322 / 453
勇者
採集依頼
しおりを挟む
「お疲れ様でした。合格です」
「ありがとうございます」
「良かったねライブラさん」
「はい」
二人ともあれだけ激しく動いていたのに息が乱れていない。
「全力でやられていましたか?」
「いいえ、六割程度です」
「お陰で余裕で捌けたよ」
「そうですか……」
リフィナは何か言いたげだが、「ホールに戻って冒険者証が出来るまでお待ちください」と言って戻って行った。
私達もホールに戻り待つ事に。
「ハルさん!おかえりなさい!」
「ただいま戻りました。お久しぶりねアルさん」
ホールに戻ると声を掛けてくれたのは『雷鳴』の攻撃魔法使いの少年アルだった。私達がホールに戻って来るのを待っていたのだろう、顔は赤いし何やらぎこちない。
「パーティメンバー増えたんですね」
そう言って芽依、マイ、ライブラを見ている。
「私、メイだよ?」
「え?メイちゃん…?えぇっ!?」
どこに行ってもみんな同じ反応をするわね。芽依は慣れたもので笑いながら「ビックリした?」などと聞いている。
「メイちゃん……ちよっと見ない間に大きくなって……ハルさんは変わらないのに」
「あら、私も育っていた方が良かったかしら。ごめんなさいね」
「い、いえ!ハルさんはそのままで安心したっていうか……いつも綺麗だし……」
そう言ってますます顔を赤くするアル。
可愛いわね。
「ありがとうアルさん。今日は一人なの?」
「みんなで仕事を探しに来たんだけど、あまり良い仕事が見つからなくて。今日は休日になりました」
それで解散になって彼一人ここにいるのね。
「お母さんを待ってたんじゃない?」
耳打ちしてくる芽依。そうかも知れないわね。
「私達は彼女の冒険者登録をしに来たの。ついでに簡単な仕事でも探してみますか?セロさん」
「そうだね。まだ時間もあるし、ライブラさんの慣らしも含めて夜までに帰ってこられそうな仕事を探してみようか」
セロの同意を得たので全員で掲示板を見に行く。アルもついて来た。
ライブラも同じランクで登録してくれるだろうから、同ランクの仕事を探してみる。
「ハルさん達のランクなら、これなんかどうですか?」
そう言って張り紙の一つを指差すアル。
そこには『希少植物の採集』と書かれていた。
内容は北の森に生えているとされるハイレングラスの発見と採取。
「ハイレングラスという薬草は聞いたことがないわね。この辺りに生えているものなの?」
「俺も聞いた事がないよ」
「私も」
セロとリンも知らない様だ。
「ハイレングラスはこの辺りには自生していない筈なんだけど、北の森の奥地で発見したという冒険者がいるんですよ。現物もギルドが確認しています」
アルが説明してくれる。彼らのパーティはこの程度の仕事では不満だったのだろう。私たちにとってはライブラの慣らしが目的なので丁度良い。
しかし北の森までだと徒歩では夜までに帰って来れないか。
「一日くらい野宿でも問題ないわね」
「私が竜になって飛べばすぐですよ」
「それもそうね」
エレがいてくれると助かるわね。
「受けてみますか?」
「いいよ!やろう!」
お金には随分と余裕はあるが、それで仕事をしないのも冒険者としては良くないだろう。芽依はやる気だし、他の皆も仕事をする気でいるのでこれを受けようと思う。
「お待たせしました。ライブラさん、冒険者証です。鉄級にしておきました。それから皆さんに一つお願いです」
「何でしょう?」
「皆さんには昇格の話が来ていますが、実績は充分なのですが貢献度が不足していて。なので適当な仕事を幾つかやってはいただけませんか?」
ライブラが冒険者証を受け取り、リフィナの話を聞く。それは丁度良かったわね。
「今一つ仕事を受けようと話をしていた所なんです。ハイレングラスの採取の仕事なんですが」
「ありがとうございます。明日から行かれますか?」
「いえ、エレに乗って行くので今から行ってきます」
「分かりました。皆さんなら大丈夫だと思いますが、奥地には凶暴な魔物の目撃報告もありますので充分お気を付けてください」
私達は北の森に行く事になった。
「ありがとうございます」
「良かったねライブラさん」
「はい」
二人ともあれだけ激しく動いていたのに息が乱れていない。
