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竜の国
建設
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「えっ?何?」
「まさか家ごと……?」
転移は成功していた。やった私も驚いていたがバルディを含めた四人は驚くを通り越して混乱していた。
「出鱈目過ぎる……ハルがその気になればルドガイアの魔竜王も倒せるんじゃないか?」
「それはどうか分からないけど、取り敢えず引越しの手間は省けたわね」
マサに答えながらこれから先の事を考える。彼らは西部のゴブリンが開墾している辺りに住んでもらい、ミックは農業を、マサとナナは調味料の製造に取り掛かってもらおうと思う。
「母さんおかえり」
家の外から颯太の声が聞こえて来たので外に出る。外には芽依達も集まって来ていた。
「ただいま。驚かせてしまったわね」
「お母さん、今度は何をしてきたの?」
芽依に聞かれて事情を説明する。
「成る程。それじゃあ早速ゴブリン達に話に言った方が良さそうだね」
颯太が言うには各村を繋ぐ道の整備の第一段階は完了して、今は泉の南側の森を切り拓いて街を作ろうとしているらしい。
「各村の生産品を取引できる場所が必要だからね。それに学校や病院も作っているよ」
颯太は各村の学力について統計を取り終えていて、既に学校建設の計画まで進めている。
病院についてはトウヤが主導で建物を設計しているらしい。
病院が完成したらトウヤには院長に就任してもらい、医術を教えていく事も視野に入れているそうだ。
芽依達は訓練を続けるそうなので、私達もゴブリンの村に転移で移動する事にした。
『ハル様、今日はどの様な御用でしょう?』
長にマサ、ナナ、ミック、バルディを紹介して農業の指導と生産物の調整を提案、依頼する。
『こちらは大助かりです。ウルゼイドから技術の指導は受けましたが全員が習得できたわけではないので、一緒に暮らしながら教えていただけるなら大歓迎ですよ』
長が喜ぶ姿を見てマサとナナは驚き、ミックとバルディは言葉が分からない為首を捻っていた。
「ハルの言う通り悪い連中じゃなさそうだな」
「ゴブリンってもっと凶暴たと思ってたよ」
『我らはハル様の眷属ですから、それに恥じぬ振る舞いをしているのです。他のゴブリンとは違いますよ』
長は笑いながらマサとナナに話していた。
家の移転場所と新たに畑を作る場所の相談をして、家を転移させてきて一応は完了。
醤油を作るための工場も作りたい所だが、まずは彼らの生活環境を整えてからだろう。
「必要な物があれば言って下さい。用意します」
「俺達、金は持ってないんだが……」
「気にしないで。私の能力で出せる物ならお金はかからないから」
《物質変換》で出せる物なら泉の水を対価にすれば大抵は出す事ができる。
「服や食器が欲しい。俺の手に合う調理道具があると最高だ」
「そうですね……農具があると助かります。替え時だったのですが資金が無くて」
「分かりました」
それくらいなら容易い。
水を出してから《物質変換》を使用。
全員分の着替えに食器、マサのサイズに合わせた調理器具に農具一式。
「スゲェな……」
「ありがとうございます……!」
マサとミックは大喜びだ。
「ナナさんは何かほしい物はありますか?」
「マヨネーズ!」
「……これから自分で作るのですよね?」
「完成品があった方がそれに近付ける努力ができます!」
……ただ欲しいだけな気がするが。まあ、ナナが消費する分くらいは出しても良いだろう。
水を変換してよく見るあの容器に入ったマヨネーズを生成する。
「こ、ここ……これです!私が欲しかったのは!!」
大喜びでマヨネーズを受け取って蓋を開けるナナ。
「ちょっと、それをどうするの?」
「飲みます!」
「やめなさい!」
いくら何でもそれは身体に悪いわよ。
「必要ならいつでも出してあげるから早まらないで」
「ホントですか?」
「え、ええ」
「約束ですよ!」
余程マヨネーズに飢えていたのね。
