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竜の国
森の中
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走りながら《遠隔視野》でゴブリンの様子を確認する。
既にトウヤは戦闘距離に入っていて二体のゴブリンの頭を投げナイフで射抜いていた。
次に到達したのは芽依とライブラ。芽依は両手の小剣で流れる様に三体のゴブリンを斬り捨てていく。ライブラも一体を両断した所だ。
子供達はその次に先行していたセロが保護してくれていた。私達も子供達の所に向かう。
「あなた達、この先の収容所の子ね?」
「そうだよ!それよりもあと二人、別の方向に逃げてるんだ。助けておくれよ!」
「分かったわ」
十歳くらいの少年が北の方を指差しながら言ってくる。私がその方角を《遠隔視野》で確認すると五百メートル程離れた位置で木の棒を持った十二、三歳位の女の子と五歳位の男の子を見つけた。ゴブリン四体に囲まれている。
……ここから走っても間に合わない。
「転移して助けに行くわ。ミツハは周囲の警戒を、ククノチはセロさん達とこの子達を護って。エレとマイは私と行くわよ」
「畏まりました」「任せてください!」
「了解です!」「はいです!」
《瞬間移動》を実行する。女の子の前に転移する筈だったのだが、何故か百メートル手前に出てしまった。
慌ててもう一度転移をしようとしたが作動はするが移動は出来ない。
マズい、このままではあの子達が……
「エレ、マイ、お願い」
「「はい!」」
二人が走っていくが間に合いそうにない。
水弾を撃って倒す事は出来るがこの距離では至近距離にいる子供達に当たらない様に狙撃するのは難しい。
しかし何もしなければあの子達は殺される。
……やるしかないか。
私が水弾を発動させる直前に、近くにあった木々が少しずつ左右に避けていく。
ククノチがやったのだろう。しかし何の為に?
続いて弧を描いて飛んでいくのは二本の矢。更に続いてもう二本が私達を追い越していった。
それらはいずれも四体のゴブリンの頭に突き刺さり瞬時に絶命させる。
振り返るとミラが弓を放った姿勢のままこちらを見ていた。
驚いたわ。あの子、あんな距離から精密な狙撃を……
和弓なら四百メートルは飛ぶと聞いた事はあるけれど、狙う事なんて出来るわけがない。彼女はそれを可能にするまで鍛錬を重ねてきたのだろう。
それについてはまた後で話すとして、今は子供達の保護が最優先だ。
私が向かうとエレとマイが二人を保護して戻ってきた。
「今ので見つかっちゃったかも知れません」
「向こうから魔物の気配がするです」
静かに片付ける事は出来なかったので仕方ない。他に魔物がいたことも誤算だった。ここからは強行突破しかないだろう。
「みんなと合流しましょう」
再度《瞬間移動》を作動させようとしたが転移は出来なかった。
少し走って戻り、強制的に転移を解除された地点から再度実行したら皆の所に転移できた。
転移を妨害する何かがあるのか。
「ハル様、敵に気付かれてしまったようです」
ミツハが報告してくる。
「そうみたいね。強行突破するしかないのだけど、この先には転移ではいけないみたいなの」
「それってハルが来ることを予想して用意してあったんじゃねえのか?」
意外にも子供達に怖がられる事なく、普通にあやしていてたマサが聞いてくる。
「現状この世界には転移魔法は存在しない筈。それを対策しているという事は……誘い出された可能性がありますね」
私もトウヤと同意見だ。
「ライブラ、あなたの知恵を貸して」
「はい。転移阻害という魔法は確かに存在します。私の調べた限りではこの魔法も転移魔法同様失伝していました。他に可能性として考えられるのは敵側に魔法の使える転生者がいるか、私と同型の者が起動しているかです」
ライブラは淡々と説明する。
