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アスティア
突入
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レナトゥスの表面からウルトやほかのドゥームアンヘが発生する様子はない。
今の内にこれを何とかしないと。
「どうする?トリプルブーストの《ルインブレイザー》を撃ち込みまくる?」
「それが一番だと思います。ユキさん、ソラちゃん、テュケ君は周囲の警戒を」
「分かりました!」「ん、了解」「おう!」
リオさんの提案通り、私がトリプルブーストをリオさんに付与してリオさんが《ルインブレイザー》を撃つ。
地表の岩石と凶星石を削り取って大爆発を起こす。何ならこのままバラバラに砕け散ってくれればいいのだけど、そうはならなかった。
動けない私の代わりにユキさん、ソラちゃん、テュケ君《カタフィギオ》で衝撃波を防いでくれた。
粉塵が収まった所でレナトゥスはどうなったか確認する。
表面にかなり大きな穴が空いていた。
「このまま内部に行ってみる?」
「そうですね。外から打撃を与えるにはあと何回あれをやらなくちゃいけないか分からないですし」
リオさんに聞かれて考察した事を口にする。
実際今の一撃で削り取れたのはほんの一部だった。これを外から消滅させようとすると途方もなく時間がかかる上にトリプルブーストの使用回数がとんでもない事になってしまう。
流石に連射して無事でいる自信はない。
「内部にコアでもあればそれを破壊して終わりなんですけどね」
「そうなんだよね。それを確認するにはやっぱり中に入らなくちゃなんだよ」
「ここで話し合っていてもウルトやアンヘルが湧くだけね。突入しましょう」
リオさんの提案に全員が頷いて穴の開いた所に入っていく。直径はどれくらいの穴だろう?
穴の中は真っ暗で、リオさんが魔法で灯りを付けてくれてようやく見渡せるようになった。
魔法で抉り取られた断面は岩の様になっていて、所々にかなり小さな凶星石が埋まっている。
これが育って人に寄生する様になるのだろうか?この石達はどうやら生物を糧にしている様なので触らない様にしよう。
暫く進むと真っ黒な壁に行き着いた。
「なんだろう、ただの壁では無さそうだけど…」
光を当てても真っ黒なのだ。絵具で塗りつぶされたみたいに。
そして僅かだけど引き寄せられている感じもする。
「魔法で壊してみようか」
「そうですね」
《ルインブレイザー》は反動が怖いので《レイブラスター》をぶつけてみる事に。
何かあった時に対処できるようにテュケ君が撃つ事になった。
「いくぞ!《レイブラスター》!」
テュケ君の左手から放たれた高威力の光線は壁に命中して…
何も起こらない。
「テュケのヘナチョコ魔法では壊せないみたい」
「悪かったな!もう一度だ!《レイブラスター》!!」
今度は自分でオーバーブーストを掛けて撃っている。
さっきのよりもずっと太い光線が黒い壁に命中するけど効果はなし。
「これは魔法が効かない素材なのかしら?」
リオさんは少し近づいて灯りで照らして壁を調べる。
「あまり近付かない方がいいですよ」
ユキさんもリオさんに続いて近付いていく。何かあった時のフォローをする為だろう。
「何か聞こえるわ…て、えっ!?」
耳を澄ませていたリオさんが壁に引き寄せられて吸い込まれていく。
「リオさん!」
ユキさんが手を引っ張るけどそのまま引き込まれていく。
「ユキ!手を離しなさい!このままじゃあなたまで…」
「ダメです!離しません!」
ユキさんは首を横に振りながら両手でリオさんの腕を掴んで引っ張る。
しかし吸い込まれていく速度は変わらない。転移で強制的に救出する事も出来ないし…
「ミナ!ユキを連れて離れて!」
「いえ、みんなで吸い込まれましょう。多分ですけど即死する様な事は無いと思います」
何となくだけどそんな気がする。
「賛成。私達はいつでも一緒」
「そうだな。ねーちゃんが言うなら大丈夫だろ。行こう!」
