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魔王

レイファード突入

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話していたらあの強大な邪気に段々と近付いてきた。

「そろそろ敵の攻撃も激しくなるだろう。気を引き締めていくぞ。」
「分かりました!」

レイファードの首都に辿り着いた。
首都の中心部には巨大な岩があった。あの岩を城代わりにしているらしい。

町はそれ程大きくなく、建物自体も豪華なもの、大きなものはなくてあまり綺麗とはいえない。

かつて魔王を出した事により周辺国から虐げられてきたからだろうか?

「正面、ワイバーンが来ます。」
「ここは我等が!」

護衛の竜達が前に出てブレスで攻撃。あっという間に蹴散らしてくれた。

「次は魔王です。数は…20!」
「魔法攻撃で数を減らすぞ!」
「ミナ様、援護をお願いします。」

《フォルトゥナ》とオーバーブーストで魔法攻撃とブレス攻撃を支援する。
強くないとはいえ私無しで戦えばかなりの脅威だ。今この場で数を減らす。

魔王に次々と攻撃が当たり落ちていく。

「討ち漏らしは我等が倒しましょう!」

オル君と眷属達が離れていく。

「オル君、無理をしないでね。」
「ご安心を。全て倒してすぐに追いつきます。」

全員無事で追いついてきてね。

更に先に進むと地上から魔法攻撃が始まった。凄まじい数の高火力魔法が私達目掛けて飛んでくる。

「《ディストーションバリア》!ミナ、多分本命は別にあるわよ。気配に注意しなさい。」
「はい!」

大きな気配が真下に現れた!

「ウルちゃん下!避けて!」

ウルちゃんが急旋回して回避する。
さっきまでいた所で巨大な爆発が起こった。リオさんが《ディストーションバリア》で防いでくれたのでダメージはない。

「今までで一番大きな邪気が現れました。あれは多分、みんなの手に負えません。」
「分かった。任せていいか?」
「はい。」
「よし、他は我々で引きつける。いくぞ!」

ルーティアさんの号令で飛行魔法をそれぞれにかけてウルちゃんから降りていく。

「ミナ、一人で大丈夫?」
「はい。問題ないと思います。」
「小出しにしたって意味がない事は向こうも分かっているはずなのに、この配置は変よ。」
「何をやってきても何かされる前に倒してしまえば大丈夫ですよ。」
「そうね。私達はみんなと一緒に戦うわ。気を付けて。」

リオさんが珍しく心配していた。
ここは魔王の本拠地、何が起こるか分からない。私も気をつけよう。

《亜空間跳躍》で気配の背後に転移する。何かしてくる前に倒せば問題ない!

オーバーブーストを自分にかけてオリハルコンショートソードで連撃を加える。

これで厄介なギフトを持っていても強奪できるはずだ。

[ギフト《被服従》《被洗脳》《被傀儡》《トリガー》を強奪しました。]

何…?被…?トリガー?

身体が動かなくなった。目の前に魔王の巨体があるのに、何もできない…!

魔王が振り返って私を捕まえようと大きな手が伸びてくる。
目の前にいるのは真っ黒な甲冑を身に纏ったような姿をした大きな魔王。私の連撃で外装は無数の亀裂が入りボロボロだ。

[ミナ、これは罠です。強奪したギフトは自身が使用するものではありません。何者かに仕掛けられたものです。]

「ミナ!」

私の異変に気付いてリオさん、ユキさん、ソラちゃんが飛んでくる。

ソラちゃんがハルバードで魔王を両断した。

「大丈夫ですか!?」

ユキさんが聞いてくる。
大丈夫だよ。と声を出そうとしても私の口は動かない。

罠…私は相手の策略にハマってしまったという事?

視界がぼやける…意識が遠く…

目の前の3人を殺せ。

誰?

殺せ。

…はい。

[ミナ、その声に従ってはいけません。]

でもアウラさん、私は逆らえないよ。

[意識をしっかり保ちなさい。あなたは自分の手で大切な人達を殺めるつもりですか?]

大切な…人達…?

アウラさんに言われて少しだけど意識が戻ってきた。身体の方はまだ動かせない。

「ユキ、ソラ、ミナから離れて!様子がおかしい!」

リオさんが私の異変に気付いて2人を引き離してくれた。

強奪したギフトが作用しているのは間違いない。でもこれをどうにかする方法はない。

[現在解析中です。対応策を模索しています。]

いつまで意識を保っていられるか分からない。このままだとみんなを傷つけてしまう。そんな事をするくらいなら…。

少しでも身体が動かせれば……

[早まらないでください。諦めないで。全員へ、現在ミナは敵に制御されかけています。離れてください。]

「ミナが…?」
「それはヤベェな…」

[…暫定的な対処法ができました。今はこれが最良です。ミナ、あなたに拒否権はありません。動けるようになったら私の指示に従ってください。]

…何をするの?

[このままだとミナは大切な人達を自分の手で殺めることになります。それだけは避けたい、違いますか?]

そうだよ。どうにかできるなら何でもする。

[意識があるうちに《シャイターン》を起動してください。《フェアレーター》でギフトを焼き切ります。]

そんな事ができるの?

[《フェアレーター》は神への反逆の刃です。今作用しているギフトはミナとその仲間を殺すために作られたのです。神を憎みなさい。]

こんな事までして…私を殺す為に…

ユルサナイ。

[《シャイターン》起動確認。ウルは直ちに退避。]

『はーい!来たよー!さあニャンコはダンジョンに避難だよ!』

ウルちゃんは一瞬現れたフィオレさんに連れて行かれた。私の邪気に当てられて暴走しないようにする為だろう。ダンジョンなら別空間だから大丈夫だ。

「ミナ!」
「くっ…凄まじい気配だ…」

背中には今までにないくらい大きな黒い翼が生えていた。

アウラさんが言っていた《フェアレーター》でギフトを焼き切るってどうやるんだろう?

[《フェアレーター》を起動して自分に突き刺してください。]

分かった。

《フェアレーター》を右手に纏ってお腹に突き刺した。

「ミナ!?何をしているの!?」

身体が焼けるように熱い。そういえば私の身体も神様からもらったものだったよ。大丈夫かな?

[問題ありません。《被服従》《被洗脳》《被傀儡》《トリガー》を破壊しました。続いて《耐衝撃》《亜空間跳躍》を破壊します。]

アウラさんが言うには魔王から奪った全てのギフトに何らかの仕掛けがしてある恐れがあるらしい。私はアウラさんの言う通りにした。

《耐衝撃》と《亜空間跳躍》もすぐに破壊できた。

お腹から手を引き抜くとすぐに再生して傷痕も無くなった。
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