350 / 453
勇者
ブランの提案
しおりを挟む
「追加の報酬についてはこちらから手配させてもらう。それから一つ、今回の事は国王陛下にも報告が必要だがギルド経由だと時間がかかる。そこでハル達に報告を頼みたい」
私であれば国王に会う事は容易だ。それくらいなら別に構わないだろう。
「あとは昇格の話だが、やり方は幾つかある。派手なやり方とやや派手なやり方、どちらが良い?」
「地味なやり方は無いのですか?」
「残念ながら無えな」
どちらにせよ目立つ方法しか無いようだ。
「派手な方法は、アドラス国を倒しソアニールと友好を結んだ功労者の冒険者パーティとして推挙する。国の後ろ盾があれば余裕だろうから……そうだな、陛下に言って勲章でももらうか?」
勲章というのはそんなに簡単に貰えるものでは無いでしょう。ブランは半分冗談で言っているのだろうけど。
「もう一つは、十日後に開催される武術大会で好成績を残す事か。ぶっちゃけると、ハルの功績は申し分無いが他の連中はそのオマケみたいな扱いを受けているんだ。なのでハル以外は大会に出て、そうだな……本戦出場くらいまでいければ十分推挙出来るだろう
「大会?面白そう!」
一番に食い付いたのは芽依だった。
「他の者はどうだ?パーティ内の半数が残っていれば特例昇格できると思うぜ」
ブランは机の引き出しから紙を取り出して何やら書き始める。
「俺もやってみたい。どれくらい強くなれたのか試したい」
いつになくセロもやる気の様だ。
「大会の内容を教えてもらえますか?」
「ルールとか対戦形式とかを」
ミラとリンはブランに詰め寄る。
「お、おう。場所は闘技場だから平坦な砂地でかなり広い。対戦形式は一対一で武器魔法は何でも使って良いが対戦相手を故意に殺害するのだけは駄目だ。開始の合図が鳴ってからは相手が気絶するか降参するまで戦いは続けられる。大会は予選と本戦に分けられていて、予選はブロック別のバトルロイヤル。本線は抽選後にトーナメント形式だ」
小さくため息を吐いて書くのを再開するブラン。
「そうすると私は杖で戦っても良いのよね……」
「私は開始時は弓を一射してから小剣でしょうか。距離が近い場合は弓は使わない方向で……」
リンとミラは真剣な顔で話し合っていた。
「二人とも出るつもりなのですか?」
「パーティの半数が本戦に出なくちゃいけないんでしょ?私達だけ見学ってのはダメでしょ」
「やれる事はやります。お荷物にはなりませんよ」
二人とも本気の様だ。
「私とライブラさんとマイちゃんが出れば本戦くらいはいけると思いますよ。ハル様を除いたパーティメンバーだとメイさんが本戦に出場すれば目標達成です」
「同じブロックになってしまった場合、本戦に残れる人数が減ります」
「あっ……そっかぁ」
エレが自信満々に言っているがライブラに指摘されていた。
「あー、予選の出場ブロックは自分で選択できるから心配はいらんぞ」
ブランがルールについて付け足してくる。文書の方は書き終えたらしく封筒に入れて蝋を付けて印璽している。
「じゃあリンさんとミラさんは無理しなくても大丈夫ですね」
「それでも出るよエレさん」
「はい。さっきも言った通りお荷物にはなりたくありません」
二人の決意は固い様だ。
「誰が出るかは当日までに決めておいてくれればいい。それよりこいつを陛下に届けてくれ」
封筒を渡してくるので受け取った。
「大会に出る方向でいいんだよな?陛下にはそう書いておいたぞ」
芽依とセロはやる気だし仕方がないだろう。
「私は出たら駄目ですか?」
「そいつは勘弁してくれ」
「そうだよ!お母さんと戦っても勝てないのは分かってるんだから!」
ブランと芽依に断られてしまった。
ウルゼイドにいた時も観戦のみだったから許可が出るなら出場してみてもと思ったのだが残念だ。
私であれば国王に会う事は容易だ。それくらいなら別に構わないだろう。
「あとは昇格の話だが、やり方は幾つかある。派手なやり方とやや派手なやり方、どちらが良い?」
「地味なやり方は無いのですか?」
「残念ながら無えな」
どちらにせよ目立つ方法しか無いようだ。
「派手な方法は、アドラス国を倒しソアニールと友好を結んだ功労者の冒険者パーティとして推挙する。国の後ろ盾があれば余裕だろうから……そうだな、陛下に言って勲章でももらうか?」
勲章というのはそんなに簡単に貰えるものでは無いでしょう。ブランは半分冗談で言っているのだろうけど。
「もう一つは、十日後に開催される武術大会で好成績を残す事か。ぶっちゃけると、ハルの功績は申し分無いが他の連中はそのオマケみたいな扱いを受けているんだ。なのでハル以外は大会に出て、そうだな……本戦出場くらいまでいければ十分推挙出来るだろう
「大会?面白そう!」
一番に食い付いたのは芽依だった。