ソラちゃんとテュケ君も同意してくれた。
ユキさんもリオさんの手を引っ張るのをやめて、片手を私の方に伸ばしてくる。
その手を取って、全員で壁に吸い込まれる。
ーーーー
気が付くと私達は草原に立っていた。
草は膝丈程もない広い草原。
遠くには雪を被った山脈が見える。
麓には森があり、そこまでは見通しが良い。
「ここは…?」
ユキさんは防御姿勢をとりつつ周囲を確認する。
「レナトゥスの中…よね?」
リオさんは空を見上げて呟いた。
空は青く、天井がある様には見えない。
「草の匂いがする…本物?」
ソラちゃんは手で地面に触れて感触を確かめていた。
私達は呼吸出来ている。宇宙空間では《アドラステア》、《アルスアドラステア》で保護されていたので呼吸をしていなかったのだけど、今は新鮮な空気を胸一杯に吸い込んで吐き出す事が出来た。
「ねーちゃん、あれ…」
テュケ君が指した方向を見ると、黒い毛の牛が元気よく走っていた。
あれは…プレリヴァーシュじゃないね。
鑑定してみたら【プラトボース】と出た。
まあ、どう見ても地球の牛なんだけど。
「美味しそう」
「罠かも知れないわ。近付いたらダメよ」
「むぅ…」
そうだね。念の為様子を見よう。
牛は元気よく走っていて私達には目もくれない。
そのまま草原の彼方へと消えていった。
「ミナ、鑑定で人間が居ないか調べられる?」
「やってみます」
とにかく広範囲を調べたかったのでオーバーブーストを掛けてから鑑定をする。
…どうやら人が住んでいる場所がいくつもあるみたい。一番近くは…大した距離じゃない。みんなにも鑑定結果が判る様にアウラさんに伝達してもらう。
「どう思います?」
「そうね…他の星で捕らえられた人間か、ここで飼われているだけなのか…」
リオさんの言う通りその可能性は充分にある。それならば助け出す事は可能だろうか?
「もっと状況が知りたいわね」
「見てみますね」
《ハイパークレアボイアンス》を使って一番近い人のいる地点を見てみる。
…ここは畑だろうか?
2人の男性がピッチフォークを片手に何やら話している。
2人は笑顔で農作業の途中で休憩をしている様だった。
その少し向こう側には村が見える。此処は農村なのだろう。
「囚われている様には見えないけど…」
「ますます訳がわからないわ。会いに行って見ましょうか」
「そうですね。油断せずに、戦闘体制は維持したままで」
私達は農村のある地点まで翼で飛んでいく事にした。
今の内にこれを何とかしないと。
「どうする?トリプルブーストの《ルインブレイザー》を撃ち込みまくる?」
「それが一番だと思います。ユキさん、ソラちゃん、テュケ君は周囲の警戒を」
「分かりました!」「ん、了解」「おう!」
リオさんの提案通り、私がトリプルブーストをリオさんに付与してリオさんが《ルインブレイザー》を撃つ。
地表の岩石と凶星石を削り取って大爆発を起こす。何ならこのままバラバラに砕け散ってくれればいいのだけど、そうはならなかった。
動けない私の代わりにユキさん、ソラちゃん、テュケ君《カタフィギオ》で衝撃波を防いでくれた。
粉塵が収まった所でレナトゥスはどうなったか確認する。
表面にかなり大きな穴が空いていた。
「このまま内部に行ってみる?」
「そうですね。外から打撃を与えるにはあと何回あれをやらなくちゃいけないか分からないですし」
リオさんに聞かれて考察した事を口にする。
実際今の一撃で削り取れたのはほんの一部だった。これを外から消滅させようとすると途方もなく時間がかかる上にトリプルブーストの使用回数がとんでもない事になってしまう。
流石に連射して無事でいる自信はない。
「内部にコアでもあればそれを破壊して終わりなんですけどね」
「そうなんだよね。それを確認するにはやっぱり中に入らなくちゃなんだよ」
「ここで話し合っていてもウルトやアンヘルが湧くだけね。突入しましょう」
リオさんの提案に全員が頷いて穴の開いた所に入っていく。直径はどれくらいの穴だろう?
