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平穏
リリエンタの守り神
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猫人族の半獣人の男性はユウというらしい。明るい茶色の髪に茶色の瞳、中肉中背の優しそうな人だ。
「皆さんがリリエンタを救ってくれた英雄の方達だとすぐに分かりましたよ。てっきりあの石像を見て苦情を言いにきたのかと。」
「わざとだったら怒っている所だけど、依頼主の言う通りに作っただけなんでしょ?それなら仕方ないじゃない。」
ユウさんは「良かった」と笑いながら見本にした絵を見せてくれる。
描いてあったのは美しい少女と女性だった。穏やかな表情をしていて可愛らしい。
これが、アレに変貌を遂げたんだ…。
初めはこの絵に近い像だったけど、勇ましくとか力強くとか雄々しくとか口から水を出したいとか注文がついてアレが出来上がったのだとか。
女の子なんだから雄々しくは要らないんじゃないかな?
「材料になる石を探すところからなので半年はかかると思います。」
「それならダンジョンマスターのサチさんに相談しましょうか。」
自分でも用意できるけど、折角来たのだから会って色々話もしたい。
石の事も頼んでみよう。
マスタールームに行くとサチさんとマリさんはゆったりとお茶を飲んでいた。
初めて来たときは何も無い空間だったマスタールームは、今は洋館の中みたいに綺麗に装飾が施されていた。
「ミナか、帝国の件お疲れ様。そっちの子は初めてかな?」
「ユイです。あとリルちゃんとミーちゃんです。」
サチさんとマリさんも自己紹介をして互いに転生者である事を告げる。
「折角来たんだ、お茶でも飲んでいってくれ。」
サチさんが言うより早くマリさんがお茶を用意し始める。新たに召喚された椅子に腰掛けてお茶をいただく。
いい香りがして飲みやすい。これもリソースで出したのかな?
ダンジョンの中って便利だよね。
マリさん、サチさんには帝国との戦争の事は既に話し終えているけど、大局の報告だけだったのでそれ以外の話もしておこう。
「ミナ達はこれが片付いたらどうするんだ?やはりリヴェルティアという神を追うのか?」
話がひと段落したところでサチさんが聞いてくる。
「それはヴェルトラオム様にお任せしようと思ってます。少しのんびりしようかと。」
魔王と戦ったり帝国と戦ったりで忙しかったからね。
その前は過去の世界で神様と戦ったり、更にその前がマリさんとサチさんのダンジョンの攻略だったね。
私はただの転生者で、みんなと同じで自由に生きているつもりなんだけど、かなりハードな生活をしているんじゃないかな?そう思った時、もう少しのんびり過ごした方がいいと考えた。
自分自身もそうだし、何よりついて来てくれているユキさん、リオさん、ソラちゃんが大変だからね。
色々な事を最低限やりながら駆け回っていたから一つの事をじっくりやるのもいいと思うし……いやいや、今のんびりするって言ったばかりなのにもう何かしようとしているな。
「その様子だとやりたい事がまだ何かあるみたいですね。のんびりするんじゃなかったんです?」
かぶりを振る私を見て微笑みながらマリさんが言ってくる。
「そうなんですけど…やりたい事が多すぎて。」
「止まったら死ぬ、それがマグロ少女ミナ。」
「それは何だかよくない響きだな。社畜少女ミナでどうだろうか?」
ソラちゃんとサチさんがヒドい事を言っている気がする。
「そういえばサチとマリは前世はどんなだったの?」
リオさんが話題を変えてくれた。
「私達はごく普通の会社員だったよ。マリとは幼馴染みでね。長期休暇を利用して旅行に行ったんだが、事故に巻き込まれてね。」
「なんて不幸なんだろうって思っていたら神様に転生させてもらえるって言われて…」
2人はヴェルトラオム様のルールで選定された地球人だね。2人の神様は良くない方に向かってしまったけど。
「ユイは?」
「私は…暴漢に襲われていた子を助けようとして…」
「意外ね。臆病そうなのに。」
「無我夢中でしたから。」
ユイさんは高校生だったそうで、下校中に偶然通りかかったらしい。
