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勇者

採集依頼

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「お疲れ様でした。合格です」
「ありがとうございます」
「良かったねライブラさん」
「はい」

二人ともあれだけ激しく動いていたのに息が乱れていない。

「全力でやられていましたか?」
「いいえ、六割程度です」
「お陰で余裕で捌けたよ」
「そうですか……」

リフィナは何か言いたげだが、「ホールに戻って冒険者証が出来るまでお待ちください」と言って戻って行った。

私達もホールに戻り待つ事に。

「ハルさん!おかえりなさい!」
「ただいま戻りました。お久しぶりねアルさん」

ホールに戻ると声を掛けてくれたのは『雷鳴』の攻撃魔法使いの少年アルだった。私達がホールに戻って来るのを待っていたのだろう、顔は赤いし何やらぎこちない。

「パーティメンバー増えたんですね」

そう言って芽依、マイ、ライブラを見ている。

「私、メイだよ?」
「え?メイちゃん…?えぇっ!?」

どこに行ってもみんな同じ反応をするわね。芽依は慣れたもので笑いながら「ビックリした?」などと聞いている。

「メイちゃん……ちよっと見ない間に大きくなって……ハルさんは変わらないのに」
「あら、私も育っていた方が良かったかしら。ごめんなさいね」
「い、いえ!ハルさんはそのままで安心したっていうか……いつも綺麗だし……」

そう言ってますます顔を赤くするアル。

可愛いわね。

「ありがとうアルさん。今日は一人なの?」
「みんなで仕事を探しに来たんだけど、あまり良い仕事が見つからなくて。今日は休日になりました」

それで解散になって彼一人ここにいるのね。

「お母さんを待ってたんじゃない?」

耳打ちしてくる芽依。そうかも知れないわね。

「私達は彼女の冒険者登録をしに来たの。ついでに簡単な仕事でも探してみますか?セロさん」
「そうだね。まだ時間もあるし、ライブラさんの慣らしも含めて夜までに帰ってこられそうな仕事を探してみようか」

セロの同意を得たので全員で掲示板を見に行く。アルもついて来た。

ライブラも同じランクで登録してくれるだろうから、同ランクの仕事を探してみる。

「ハルさん達のランクなら、これなんかどうですか?」

そう言って張り紙の一つを指差すアル。

そこには『希少植物の採集』と書かれていた。

内容は北の森に生えているとされるハイレングラスの発見と採取。

「ハイレングラスという薬草は聞いたことがないわね。この辺りに生えているものなの?」
「俺も聞いた事がないよ」
「私も」

セロとリンも知らない様だ。

「ハイレングラスはこの辺りには自生していない筈なんだけど、北の森の奥地で発見したという冒険者がいるんですよ。現物もギルドが確認しています」

アルが説明してくれる。彼らのパーティはこの程度の仕事では不満だったのだろう。私たちにとってはライブラの慣らしが目的なので丁度良い。

しかし北の森までだと徒歩では夜までに帰って来れないか。

「一日くらい野宿でも問題ないわね」
「私が竜になって飛べばすぐですよ」
「それもそうね」

エレがいてくれると助かるわね。

「受けてみますか?」
「いいよ!やろう!」

お金には随分と余裕はあるが、それで仕事をしないのも冒険者としては良くないだろう。芽依はやる気だし、他の皆も仕事をする気でいるのでこれを受けようと思う。

「お待たせしました。ライブラさん、冒険者証です。鉄級アイアンクラス    にしておきました。それから皆さんに一つお願いです」
「何でしょう?」
「皆さんには昇格の話が来ていますが、実績は充分なのですが貢献度が不足していて。なので適当な仕事を幾つかやってはいただけませんか?」

ライブラが冒険者証を受け取り、リフィナの話を聞く。それは丁度良かったわね。

「今一つ仕事を受けようと話をしていた所なんです。ハイレングラスの採取の仕事なんですが」
「ありがとうございます。明日から行かれますか?」
「いえ、エレに乗って行くので今から行ってきます」
「分かりました。皆さんなら大丈夫だと思いますが、奥地には凶暴な魔物の目撃報告もありますので充分お気を付けてください」

私達は北の森に行く事になった。
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