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竜の国
説明と待機
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次の日、朝食をとりながら昨日の出来事を全員に説明する。
私がファディアの船を捕らえて乗船していたムルスターデらと本国に行き海竜の長メリーゼハーヴと戦い勝った事。その後互いに協力していく事を約束した帰ってきた話をすると、全員食事をやめて驚いた顔でこちらを見ていた。
「私も行きたかった!」
「でも芽依は訓練があったでしょう?」
「『実戦に勝る訓練無しだ』ってロイドおじさんが言ってたもん」
そうは言っても流石にファディア国との戦いを芽依の訓練の場にはしたくない。
多くの者を殺める事になったかもしれないのだ。
「ここで颯太様やカクカミ様、メト様と戦闘訓練をする方が得られる経験は多いと推測します」
ライブラが助け舟を出してくれる。
「それはそうだけど……お母さん一人で危ない事をして心配なんだよ?」
「ええ、まさか海竜と戦う事になるとは思っていなかったわ。ごめんなさいね」
実際は面倒事は全て一度に片付けば良いと思っていたので、海竜と戦えたのは都合が良かったと思っているのだが、それは言わないでおいた。
「海竜王メリーゼハーヴに勝っちゃったんですか……?」
「ええ」
エレが一番驚いていた。
「ハル様が強いのはよく知っていますけど、まさか《逆巻く大洋》のメリーゼハーヴに……」
メリーゼハーヴには立派な二つ名が付いているのね。
「竜の姿ではなかったけど、あちらは私の力を認めて降伏してくれたわ」
「海竜が降伏する事なんてほぼ無いと言われている程プライドが高くて凶暴だって聞いています」
エレはそう言うけどルドガイアの魔竜王には従っていたのでは?
「私達が海竜全てと戦うならカクカミ様達を総動員して勝てるかどうかと思っていたたんですが」
「そう?私の見立てではトコヤミだけで壊滅出来ると思うわよ」
エレは海竜の事を過大評価している様ね。
「母さんは今日もファディア国に行くのかい?」
「ええ。メリーゼハーヴ達がこれ以上他国に侵攻しない様に幾つかの取り決めを作りに行くわ」
颯太に聞かれて今日の予定を説明する。
しっかりと釘を指しておかなければ海竜達はルドガイアと戦を始めかねない。
「私も行くよ」
「芽依はみんなと訓練をしていて」
「お母さんが心配なの!」
「私は大丈夫よ。今日はカクカミとヤトを連れて行くわ」
昨日のあれで彼らが大人しくなっていれば良いが、あの場にいなかった別の海竜が私の事を認めない可能性もある。その時はカクカミとヤトの力を借りる事にする。カナエは海竜と相性が悪い様なので今回は連れて行かない事にした。
「……分かった。気を付けて行ってきてね」
「ええ。落ち着いたらみんなでファディア国に遊びに行きましょうね」
芽依は渋々といった様子で引き下がった。
この子達には大会に集中してもらいたい。海竜とファディア国の事は今日中に何とかしてしまおう。
食事を終えて颯太と後片付けを済ませると、昼まではまだかなり時間があったがファディア国へと転移する。
「カクカミ、ヤト」
『はい』『おはようございますハル様』
カクカミとヤトが海岸に現れる。
「今日は海竜達との話し合いに同席してもらいます。彼らは統率がとれておらず、長のメリーゼハーヴの言う事を聞かずに暴発する者がいるの」
『我らはハル様の警護と異を唱える輩に思い知らせてやれば良いのですね?』
「ええ。殺さない程度でお願いね」
カクカミはすぐに私の考えを察してくれた。
『海竜とやらがどの程度の強さか楽しみですね』
ヤトは珍しく好戦的な事を言っていた。
話し合いにはまだ暫く時間がある。何をしようかと考えていたら遠くに見える島から巨大な竜が飛んできた。
『貴様ら、一体何処から現れた?』
