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竜の国
魔法の開発
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防衛体制を強化する為には通信手段が必要だ。
《物質変換》で通信機を出す事を考えたが、中継する物が無いので直接電波が飛ぶ距離でしか通信ができない。
電波塔を建てて回る訳にもいかないし、そもそも異世界の技術をこの世界に持ち込む事はしたくない。
同様に魔力を使った通信機を《物質変換》で呼び出すのも駄目だ。クオンが生きていた時代ならばそれくらいあるだろうが、それは使ってはいけない。
通信魔法は今の時代には存在しないそうだ。しかし魔法の構成を練れば作り出す事は出来るだろう。
私は自室に籠って魔法の研究をする事にした。
まず伝達するものは何にするべきか。
最低限声は伝達したい。可能なら相手の顔を見て話せると良いのだが、そこまでやろうとすると魔法式が複雑化してしまうだろう。
まずは音声のみを長距離伝達が出来る様に構成しよう。
音声を魔力に変換する式は出来た。
これを指定した場所に届ける方法はどうするか。無線なら周波数、電話なら電話番号で個を認識している。魔力というのは一人一人波長が違うらしいのでそれを認識出来れば特定の個人への連絡もできるだろう。
後の問題は伝達距離と魔力消費か。
試しに魔法式を組み上げてみたのだが。私一人では試す事ができない。
芽依とカナエに協力を頼んだ。
「もう形が出来たんだ?お母さんは凄いね」
『流石はハル様……しかしこの術式はとても難しいですね。メトやマカミは覚えられなさそうです』
中庭で実験の趣旨を説明して、魔法の習得に掛かってもらう。
芽依は特に気にした様子もなくスラスラと覚えているのだが、カナエが難しいと言うなら相当難解なのだろう。
「うん、覚えたよ、」
『私も何とか』
互いの魔力の波長を認識するのにかなり苦労していた様だが、二人とも短時間で魔法を習得してくれた。
「それでは始めてみて。最初は近距離で構わないわ」
「うん!」『はい!』
二人は互いに魔法を起動させて小声で話す。私は魔力の流れを確認しながら二人の様子を見る。
「あっ……聞こえたよ!カナエちゃんの声!」
『私もメイ様の声が聞こえました!』
二人は面白がって更に会話をはじめる。電話を初めて使う子供の様にはしゃいでいた。
「少しずつ距離を取ってもらうわ」
「はーい!」
二人は話をしながら庭の端まで移動する。
「何か声が届くのが遅くなった気がするよ~」
『そうですね。距離が離れたからでしょうか。それと魔力の消費が増えましたね』
初めたのが十メートル程だったが、今はおよそ百メートルは離れている。たったこれだけ離れただけで魔力の消費が増えるとしたら、何百キロも離れた所との通信は無理かも知れない。
根本的に観点がズレているのだろうか。或いは全く違う技術を使わなければならないのか。
そのまま街の端から端で連絡を取り合って貰ったが、何度か会話したらカナエが疲れてしまった。
『すみません……魔法の維持に使う魔力が多すぎて私ではこれが限界です』
「そう。無理をさせてごめんなさいね。少し休んで」
カナエに同行していた私は、カナエの代わりに通信魔法を起動して芽依と言葉を交わす。
(芽依、カナエの魔力が切れたから実験は中止よ)
(うん、カナエちゃん大丈夫?)
(少し疲れただけだから大丈夫よ。芽依は平気?)
(うん!全然大丈夫だよ!家に戻るね!)
芽依の声は少し間があってから聞こえてくる。
声はハッキリと聞こえて良いのだが、確かに消耗が激しい。
これでは普通の人間には使えないだろう。
『ハル様、この連絡方法が襲撃を知らせるだけのものなら声を確実に届けなくても良いかも知れないです』
「確かにそうね」
カナエを私の肩に座らせると言ってくる。
何かあった事を私に限定して知らせるだけならば声である必要はない。何処からの発信さえ分かればその場に急行する事が出来るのだから。
屋敷に帰ってもう一度根本から見直そう。
《物質変換》で通信機を出す事を考えたが、中継する物が無いので直接電波が飛ぶ距離でしか通信ができない。
電波塔を建てて回る訳にもいかないし、そもそも異世界の技術をこの世界に持ち込む事はしたくない。
同様に魔力を使った通信機を《物質変換》で呼び出すのも駄目だ。クオンが生きていた時代ならばそれくらいあるだろうが、それは使ってはいけない。
通信魔法は今の時代には存在しないそうだ。しかし魔法の構成を練れば作り出す事は出来るだろう。
私は自室に籠って魔法の研究をする事にした。
まず伝達するものは何にするべきか。
最低限声は伝達したい。可能なら相手の顔を見て話せると良いのだが、そこまでやろうとすると魔法式が複雑化してしまうだろう。
まずは音声のみを長距離伝達が出来る様に構成しよう。
音声を魔力に変換する式は出来た。
これを指定した場所に届ける方法はどうするか。無線なら周波数、電話なら電話番号で個を認識している。魔力というのは一人一人波長が違うらしいのでそれを認識出来れば特定の個人への連絡もできるだろう。
後の問題は伝達距離と魔力消費か。
試しに魔法式を組み上げてみたのだが。私一人では試す事ができない。
芽依とカナエに協力を頼んだ。
「もう形が出来たんだ?お母さんは凄いね」
『流石はハル様……しかしこの術式はとても難しいですね。メトやマカミは覚えられなさそうです』
中庭で実験の趣旨を説明して、魔法の習得に掛かってもらう。
芽依は特に気にした様子もなくスラスラと覚えているのだが、カナエが難しいと言うなら相当難解なのだろう。
「うん、覚えたよ、」
『私も何とか』
互いの魔力の波長を認識するのにかなり苦労していた様だが、二人とも短時間で魔法を習得してくれた。
「それでは始めてみて。最初は近距離で構わないわ」
「うん!」『はい!』
二人は互いに魔法を起動させて小声で話す。私は魔力の流れを確認しながら二人の様子を見る。
「あっ……聞こえたよ!カナエちゃんの声!」
『私もメイ様の声が聞こえました!』
二人は面白がって更に会話をはじめる。電話を初めて使う子供の様にはしゃいでいた。
「少しずつ距離を取ってもらうわ」
「はーい!」
二人は話をしながら庭の端まで移動する。
「何か声が届くのが遅くなった気がするよ~」
『そうですね。距離が離れたからでしょうか。それと魔力の消費が増えましたね』
初めたのが十メートル程だったが、今はおよそ百メートルは離れている。たったこれだけ離れただけで魔力の消費が増えるとしたら、何百キロも離れた所との通信は無理かも知れない。
根本的に観点がズレているのだろうか。或いは全く違う技術を使わなければならないのか。
そのまま街の端から端で連絡を取り合って貰ったが、何度か会話したらカナエが疲れてしまった。
『すみません……魔法の維持に使う魔力が多すぎて私ではこれが限界です』
「そう。無理をさせてごめんなさいね。少し休んで」
カナエに同行していた私は、カナエの代わりに通信魔法を起動して芽依と言葉を交わす。
(芽依、カナエの魔力が切れたから実験は中止よ)
(うん、カナエちゃん大丈夫?)
(少し疲れただけだから大丈夫よ。芽依は平気?)
(うん!全然大丈夫だよ!家に戻るね!)
芽依の声は少し間があってから聞こえてくる。
声はハッキリと聞こえて良いのだが、確かに消耗が激しい。
これでは普通の人間には使えないだろう。
『ハル様、この連絡方法が襲撃を知らせるだけのものなら声を確実に届けなくても良いかも知れないです』
「確かにそうね」
カナエを私の肩に座らせると言ってくる。
何かあった事を私に限定して知らせるだけならば声である必要はない。何処からの発信さえ分かればその場に急行する事が出来るのだから。
屋敷に帰ってもう一度根本から見直そう。
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