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王都
臨時講師
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「絶対俺達の方が強いぜ。」
「負ける気がしねぇ。」
「あれで冒険者やれるんなら俺達ここで学ぶ必要なくねぇか?」
あはは、確かにねー。
「私達、まだまだ駆け出しなので今日は皆さんの訓練を今後の参考にさせてもらおうと思って来たんです。お邪魔にならない様にしますのでよろしくお願いします。」
ペコリとお辞儀。ユキさんも私に続いてお辞儀をしてくれた。
少しは雰囲気が良くなったかな。これで穏便に見学できるね。
「またまたご謙遜を。お二人はあのエルジュの英雄、幼き精霊使いの窮地を救ったと聞いていますよ。」
ざわつく生徒達。
先生…余計な事言わないでよ…。
「先生、現役冒険者のお二人に一手ご教授願いたいのですが!」
「俺も!」
ほら…。
「いかがでしょう?少しばかりお付き合い頂けませんかな?」
「ミナ様ユキ様、お断りしていただいて構いません。」
「いいですよ。やりましょう。」
ユキさんが前に出る。
「私はショートスピアと盾を使います。訓練用の物をお借りしてもよろしいですか?」
先生が持ってきてくれる。
「俺は片手剣だ。」
「はい。いつでもどうぞ。」
「始め!」
先生の合図でジリジリと間合いを詰める生徒。ユキさんは無防備に突進した。
ユキさんが繰り出す槍を生徒の剣が絡め取るように捌く。
次の瞬間、盾で強打され蹌踉めく生徒。
ユキさんはそのままシールドチャージを放つ。
勿論手加減で。
生徒はボールの様に弾き飛ばされ、壁に激突して気を失った。
「し、勝負あり!」
私は生徒に駆け寄って回復魔法を掛ける。
「す、スゲえ…。」
「なんだ今の…?」
「未熟者の私が指導などと烏滸がましいですが、槍を封じたからといって攻撃が出来なくなった訳ではありません。私の主攻撃はチャージです。盾でも槍でも、身体でもチャージは可能です。いつ如何なる時も油断してはいけません。」
「次、お願いします!」
また生徒が出てきた。さっきまで私達のことを下に見ていた生徒達は、既に慢心を捨てて、ユキさんの事は講師としてみている様だ。
5、6人相手をして、いよいよ私が模擬戦をする番になってしまった。
何気にこういう対戦はユキさんと初心者講習の時にやっただけなんだよね。大丈夫かな?
出てきたのは2メートル近い大男。
「よろしく。」
「あ、はい。よろしくお願いします。」
相手の得物は大剣。私は短剣にした。
「始め!」
開始の合図と共に一気に間合いを詰めてくる。
私は相手の出方を伺う。
大剣を大上段に構えて振り降ろしてきた。
動きはしっかり見えている。余裕で躱せる。なら…
私は大剣をすり抜ける様に躱して足元に滑り込む。
「ていっ!」
そのまま足を払った。面白い様に簡単に転んでくれた。
倒れた生徒の右足、胴、右腕を木の短剣で軽く斬りつけた後、首に突きつける。
「ま、参りました。」
「勝負あり!」
「踏み込みに勢いがあり過ぎて簡単に転んじゃいましたね。もう少し瞬発力を鍛えて振り降ろしのキレを良くするか、反撃を想定した立ち回りを考えるといいかもですね。」
「はい…ありがとうございました!」
ガリアさんとグラッセさんの格闘術指導のお陰だ。
「次、お願いします!」
ーーーー
私も結局6人と模擬戦をした。
短剣での攻撃もしたけど、みんな格闘術にとにかく弱い。腕を極めて降参させたり、脚を絡めて動きを封じたりと、本当にやりたい放題できた。
「因みにミナさんのメイン武器は弓ですよ。」
絶句する生徒達。
「まさかこれ程とは……。」
伯爵も驚いていた。
王都に来て、ダンジョンでモンスターと戦ったり、こうやって模擬戦で圧倒していると自分の成長が実感できる。今まで完全な格上とばかり戦っていたから強さに自信が無かったんだよね。
「先程は大変失礼しました!また今度ご教授をお願いします!」
全員に最敬礼で言われちゃった。
「そろそろ昼食の時間になりますので食堂へ参りましょう。」
伯爵に案内されて行ったのは学生や教員が食事をとる為の建物だった。
清潔な建物、広々とした室内。学食がちゃんとしているのはいい事だよね。
