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竜の国
門番
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雲を突き抜け、峰々を越えた先にシルドレイクはあった。
一際大きな山の上、噴火口の様に窪んだ中に石造の建物が無数に見える。あれが竜の生活しているものだとしたら人の物とは比べ物にならないほど巨大な建物だろう。
ロニが先導しエレとトコヤミが続いて飛ぶ。
建物に近付くと、想像した通りそれらは人の建物より遥かに大きかった。
それにしても竜に建物は要るのだろうか。
『ロナディア!その者たちは何者だ?』
建物の中から灰色の鱗をした竜が出てきて低い声を発する。
『レイルゲートさん、エレ様が帰ってこられたんですよ!』
『エレ様だと?今更帰ってきたと言うのか』
そう言ってこちらを睨みつける灰色の竜レイルゲート。彼はエレを良く思っていないみたいだわ。
『魔竜王様の命に背き逃げ落ちた者がどの面を下げて帰ってきたと言うのだ?』
『黙れ。巣でぬくぬくとしている臆病竜が偉そうに何を言うか』
『何だと!?貴様、何者だ?』
トコヤミの挑発激昂するレイルゲート。
『我はエルディア様に付き従う竜、トコヤミだ。貴殿が臆病竜でないと言うのであれば我と戦い実力を示して見せよ』
『生意気な!いいだろう、貴様など我が爪で引き裂いてくれる!』
そう言って大きく羽ばたくと空へと昇っていくレイルゲート。
『ハル様、メイ様、少しお待ちください。クオン殿、お二人を頼みます』
「ええ」「頑張ってね!」
「心得た」
私達がトコヤミから降りると、彼はゆっくりと空へと上がっていく。
『随分と奴隷どもを大切に扱っているではないか。貴様は竜の癖に奴らより下なのか?』
トコヤミが同じ高さまで来た所で挑発するレイルゲート。彼はエレよりは大きいがトコヤミよりはかなり小さい。竜同士の戦いにおいては体格の差は問題では無いというのだろうか。
『あれらはエルネージュ様の所有物であるから丁重に扱うのは当然の事。時間の無駄だ。さっさと始めるぞ』
そう言うとトコヤミは翼を大きく羽ばたかせて突風を起こす。風を真正面から受けてバランスを崩したレイルゲートだが直ぐに体勢を立て直してトコヤミに飛び掛かる。
先程の宣言通り足の爪による攻撃を加えるがトコヤミは軽々と躱して尻尾で足を打つ。
『威勢が良いのは口ばかりか?』
『ぐっ……小癪な!』
更に二度三度と空中で交錯する二体の竜。
「ところでレイルゲートって竜はドラコニアンなの?」
『いいえ、純粋な竜族ですよ。西部の山脈を縄張りにしていたグレイドラゴンの生き残りなのだそうです。主に街の出入りを監視しているのですよ』
芽依が訊くとロニは丁寧に答えてくれた。
いつの間にか他の建物や山の向こうから竜達が集まって来ている。何を言うでもなくトコヤミとレイルゲートの戦いを見ていた。
戦況はというと、常にトコヤミが優位に立った状態だった。レイルゲートの繰り出す体当たりも尻尾による攻撃もトコヤミは軽く去なして鋭い反撃を加えていく。力の差は歴然だった。
『ぐぅ……おのれ……』
『貴殿では我に勝てんよ。諦めよ』
『まだだ!!』
レイルゲートは大きく息を吸い込みブレスを放つ体勢に入る。
それを見たトコヤミは素早く間合いを詰めると身体を翻して尻尾で頭を強打した。
無防備な状態で攻撃を受けたレイルゲートは錐揉みしながら落下していき近くの岩山に激突した。
『隙だらけだ馬鹿者』
岩山にめり込んで動かないレイルゲートを冷たく見下ろすトコヤミは戦闘不能を確認してこちらに戻ってきた。
『我が主人エレよ、これでよろしいか?』
『え……?はい!ご苦労でした』
エレの前に着地して頭を地に付けて言うトコヤミに驚いたエレの声は上ずっていた。
『よく聞け。エレ様に文句のある者は我が相手になる。いつでも掛かってくるが良い』