「じゃあその分この世界で自由に生きなきゃですね。」
「はい…!」
彼女が平穏に暮らせる様にできる事はしようと思う。
「近いうちにもう少し込み入った話をしに来ます。」
神界でヴェルトラオム様の後を継ぐという事はまだ話していないから、近いうちにもう一度来ようと思う。
帰り際に彫刻用の石を受け取ってインベントリにしまうとリリエンタの工房に届けておく。
中央広場の例の石像はこのままだとどこかで再利用されそうだからインベントリにしまっておいた。
「今思ったんだけどさ、ミナが石像を作る事になっていても彫刻や石工の技能っていらなかったんじゃない?」
「あっ…そういえばそうですね。」
形だけなら《クリエイトゴーレム》で作れるよ。後は「動くな」と命じておけば…いや、それなら何かあった時に治安維持行動がとれるようにしておいた方が良いかな。
「試しに作ってみたら?」
「そうですね。やってみます。」
インベントリの中にあるのはミスリル、オリハルコン、グランフィリーズ。折角だからオリハルコンで作ってみる。
《クリエイトゴーレム》もインベントリ内で出来るか試してみたら成功した。
自己判断能力を持たせるためにはどうしよう?インテリジェントコアスロットってゴーレムには付けれないよね。
[ゴーレムの場合はインテリジェントコアに《コマンドゴーレム》の魔法を付与すれば起動できます。]
アウラさんにお願いしてインテリジェントコアを4つ用意してもらう。
「リオさん、《コマンドゴーレム》とあう魔法を教えてください。」
「いいけど、まだ何か仕出かす気ね?」
「悪い事ではありませんよ。」
リオさんに魔法を教えて貰って、届いたインテリジェントコアにそれぞれ魔法を付与する。
[インテリジェントコアの思考パターンは本人と同じで宜しいですか?]
うん。それでお願いします。
4人の等身大のオリハルコンゴーレムが出来たので外に出してみる。
「おぉーカッコいい。」
「総オリハルコンって…」
「そっくりです。」
ソラちゃんは大喜び、リオさんは引いている。ユキさんは造詣に感心していた。
「インテリジェントコアも付けました。」
「…どうするのよこれ?」
「町の四方に飾っておいて、何かあったら動いてもらうというのはどうでしょう?」
「まあ…いいんじゃない?」
リオさんの想像を超えていたみたいで呆れられてしまった。
「一応情報隠蔽で石に見える様にしておいたし、盗まれたりはしないと思います。」
「気を使う所、そこじゃないわ。」
リオさんは呆れながら言っているけど、自分の像を見て満足そうだった。
「皆さんがリリエンタを救ってくれた英雄の方達だとすぐに分かりましたよ。てっきりあの石像を見て苦情を言いにきたのかと。」
「わざとだったら怒っている所だけど、依頼主の言う通りに作っただけなんでしょ?それなら仕方ないじゃない。」
ユウさんは「良かった」と笑いながら見本にした絵を見せてくれる。
描いてあったのは美しい少女と女性だった。穏やかな表情をしていて可愛らしい。
これが、アレに変貌を遂げたんだ…。
初めはこの絵に近い像だったけど、勇ましくとか力強くとか雄々しくとか口から水を出したいとか注文がついてアレが出来上がったのだとか。
女の子なんだから雄々しくは要らないんじゃないかな?
「材料になる石を探すところからなので半年はかかると思います。」
「それならダンジョンマスターのサチさんに相談しましょうか。」
自分でも用意できるけど、折角来たのだから会って色々話もしたい。
石の事も頼んでみよう。
マスタールームに行くとサチさんとマリさんはゆったりとお茶を飲んでいた。
初めて来たときは何も無い空間だったマスタールームは、今は洋館の中みたいに綺麗に装飾が施されていた。
「ミナか、帝国の件お疲れ様。そっちの子は初めてかな?」
「ユイです。あとリルちゃんとミーちゃんです。」
サチさんとマリさんも自己紹介をして互いに転生者である事を告げる。
「折角来たんだ、お茶でも飲んでいってくれ。」
サチさんが言うより早くマリさんがお茶を用意し始める。新たに召喚された椅子に腰掛けてお茶をいただく。
いい香りがして飲みやすい。これもリソースで出したのかな?