「他の者はどうだ?パーティ内の半数が残っていれば特例昇格できると思うぜ」
ブランは机の引き出しから紙を取り出して何やら書き始める。
「俺もやってみたい。どれくらい強くなれたのか試したい」
いつになくセロもやる気の様だ。
「大会の内容を教えてもらえますか?」
「ルールとか対戦形式とかを」
ミラとリンはブランに詰め寄る。
「お、おう。場所は闘技場だから平坦な砂地でかなり広い。対戦形式は一対一で武器魔法は何でも使って良いが対戦相手を故意に殺害するのだけは駄目だ。開始の合図が鳴ってからは相手が気絶するか降参するまで戦いは続けられる。大会は予選と本戦に分けられていて、予選はブロック別のバトルロイヤル。本線は抽選後にトーナメント形式だ」
小さくため息を吐いて書くのを再開するブラン。
「そうすると私は杖で戦っても良いのよね……」
「私は開始時は弓を一射してから小剣でしょうか。距離が近い場合は弓は使わない方向で……」
リンとミラは真剣な顔で話し合っていた。
「二人とも出るつもりなのですか?」
「パーティの半数が本戦に出なくちゃいけないんでしょ?私達だけ見学ってのはダメでしょ」
「やれる事はやります。お荷物にはなりませんよ」
二人とも本気の様だ。
「私とライブラさんとマイちゃんが出れば本戦くらいはいけると思いますよ。ハル様を除いたパーティメンバーだとメイさんが本戦に出場すれば目標達成です」
「同じブロックになってしまった場合、本戦に残れる人数が減ります」
「あっ……そっかぁ」
エレが自信満々に言っているがライブラに指摘されていた。
「あー、予選の出場ブロックは自分で選択できるから心配はいらんぞ」
ブランがルールについて付け足してくる。文書の方は書き終えたらしく封筒に入れて蝋を付けて印璽している。
「じゃあリンさんとミラさんは無理しなくても大丈夫ですね」
「それでも出るよエレさん」
「はい。さっきも言った通りお荷物にはなりたくありません」
二人の決意は固い様だ。
「誰が出るかは当日までに決めておいてくれればいい。それよりこいつを陛下に届けてくれ」
封筒を渡してくるので受け取った。
「大会に出る方向でいいんだよな?陛下にはそう書いておいたぞ」
芽依とセロはやる気だし仕方がないだろう。
「私は出たら駄目ですか?」
「そいつは勘弁してくれ」
「そうだよ!お母さんと戦っても勝てないのは分かってるんだから!」
ブランと芽依に断られてしまった。
ウルゼイドにいた時も観戦のみだったから許可が出るなら出場してみてもと思ったのだが残念だ。
3
お気に入りに追加
431
あなたにおすすめの小説
義妹を溺愛するクズ王太子達のせいで国が滅びそうなので、ヒロインは義妹と愉快な仲間達と共にクズ達を容赦なく潰す事としました
やみなべ
恋愛
<最終話まで執筆済。毎日1話更新。完結保障有>
フランクフルト王国の辺境伯令嬢アーデルは王家からほぼ選択肢のない一方的な命令でクズな王太子デルフリと婚約を結ばされた。
アーデル自身は様々な政治的背景を理解した上で政略結婚を受け入れるも、クズは可愛げのないアーデルではなく天真爛漫な義妹のクラーラを溺愛する。
貴族令嬢達も田舎娘が無理やり王太子妃の座を奪い取ったと勘違いし、事あるごとにアーデルを侮辱。いつしか社交界でアーデルは『悪役令嬢』と称され、義姉から虐げられるクラーラこそが王太子妃に相応しいっとささやかれ始める。
そんな四面楚歌な中でアーデルはパーティー会場内でクズから冤罪の後に婚約破棄宣言。義妹に全てを奪われるという、味方が誰一人居ない幸薄い悪役令嬢系ヒロインの悲劇っと思いきや……
蓋を開ければ、超人のようなつよつよヒロインがお義姉ちゃん大好きっ子な義妹を筆頭とした愉快な仲間達と共にクズ達をぺんぺん草一本生えないぐらい徹底的に叩き潰す蹂躙劇だった。
もっとも、現実は小説より奇とはよく言ったもの。
「アーデル!!貴様、クラーラをどこにやった!!」
「…………はぁ?」
断罪劇直前にアーデル陣営であったはずのクラーラが突如行方をくらますという、ヒロインの予想外な展開ばかりが続いたせいで結果論での蹂躙劇だったのである。
義妹はなぜ消えたのか……?
ヒロインは無事にクズ王太子達をざまぁできるのか……?
義妹の隠された真実を知ったクズが取った選択肢は……?
そして、不穏なタグだらけなざまぁの正体とは……?
そんなお話となる予定です。
残虐描写もそれなりにある上、クズの末路は『ざまぁ』なんて言葉では済まない『ざまぁを超えるざまぁ』というか……
これ以上のひどい目ってないのではと思うぐらいの『限界突破に挑戦したざまぁ』という『稀にみる酷いざまぁ』な展開となっているので、そういうのが苦手な方はご注意ください。
逆に三度の飯よりざまぁ劇が大好きなドS読者様なら……
多分、期待に添えれる……かも?
