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邪なる者
邪気を喰らうもの
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黒い霧は空へ立ち上っていき、消えて無くなった。
ウインドバリアが解除される。
『また……あの時の様に……!』
間違いない。邪竜の声だ。
呼びかけてみよう。ヘルプさん、私の話している内容をみんなに伝達してください。
[承りました。]
『ウルディザスター…さん?話は出来ますか?』
『む……私を正気に戻してくれたのは貴女ですか?』
『私だけではありません。ここにいる全員であなたを攻撃しました。』
『……ありがとう。何時ぞやの様にまた大地を枯らしてしまうところでした。』
『なぜ正気を失ってしまったのですか?』
『私は生き物の邪気を喰らい生きています。取り込んだ邪気は生命力に還元され放出されるのです。』
…え?つまり邪竜なんて言われているけど実は悪い竜じゃないって事?
『放出する生命力よりも多く邪気を吸収してしまうと体の中に邪気が溜まってしまいます。最近は邪気が多くなりました。人の子達よ、この大陸は今どうなっていますか?人間は多く住んでいるのですか?』
「人間は多く住んでいるよ。いくつもの国に分かれて小競り合いをしたり、良い意味でも悪い意味でも競い合っているね。その中には他の種族も混ざっていたりもするけどね。」
ルーティアさんが代わりに答えてくれる。私はそれを竜語で伝えた。
『やはり……。』
項垂れる邪竜。
『かつて私は封印され、枯らしてしまった大地を蘇らせようと還元を続けてきました。しかし、今はそれも間に合わず力の暴走を引き起こしてしまいます。……殺してください。』
『待ってください。ウルディザスターさんは今までみんなの為に邪気を生命力に変えてくれていたんですよね?そのあなたを殺すなんてできません。』
『このまま生きていても折角芽吹いた命をまた枯らしてしまうのです。それだけはしたくないのです。』
邪竜は頭を地面に着け、目を閉じた。
『あなたが居なくなって、邪気が吸われなくなったらどうなるのですか?』
『世界の法則に従い、不幸としてこの地に住まう民に降り注ぐことになるでしょう。』
『もう一つ、還元が間に合わない場合の対処法はないのですか?』
『1つだけあります。そのまま禍として放出する事ができます。しかしこれには難点があり、私の中で凝縮された禍が局所的に現れてしまいます。その効果は計り知れません。』
禍って不幸の事だよね。それなら私が役に立てるかもしれない。
『その禍を私1人にぶつける事は出来ますか?』
『出来ますが……そんな事をしたら貴女を殺してしまうことになります。』
『一度だけでいいですから試させてください。私、運だけはいいんですよ。』
「ミナ!危ないことはするんじゃねぇ!大体この地に降りかかる禍って、元は自分達が溜め込んだもんじゃねぇか。それはお前が無茶をする事じゃねぇぞ!」
ダキアさんが私を止めようとする。
「ウルディザスターさんを助けたいんです。みんなの為に今まで頑張ってきたのに、都合が悪くなれば殺すなんて…私には出来ません!」
「でもよ……。」
「もう無茶はしないって誓ったのにごめんなさい。どうしてもやりたいんです。やらせてください…。」
「…分かった。そこまで言うならしょうがねぇ。でも、無理だと思ったら直ぐに止めろよ。俺達も出来る限りの事はするからな。」
「最後まで面倒みてあげるよ。頑張っておいで。」
「ありがとうございます。」
ダキアさん、ルーティアさん、みんなも頷いてくれている。これほど心強い事はない。
一か八か…。
私の幸運に賭ける!
ラッキーシュートを幸運に付与!
『さあ!お願いします!』
『心優しき人の子よ。願わくば無事でいてください。』
邪竜は悲鳴の様な鳴き声をあげると体中から黒い霧を出し始めた。
それは一箇所に集まり小さな球体になって、ゆっくりと私の所へ飛んでくる。
そっと手を触れてみる。
手の中に球体が吸い込まれていく。
痛みも違和感も無い。
『なんと……!』
ヘルプさん、私の状態はどうですか?
[何も変化はありません。完全に禍を駆逐しました。]
いける…!