「全力でやられていましたか?」
「いいえ、六割程度です」
「お陰で余裕で捌けたよ」
「そうですか……」
リフィナは何か言いたげだが、「ホールに戻って冒険者証が出来るまでお待ちください」と言って戻って行った。
私達もホールに戻り待つ事に。
「ハルさん!おかえりなさい!」
「ただいま戻りました。お久しぶりねアルさん」
ホールに戻ると声を掛けてくれたのは『雷鳴』の攻撃魔法使いの少年アルだった。私達がホールに戻って来るのを待っていたのだろう、顔は赤いし何やらぎこちない。
「パーティメンバー増えたんですね」
そう言って芽依、マイ、ライブラを見ている。
「私、メイだよ?」
「え?メイちゃん…?えぇっ!?」
どこに行ってもみんな同じ反応をするわね。芽依は慣れたもので笑いながら「ビックリした?」などと聞いている。
「メイちゃん……ちよっと見ない間に大きくなって……ハルさんは変わらないのに」
「あら、私も育っていた方が良かったかしら。ごめんなさいね」
「い、いえ!ハルさんはそのままで安心したっていうか……いつも綺麗だし……」
そう言ってますます顔を赤くするアル。
可愛いわね。
「ありがとうアルさん。今日は一人なの?」
「みんなで仕事を探しに来たんだけど、あまり良い仕事が見つからなくて。今日は休日になりました」
それで解散になって彼一人ここにいるのね。
「お母さんを待ってたんじゃない?」
耳打ちしてくる芽依。そうかも知れないわね。
「私達は彼女の冒険者登録をしに来たの。ついでに簡単な仕事でも探してみますか?セロさん」
「そうだね。まだ時間もあるし、ライブラさんの慣らしも含めて夜までに帰ってこられそうな仕事を探してみようか」
セロの同意を得たので全員で掲示板を見に行く。アルもついて来た。
ライブラも同じランクで登録してくれるだろうから、同ランクの仕事を探してみる。
「ハルさん達のランクなら、これなんかどうですか?」
そう言って張り紙の一つを指差すアル。
そこには『希少植物の採集』と書かれていた。
内容は北の森に生えているとされるハイレングラスの発見と採取。
「ハイレングラスという薬草は聞いたことがないわね。この辺りに生えているものなの?」
「俺も聞いた事がないよ」
「私も」
セロとリンも知らない様だ。
「ハイレングラスはこの辺りには自生していない筈なんだけど、北の森の奥地で発見したという冒険者がいるんですよ。現物もギルドが確認しています」
アルが説明してくれる。彼らのパーティはこの程度の仕事では不満だったのだろう。私たちにとってはライブラの慣らしが目的なので丁度良い。
しかし北の森までだと徒歩では夜までに帰って来れないか。
「一日くらい野宿でも問題ないわね」
「私が竜になって飛べばすぐですよ」
「それもそうね」
エレがいてくれると助かるわね。
「受けてみますか?」
「いいよ!やろう!」
お金には随分と余裕はあるが、それで仕事をしないのも冒険者としては良くないだろう。芽依はやる気だし、他の皆も仕事をする気でいるのでこれを受けようと思う。
「お待たせしました。ライブラさん、冒険者証です。鉄級にしておきました。それから皆さんに一つお願いです」
「何でしょう?」
「皆さんには昇格の話が来ていますが、実績は充分なのですが貢献度が不足していて。なので適当な仕事を幾つかやってはいただけませんか?」
ライブラが冒険者証を受け取り、リフィナの話を聞く。それは丁度良かったわね。
「今一つ仕事を受けようと話をしていた所なんです。ハイレングラスの採取の仕事なんですが」
「ありがとうございます。明日から行かれますか?」
「いえ、エレに乗って行くので今から行ってきます」
「分かりました。皆さんなら大丈夫だと思いますが、奥地には凶暴な魔物の目撃報告もありますので充分お気を付けてください」
私達は北の森に行く事になった。
3
お気に入りに追加
431
あなたにおすすめの小説
イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で最強に・・・(旧:学園最強に・・・)
こたろう文庫
ファンタジー
カクヨムにて日間・週間共に総合ランキング1位!