彼女の知識にはなるべく頼らない様にすると決めていたが、そんな事を言っていられる状況ではないだろう。
どちらにしても厄介そうね。
既にトウヤは戦闘距離に入っていて二体のゴブリンの頭を投げナイフで射抜いていた。
次に到達したのは芽依とライブラ。芽依は両手の小剣で流れる様に三体のゴブリンを斬り捨てていく。ライブラも一体を両断した所だ。
子供達はその次に先行していたセロが保護してくれていた。私達も子供達の所に向かう。
「あなた達、この先の収容所の子ね?」
「そうだよ!それよりもあと二人、別の方向に逃げてるんだ。助けておくれよ!」
「分かったわ」
十歳くらいの少年が北の方を指差しながら言ってくる。私がその方角を《遠隔視野》で確認すると五百メートル程離れた位置で木の棒を持った十二、三歳位の女の子と五歳位の男の子を見つけた。ゴブリン四体に囲まれている。
……ここから走っても間に合わない。
「転移して助けに行くわ。ミツハは周囲の警戒を、ククノチはセロさん達とこの子達を護って。エレとマイは私と行くわよ」
「畏まりました」「任せてください!」
「了解です!」「はいです!」
《瞬間移動》を実行する。女の子の前に転移する筈だったのだが、何故か百メートル手前に出てしまった。
慌ててもう一度転移をしようとしたが作動はするが移動は出来ない。
マズい、このままではあの子達が……
「エレ、マイ、お願い」
「「はい!」」
二人が走っていくが間に合いそうにない。
水弾を撃って倒す事は出来るがこの距離では至近距離にいる子供達に当たらない様に狙撃するのは難しい。
しかし何もしなければあの子達は殺される。
……やるしかないか。
私が水弾を発動させる直前に、近くにあった木々が少しずつ左右に避けていく。
ククノチがやったのだろう。しかし何の為に?
続いて弧を描いて飛んでいくのは二本の矢。更に続いてもう二本が私達を追い越していった。
それらはいずれも四体のゴブリンの頭に突き刺さり瞬時に絶命させる。
振り返るとミラが弓を放った姿勢のままこちらを見ていた。
驚いたわ。あの子、あんな距離から精密な狙撃を……
和弓なら四百メートルは飛ぶと聞いた事はあるけれど、狙う事なんて出来るわけがない。彼女はそれを可能にするまで鍛錬を重ねてきたのだろう。
それについてはまた後で話すとして、今は子供達の保護が最優先だ。
私が向かうとエレとマイが二人を保護して戻ってきた。
「今ので見つかっちゃったかも知れません」
「向こうから魔物の気配がするです」
静かに片付ける事は出来なかったので仕方ない。他に魔物がいたことも誤算だった。ここからは強行突破しかないだろう。
「みんなと合流しましょう」
再度《瞬間移動》を作動させようとしたが転移は出来なかった。
少し走って戻り、強制的に転移を解除された地点から再度実行したら皆の所に転移できた。
転移を妨害する何かがあるのか。
「ハル様、敵に気付かれてしまったようです」
ミツハが報告してくる。
「そうみたいね。強行突破するしかないのだけど、この先には転移ではいけないみたいなの」
「それってハルが来ることを予想して用意してあったんじゃねえのか?」
意外にも子供達に怖がられる事なく、普通にあやしていてたマサが聞いてくる。
「現状この世界には転移魔法は存在しない筈。それを対策しているという事は……誘い出された可能性がありますね」
私もトウヤと同意見だ。
「ライブラ、あなたの知恵を貸して」
「はい。転移阻害という魔法は確かに存在します。私の調べた限りではこの魔法も転移魔法同様失伝していました。他に可能性として考えられるのは敵側に魔法の使える転生者がいるか、私と同型の者が起動しているかです」
ライブラは淡々と説明する。
彼女の知識にはなるべく頼らない様にすると決めていたが、そんな事を言っていられる状況ではないだろう。
どちらにしても厄介そうね。
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