私は邪竜の頭に手を触れる。
『おおぉ……!なんと言う事……!邪気が、禍が消えていく……!!』
真っ黒だった邪竜の姿は白く美しく変貌していた。
『どこかおかしな所はありますか?』
「い、いえ……今までにない程快調です。」
「あれ?竜語じゃない?」
「どうやら貴女に触れられた時に話せる様になったみたいです。」
「体調も良いみたいでよかったです。これなら私が定期的に禍を浄化しにくれば死なずに済みますよね!」
「もし……」
「はい?」
「私が貴女と共にあることを望んだら……受け入れてくれますか?」
「はい。いいですよ。」
「ちょっと!そんな簡単に……。」
慌てるルーティアさん。
「でも、私じゃないと禍を取り除けないですから。最後まで責任を持ちます。」
「しかしそのサイズのドラゴンとじゃあ何処にも行けねえだろ。」
「姿を変えれば良いのですね。」
そう言うとウルディザスターさんはみるみる内に小さくなっていった。
「これでどうでしょうか?」
鳩くらいのサイズのドラゴンになっている。
「そんな事もできるんですね…。」
「小さくなった分、戦闘能力は激減してしまいますが。」
激減といってもあれだけの攻撃力があるんだから十分強いんじゃないかな?
「いかがでしょう……?」
これなら一緒にいても大丈夫だよね?
「他の動物にはなれないか?流石にドラゴンだと人目につく。」
クロウさんが言う。
確かにそうだね。珍しいからって攫われちゃったら困るしね。
「ミナちゃんとセットだと鴨がネギ背負ってるみたいなものだしねー。」
えぇ…酷くないですか?
全員頷いている。ユキさんまで…。
「これならどうでしょう?」
そういうと猫の様な生き物に変身して地面に着地した。真っ白な長毛種の猫だ。
「か、カワイイ!」
ユキさんが抱き上げる。大人しく収まっている姿は完全に猫だ。
「それはそれで目立つけど、いいんじゃないかなー?」
「これなら誰も邪竜とは思わないだろう。」
アリソンさんとクロウさんが頷いている。
「これなら連れ歩いても大丈夫だろう。ミナはどうだ?」
「凄くいいです!」
猫大好き!
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『また……あの時の様に……!』
間違いない。邪竜の声だ。
呼びかけてみよう。ヘルプさん、私の話している内容をみんなに伝達してください。
[承りました。]
『ウルディザスター…さん?話は出来ますか?』
『む……私を正気に戻してくれたのは貴女ですか?』
『私だけではありません。ここにいる全員であなたを攻撃しました。』
『……ありがとう。何時ぞやの様にまた大地を枯らしてしまうところでした。』
『なぜ正気を失ってしまったのですか?』
『私は生き物の邪気を喰らい生きています。取り込んだ邪気は生命力に還元され放出されるのです。』
…え?つまり邪竜なんて言われているけど実は悪い竜じゃないって事?
『放出する生命力よりも多く邪気を吸収してしまうと体の中に邪気が溜まってしまいます。最近は邪気が多くなりました。人の子達よ、この大陸は今どうなっていますか?人間は多く住んでいるのですか?』
「人間は多く住んでいるよ。いくつもの国に分かれて小競り合いをしたり、良い意味でも悪い意味でも競い合っているね。その中には他の種族も混ざっていたりもするけどね。」
ルーティアさんが代わりに答えてくれる。私はそれを竜語で伝えた。
『やはり……。』
項垂れる邪竜。
『かつて私は封印され、枯らしてしまった大地を蘇らせようと還元を続けてきました。しかし、今はそれも間に合わず力の暴走を引き起こしてしまいます。……殺してください。』
『待ってください。ウルディザスターさんは今までみんなの為に邪気を生命力に変えてくれていたんですよね?そのあなたを殺すなんてできません。』
『このまま生きていても折角芽吹いた命をまた枯らしてしまうのです。それだけはしたくないのです。』
邪竜は頭を地面に着け、目を閉じた。
『あなたが居なくなって、邪気が吸われなくなったらどうなるのですか?』
『世界の法則に従い、不幸としてこの地に住まう民に降り注ぐことになるでしょう。』
