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竜の国
天空を統べる者
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「ほかに何か聞いている事はある?」
「前マスターはルドガイアに訪れた旅人に私の位置を聞いたと言っていました」
シヨウが偶然見つけたのではなく、誰かに知らされた。
それが何者か気になるわね。
「ピスケスはその旅人に会ったの?」
「いいえ」
「シヨウから旅人について何か聞いてない?」
「アインという名前しか聞かされていません」
「アイン……!」
彼がルドガイアに居た?
「他にそのアインという旅人の事を知っている者はいる?」
「魔竜王と数名は会っている筈です」
それならば聞いてみるのも良いかもしれないわね。
「母さん、相手は敵なのだから話を聞きに行こうなんて思ってはいけないよ。それに別人の可能性もあるからね」
「え、ええ……分かっているわ」
颯太の言う通りね。アインの名前を聞いて取り乱してしまった。
「我らの知っているアインならばハル様の不利になるような情報を魔竜王に渡さぬと思うのだが」
「それについては分かりませんね。私達が魔竜王と敵対しているのを知らない可能性もありますし、ピスケスを見つけられた事自体が偶然だったかもしれません」
トコヤミとカクカミが話しているのを聞きながら落ち着きを取り戻す。
今の私はシグルーンの代表なのだから、彼一人の為に軽率な行動をしてはならない。今はルドガイアをどうするかを考えるべきだ。
「アインとやらはまた別の機会で話を聞くとして、次は我から報告をして良いだろうか?」
「そうだったわね。クオン、天空竜についてはどうだったの?」
私の様子を見て気を遣ってくれたのだろう。
「ラニターヴァスはルドガイアの者に子供を人質に取られている」
「それは魔竜王ズロヴァストではないのよね?」
「うむ。ドラコニアンの王に我が子を攫われてしまった為にいいなりならざるを得ないと言っていた」
クオンが高空でラニターヴァスから聞いたのは、空から私達を監視して、指示があれば攻撃を加える様に指示されているという事だ。
「あんな高空で指示を受ける方法があるのかしら」
「無いそうだ」
「どういう事?」
「ラニターヴァス曰く『監視の指示を受けたのでそれを履行中』らしい。あの位置にいる限り報告も出来ないし攻撃の指示は出せないな。奴も腹に据えかねているのだろう」
なるほど。言う事は聞いているが協力するつもりはないのね。
「つまり、子供を攫われた事でルドガイア側に付いてはいるけど協力するつもりはないのね」
「うむ、そして奴は我に子供の奪還を頼んできた。それが叶うのならば我らへの協力は惜しまないそうだ」
子供の奪還か。ラニターヴァスはこちらに危害を加えるつもりはなく、このままでも天空竜と戦う事は無いだろう。しかしルドガイアと戦うことによってラニターヴァスの子供も巻き込まれてしまうのは必然だ。その時はラニターヴァスが私達を攻撃するだろう。
それに我が子を思う気持ちは痛い程良くわかる。助けてやりたいと思うのは我儘だろうか?
「天空竜の子供は何処に囚われているのか分かる?」
「ドラコニアンの街、シルドレイクに幽閉されているそうだ」
シルドレイクは魔竜王の住む竜王都ズロヴァストの近くにあるそうだ。
「助け出すのなら潜入するしかないかしら」
「そうだね。実力のある少数で向かい、可能な限り戦闘を避けて救出するのが理想だね」
颯太の考えに賛成だ。
「そうすると内情に詳しい者を味方に欲しいわね」
「それなら私が役に立つと思います!」
そう言って立ち上がったのはエレだった。
「私は元々シルドレイクに住んでいました。土地勘がありますから案内もできます」
「でも良いの?あなたの家族と戦う事になるかも知れないわ」
「今の私はシグルーンの一員です。やらせてください」
エレの決意は固い様だ。
「前マスターはルドガイアに訪れた旅人に私の位置を聞いたと言っていました」
シヨウが偶然見つけたのではなく、誰かに知らされた。
それが何者か気になるわね。
「ピスケスはその旅人に会ったの?」
「いいえ」
「シヨウから旅人について何か聞いてない?」
「アインという名前しか聞かされていません」
「アイン……!」
彼がルドガイアに居た?
「他にそのアインという旅人の事を知っている者はいる?」
「魔竜王と数名は会っている筈です」
それならば聞いてみるのも良いかもしれないわね。
「母さん、相手は敵なのだから話を聞きに行こうなんて思ってはいけないよ。それに別人の可能性もあるからね」
「え、ええ……分かっているわ」
颯太の言う通りね。アインの名前を聞いて取り乱してしまった。
「我らの知っているアインならばハル様の不利になるような情報を魔竜王に渡さぬと思うのだが」
「それについては分かりませんね。私達が魔竜王と敵対しているのを知らない可能性もありますし、ピスケスを見つけられた事自体が偶然だったかもしれません」
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今の私はシグルーンの代表なのだから、彼一人の為に軽率な行動をしてはならない。今はルドガイアをどうするかを考えるべきだ。
「アインとやらはまた別の機会で話を聞くとして、次は我から報告をして良いだろうか?」
「そうだったわね。クオン、天空竜についてはどうだったの?」
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「ラニターヴァスはルドガイアの者に子供を人質に取られている」
「それは魔竜王ズロヴァストではないのよね?」
「うむ。ドラコニアンの王に我が子を攫われてしまった為にいいなりならざるを得ないと言っていた」
クオンが高空でラニターヴァスから聞いたのは、空から私達を監視して、指示があれば攻撃を加える様に指示されているという事だ。
「あんな高空で指示を受ける方法があるのかしら」
「無いそうだ」
「どういう事?」
「ラニターヴァス曰く『監視の指示を受けたのでそれを履行中』らしい。あの位置にいる限り報告も出来ないし攻撃の指示は出せないな。奴も腹に据えかねているのだろう」
なるほど。言う事は聞いているが協力するつもりはないのね。
「つまり、子供を攫われた事でルドガイア側に付いてはいるけど協力するつもりはないのね」
「うむ、そして奴は我に子供の奪還を頼んできた。それが叶うのならば我らへの協力は惜しまないそうだ」
子供の奪還か。ラニターヴァスはこちらに危害を加えるつもりはなく、このままでも天空竜と戦う事は無いだろう。しかしルドガイアと戦うことによってラニターヴァスの子供も巻き込まれてしまうのは必然だ。その時はラニターヴァスが私達を攻撃するだろう。
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颯太の考えに賛成だ。
「そうすると内情に詳しい者を味方に欲しいわね」
「それなら私が役に立つと思います!」
そう言って立ち上がったのはエレだった。
「私は元々シルドレイクに住んでいました。土地勘がありますから案内もできます」
「でも良いの?あなたの家族と戦う事になるかも知れないわ」
「今の私はシグルーンの一員です。やらせてください」
エレの決意は固い様だ。
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