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勇者

ブランの提案

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「追加の報酬についてはこちらから手配させてもらう。それから一つ、今回の事は国王陛下にも報告が必要だがギルド経由だと時間がかかる。そこでハル達に報告を頼みたい」

私であれば国王に会う事は容易だ。それくらいなら別に構わないだろう。

「あとは昇格の話だが、やり方は幾つかある。派手なやり方とやや派手なやり方、どちらが良い?」
「地味なやり方は無いのですか?」
「残念ながら無えな」

どちらにせよ目立つ方法しか無いようだ。

「派手な方法は、アドラス国を倒しソアニールと友好を結んだ功労者の冒険者パーティとして推挙する。国の後ろ盾があれば余裕だろうから……そうだな、陛下に言って勲章でももらうか?」

勲章というのはそんなに簡単に貰えるものでは無いでしょう。ブランは半分冗談で言っているのだろうけど。

「もう一つは、十日後に開催される武術大会で好成績を残す事か。ぶっちゃけると、ハルの功績は申し分無いが他の連中はそのオマケみたいな扱いを受けているんだ。なのでハル以外は大会に出て、そうだな……本戦出場くらいまでいければ十分推挙出来るだろう
「大会?面白そう!」

一番に食い付いたのは芽依だった。

「他の者はどうだ?パーティ内の半数が残っていれば特例昇格できると思うぜ」

ブランは机の引き出しから紙を取り出して何やら書き始める。

「俺もやってみたい。どれくらい強くなれたのか試したい」

いつになくセロもやる気の様だ。

「大会の内容を教えてもらえますか?」
「ルールとか対戦形式とかを」

ミラとリンはブランに詰め寄る。

「お、おう。場所は闘技場だから平坦な砂地でかなり広い。対戦形式は一対一で武器魔法は何でも使って良いが対戦相手を故意に殺害するのだけは駄目だ。開始の合図が鳴ってからは相手が気絶するか降参するまで戦いは続けられる。大会は予選と本戦に分けられていて、予選はブロック別のバトルロイヤル。本線は抽選後にトーナメント形式だ」

小さくため息を吐いて書くのを再開するブラン。

「そうすると私は杖で戦っても良いのよね……」
「私は開始時は弓を一射してから小剣でしょうか。距離が近い場合は弓は使わない方向で……」

リンとミラは真剣な顔で話し合っていた。

「二人とも出るつもりなのですか?」
「パーティの半数が本戦に出なくちゃいけないんでしょ?私達だけ見学ってのはダメでしょ」
「やれる事はやります。お荷物にはなりませんよ」

二人とも本気の様だ。

「私とライブラさんとマイちゃんが出れば本戦くらいはいけると思いますよ。ハル様を除いたパーティメンバーだとメイさんが本戦に出場すれば目標達成です」
「同じブロックになってしまった場合、本戦に残れる人数が減ります」
「あっ……そっかぁ」

エレが自信満々に言っているがライブラに指摘されていた。

「あー、予選の出場ブロックは自分で選択できるから心配はいらんぞ」

ブランがルールについて付け足してくる。文書の方は書き終えたらしく封筒に入れて蝋を付けて印璽している。

「じゃあリンさんとミラさんは無理しなくても大丈夫ですね」
「それでも出るよエレさん」
「はい。さっきも言った通りお荷物にはなりたくありません」

二人の決意は固い様だ。

「誰が出るかは当日までに決めておいてくれればいい。それよりこいつを陛下に届けてくれ」

封筒を渡してくるので受け取った。

「大会に出る方向でいいんだよな?陛下にはそう書いておいたぞ」

芽依とセロはやる気だし仕方がないだろう。

「私は出たら駄目ですか?」
「そいつは勘弁してくれ」
「そうだよ!お母さんと戦っても勝てないのは分かってるんだから!」

ブランと芽依に断られてしまった。

ウルゼイドにいた時も観戦のみだったから許可が出るなら出場してみてもと思ったのだが残念だ。
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