『もう一つ、還元が間に合わない場合の対処法はないのですか?』
『1つだけあります。そのまま禍として放出する事ができます。しかしこれには難点があり、私の中で凝縮された禍が局所的に現れてしまいます。その効果は計り知れません。』
禍って不幸の事だよね。それなら私が役に立てるかもしれない。
『その禍を私1人にぶつける事は出来ますか?』
『出来ますが……そんな事をしたら貴女を殺してしまうことになります。』
『一度だけでいいですから試させてください。私、運だけはいいんですよ。』
「ミナ!危ないことはするんじゃねぇ!大体この地に降りかかる禍って、元は自分達が溜め込んだもんじゃねぇか。それはお前が無茶をする事じゃねぇぞ!」
ダキアさんが私を止めようとする。
「ウルディザスターさんを助けたいんです。みんなの為に今まで頑張ってきたのに、都合が悪くなれば殺すなんて…私には出来ません!」
「でもよ……。」
「もう無茶はしないって誓ったのにごめんなさい。どうしてもやりたいんです。やらせてください…。」
「…分かった。そこまで言うならしょうがねぇ。でも、無理だと思ったら直ぐに止めろよ。俺達も出来る限りの事はするからな。」
「最後まで面倒みてあげるよ。頑張っておいで。」
「ありがとうございます。」
ダキアさん、ルーティアさん、みんなも頷いてくれている。これほど心強い事はない。
一か八か…。
私の幸運に賭ける!
ラッキーシュートを幸運に付与!
『さあ!お願いします!』
『心優しき人の子よ。願わくば無事でいてください。』
邪竜は悲鳴の様な鳴き声をあげると体中から黒い霧を出し始めた。
それは一箇所に集まり小さな球体になって、ゆっくりと私の所へ飛んでくる。
そっと手を触れてみる。
手の中に球体が吸い込まれていく。
痛みも違和感も無い。
『なんと……!』
ヘルプさん、私の状態はどうですか?
[何も変化はありません。完全に禍を駆逐しました。]
いける…!
私は邪竜の頭に手を触れる。
『おおぉ……!なんと言う事……!邪気が、禍が消えていく……!!』
真っ黒だった邪竜の姿は白く美しく変貌していた。
『どこかおかしな所はありますか?』
「い、いえ……今までにない程快調です。」
「あれ?竜語じゃない?」
「どうやら貴女に触れられた時に話せる様になったみたいです。」
「体調も良いみたいでよかったです。これなら私が定期的に禍を浄化しにくれば死なずに済みますよね!」
「もし……」
「はい?」
「私が貴女と共にあることを望んだら……受け入れてくれますか?」
「はい。いいですよ。」
「ちょっと!そんな簡単に……。」
慌てるルーティアさん。
「でも、私じゃないと禍を取り除けないですから。最後まで責任を持ちます。」
「しかしそのサイズのドラゴンとじゃあ何処にも行けねえだろ。」
「姿を変えれば良いのですね。」
そう言うとウルディザスターさんはみるみる内に小さくなっていった。
「これでどうでしょうか?」
鳩くらいのサイズのドラゴンになっている。
「そんな事もできるんですね…。」
「小さくなった分、戦闘能力は激減してしまいますが。」
激減といってもあれだけの攻撃力があるんだから十分強いんじゃないかな?
「いかがでしょう……?」
これなら一緒にいても大丈夫だよね?
「他の動物にはなれないか?流石にドラゴンだと人目につく。」
クロウさんが言う。
確かにそうだね。珍しいからって攫われちゃったら困るしね。
「ミナちゃんとセットだと鴨がネギ背負ってるみたいなものだしねー。」
えぇ…酷くないですか?
全員頷いている。ユキさんまで…。
「これならどうでしょう?」
そういうと猫の様な生き物に変身して地面に着地した。真っ白な長毛種の猫だ。
「か、カワイイ!」
ユキさんが抱き上げる。大人しく収まっている姿は完全に猫だ。
「それはそれで目立つけど、いいんじゃないかなー?」
「これなら誰も邪竜とは思わないだろう。」
アリソンさんとクロウさんが頷いている。
「これなら連れ歩いても大丈夫だろう。ミナはどうだ?」
「凄くいいです!」
猫大好き!
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