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勇者
抵抗
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ケイヴワームの開いた口に水が入っていき、私達の目の前で完全に止まった。
「気を付けてください。ケイヴワームの口の周りには伸縮する触手があります」
ライブラは長剣を片手に持って前に出る。口の周りの棘の様なものが勢いよく伸びてくるが、ライブラが斬り払ってくれた。
「動きは止まったけどまだ生きている。どう戦おう?」
「取り敢えず口に蓋をするわ」
私は氷塊を作り出して開いたままの口に詰め込んだ。そのままさらに氷を広げていく。苦しそうにもがいているが、まだ倒れない。
触手を無数に出して私を攻撃するケイヴワーム。
「お母さん!」
芽依が素早く前に出て全ての触手を斬り払ってくれた。
「よし、このまま攻撃だ!」
セロとエレが前に出て伸ばそうとしている触手を斬り捨てる。
マイは石で無数の矢を作って攻撃。ワダツミも手から高水圧を放って触手を切り取っていく。
ケイヴワームは苦しそうにもがいて後退しようとしているが後ろはサヅチが既に塞いでいて身動きが取れない。口を大きく開けて氷塊を吐き出そうとしていたので、氷を更に追加しておいた。
全員が出てくる触手を攻撃し続け、程なくして全ての触手を切り落とす事に成功した。
やがて一切の動きを止めるケイヴワーム。
「倒した?」
芽依は私の前で剣を構えたまま様子を伺っている。
「生命反応の消失を確認。お疲れ様でした」
ライブラはそう言って剣を鞘に納めた。
「水責めが効いたみたいですね」
エレも大剣を担ぎ直して息を吐く。
「ワダツミのお陰ね。ありがとう」
「お役に立てて良かったです!」
「サヅチもありがとう」
「大した事はしてないが、役立って良かった」
地面から姿を現してサヅチが言う。彼は土を伝って移動できる様だ。便利でいいわね。
討伐は完了したが、これをどうしようか?
ケイヴワームは水を大量に含んでいて口には氷を詰め込んである。このままにしておくと腐食して悪臭の元になるだろう。サイズとしてはガルムンドよりは小さいので指輪に格納できそうだ。
『精霊様ありがとうございました!仲間達の無念も晴らせます』
ゴブリンの一人が礼を言ってくる。
「あなた達、これ何かに使う?」
『ケイヴワームの死体をですか?うーん、食えるのかなこれ』
……やめておいた方がいいと思うわよ。
「ケイヴワームの血には人体に有害な物質が含まれています。ゴブリンにも同様です。量できるのは皮くらいかと」
ライブラはケイヴワームの触手に触れながら解析結果を告げてくる。
『食えないならいらないですね。精霊様が使われますか?』
「そうね、このままにはしておけないし私が引き取りましょう」
指輪に格納しておいた。
「お母さん、ギルドに渡したら討伐報酬が出るんじゃない?」
「ケイヴワームは冒険者のパーティ一つで討伐する様な相手じゃないから結構な額もらえるんじゃないかな?」
芽依が言うとリンが付け加えてくる。
「地上の警戒に出てくれている彼らにも報酬を分けるべきよね」
泉の水で雇った様なものだが彼らにも報酬を渡しておこう。皆も賛成してくれた。
元来た道を戻って、彼らと別れた地点に戻り地上に出る。ゴブリン達はギョクリュウらと空洞で待っていてもらう事にした。
出た所は小高い丘の麓にある林だった。
周囲を見渡してみると、遠くに馬に乗った七人が見えた。
手を振って合図を送ると向こうも手を振ってくれ、こちらにやって来た。
「まさかもう退治したんですかい?」
「ええ。無事終わりました。崩落等は起こっていなあ筈です」
「流石としか言いようがない……精霊様以外の皆さんも相当なやり手なんだな」
それを聞いて申し訳なさそうにしているセロ。
あなた達は十分に強いわ。胸を張っていいのよ。
「討伐したケイヴワームを提出したら報酬とか出ないかしら?」
「そりゃ災害レベルの魔物なんで、討伐証明が出来ればかなりの額を貰えると思いますよ」
