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竜の国
天空竜の子
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巨大な扉はトコヤミが体当たりをして勢いよく開けた。
私達はその後に続いて奥へと急ぐ。
「奥に地下へと続く階段があります。天空竜の子は地下に囚われていると聞いています」
「分かったわ。急ぎましょう」
グラムの案内で行った先には巨大な縦穴があった。その縦穴の内径に沿って竜用の階段が作られている。
この規模からして城の為に掘ったというより以前よりあった穴の上に城を築いた様だ。
『ここに来た事はあるか?』
『いいえ。でもここは確か代々の王の墓に使われている縦穴だと思います』
トコヤミに答えるエレ。
そんな所に子供を押し込めているのね。
『飛び降りましょう。背にお乗りください』
全員がトコヤミの背中乗ると、翼を広げて下に降りていく。
降りている途中地響きが聞こえてきたが、地上でギルディンとスレイニグが激しい戦闘を繰り広げているのだろう。
堅牢に作られているため崩壊する様な事は無さそうだが、凶石を埋め込まれたスレイニグを病み上がりのギルディンが倒せる保証はない。出来るだけ急ぐべきだろう。
トコヤミが底に着地する。
かなり下まで降下してきたので地上の光は遠く小さくなり、灯りも無いためここは暗闇だ。
私が魔法で光球を作り出し宙に浮かべると大きな穴全体が見える様になる。
辺りに竜の骨が幾つも積み重なって山をつくっていた。
その奥に白い鱗の小さな蛇竜が蹲っている。頭を上げて眩しそうに目を細めながらこちらを見ている。
「あなたがラニターヴァスの子ね?私は泉の精霊のハルよ。助けに来たわ」
『助けに……?』
「ええ、もう大丈夫よ」
近付いて行くとこの子が酷い状況である事が分かった。
全身の鱗の大部分が傷を負っていて鎖が食い込んでいる。尾に近い所には金属の杭が打ち込まれていた。
可哀想に。
鎖と杭を《栄養吸収》で分解して泉の水を身体全体に振りかける。
『わあ……すごい。もう痛くない!』
「良かったわ。あなた、お名前は?」
『ラーニだよ。治してくれてありがとう』
「ラーニ、あなたはこの子の背に乗って。ここから脱出するわ」
『私はエレネージュです。ラーニさん、早く私の背に』
エレの背中に乗ったのを確認し、私達もトコヤミに乗ると、翼を羽ばたかせて上昇する。
この後はギルディンがスレイニグに勝てていなければ私達が加勢して制圧する。
スレイニグは凶石に侵食されている為殺す事になるだろう。
「エレ」
『覚悟はできています。スレイニグさんはもう助からないと分かっていますから』
「そう……」
エレの為にも何とかしてあげたいが、今の状態では良い手は無いだろう。
手早く済ませてギルディンにドラコニアン達を取り纏めてもらうのが最善か。
地上に戻る直前、上方に膨大な魔力が現れた事に気付く。
『なんだこの魔力は……』
『……来たんだ』
「何が来たの?」
『ズロヴァストが来たんだよ……!』
エレの背の上で震えるラーニ。
地上で魔力が膨れ上がる。これは、いけないわ。
全員に《硬質化》を掛けて衝撃に備える。
大爆発が地上からこちらに迫ってくる。
「ふむ、これは厄介だな」
クオンが両手を高く掲げて魔力を込めると、私達を覆う様に結界が現れて衝撃波を止めてくれた。
巻き起こった砂塵が治ると私達の居た位置の縦穴は削り取られ地上になっていた。
『何という破壊力だ』
トコヤミはそう言って空を見上げる。城が無くなっているのだ。
代わりにそこにあったのは巨大な岩山、ではなくとてつもなく大きな竜だった。
『お父様は……?』
竜化したギルディンとスレイニグはズロヴァストの足元に倒れていた。
