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竜の国
コミュニケーション
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「噂をすれば何とやら、じゃな。おいそこの者達、こちらに来い」
メリーゼハーヴが声を掛けたのは海岸の端、林の中からこちらの様子を見ていた兵士だった。
見つかってしまい観念したのか、ゆっくりと出て来る2人。
「何をコソコソやっておる?」
「は、はい……巨大生物とドラゴンが戦っていると通報を受けまして……」
この二人には見覚えがある。確か昨日門にいた衛兵だ。
「丁度良い所に来たのう。今から国王に会いに行くから先に行ってその旨、伝えてくるのじゃ」
「は、はい!」
二人は急足で砂浜から出て行く。カクカミとヤトをしきりに気にしていたが、まあ無理もないだろう。
「これですぐにでも国王とは会える筈じゃ。それで、ファディアをどうするつもりなのじゃ?」
「まずはライアッドと講和をしてもらおうと思うわ」
「そのあとは?」
「可能であればライアッド、ウルゼイド、ディアブレル、ソアニールと協調してもらいたいわね」
「それらが精霊殿が従えている国という事か」
「従えているのではなく、協力関係にあるのよ」
私が統治しているわけではないし、良くしてくれている国や関わると決めた国なだけだ。
「何にせよルドガイアに対抗するには人族の力も必要になるやも知れぬ。今の内に陣列を整えておくのは賛成じゃ」
メリーゼハーヴは私の考えを支持してくれている。
ルドガイアの魔竜王とは話した事がないが、侵略を繰り返し多くの国を滅ぼしてきたのは事実。まずは関わり合いのある国だけでも守りたいと思う。
「精霊殿の考えは分かった。我々海竜は全面的に支援しようではないか」
「ありがとう。頼むわね」
メリーゼハーヴとの打ち合わせはこれで終了。そのまま王城へ向かう事になった。
「カクカミ、ヤト、ご苦労様。あとは他の者にお願いするわね」
『畏まりました』
『どうかお気を付けて』
カクカミとヤトを送還してカナエ、ククノチ、シラヒ、サヅチを呼び出す。
「ハル様……昨日は出過ぎた事をしてしまい申し訳ありませんでした」
泣き出しそうな顔で私に謝罪して来るカナエ。
「いいのよ。あなたは私の事を思って言ってくれたのだから。ありがとう」
手のひらに乗せて頭を撫でてやると、安心したのか私の手に縋り付いて泣き出してしまった。
「もう呼んでくださらないと思ってました……」
「そんなわけないでしょう。気にし過ぎよ」
カナエは昨日の海竜とのやり取りを後悔していた様だ。
最近皆とあまり交流出来ていないのかも知れないわね。そのせいで少しの失敗が気になってしまうのかも。
「ハル様からお呼びが掛からない兄弟達は気を揉んでますよ」
「そうなのね……」
ククノチに言われて反省する。
別に差別している訳ではない。ただ属性上呼び出し難い子はいるのだ。
火のカグツチ、雷のミカヅチ、氷のイヒカ達がそうだ。
呼び出せない分森に帰ったら話をしよう。
海岸から出て林を抜けると、街道には馬車と兵士達が待機していた。
「メリーゼハーヴ様、泉の精霊様、王城までこの馬車をお使いください」
貴族が乗る様な装飾された二頭立ての馬車だった。
「うむ。ご苦労」
兵士が扉を開けるとメリーゼハーヴは馬車に乗り込む。私も乗り込もうとした時、声が聞こえてきた。
(おいおいおい、聞いてねぇよ……)
(海竜の女王じゃねえかよ……気まぐれで食われたりしないよな?)
(それに何だよこの娘。人間じゃねえだろ……気配がおかしい)
馬達の話し声だった。息が上がっているのでかなり急がされたのだろう。
「あなた達、急に連れて来られたのね。疲れたでしょう、水を飲んで」
両手で器を作って泉の水を溜めて飲ませる。
(何だこの水……?しかも俺たちの言葉が分かるのか……)
(おお……凄い!こんな水を飲んだのは初めてだ!)