リーダーの男性がそう言うので、彼らが拠点にしている近くの街に連れて行ってもらう事になった。
「気を付けてください。ケイヴワームの口の周りには伸縮する触手があります」
ライブラは長剣を片手に持って前に出る。口の周りの棘の様なものが勢いよく伸びてくるが、ライブラが斬り払ってくれた。
「動きは止まったけどまだ生きている。どう戦おう?」
「取り敢えず口に蓋をするわ」
私は氷塊を作り出して開いたままの口に詰め込んだ。そのままさらに氷を広げていく。苦しそうにもがいているが、まだ倒れない。
触手を無数に出して私を攻撃するケイヴワーム。
「お母さん!」
芽依が素早く前に出て全ての触手を斬り払ってくれた。
「よし、このまま攻撃だ!」
セロとエレが前に出て伸ばそうとしている触手を斬り捨てる。
マイは石で無数の矢を作って攻撃。ワダツミも手から高水圧を放って触手を切り取っていく。
ケイヴワームは苦しそうにもがいて後退しようとしているが後ろはサヅチが既に塞いでいて身動きが取れない。口を大きく開けて氷塊を吐き出そうとしていたので、氷を更に追加しておいた。
全員が出てくる触手を攻撃し続け、程なくして全ての触手を切り落とす事に成功した。
やがて一切の動きを止めるケイヴワーム。
「倒した?」
芽依は私の前で剣を構えたまま様子を伺っている。
「生命反応の消失を確認。お疲れ様でした」
ライブラはそう言って剣を鞘に納めた。
「水責めが効いたみたいですね」
エレも大剣を担ぎ直して息を吐く。
「ワダツミのお陰ね。ありがとう」
「お役に立てて良かったです!」
「サヅチもありがとう」
「大した事はしてないが、役立って良かった」
地面から姿を現してサヅチが言う。彼は土を伝って移動できる様だ。便利でいいわね。
討伐は完了したが、これをどうしようか?
ケイヴワームは水を大量に含んでいて口には氷を詰め込んである。このままにしておくと腐食して悪臭の元になるだろう。サイズとしてはガルムンドよりは小さいので指輪に格納できそうだ。
『精霊様ありがとうございました!仲間達の無念も晴らせます』
ゴブリンの一人が礼を言ってくる。
「あなた達、これ何かに使う?」
『ケイヴワームの死体をですか?うーん、食えるのかなこれ』
……やめておいた方がいいと思うわよ。
「ケイヴワームの血には人体に有害な物質が含まれています。ゴブリンにも同様です。量できるのは皮くらいかと」
ライブラはケイヴワームの触手に触れながら解析結果を告げてくる。
『食えないならいらないですね。精霊様が使われますか?』
「そうね、このままにはしておけないし私が引き取りましょう」
指輪に格納しておいた。
「お母さん、ギルドに渡したら討伐報酬が出るんじゃない?」
「ケイヴワームは冒険者のパーティ一つで討伐する様な相手じゃないから結構な額もらえるんじゃないかな?」
芽依が言うとリンが付け加えてくる。
「地上の警戒に出てくれている彼らにも報酬を分けるべきよね」
泉の水で雇った様なものだが彼らにも報酬を渡しておこう。皆も賛成してくれた。
元来た道を戻って、彼らと別れた地点に戻り地上に出る。ゴブリン達はギョクリュウらと空洞で待っていてもらう事にした。
出た所は小高い丘の麓にある林だった。
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手を振って合図を送ると向こうも手を振ってくれ、こちらにやって来た。
「まさかもう退治したんですかい?」
「ええ。無事終わりました。崩落等は起こっていなあ筈です」
「流石としか言いようがない……精霊様以外の皆さんも相当なやり手なんだな」
それを聞いて申し訳なさそうにしているセロ。
あなた達は十分に強いわ。胸を張っていいのよ。
「討伐したケイヴワームを提出したら報酬とか出ないかしら?」
「そりゃ災害レベルの魔物なんで、討伐証明が出来ればかなりの額を貰えると思いますよ」
リーダーの男性がそう言うので、彼らが拠点にしている近くの街に連れて行ってもらう事になった。
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