やっぱこの人やっちゃおう」
「おっと、私に何かすれば孤児達がどうなるか分かるよな?」
周りの精霊達もほのかさんの感情を読み取って怒りに打ち震えている。
卑劣な人だ。
必死に生きている子供達を捕まえて奴隷にするなんて、許せない…!
「ミナさん…?」
「私、あの人を許せないです…」
自分の周りの気温が上がった気がした。
込み上げてくるのは怒りの感情…?
この人を…ユルセナイ。
「ミナちゃん…ちょっと?」
「ホノカ、下がって。様子が変だよ」
アンネさんがほのかさんの手を引いて下がらせてくれた。
うん。その方がいい。
「な、何をする気だ…?私に手を出したら──」
「手を出したらどうするの?」
「手を…出し…たら……孤児共…を……」
首を押さえて蹲る遣い。
「どうするの?」
「がっ…!はぁっ…!……やめてくれ…私が…悪かった……!」
ゆっくりと歩み寄る。
「ミナさん!やめてください、死んでしまいますよ!」
アニエスさん、私何もしてないよ?
ただこの人が勝手に苦しんでるだけ。
振り返った時に気付いた。
背中に黒い翼が現れていた。
黒いモヤの様なものもユラユラと纏わり付いている。
これは…《エスカシャイターン》?
まあいいや。目の前のこの男をうんと苦しめてやるんだ。
そうだ。
苦しめて…コロシテヤル。
「ミナさん!」
アニエスさんが男の目の前にアガートラームを飛ばして突き立てた。剣から結界が発生して私の圧力を防いでいる。
何でそんな男を庇うの?
「正気に戻ってください!」
アニエスさんは2本の剣で私に斬りかかってきた。
私は片手で受け止める。
頭の中にあったモヤモヤが無くなってスッキリしてきた。
あれ…?アガートラームがもう一本?
その剣2本あるんだ?
ダインスレイヴが私の周りにある黒いモヤを吸い取って、アガートラームが私に光を送り込んでくる。
「ミナさん、その力は危険です。普通の人には耐えられません…すぐに抑えてください…」
苦しそうに言ってくるアニエスさん。
《エスカシャイターン》を押さえ込んでくれているんだ…。
そうだよ。こんな力普通の人に使うなんてどうかしてる。
引っ込む様に念じたら《エスカシャイターン》は消えてくれた。
「良かった…」
その場に崩れるアニエスさんを抱き留める。
「ごめんなさい…助かりました」
「良かった…正気に戻ってくれて…」
アニエスさんはかなり消耗していた。
シャーナさんとリムちゃんはアンネさんが結界の様なものを張っていたので無事。
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