穴の中は真っ暗で、リオさんが魔法で灯りを付けてくれてようやく見渡せるようになった。
魔法で抉り取られた断面は岩の様になっていて、所々にかなり小さな凶星石が埋まっている。
これが育って人に寄生する様になるのだろうか?この石達はどうやら生物を糧にしている様なので触らない様にしよう。
暫く進むと真っ黒な壁に行き着いた。
「なんだろう、ただの壁では無さそうだけど…」
光を当てても真っ黒なのだ。絵具で塗りつぶされたみたいに。
そして僅かだけど引き寄せられている感じもする。
「魔法で壊してみようか」
「そうですね」
《ルインブレイザー》は反動が怖いので《レイブラスター》をぶつけてみる事に。
何かあった時に対処できるようにテュケ君が撃つ事になった。
「いくぞ!《レイブラスター》!」
テュケ君の左手から放たれた高威力の光線は壁に命中して…
何も起こらない。
「テュケのヘナチョコ魔法では壊せないみたい」
「悪かったな!もう一度だ!《レイブラスター》!!」
今度は自分でオーバーブーストを掛けて撃っている。
さっきのよりもずっと太い光線が黒い壁に命中するけど効果はなし。
「これは魔法が効かない素材なのかしら?」
リオさんは少し近づいて灯りで照らして壁を調べる。
「あまり近付かない方がいいですよ」
ユキさんもリオさんに続いて近付いていく。何かあった時のフォローをする為だろう。
「何か聞こえるわ…て、えっ!?」
耳を澄ませていたリオさんが壁に引き寄せられて吸い込まれていく。
「リオさん!」
ユキさんが手を引っ張るけどそのまま引き込まれていく。
「ユキ!手を離しなさい!このままじゃあなたまで…」
「ダメです!離しません!」
ユキさんは首を横に振りながら両手でリオさんの腕を掴んで引っ張る。
しかし吸い込まれていく速度は変わらない。転移で強制的に救出する事も出来ないし…
「ミナ!ユキを連れて離れて!」
「いえ、みんなで吸い込まれましょう。多分ですけど即死する様な事は無いと思います」
何となくだけどそんな気がする。
「賛成。私達はいつでも一緒」
「そうだな。ねーちゃんが言うなら大丈夫だろ。行こう!」
ソラちゃんとテュケ君も同意してくれた。
ユキさんもリオさんの手を引っ張るのをやめて、片手を私の方に伸ばしてくる。
その手を取って、全員で壁に吸い込まれる。
ーーーー
気が付くと私達は草原に立っていた。
草は膝丈程もない広い草原。
遠くには雪を被った山脈が見える。
麓には森があり、そこまでは見通しが良い。
「ここは…?」
ユキさんは防御姿勢をとりつつ周囲を確認する。
「レナトゥスの中…よね?」
リオさんは空を見上げて呟いた。
空は青く、天井がある様には見えない。
「草の匂いがする…本物?」
ソラちゃんは手で地面に触れて感触を確かめていた。
私達は呼吸出来ている。宇宙空間では《アドラステア》、《アルスアドラステア》で保護されていたので呼吸をしていなかったのだけど、今は新鮮な空気を胸一杯に吸い込んで吐き出す事が出来た。
「ねーちゃん、あれ…」
テュケ君が指した方向を見ると、黒い毛の牛が元気よく走っていた。
あれは…プレリヴァーシュじゃないね。
鑑定してみたら【プラトボース】と出た。
まあ、どう見ても地球の牛なんだけど。
「美味しそう」
「罠かも知れないわ。近付いたらダメよ」
「むぅ…」
そうだね。念の為様子を見よう。
牛は元気よく走っていて私達には目もくれない。
そのまま草原の彼方へと消えていった。
「ミナ、鑑定で人間が居ないか調べられる?」
「やってみます」
とにかく広範囲を調べたかったのでオーバーブーストを掛けてから鑑定をする。
…どうやら人が住んでいる場所がいくつもあるみたい。一番近くは…大した距離じゃない。みんなにも鑑定結果が判る様にアウラさんに伝達してもらう。
「どう思います?」
「そうね…他の星で捕らえられた人間か、ここで飼われているだけなのか…」
リオさんの言う通りその可能性は充分にある。それならば助け出す事は可能だろうか?
「もっと状況が知りたいわね」
「見てみますね」
《ハイパークレアボイアンス》を使って一番近い人のいる地点を見てみる。
…ここは畑だろうか?
2人の男性がピッチフォークを片手に何やら話している。
2人は笑顔で農作業の途中で休憩をしている様だった。
その少し向こう側には村が見える。此処は農村なのだろう。
「囚われている様には見えないけど…」
「ますます訳がわからないわ。会いに行って見ましょうか」
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