『ギルディンを治したのはお前か?』
燃える様な赤い眼が私を睨む。一目で見抜いたのは直感か、それとも……
私達はその後に続いて奥へと急ぐ。
「奥に地下へと続く階段があります。天空竜の子は地下に囚われていると聞いています」
「分かったわ。急ぎましょう」
グラムの案内で行った先には巨大な縦穴があった。その縦穴の内径に沿って竜用の階段が作られている。
この規模からして城の為に掘ったというより以前よりあった穴の上に城を築いた様だ。
『ここに来た事はあるか?』
『いいえ。でもここは確か代々の王の墓に使われている縦穴だと思います』
トコヤミに答えるエレ。
そんな所に子供を押し込めているのね。
『飛び降りましょう。背にお乗りください』
全員がトコヤミの背中乗ると、翼を広げて下に降りていく。
降りている途中地響きが聞こえてきたが、地上でギルディンとスレイニグが激しい戦闘を繰り広げているのだろう。
堅牢に作られているため崩壊する様な事は無さそうだが、凶石を埋め込まれたスレイニグを病み上がりのギルディンが倒せる保証はない。出来るだけ急ぐべきだろう。
トコヤミが底に着地する。
かなり下まで降下してきたので地上の光は遠く小さくなり、灯りも無いためここは暗闇だ。
私が魔法で光球を作り出し宙に浮かべると大きな穴全体が見える様になる。
辺りに竜の骨が幾つも積み重なって山をつくっていた。
その奥に白い鱗の小さな蛇竜が蹲っている。頭を上げて眩しそうに目を細めながらこちらを見ている。
「あなたがラニターヴァスの子ね?私は泉の精霊のハルよ。助けに来たわ」
『助けに……?』
「ええ、もう大丈夫よ」
近付いて行くとこの子が酷い状況である事が分かった。
全身の鱗の大部分が傷を負っていて鎖が食い込んでいる。尾に近い所には金属の杭が打ち込まれていた。
可哀想に。
鎖と杭を《栄養吸収》で分解して泉の水を身体全体に振りかける。
『わあ……すごい。もう痛くない!』
「良かったわ。あなた、お名前は?」
『ラーニだよ。治してくれてありがとう』
「ラーニ、あなたはこの子の背に乗って。ここから脱出するわ」
『私はエレネージュです。ラーニさん、早く私の背に』
エレの背中に乗ったのを確認し、私達もトコヤミに乗ると、翼を羽ばたかせて上昇する。
この後はギルディンがスレイニグに勝てていなければ私達が加勢して制圧する。
スレイニグは凶石に侵食されている為殺す事になるだろう。
「エレ」
『覚悟はできています。スレイニグさんはもう助からないと分かっていますから』
「そう……」
エレの為にも何とかしてあげたいが、今の状態では良い手は無いだろう。
手早く済ませてギルディンにドラコニアン達を取り纏めてもらうのが最善か。
地上に戻る直前、上方に膨大な魔力が現れた事に気付く。
『なんだこの魔力は……』
『……来たんだ』
「何が来たの?」
『ズロヴァストが来たんだよ……!』
エレの背の上で震えるラーニ。
地上で魔力が膨れ上がる。これは、いけないわ。
全員に《硬質化》を掛けて衝撃に備える。
大爆発が地上からこちらに迫ってくる。
「ふむ、これは厄介だな」
クオンが両手を高く掲げて魔力を込めると、私達を覆う様に結界が現れて衝撃波を止めてくれた。
巻き起こった砂塵が治ると私達の居た位置の縦穴は削り取られ地上になっていた。
『何という破壊力だ』
トコヤミはそう言って空を見上げる。城が無くなっているのだ。
代わりにそこにあったのは巨大な岩山、ではなくとてつもなく大きな竜だった。
『お父様は……?』
竜化したギルディンとスレイニグはズロヴァストの足元に倒れていた。
『ギルディンを治したのはお前か?』
燃える様な赤い眼が私を睨む。一目で見抜いたのは直感か、それとも……
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