そう高らかに宣言するトコヤミに対して誰も何も言う事は無かった。
一際大きな山の上、噴火口の様に窪んだ中に石造の建物が無数に見える。あれが竜の生活しているものだとしたら人の物とは比べ物にならないほど巨大な建物だろう。
ロニが先導しエレとトコヤミが続いて飛ぶ。
建物に近付くと、想像した通りそれらは人の建物より遥かに大きかった。
それにしても竜に建物は要るのだろうか。
『ロナディア!その者たちは何者だ?』
建物の中から灰色の鱗をした竜が出てきて低い声を発する。
『レイルゲートさん、エレ様が帰ってこられたんですよ!』
『エレ様だと?今更帰ってきたと言うのか』
そう言ってこちらを睨みつける灰色の竜レイルゲート。彼はエレを良く思っていないみたいだわ。
『魔竜王様の命に背き逃げ落ちた者がどの面を下げて帰ってきたと言うのだ?』
『黙れ。巣でぬくぬくとしている臆病竜が偉そうに何を言うか』
『何だと!?貴様、何者だ?』
トコヤミの挑発激昂するレイルゲート。
『我はエルディア様に付き従う竜、トコヤミだ。貴殿が臆病竜でないと言うのであれば我と戦い実力を示して見せよ』
『生意気な!いいだろう、貴様など我が爪で引き裂いてくれる!』
そう言って大きく羽ばたくと空へと昇っていくレイルゲート。
『ハル様、メイ様、少しお待ちください。クオン殿、お二人を頼みます』
「ええ」「頑張ってね!」
「心得た」
私達がトコヤミから降りると、彼はゆっくりと空へと上がっていく。
『随分と奴隷どもを大切に扱っているではないか。貴様は竜の癖に奴らより下なのか?』
トコヤミが同じ高さまで来た所で挑発するレイルゲート。彼はエレよりは大きいがトコヤミよりはかなり小さい。竜同士の戦いにおいては体格の差は問題では無いというのだろうか。
『あれらはエルネージュ様の所有物であるから丁重に扱うのは当然の事。時間の無駄だ。さっさと始めるぞ』
そう言うとトコヤミは翼を大きく羽ばたかせて突風を起こす。風を真正面から受けてバランスを崩したレイルゲートだが直ぐに体勢を立て直してトコヤミに飛び掛かる。
先程の宣言通り足の爪による攻撃を加えるがトコヤミは軽々と躱して尻尾で足を打つ。
『威勢が良いのは口ばかりか?』
『ぐっ……小癪な!』
更に二度三度と空中で交錯する二体の竜。
「ところでレイルゲートって竜はドラコニアンなの?」
『いいえ、純粋な竜族ですよ。西部の山脈を縄張りにしていたグレイドラゴンの生き残りなのだそうです。主に街の出入りを監視しているのですよ』
芽依が訊くとロニは丁寧に答えてくれた。
いつの間にか他の建物や山の向こうから竜達が集まって来ている。何を言うでもなくトコヤミとレイルゲートの戦いを見ていた。
戦況はというと、常にトコヤミが優位に立った状態だった。レイルゲートの繰り出す体当たりも尻尾による攻撃もトコヤミは軽く去なして鋭い反撃を加えていく。力の差は歴然だった。
『ぐぅ……おのれ……』
『貴殿では我に勝てんよ。諦めよ』
『まだだ!!』
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それを見たトコヤミは素早く間合いを詰めると身体を翻して尻尾で頭を強打した。
無防備な状態で攻撃を受けたレイルゲートは錐揉みしながら落下していき近くの岩山に激突した。
『隙だらけだ馬鹿者』
岩山にめり込んで動かないレイルゲートを冷たく見下ろすトコヤミは戦闘不能を確認してこちらに戻ってきた。
『我が主人エレよ、これでよろしいか?』
『え……?はい!ご苦労でした』
エレの前に着地して頭を地に付けて言うトコヤミに驚いたエレの声は上ずっていた。
『よく聞け。エレ様に文句のある者は我が相手になる。いつでも掛かってくるが良い』
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