メニューも豊富で、どれにしようか迷ったけど、シチューとパンとサラダにした。
あまり食べれないから残すのは勿体ないし、シチューを見て穴熊亭を思い出したという事もある。ユキさんも一緒のメニューだ。
味の方は…おじさんの作るシチューには敵わないけど、なかなか美味しい。メニューの豊富さもあって、食事環境はすごくいいみたい。
貴族の子も食べるわけだし良いものを出さないといけないのもあるのだけど、子供の頃から偏った食事は良くないからね。
食事も終わり、午後からは研究棟を周ってみる。
始めは法陣術の研究室。生徒は6人、先生が1人。邪魔にならないように簡単に挨拶をして見学する。
今は1つの未完成の法陣について話し合っているようだ。
因みに法陣術とは、地面に魔法陣を描いて魔法を作動させる方法で、ユニーククラスのアルラウラ、アルバクストが行使する魔法形態らしい。
そういえばノスフェランさんが転移陣っていう魔法陣を使っていたね。
「さて、長年謎とされてきたこの描きかけの魔法陣ですが、どのような呪文式を当てはめれば完成なのかは未だに解明されておりません。研究者としては、これは永遠のテーマとして生涯研究し続ける事になるでしょう。」
そんなに難しい魔法陣なんだ…。
鑑定してみよう。どれどれ…。
【治癒の法陣(未完成)】
の魔法陣であるが、基礎部分、構成部分計3ヶ所が間違っており、加えて未完成である。意図的に分からなくしてある。
という事はその3ヶ所を直して未完成部分を書き足せば完成できるんだ。
「……見学に来られている冒険者の方も宜しければ考えてみてください。」
「んーそうですね。ココとココとこの部分を書き直していくと空白部分が埋めれるんじゃないですか?」
「…………!?」
あ、しまった。つい答えちゃった…。
「た、たしかに……!!」
「これなら呪文式に負荷も掛かりません!」
「なんという事だ、これは大発見だぞ!!」
何か面倒な事になりそうだからそーっと逃げよう。
「待ってください!もっと、もっと話をしましょう!!」
肩を掴まれ振り向かせられる。
目が怖いよ…。どうしよう。
「負ける気がしねぇ。」
「あれで冒険者やれるんなら俺達ここで学ぶ必要なくねぇか?」
あはは、確かにねー。
「私達、まだまだ駆け出しなので今日は皆さんの訓練を今後の参考にさせてもらおうと思って来たんです。お邪魔にならない様にしますのでよろしくお願いします。」
ペコリとお辞儀。ユキさんも私に続いてお辞儀をしてくれた。
少しは雰囲気が良くなったかな。これで穏便に見学できるね。
「またまたご謙遜を。お二人はあのエルジュの英雄、幼き精霊使いの窮地を救ったと聞いていますよ。」
ざわつく生徒達。
先生…余計な事言わないでよ…。
「先生、現役冒険者のお二人に一手ご教授願いたいのですが!」
「俺も!」
ほら…。
「いかがでしょう?少しばかりお付き合い頂けませんかな?」
「ミナ様ユキ様、お断りしていただいて構いません。」
「いいですよ。やりましょう。」
ユキさんが前に出る。
「私はショートスピアと盾を使います。訓練用の物をお借りしてもよろしいですか?」
先生が持ってきてくれる。
「俺は片手剣だ。」
「はい。いつでもどうぞ。」
「始め!」
先生の合図でジリジリと間合いを詰める生徒。ユキさんは無防備に突進した。
ユキさんが繰り出す槍を生徒の剣が絡め取るように捌く。
次の瞬間、盾で強打され蹌踉めく生徒。
ユキさんはそのままシールドチャージを放つ。
勿論手加減で。
生徒はボールの様に弾き飛ばされ、壁に激突して気を失った。
「し、勝負あり!」
私は生徒に駆け寄って回復魔法を掛ける。
「す、スゲえ…。」
「なんだ今の…?」
「未熟者の私が指導などと烏滸がましいですが、槍を封じたからといって攻撃が出来なくなった訳ではありません。私の主攻撃はチャージです。盾でも槍でも、身体でもチャージは可能です。いつ如何なる時も油断してはいけません。」
「次、お願いします!」
また生徒が出てきた。さっきまで私達のことを下に見ていた生徒達は、既に慢心を捨てて、ユキさんの事は講師としてみている様だ。
5、6人相手をして、いよいよ私が模擬戦をする番になってしまった。
何気にこういう対戦はユキさんと初心者講習の時にやっただけなんだよね。大丈夫かな?