死神が間違えたせいで俺は死んだらしい。俺にそう説明する神は何かと俺をイラつかせる。異世界に転生させるからスキルを選ぶように言われたので、神にイラついていた俺は1回しか使えない強奪スキルを神相手に使ってやった。
閑散とした村に子供として転生した為、強奪したスキルのチート度合いがわからず、学校に入学後も無自覚のまま周りを振り回す僕の話
2作目になります。
まだ読まれてない方はこちらもよろしくおねがいします。
「クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される」
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
私の家族はハイスペックです! 落ちこぼれ転生末姫ですが溺愛されつつ世界救っちゃいます!
りーさん
ファンタジー
ある日、突然生まれ変わっていた。理由はわからないけど、私は末っ子のお姫さまになったらしい。
でも、このお姫さま、なんか放置気味!?と思っていたら、お兄さんやお姉さん、お父さんやお母さんのスペックが高すぎるのが原因みたい。
こうなったら、こうなったでがんばる!放置されてるんなら、なにしてもいいよね!
のんびりマイペースをモットーに、私は好きに生きようと思ったんだけど、実は私は、重要な使命で転生していて、それを遂行するために神器までもらってしまいました!でも、私は私で楽しく暮らしたいと思います!
転生したら妖精や精霊を統べる「妖精霊神王」だったが、暇なので幼女になって旅に出ます‼︎
月華
ファンタジー
21歳、普通の会社員として過ごしていた「狐風 空音」(こふう そらね)は、暴走したトラックにひかれそうになっていた子供を庇い死亡した。 次に目を覚ますとものすごい美形の男性がこちらを見、微笑んでいた。「初めまして、空音。 私はギレンフイート。全ての神々の王だ。 君の魂はとても綺麗なんだ。もし…君が良いなら、私の娘として生まれ変わってくれないだろうか?」えっ⁉︎この人の娘⁉︎ なんか楽しそう。優しそうだし…よしっ!「神様が良いなら私を娘として生まれ変わらせてください。」「‼︎! ほんとっ!やった‼︎ ありがとう。これから宜しくね。私の愛娘、ソルフイー。」ソルフィーって何だろう? あれ? なんか眠たくなってきた…? 「安心してお眠り。次に目を覚ますと、もう私の娘だからね。」「は、い…」
数年後…無事に父様(神様)の娘として転生した私。今の名前は「ソルフイー」。家族や他の神々に溺愛されたりして、平和に暮らしてたんだけど…今悩みがあります!それは…暇!暇なの‼︎ 暇すぎて辛い…………………という訳で下界に降りて幼女になって冒険しに行きます‼︎!
これはチートな幼女になったソルフイーが下界で色々とやらかしながらも、周りに溺愛されたりして楽しく歩んでいく物語。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お久しぶりです。月華です。初めての長編となります!誤字があったり色々と間違えたりするかもしれませんがよろしくお願いします。 1週間ずつ更新していけたらなと思っています!
転生貴族可愛い弟妹連れて開墾します!~弟妹は俺が育てる!~
桜月雪兎
ファンタジー
祖父に勘当された叔父の襲撃を受け、カイト・ランドール伯爵令息は幼い弟妹と幾人かの使用人たちを連れて領地の奥にある魔の森の隠れ家に逃げ込んだ。
両親は殺され、屋敷と人の住まう領地を乗っ取られてしまった。
しかし、カイトには前世の記憶が残っており、それを活用して魔の森の開墾をすることにした。
幼い弟妹をしっかりと育て、ランドール伯爵家を取り戻すために。
♡してLv.Up【MR無責任種付おじさん】の加護を授かった僕は実家を追放されて無双する!戻ってこいと言われてももう遅い!
黒須
ファンタジー
これは真面目な物語です。
この世界の人間は十二歳になると誰もが天より加護を授かる。加護には様々なクラスやレアリティがあり、どの加護が発現するかは〈加護の儀〉という儀式を受けてみなければわからない。
リンダナ侯爵家嫡男の主人公も十二歳になり〈加護の儀〉を受ける。
そこで授かったのは【MR無責任種付おじさん】という加護だった。
加護のせいで実家を追放された主人公は、デーモンの加護を持つ少女と二人で冒険者になり、金を貯めて風俗店に通う日々をおくる。
そんなある日、勇者が魔王討伐に失敗する。
追い込まれた魔王は全世界に向けて最悪の大呪魔法(だいじゅまほう)ED(イーディー)を放った。
そして人類は子孫を残せなくなる。
あの男以外は!
これは【MR無責任種付おじさん】という加護を授かった男が世界を救う物語である。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる