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竜の国
新しい家
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街の中心地に大きな屋敷が出来ていた。
屋敷というよりは城と言った方が良いのだろう。
御伽噺に出てくる様なキラキラした城ではなく、森の木をふんだんに使った立派な建物だ。
皆で出来立ての屋敷を見学に来ていた。
「すごーい!ザハーンおじさんのお屋敷より大きい!」
三階建ての屋敷を目の前に芽依は両手を広げて大はしゃぎだ。
こういう所はまだまだ子供ね。
「王の住む城なら白く塗るのが良いと言っていたけど、母さんは好みじゃないと思ってそのままにしたよ」
「ありがとう颯太。この方が好きよ」
颯太は私の趣向を理解してくれていて助かるわね。
「全てこの森の木で出来ているらしいが、下手な要塞よりも頑丈そうだな」
腰に手を当てて見上げながら言っているのはゼムロスだ。
彼らの宿舎はここにほど近い所に有り、警備も担ってくれる。
無論、警備に来てくれるのはゼムロス達人間だけではない。ほぼ全ての種族から警備隊の入隊志願があり、屈強な戦士が交代で屋敷とスプリングフィールド内を護ってくれる事になった。
颯太は警備隊の編成なんて話はしていないらしいのだが、熱意のある者達が勢い余って来てしまったのだとか。
「誰が一番強いか試合までして決めたそうだよ」
「そこまでしたのなら断るのも悪いわね」
そこまでして志願したのは、私達の役に立ちたいという思いからなのだ。彼らには相応の報酬と待遇をもって応えようと思う。
「これからはこっちに住まなければならないの?」
「仕事がある時だけ来てくれればいいよ。僕もそうするつもりだから」
颯太の場合は仕事が多すぎて畔の家に帰って来られないかもしれない。何でもこの子に任せてしまっているのは良くない。私も幾つか受け持つべきか。
「大丈夫だよ。その為に見込みのある数人を教育しているから。ある程度したら僕が居なくても仕事ができる様になるよ」
しっかりと教育もしていたのね。
私達の新居は各種族長達が集って会議が出来る様に一階には会議場が設けられている。これからは同盟国の王侯貴族が来る事もあるだろうと接遇用の設備も完備していた。
二階と三階が私達の居住スペースになるのだが、広過ぎはしないかしら。
「使い方は色々あるだろうからね。広いに越したことはないよ」
各部屋を案内しながら颯太は笑っていた。
「芽依の友達を呼んでもいいよ」
「ホント?やったー!」
確かに部屋数は十分過ぎるほどある。芽依もそういう付き合いがあっても良いだろう。
それから使用人として働いてくれる者達も多くの種族から志願があった。
流石に体の大きなオーガーやトロール、巨人族は屋敷内で働く事は出来ないので断らざるを得なかったが、採用された者達の教育も順調に進んでいるそうだ。
あと、セイランからラティーシアとイシュリアにも来てもらった。
元々吸血鬼の姫だったのだから、宿屋を切り盛りするのもおかしいだろう。
それにあの街で吸血鬼だと知れてしまったら何をされるか分からない。
彼女達は宿屋の経営を楽しんでいた様だが、今後の事を考えたらスプリングフィールドに来てもらっておいた方が良いだろう。
二人には颯太の補佐役をお願いしてある。
「ハル様、私達もこちらに住まわせていただきましてありがとうございます」
「ラティーシアさんはこの街に居てもらいたいのよ。あなたがここにいる事を知れば、生き残った同胞が集まって来るかも知れないわ」
「ありがとうございます」
あれからセイランにやって来た同胞は居なかったそうだが、隠れ住んでいる状態では見つけられなかったのかも知れない。シグルーン聖泉国にラティーシアが居ることを広めれば彼女達の力にもなれるだろう。
「ブランが冒険者ギルドを建設したいと言って来ているよ」