その竜は濃い緑色をした光沢のある鱗を持っており、大きさはトコヤミを少し小さくしたくらいの竜だった。
私がファディアの船を捕らえて乗船していたムルスターデらと本国に行き海竜の長メリーゼハーヴと戦い勝った事。その後互いに協力していく事を約束した帰ってきた話をすると、全員食事をやめて驚いた顔でこちらを見ていた。
「私も行きたかった!」
「でも芽依は訓練があったでしょう?」
「『実戦に勝る訓練無しだ』ってロイドおじさんが言ってたもん」
そうは言っても流石にファディア国との戦いを芽依の訓練の場にはしたくない。
多くの者を殺める事になったかもしれないのだ。
「ここで颯太様やカクカミ様、メト様と戦闘訓練をする方が得られる経験は多いと推測します」
ライブラが助け舟を出してくれる。
「それはそうだけど……お母さん一人で危ない事をして心配なんだよ?」
「ええ、まさか海竜と戦う事になるとは思っていなかったわ。ごめんなさいね」
実際は面倒事は全て一度に片付けば良いと思っていたので、海竜と戦えたのは都合が良かったと思っているのだが、それは言わないでおいた。
「海竜王メリーゼハーヴに勝っちゃったんですか……?」
「ええ」
エレが一番驚いていた。
「ハル様が強いのはよく知っていますけど、まさか《逆巻く大洋》のメリーゼハーヴに……」
メリーゼハーヴには立派な二つ名が付いているのね。
「竜の姿ではなかったけど、あちらは私の力を認めて降伏してくれたわ」
「海竜が降伏する事なんてほぼ無いと言われている程プライドが高くて凶暴だって聞いています」
エレはそう言うけどルドガイアの魔竜王には従っていたのでは?
「私達が海竜全てと戦うならカクカミ様達を総動員して勝てるかどうかと思っていたたんですが」
「そう?私の見立てではトコヤミだけで壊滅出来ると思うわよ」
エレは海竜の事を過大評価している様ね。
「母さんは今日もファディア国に行くのかい?」
「ええ。メリーゼハーヴ達がこれ以上他国に侵攻しない様に幾つかの取り決めを作りに行くわ」
颯太に聞かれて今日の予定を説明する。
しっかりと釘を指しておかなければ海竜達はルドガイアと戦を始めかねない。
「私も行くよ」
「芽依はみんなと訓練をしていて」
「お母さんが心配なの!」
「私は大丈夫よ。今日はカクカミとヤトを連れて行くわ」
昨日のあれで彼らが大人しくなっていれば良いが、あの場にいなかった別の海竜が私の事を認めない可能性もある。その時はカクカミとヤトの力を借りる事にする。カナエは海竜と相性が悪い様なので今回は連れて行かない事にした。
「……分かった。気を付けて行ってきてね」
「ええ。落ち着いたらみんなでファディア国に遊びに行きましょうね」
芽依は渋々といった様子で引き下がった。
この子達には大会に集中してもらいたい。海竜とファディア国の事は今日中に何とかしてしまおう。
食事を終えて颯太と後片付けを済ませると、昼まではまだかなり時間があったがファディア国へと転移する。
「カクカミ、ヤト」
『はい』『おはようございますハル様』
カクカミとヤトが海岸に現れる。
「今日は海竜達との話し合いに同席してもらいます。彼らは統率がとれておらず、長のメリーゼハーヴの言う事を聞かずに暴発する者がいるの」
『我らはハル様の警護と異を唱える輩に思い知らせてやれば良いのですね?』
「ええ。殺さない程度でお願いね」
カクカミはすぐに私の考えを察してくれた。
『海竜とやらがどの程度の強さか楽しみですね』
ヤトは珍しく好戦的な事を言っていた。
話し合いにはまだ暫く時間がある。何をしようかと考えていたら遠くに見える島から巨大な竜が飛んできた。
『貴様ら、一体何処から現れた?』
その竜は濃い緑色をした光沢のある鱗を持っており、大きさはトコヤミを少し小さくしたくらいの竜だった。
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