しかし変な約束をしてしまったが、彼女はマヨネーズの製造をやめたりしないだろうか。
「まさか家ごと……?」
転移は成功していた。やった私も驚いていたがバルディを含めた四人は驚くを通り越して混乱していた。
「出鱈目過ぎる……ハルがその気になればルドガイアの魔竜王も倒せるんじゃないか?」
「それはどうか分からないけど、取り敢えず引越しの手間は省けたわね」
マサに答えながらこれから先の事を考える。彼らは西部のゴブリンが開墾している辺りに住んでもらい、ミックは農業を、マサとナナは調味料の製造に取り掛かってもらおうと思う。
「母さんおかえり」
家の外から颯太の声が聞こえて来たので外に出る。外には芽依達も集まって来ていた。
「ただいま。驚かせてしまったわね」
「お母さん、今度は何をしてきたの?」
芽依に聞かれて事情を説明する。
「成る程。それじゃあ早速ゴブリン達に話に言った方が良さそうだね」
颯太が言うには各村を繋ぐ道の整備の第一段階は完了して、今は泉の南側の森を切り拓いて街を作ろうとしているらしい。
「各村の生産品を取引できる場所が必要だからね。それに学校や病院も作っているよ」
颯太は各村の学力について統計を取り終えていて、既に学校建設の計画まで進めている。
病院についてはトウヤが主導で建物を設計しているらしい。
病院が完成したらトウヤには院長に就任してもらい、医術を教えていく事も視野に入れているそうだ。
芽依達は訓練を続けるそうなので、私達もゴブリンの村に転移で移動する事にした。
『ハル様、今日はどの様な御用でしょう?』
長にマサ、ナナ、ミック、バルディを紹介して農業の指導と生産物の調整を提案、依頼する。
『こちらは大助かりです。ウルゼイドから技術の指導は受けましたが全員が習得できたわけではないので、一緒に暮らしながら教えていただけるなら大歓迎ですよ』
長が喜ぶ姿を見てマサとナナは驚き、ミックとバルディは言葉が分からない為首を捻っていた。
「ハルの言う通り悪い連中じゃなさそうだな」
「ゴブリンってもっと凶暴たと思ってたよ」
『我らはハル様の眷属ですから、それに恥じぬ振る舞いをしているのです。他のゴブリンとは違いますよ』
長は笑いながらマサとナナに話していた。
家の移転場所と新たに畑を作る場所の相談をして、家を転移させてきて一応は完了。
醤油を作るための工場も作りたい所だが、まずは彼らの生活環境を整えてからだろう。
「必要な物があれば言って下さい。用意します」
「俺達、金は持ってないんだが……」
「気にしないで。私の能力で出せる物ならお金はかからないから」
《物質変換》で出せる物なら泉の水を対価にすれば大抵は出す事ができる。
「服や食器が欲しい。俺の手に合う調理道具があると最高だ」
「そうですね……農具があると助かります。替え時だったのですが資金が無くて」
「分かりました」
それくらいなら容易い。
水を出してから《物質変換》を使用。
全員分の着替えに食器、マサのサイズに合わせた調理器具に農具一式。
「スゲェな……」
「ありがとうございます……!」
マサとミックは大喜びだ。
「ナナさんは何かほしい物はありますか?」
「マヨネーズ!」
「……これから自分で作るのですよね?」
「完成品があった方がそれに近付ける努力ができます!」
……ただ欲しいだけな気がするが。まあ、ナナが消費する分くらいは出しても良いだろう。
水を変換してよく見るあの容器に入ったマヨネーズを生成する。
「こ、ここ……これです!私が欲しかったのは!!」
大喜びでマヨネーズを受け取って蓋を開けるナナ。
「ちょっと、それをどうするの?」
「飲みます!」
「やめなさい!」
いくら何でもそれは身体に悪いわよ。
「必要ならいつでも出してあげるから早まらないで」
「ホントですか?」
「え、ええ」
「約束ですよ!」
余程マヨネーズに飢えていたのね。
しかし変な約束をしてしまったが、彼女はマヨネーズの製造をやめたりしないだろうか。
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