随分と気が早いわね。まだ冒険者なんて居ないというのに。
屋敷というよりは城と言った方が良いのだろう。
御伽噺に出てくる様なキラキラした城ではなく、森の木をふんだんに使った立派な建物だ。
皆で出来立ての屋敷を見学に来ていた。
「すごーい!ザハーンおじさんのお屋敷より大きい!」
三階建ての屋敷を目の前に芽依は両手を広げて大はしゃぎだ。
こういう所はまだまだ子供ね。
「王の住む城なら白く塗るのが良いと言っていたけど、母さんは好みじゃないと思ってそのままにしたよ」
「ありがとう颯太。この方が好きよ」
颯太は私の趣向を理解してくれていて助かるわね。
「全てこの森の木で出来ているらしいが、下手な要塞よりも頑丈そうだな」
腰に手を当てて見上げながら言っているのはゼムロスだ。
彼らの宿舎はここにほど近い所に有り、警備も担ってくれる。
無論、警備に来てくれるのはゼムロス達人間だけではない。ほぼ全ての種族から警備隊の入隊志願があり、屈強な戦士が交代で屋敷とスプリングフィールド内を護ってくれる事になった。
颯太は警備隊の編成なんて話はしていないらしいのだが、熱意のある者達が勢い余って来てしまったのだとか。
「誰が一番強いか試合までして決めたそうだよ」
「そこまでしたのなら断るのも悪いわね」
そこまでして志願したのは、私達の役に立ちたいという思いからなのだ。彼らには相応の報酬と待遇をもって応えようと思う。
「これからはこっちに住まなければならないの?」
「仕事がある時だけ来てくれればいいよ。僕もそうするつもりだから」
颯太の場合は仕事が多すぎて畔の家に帰って来られないかもしれない。何でもこの子に任せてしまっているのは良くない。私も幾つか受け持つべきか。
「大丈夫だよ。その為に見込みのある数人を教育しているから。ある程度したら僕が居なくても仕事ができる様になるよ」
しっかりと教育もしていたのね。
私達の新居は各種族長達が集って会議が出来る様に一階には会議場が設けられている。これからは同盟国の王侯貴族が来る事もあるだろうと接遇用の設備も完備していた。
二階と三階が私達の居住スペースになるのだが、広過ぎはしないかしら。
「使い方は色々あるだろうからね。広いに越したことはないよ」
各部屋を案内しながら颯太は笑っていた。
「芽依の友達を呼んでもいいよ」
「ホント?やったー!」
確かに部屋数は十分過ぎるほどある。芽依もそういう付き合いがあっても良いだろう。
それから使用人として働いてくれる者達も多くの種族から志願があった。
流石に体の大きなオーガーやトロール、巨人族は屋敷内で働く事は出来ないので断らざるを得なかったが、採用された者達の教育も順調に進んでいるそうだ。
あと、セイランからラティーシアとイシュリアにも来てもらった。
元々吸血鬼の姫だったのだから、宿屋を切り盛りするのもおかしいだろう。
それにあの街で吸血鬼だと知れてしまったら何をされるか分からない。
彼女達は宿屋の経営を楽しんでいた様だが、今後の事を考えたらスプリングフィールドに来てもらっておいた方が良いだろう。
二人には颯太の補佐役をお願いしてある。
「ハル様、私達もこちらに住まわせていただきましてありがとうございます」
「ラティーシアさんはこの街に居てもらいたいのよ。あなたがここにいる事を知れば、生き残った同胞が集まって来るかも知れないわ」
「ありがとうございます」
あれからセイランにやって来た同胞は居なかったそうだが、隠れ住んでいる状態では見つけられなかったのかも知れない。シグルーン聖泉国にラティーシアが居ることを広めれば彼女達の力にもなれるだろう。
「ブランが冒険者ギルドを建設したいと言って来ているよ」
随分と気が早いわね。まだ冒険者なんて居ないというのに。
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