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孤児

寄り道

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樹海の迷宮に行く前に寄っておきたい所があった。

「あの、教会に寄ってもいいですか?」
「はい。」
「いいよ。」
「うん。」

3人の了解を得て教会に行く事に。
アウレリア様にあのギフトの事を聞いておきたい。可能であればアフターギフトについても。

ルブルスリウムには東西南北にそれぞれ教会がある。東区の教会は冒険者ギルドから少し離れた所にあった。

エリストの教会よりもずっと大きくて、正に大聖堂といった感じだった。
ここも扉が開け放たれていて、誰でも入れる様にしてくれていた。

前の方へ行ってみんなでお祈りを始める。

「ミナ……。」
「アウレリア様。」

あの真っ白な空間にやって来られた。

「今日来たのはあのギフトの事でしょう。」
「はい。あれは何なのでしょう?私がやったのっていけない事だったんでしょうか?」
「いえ……正しい行いをしました。」
「良かった。ヘルプさんに聞いても教えてもらえなかったから触っちゃいけないものだったのかと心配していたんですよ。」
「あのギフトは本当に必要な時に形を変えてミナを助けてくれるでしょう。」
「そうなんですね。悪いものじゃなくて良かった…。」
「すみません……。」
「はい?」
「あのギフトを欲している者がミナを襲うかも知れません。くれぐれも気をつけて下さい。」
「分かりました!」

アウレリア様は私の心配をしてくれているんだね。今はみんながいるから大丈夫だよ。私が油断しなければ。

「話は済んだかのぉ?」

現れたのは半裸の大男…肩にソラちゃんが乗っている。つまり神様、だよね。

「初めましてミナと申します。」
「うむ、我は大地の神ソルアード。ソラを転生させた神だ。ソラを救ってくれた事、感謝する。」
「いえ!助けられて良かったです。」
「礼をせねばな。」

私の頭に手を乗せると何か温かいものが流れ込んできた。

「我の加護を与えた。これからもソラの事を頼むぞ。」
「はい!」

ソルアード様はユキさんの所にも行ってくると言い。姿を消した。
入れ替わりに金髪の青年がやってきた。リオさんも一緒だ。

「初めましてミナさん。私は知識の神セルヴェードと申します。この度はリオさんを助けていただいてありがとうございました。」
「初めまして。偶然だったんですけど、無事で良かったです。」
「助けていただいたお礼に私の加護をあげましょう。」

そう言ってセルヴェード様は私の手を取り何かを呟いた。手を伝って温かいものが流れ込んできた。

「はい。終了です。これからも宜しくお願いしますね。……期待しています。」
「え?はい。こちらこそありがとうございます。」

「アウレリア様、アフターギフトについてご存知ですか?」
「はい。かつて人間達が神の真似をしてギフトを作成した事があります。あれはこの世界の理から外れた力の為、行使すればその者の魂が破壊されてしまう非常に危険なものです。」
「そうだったんですね…。私、取り出す方法があるので、もしもまた出会ったら出来る限り助けてみます。」

「ミナ、貴女は沢山の人を救い、これから更に困難に向かおうとしています。私の加護も増やしましょう。」
「そんな、もう充分ですよ!」
「いいえ、貴女を見ていると気が安まりません。」

そう言いながらアウレリア様が手をかざすと私の中に光の欠片が入ってきた。

「詳しくはヘルプ機能で確認してください。」
「は、はい…。ありがとうございます。」

「ミナが更に超強化された訳か。後でステータスを見せてね。」

リオさんはニコニコとしているけど、私は気が休まらない。
…もう普通でいる事は諦めよう。

それからすぐにユキさんとナーサリア様、ソラちゃんとソルアード様もやってきた。

「シンの様に同じ転生者を狙う輩もいる様だから4人とも気をつけるんだぞ。」
「もしも他の転生者が捕われていたら助けてあげてください。」
「ユキさん、ミナさんを護ってあげてくださいね。」
「ミナ、これからも見守っています。どうか気をつけて。」

4人の神様に見送られて神界から帰ってきた。

……うん。私達の周りに人集りができている。

[天啓を受けた事を知られています。]

だよねー…。

神父様に天啓の事を聞かれたけど、前の時と同じ様に受け応えをして、後日ギルドで報告する事になった。

ーーーー

樹海の迷宮へ行こう。

人気のない所で樹海の迷宮の隔離施設側に転移する。とりあえず適当な空き部屋にした。

「何…ここ?」
「想像していたダンジョンじゃない。」
「えーと、前に話したアフターギフト対策の隔離施設です。」
「いやいやいや…快適すぎるでしょ。これは…。」
「ここに住みたい。あとテレビとネットとゲームが欲しい。」

リオさんは呆れ、ソラちゃんはここに住みたいと。テレビとかは用意できないよ。

「ミナ、アナタがやらかしまくってきたのは何となく分かったわ。ルーティアさんや神様が心配するわけだわ…。」

確かにこれはやり過ぎたと思ってますよ。ここに入った子達の将来の事とか考えてなかったし。

「まずは一度生活水準を下げましょう。孤児院の案はいいわね。できれば基礎教育まで出来る様にしておければいいのだけど…。オル、多分だけどあなたの所のお付きの竜達って人の姿になれるわよね?」
「はい。なぜご存知で?」
「お付き竜達って神国で人間達とやりとりしていたんでしょう?なら人の姿をとれなくちゃやり難いじゃない。で、彼らを教育に充てることって出来る?」
「何人かずつ交代でなら出来ます。」
「じゃあ連絡してこっちに来られる様にして。」
「分かりました。」

それから孤児院の状況を確認しに行った。
転移で新しいフロアに行くと森に囲まれた大きな木造の建物があって、その前では子供達が遊んでいた。その中には蝙蝠の翼の生えた黒髪の青年と、明らかに人ではない、虎を人の形にした様な魔物?も混ざっている。

「ミナ!おかえりー!」

フィオレさんが私達を見つけて飛んできた。

「ただいま!孤児院は順調みたいですね。」
「うん。みんなでアイデアを出し合って何とか出来てるよ!」

「細かい所は後で見せてもらうとして、あそこのお二人は?」
「うん、紹介するね!おーい!」

フィオレさんが呼ぶと蝙蝠の羽根の青年と虎人はこちらにやってきた。

「紹介するね。西のダンジョンマスターのドミニオンと南のダンジョンマスターのティグリス。」
「初めまして。」
「宜しく!」

ダンジョンマスターだったんだ。
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