「私は泉の精霊ハル。あなた達が食べられない様にメリーゼハーヴには話しておくわ。王城までお願いね」
馬達は元気よく嘶いて返事をした。
メリーゼハーヴが声を掛けたのは海岸の端、林の中からこちらの様子を見ていた兵士だった。
見つかってしまい観念したのか、ゆっくりと出て来る2人。
「何をコソコソやっておる?」
「は、はい……巨大生物とドラゴンが戦っていると通報を受けまして……」
この二人には見覚えがある。確か昨日門にいた衛兵だ。
「丁度良い所に来たのう。今から国王に会いに行くから先に行ってその旨、伝えてくるのじゃ」
「は、はい!」
二人は急足で砂浜から出て行く。カクカミとヤトをしきりに気にしていたが、まあ無理もないだろう。
「これですぐにでも国王とは会える筈じゃ。それで、ファディアをどうするつもりなのじゃ?」
「まずはライアッドと講和をしてもらおうと思うわ」
「そのあとは?」
「可能であればライアッド、ウルゼイド、ディアブレル、ソアニールと協調してもらいたいわね」
「それらが精霊殿が従えている国という事か」
「従えているのではなく、協力関係にあるのよ」
私が統治しているわけではないし、良くしてくれている国や関わると決めた国なだけだ。
「何にせよルドガイアに対抗するには人族の力も必要になるやも知れぬ。今の内に陣列を整えておくのは賛成じゃ」
メリーゼハーヴは私の考えを支持してくれている。
ルドガイアの魔竜王とは話した事がないが、侵略を繰り返し多くの国を滅ぼしてきたのは事実。まずは関わり合いのある国だけでも守りたいと思う。
「精霊殿の考えは分かった。我々海竜は全面的に支援しようではないか」
「ありがとう。頼むわね」
メリーゼハーヴとの打ち合わせはこれで終了。そのまま王城へ向かう事になった。
「カクカミ、ヤト、ご苦労様。あとは他の者にお願いするわね」
『畏まりました』
『どうかお気を付けて』
カクカミとヤトを送還してカナエ、ククノチ、シラヒ、サヅチを呼び出す。
「ハル様……昨日は出過ぎた事をしてしまい申し訳ありませんでした」
泣き出しそうな顔で私に謝罪して来るカナエ。
「いいのよ。あなたは私の事を思って言ってくれたのだから。ありがとう」
手のひらに乗せて頭を撫でてやると、安心したのか私の手に縋り付いて泣き出してしまった。
「もう呼んでくださらないと思ってました……」
「そんなわけないでしょう。気にし過ぎよ」
カナエは昨日の海竜とのやり取りを後悔していた様だ。
最近皆とあまり交流出来ていないのかも知れないわね。そのせいで少しの失敗が気になってしまうのかも。
「ハル様からお呼びが掛からない兄弟達は気を揉んでますよ」
「そうなのね……」
ククノチに言われて反省する。
別に差別している訳ではない。ただ属性上呼び出し難い子はいるのだ。
火のカグツチ、雷のミカヅチ、氷のイヒカ達がそうだ。
呼び出せない分森に帰ったら話をしよう。
海岸から出て林を抜けると、街道には馬車と兵士達が待機していた。
「メリーゼハーヴ様、泉の精霊様、王城までこの馬車をお使いください」
貴族が乗る様な装飾された二頭立ての馬車だった。
「うむ。ご苦労」
兵士が扉を開けるとメリーゼハーヴは馬車に乗り込む。私も乗り込もうとした時、声が聞こえてきた。
(おいおいおい、聞いてねぇよ……)
(海竜の女王じゃねえかよ……気まぐれで食われたりしないよな?)
(それに何だよこの娘。人間じゃねえだろ……気配がおかしい)
馬達の話し声だった。息が上がっているのでかなり急がされたのだろう。
「あなた達、急に連れて来られたのね。疲れたでしょう、水を飲んで」
両手で器を作って泉の水を溜めて飲ませる。
(何だこの水……?しかも俺たちの言葉が分かるのか……)
(おお……凄い!こんな水を飲んだのは初めてだ!)
「私は泉の精霊ハル。あなた達が食べられない様にメリーゼハーヴには話しておくわ。王城までお願いね」
馬達は元気よく嘶いて返事をした。
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