ダンジョンの中って便利だよね。
マリさん、サチさんには帝国との戦争の事は既に話し終えているけど、大局の報告だけだったのでそれ以外の話もしておこう。
「ミナ達はこれが片付いたらどうするんだ?やはりリヴェルティアという神を追うのか?」
話がひと段落したところでサチさんが聞いてくる。
「それはヴェルトラオム様にお任せしようと思ってます。少しのんびりしようかと。」
魔王と戦ったり帝国と戦ったりで忙しかったからね。
その前は過去の世界で神様と戦ったり、更にその前がマリさんとサチさんのダンジョンの攻略だったね。
私はただの転生者で、みんなと同じで自由に生きているつもりなんだけど、かなりハードな生活をしているんじゃないかな?そう思った時、もう少しのんびり過ごした方がいいと考えた。
自分自身もそうだし、何よりついて来てくれているユキさん、リオさん、ソラちゃんが大変だからね。
色々な事を最低限やりながら駆け回っていたから一つの事をじっくりやるのもいいと思うし……いやいや、今のんびりするって言ったばかりなのにもう何かしようとしているな。
「その様子だとやりたい事がまだ何かあるみたいですね。のんびりするんじゃなかったんです?」
かぶりを振る私を見て微笑みながらマリさんが言ってくる。
「そうなんですけど…やりたい事が多すぎて。」
「止まったら死ぬ、それがマグロ少女ミナ。」
「それは何だかよくない響きだな。社畜少女ミナでどうだろうか?」
ソラちゃんとサチさんがヒドい事を言っている気がする。
「そういえばサチとマリは前世はどんなだったの?」
リオさんが話題を変えてくれた。
「私達はごく普通の会社員だったよ。マリとは幼馴染みでね。長期休暇を利用して旅行に行ったんだが、事故に巻き込まれてね。」
「なんて不幸なんだろうって思っていたら神様に転生させてもらえるって言われて…」
2人はヴェルトラオム様のルールで選定された地球人だね。2人の神様は良くない方に向かってしまったけど。
「ユイは?」
「私は…暴漢に襲われていた子を助けようとして…」
「意外ね。臆病そうなのに。」
「無我夢中でしたから。」
ユイさんは高校生だったそうで、下校中に偶然通りかかったらしい。
「じゃあその分この世界で自由に生きなきゃですね。」
「はい…!」
彼女が平穏に暮らせる様にできる事はしようと思う。
「近いうちにもう少し込み入った話をしに来ます。」
神界でヴェルトラオム様の後を継ぐという事はまだ話していないから、近いうちにもう一度来ようと思う。
帰り際に彫刻用の石を受け取ってインベントリにしまうとリリエンタの工房に届けておく。
中央広場の例の石像はこのままだとどこかで再利用されそうだからインベントリにしまっておいた。
「今思ったんだけどさ、ミナが石像を作る事になっていても彫刻や石工の技能っていらなかったんじゃない?」
「あっ…そういえばそうですね。」
形だけなら《クリエイトゴーレム》で作れるよ。後は「動くな」と命じておけば…いや、それなら何かあった時に治安維持行動がとれるようにしておいた方が良いかな。
「試しに作ってみたら?」
「そうですね。やってみます。」
インベントリの中にあるのはミスリル、オリハルコン、グランフィリーズ。折角だからオリハルコンで作ってみる。
《クリエイトゴーレム》もインベントリ内で出来るか試してみたら成功した。
自己判断能力を持たせるためにはどうしよう?インテリジェントコアスロットってゴーレムには付けれないよね。
[ゴーレムの場合はインテリジェントコアに《コマンドゴーレム》の魔法を付与すれば起動できます。]
アウラさんにお願いしてインテリジェントコアを4つ用意してもらう。
「リオさん、《コマンドゴーレム》とあう魔法を教えてください。」
「いいけど、まだ何か仕出かす気ね?」
「悪い事ではありませんよ。」
リオさんに魔法を教えて貰って、届いたインテリジェントコアにそれぞれ魔法を付与する。
[インテリジェントコアの思考パターンは本人と同じで宜しいですか?]
うん。それでお願いします。
4人の等身大のオリハルコンゴーレムが出来たので外に出してみる。
「おぉーカッコいい。」
「総オリハルコンって…」
「そっくりです。」
ソラちゃんは大喜び、リオさんは引いている。ユキさんは造詣に感心していた。
「インテリジェントコアも付けました。」
「…どうするのよこれ?」
「町の四方に飾っておいて、何かあったら動いてもらうというのはどうでしょう?」
「まあ…いいんじゃない?」
リオさんの想像を超えていたみたいで呆れられてしまった。
「一応情報隠蔽で石に見える様にしておいたし、盗まれたりはしないと思います。」
「気を使う所、そこじゃないわ。」
リオさんは呆れながら言っているけど、自分の像を見て満足そうだった。
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