※ このお話は『いつか桜の木の下で』の約120年後の隣国が舞台です。向こうを読んでればにやりと察せられる程度の繋がりしか持たせてないので、これ単体でも十分楽しめる内容にしてます。
完結 お飾り正妃も都合よい側妃もお断りします!
音爽(ネソウ)
恋愛
正妃サハンナと側妃アルメス、互いに支え合い国の為に働く……なんて言うのは幻想だ。
頭の緩い正妃は遊び惚け、側妃にばかりしわ寄せがくる。
都合良く働くだけの側妃は疑問をもちはじめた、だがやがて心労が重なり不慮の事故で儚くなった。
「ああどうして私は幸せになれなかったのだろう」
断末魔に涙した彼女は……
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
茶番には付き合っていられません
わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。
婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。
これではまるで私の方が邪魔者だ。
苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。
どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。
彼が何をしたいのかさっぱり分からない。
もうこんな茶番に付き合っていられない。
そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。
平民と恋に落ちたからと婚約破棄を言い渡されました。
なつめ猫
恋愛
聖女としての天啓を受けた公爵家令嬢のクララは、生まれた日に王家に嫁ぐことが決まってしまう。
そして物心がつく5歳になると同時に、両親から引き離され王都で一人、妃教育を受ける事を強要され10年以上の歳月が経過した。
そして美しく成長したクララは16才の誕生日と同時に貴族院を卒業するラインハルト王太子殿下に嫁ぐはずであったが、平民の娘に恋をした婚約者のラインハルト王太子で殿下から一方的に婚約破棄を言い渡されてしまう。
クララは動揺しつつも、婚約者であるラインハルト王太子殿下に、国王陛下が決めた事を覆すのは貴族として間違っていると諭そうとするが、ラインハルト王太子殿下の逆鱗に触れたことで貴族院から追放されてしまうのであった。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい
高木コン
ファンタジー
第一巻が発売されました!
レンタル実装されました。
初めて読もうとしてくれている方、読み返そうとしてくれている方、大変お待たせ致しました。
書籍化にあたり、内容に一部齟齬が生じておりますことをご了承ください。
改題で〝で〟が取れたとお知らせしましたが、さらに改題となりました。
〝で〟は抜かれたまま、〝お詫びチートで〟と〝転生幼女は〟が入れ替わっております。
初期:【お詫びチートで転生幼女は異世界でごーいんぐまいうぇい】
↓
旧:【お詫びチートで転生幼女は異世界ごーいんぐまいうぇい】
↓
最新:【転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい】
読者の皆様、混乱させてしまい大変申し訳ありません。
✂︎- - - - - - - -キリトリ- - - - - - - - - - -
――神様達の見栄の張り合いに巻き込まれて異世界へ
どっちが仕事出来るとかどうでもいい!
お詫びにいっぱいチートを貰ってオタクの夢溢れる異世界で楽しむことに。
グータラ三十路干物女から幼女へ転生。
だが目覚めた時状況がおかしい!。
神に会ったなんて記憶はないし、場所は……「森!?」
記憶を取り戻しチート使いつつ権力は拒否!(希望)
過保護な周りに見守られ、お世話されたりしてあげたり……
自ら面倒事に突っ込んでいったり、巻き込まれたり、流されたりといろいろやらかしつつも我が道をひた走る!
異世界で好きに生きていいと神様達から言質ももらい、冒険者を楽しみながらごーいんぐまいうぇい!
____________________
1/6 hotに取り上げて頂きました!
ありがとうございます!
*お知らせは近況ボードにて。
*第一部完結済み。
異世界あるあるのよく有るチート物です。
携帯で書いていて、作者も携帯でヨコ読みで見ているため、改行など読みやすくするために頻繁に使っています。
逆に読みにくかったらごめんなさい。
ストーリーはゆっくりめです。
温かい目で見守っていただけると嬉しいです。
気づいたら異世界でスライムに!? その上ノーチートって神様ヒドくない?【転生したらまさかのスライム《改題》】
西園寺卓也
ファンタジー
北千住のラノベ大魔王を自称する主人公、矢部裕樹《やべひろき》、28歳。
社畜のように会社で働き、はや四年。気が付いたら異世界でスライムに転生?してました!
大好きなラノベの世界ではスライムは大魔王になったりかわいこちゃんに抱かれてたりダンジョンのボスモンスターになったりとスーパーチートの代名詞!と喜んだのもつかの間、どうやら彼にはまったくチートスキルがなかったらしい。
果たして彼は異世界で生き残る事ができるのか? はたまたチートなスキルを手に入れて幸せなスラ生を手に入れられるのか? 読みまくった大人気ラノベの物語は知識として役に立つのか!?
気づいたら異世界でスライムという苦境の中、矢部裕樹のスラ生が今始まる!
※本作品は「小説家になろう」様にて「転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない?」を改題した上で初期設定やキャラのセリフなどの見直しを行った作品となります。ストーリー内容はほぼ変更のないマルチ投稿の形となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる