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竜の国
制圧
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全力攻撃を試してみるか。どの道結界が破壊できなければここから出る事は不可能だろう。
「このまま攻撃を続けて。私も全力攻撃を準備します」
カクカミ、ライブラ、エレに指示を出して詠唱を開始する。
カクカミは雷を纏った角で突進を繰り返し、エレは炎のブレス、ライブラは剣による攻撃を繰り返す。
あれだけの攻撃を受けてびくともしない結界とは、凄まじいわね。
私も詠唱が完了したので発射体制に入る。
「撃ちます、離れなさい。《アルエクリシス》」
皆が離れたのを確認してから魔法を解放。巨大な光線がピスケスの結界にぶつかり轟音と衝撃が広がる。
周囲の地面を融解させるほどの熱量で攻撃したのにも拘らず結界は破壊されていなかった。
『何という耐久力だ……』
「ハル様の魔法でも壊せないなんて……ライブラさん、結界を打ち破る方法は知らないんですか?」
「エレさんが求める様な決定的な破壊方法はありません。しかしあの結界はピスケスのエネルギーを消耗して展開しています。攻撃を続ければいずれは消える筈です」
力押しが正攻法なのね。
あと試す方法は一つだけ……
空を飛んで結界に近付き、手で触れて《栄養吸収》を使用してみる。
……駄目だ。結界からエネルギーを吸い取る事は出来ない様だ。
「攻撃を続けましょう」
私は距離をとって再び《アルエクリシス》の詠唱に入る。
カクカミ、ライブラ、エレも攻撃を再開した。
☆★☆★☆★☆★
十回目の《アルエクリシス》の射撃を終えた時、結界の中のピスケスが膝を折った。
効いている。このまま続ければいずれは結界を消す事も出来るだろう。
カクカミ達もかなり消耗している。
だがこれしか方法がないのなら続ける他ないのだ。
「続けるわ。みんなもう少し頑張るのよ」
『はい』「まだまだやれます!」「了解」
攻撃を続けようとした時、突然ピスケスが結界を解除した。
「結界が、消えました……」
『まだ余力はありそうだが、どういうつもりだ?』
突然の事に躊躇い攻撃を止めるエレとカクカミ。
「ピスケス、主人が死んだのですか?」
ライブラは武器を降ろしてピスケスに問いかける。
「はい。マスターの生命反応が消失しました。私の任務は彼が生きている限りここで泉の精霊を足止めする事でしたので、これ以上の戦闘行為は行いません」
そう言うとゆっくりと立ち上がり直立したまま動きを止めるピスケス。
「もうあなたに戦うつもりはないという事ね?」
「はい。私の処分は如何様にも」
そう言って目を閉じた。
「そうする様に主人から言われたの?」
「はい。マスターが亡くなった場合、私は戦闘行動の一切を止めて投降するように指示を受けています」
「分かりました。あなたの投降を受け入れます。戦っている亜人達を止める事は出来る?」
「彼らは別の者が指揮していましたので私の指示は聞かないでしょう」
知能の低さから誰かの指揮下にあるとは思っていなかったのだが。
「その者はどこに?」
「マスターと共にシグルーン聖泉国の攻撃に向かいました」
「そう……」
スプリングフィールドを急襲したピスケスの主人が死んでいるのなら、その者も生きてはいないだろう。しかし街の被害がどれほどのものか気になる。
「ピスケス、あなたと主従契約を結ぶ事は出来る?」
「はい、可能です」
「私は生体認証を出来ないらしいから簡易契約をお願い」
「了解しました……簡易契約を完了。よろしくお願いします、マスター」
「ピスケスの主従契約の更新を確認しました」
ライブラが確認して告げてくる。これで彼女が再度敵対する事は無くなった。
「私はこのままスプリングフィールドに戻り状況を確認します。カクカミにここの指揮の全権を渡すわ」
「畏まりました」
「ピスケスは怪我をしている者の手当を行いなさい。ライブラはピスケスの側にいて監視する事」
「「了解しました」」
私は急ぎ一人でスプリングフィールドに戻る事にした。
「このまま攻撃を続けて。私も全力攻撃を準備します」
カクカミ、ライブラ、エレに指示を出して詠唱を開始する。
カクカミは雷を纏った角で突進を繰り返し、エレは炎のブレス、ライブラは剣による攻撃を繰り返す。
あれだけの攻撃を受けてびくともしない結界とは、凄まじいわね。
私も詠唱が完了したので発射体制に入る。
「撃ちます、離れなさい。《アルエクリシス》」
皆が離れたのを確認してから魔法を解放。巨大な光線がピスケスの結界にぶつかり轟音と衝撃が広がる。
周囲の地面を融解させるほどの熱量で攻撃したのにも拘らず結界は破壊されていなかった。
『何という耐久力だ……』
「ハル様の魔法でも壊せないなんて……ライブラさん、結界を打ち破る方法は知らないんですか?」
「エレさんが求める様な決定的な破壊方法はありません。しかしあの結界はピスケスのエネルギーを消耗して展開しています。攻撃を続ければいずれは消える筈です」
力押しが正攻法なのね。
あと試す方法は一つだけ……
空を飛んで結界に近付き、手で触れて《栄養吸収》を使用してみる。
……駄目だ。結界からエネルギーを吸い取る事は出来ない様だ。
「攻撃を続けましょう」
私は距離をとって再び《アルエクリシス》の詠唱に入る。
カクカミ、ライブラ、エレも攻撃を再開した。
☆★☆★☆★☆★
十回目の《アルエクリシス》の射撃を終えた時、結界の中のピスケスが膝を折った。
効いている。このまま続ければいずれは結界を消す事も出来るだろう。
カクカミ達もかなり消耗している。
だがこれしか方法がないのなら続ける他ないのだ。
「続けるわ。みんなもう少し頑張るのよ」
『はい』「まだまだやれます!」「了解」
攻撃を続けようとした時、突然ピスケスが結界を解除した。
「結界が、消えました……」
『まだ余力はありそうだが、どういうつもりだ?』
突然の事に躊躇い攻撃を止めるエレとカクカミ。
「ピスケス、主人が死んだのですか?」
ライブラは武器を降ろしてピスケスに問いかける。
「はい。マスターの生命反応が消失しました。私の任務は彼が生きている限りここで泉の精霊を足止めする事でしたので、これ以上の戦闘行為は行いません」
そう言うとゆっくりと立ち上がり直立したまま動きを止めるピスケス。
「もうあなたに戦うつもりはないという事ね?」
「はい。私の処分は如何様にも」
そう言って目を閉じた。
「そうする様に主人から言われたの?」
「はい。マスターが亡くなった場合、私は戦闘行動の一切を止めて投降するように指示を受けています」
「分かりました。あなたの投降を受け入れます。戦っている亜人達を止める事は出来る?」
「彼らは別の者が指揮していましたので私の指示は聞かないでしょう」
知能の低さから誰かの指揮下にあるとは思っていなかったのだが。
「その者はどこに?」
「マスターと共にシグルーン聖泉国の攻撃に向かいました」
「そう……」
スプリングフィールドを急襲したピスケスの主人が死んでいるのなら、その者も生きてはいないだろう。しかし街の被害がどれほどのものか気になる。
「ピスケス、あなたと主従契約を結ぶ事は出来る?」
「はい、可能です」
「私は生体認証を出来ないらしいから簡易契約をお願い」
「了解しました……簡易契約を完了。よろしくお願いします、マスター」
「ピスケスの主従契約の更新を確認しました」
ライブラが確認して告げてくる。これで彼女が再度敵対する事は無くなった。
「私はこのままスプリングフィールドに戻り状況を確認します。カクカミにここの指揮の全権を渡すわ」
「畏まりました」
「ピスケスは怪我をしている者の手当を行いなさい。ライブラはピスケスの側にいて監視する事」
「「了解しました」」
私は急ぎ一人でスプリングフィールドに戻る事にした。
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