出てきたのは2メートル近い大男。
「よろしく。」
「あ、はい。よろしくお願いします。」
相手の得物は大剣。私は短剣にした。
「始め!」
開始の合図と共に一気に間合いを詰めてくる。
私は相手の出方を伺う。
大剣を大上段に構えて振り降ろしてきた。
動きはしっかり見えている。余裕で躱せる。なら…
私は大剣をすり抜ける様に躱して足元に滑り込む。
「ていっ!」
そのまま足を払った。面白い様に簡単に転んでくれた。
倒れた生徒の右足、胴、右腕を木の短剣で軽く斬りつけた後、首に突きつける。
「ま、参りました。」
「勝負あり!」
「踏み込みに勢いがあり過ぎて簡単に転んじゃいましたね。もう少し瞬発力を鍛えて振り降ろしのキレを良くするか、反撃を想定した立ち回りを考えるといいかもですね。」
「はい…ありがとうございました!」
ガリアさんとグラッセさんの格闘術指導のお陰だ。
「次、お願いします!」
ーーーー
私も結局6人と模擬戦をした。
短剣での攻撃もしたけど、みんな格闘術にとにかく弱い。腕を極めて降参させたり、脚を絡めて動きを封じたりと、本当にやりたい放題できた。
「因みにミナさんのメイン武器は弓ですよ。」
絶句する生徒達。
「まさかこれ程とは……。」
伯爵も驚いていた。
王都に来て、ダンジョンでモンスターと戦ったり、こうやって模擬戦で圧倒していると自分の成長が実感できる。今まで完全な格上とばかり戦っていたから強さに自信が無かったんだよね。
「先程は大変失礼しました!また今度ご教授をお願いします!」
全員に最敬礼で言われちゃった。
「そろそろ昼食の時間になりますので食堂へ参りましょう。」
伯爵に案内されて行ったのは学生や教員が食事をとる為の建物だった。
清潔な建物、広々とした室内。学食がちゃんとしているのはいい事だよね。
メニューも豊富で、どれにしようか迷ったけど、シチューとパンとサラダにした。
あまり食べれないから残すのは勿体ないし、シチューを見て穴熊亭を思い出したという事もある。ユキさんも一緒のメニューだ。
味の方は…おじさんの作るシチューには敵わないけど、なかなか美味しい。メニューの豊富さもあって、食事環境はすごくいいみたい。
貴族の子も食べるわけだし良いものを出さないといけないのもあるのだけど、子供の頃から偏った食事は良くないからね。
食事も終わり、午後からは研究棟を周ってみる。
始めは法陣術の研究室。生徒は6人、先生が1人。邪魔にならないように簡単に挨拶をして見学する。
今は1つの未完成の法陣について話し合っているようだ。
因みに法陣術とは、地面に魔法陣を描いて魔法を作動させる方法で、ユニーククラスのアルラウラ、アルバクストが行使する魔法形態らしい。
そういえばノスフェランさんが転移陣っていう魔法陣を使っていたね。
「さて、長年謎とされてきたこの描きかけの魔法陣ですが、どのような呪文式を当てはめれば完成なのかは未だに解明されておりません。研究者としては、これは永遠のテーマとして生涯研究し続ける事になるでしょう。」
そんなに難しい魔法陣なんだ…。
鑑定してみよう。どれどれ…。
【治癒の法陣(未完成)】
の魔法陣であるが、基礎部分、構成部分計3ヶ所が間違っており、加えて未完成である。意図的に分からなくしてある。
という事はその3ヶ所を直して未完成部分を書き足せば完成できるんだ。
「……見学に来られている冒険者の方も宜しければ考えてみてください。」
「んーそうですね。ココとココとこの部分を書き直していくと空白部分が埋めれるんじゃないですか?」
「…………!?」
あ、しまった。つい答えちゃった…。
「た、たしかに……!!」
「これなら呪文式に負荷も掛かりません!」
「なんという事だ、これは大発見だぞ!!」
何か面倒な事になりそうだからそーっと逃げよう。
「待ってください!もっと、もっと話をしましょう!!」
肩を掴まれ振り向かせられる。
目が怖いよ…。どうしよう。
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