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勇者
装備の更新
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全員分の装備を泉の水を《物質変換》でオリハルコン製のものに変えた。
武器も作ってしまいたいが、リンの杖とミラの弓はオリハルコン製と言うわけにはいかない。
朝食をとりながら颯太に相談してみる。
「それなら僕の木から作ればかなり良い物が出来ると思うよ。良さそうな枝を落としてくるけど、加工は母さんが出来るんだね?」
「ええ。お願いね」
朝食が済んだところに颯太が手頃な長さの枝を二本持ってきてくれた。
「杖はこのまま加工すれば良いけど、弓は弦がいるんじゃない?」
「そうね……《物質変換》で水を加えて作ってしまおうと思っているのだけど」
「それでもいいけど、どうせなら材料を揃えて《物質変換》してみたらどう?」
確かにそれはまだ試していない。
では弦はどこから調達しようか?
「トコヤミのタテガミでいいんじゃない?」
「そうね。確かに強そうだしそれで試しに作ってみましょう」
芽依の提案を採用する事に。
『それで鬣が必要だと言うのですか』
「ええ。数本でいいの」
『畏まりました。好きなだけお取りください』
トコヤミは快く応じてくれた。颯太が何本か良さそうなものを切り取って持ってきてくれる。
よし、材料は揃ったわ。
早速《物質変換》で弓を作ってみる。
まずは素材だけで変換する。枝と鬣が消えて弓が姿を現した。
普通の弓に見えるわね。
「ミラさん、使ってみてください」
「はい……」
緊張した面持ちで弓を受け取り、矢筒から取り出した矢を番えて引き絞る。
「軽い……これでは遠くに飛ばないんじゃ……?」
ミラは狙いを付けながら呟く。
作成は失敗だったかしら。
ミラが手を離すと、矢は凄まじい速度で飛んでいき、狙っていた木に深々と突き刺さった。
「え……?」
呆然とするミラ。
「スゴいね!この木とっても硬いんだよ!」
芽依が木のそばに行って矢をマジマジと見ている。
「まさか……あんな勢いで飛んでいくなんて」
ミラはまだ信じられないといった様子だ。
「矢に魔力が篭っていたね。それで威力や速度が上がったんだと思うよ」
颯太が推測して教えてくれた。
「これなら充分に使えますね」
「充分にどころか、私には勿体ないです」
「またそんな事言って……もう受け取るって決めたんでしょ?」
「そうでしたね。ハルさん、ありがとうございます」
リンに言われてミラはかぶりを振って、礼を言うと受け取ってくれた。
「では次はリンさんの杖ですね」
「お願いします」
リンさんの杖を作るには、泉の水を加えて《物質変換》を掛けるだけだ。
他に材料が思い浮かばないので水を多めに加えておいた。
枝と水は光に包まれて消え、シンプルな長杖が出来上がった。杖の先には水色の綺麗な石が付いている。
「できました。どうぞ」
「は、はい……」
緊張しながらもしっかりと両手で杖を握るリン。
どうやら回復魔法の効果を底上げして消費を抑える事ができる杖らしい。
「スゴい力を感じる……ありがとうハルさん」
「いいえ」
マイとエレ、それから今後一緒に冒険者をする事になったライブラにも装備を作っておく。
マイには防御効果と魔法攻撃時にダメージが増える様にした腕輪を二つ。
エレには鎧と大剣と長剣を用意した。
ライブラの戦闘スタイルはどうするべきだろう?
「近接戦闘に特化した方がいいんじゃない?魔法が使える訳じゃないんだよね?」
芽依の言う通りか。
「最近習得が可能になりました。微弱ながら魔法の行使もできます」
ライブラは機械でありながら魔法も使えるらしい。心強いが、本人が微弱と言っているので今は前衛を任せよう。
バランスが良いように鎧に長剣と盾を用意した。
全員の装備の更新が終わったので、昨日颯太が言っていた各種族長のところに行って話を聞く事にしよう。
みんなはここに残って新しい武具を試すそうなので私とカナエがトコヤミに乗って各地を回る事にした。
武器も作ってしまいたいが、リンの杖とミラの弓はオリハルコン製と言うわけにはいかない。
朝食をとりながら颯太に相談してみる。
「それなら僕の木から作ればかなり良い物が出来ると思うよ。良さそうな枝を落としてくるけど、加工は母さんが出来るんだね?」
「ええ。お願いね」
朝食が済んだところに颯太が手頃な長さの枝を二本持ってきてくれた。
「杖はこのまま加工すれば良いけど、弓は弦がいるんじゃない?」
「そうね……《物質変換》で水を加えて作ってしまおうと思っているのだけど」
「それでもいいけど、どうせなら材料を揃えて《物質変換》してみたらどう?」
確かにそれはまだ試していない。
では弦はどこから調達しようか?
「トコヤミのタテガミでいいんじゃない?」
「そうね。確かに強そうだしそれで試しに作ってみましょう」
芽依の提案を採用する事に。
『それで鬣が必要だと言うのですか』
「ええ。数本でいいの」
『畏まりました。好きなだけお取りください』
トコヤミは快く応じてくれた。颯太が何本か良さそうなものを切り取って持ってきてくれる。
よし、材料は揃ったわ。
早速《物質変換》で弓を作ってみる。
まずは素材だけで変換する。枝と鬣が消えて弓が姿を現した。
普通の弓に見えるわね。
「ミラさん、使ってみてください」
「はい……」
緊張した面持ちで弓を受け取り、矢筒から取り出した矢を番えて引き絞る。
「軽い……これでは遠くに飛ばないんじゃ……?」
ミラは狙いを付けながら呟く。
作成は失敗だったかしら。
ミラが手を離すと、矢は凄まじい速度で飛んでいき、狙っていた木に深々と突き刺さった。
「え……?」
呆然とするミラ。
「スゴいね!この木とっても硬いんだよ!」
芽依が木のそばに行って矢をマジマジと見ている。
「まさか……あんな勢いで飛んでいくなんて」
ミラはまだ信じられないといった様子だ。
「矢に魔力が篭っていたね。それで威力や速度が上がったんだと思うよ」
颯太が推測して教えてくれた。
「これなら充分に使えますね」
「充分にどころか、私には勿体ないです」
「またそんな事言って……もう受け取るって決めたんでしょ?」
「そうでしたね。ハルさん、ありがとうございます」
リンに言われてミラはかぶりを振って、礼を言うと受け取ってくれた。
「では次はリンさんの杖ですね」
「お願いします」
リンさんの杖を作るには、泉の水を加えて《物質変換》を掛けるだけだ。
他に材料が思い浮かばないので水を多めに加えておいた。
枝と水は光に包まれて消え、シンプルな長杖が出来上がった。杖の先には水色の綺麗な石が付いている。
「できました。どうぞ」
「は、はい……」
緊張しながらもしっかりと両手で杖を握るリン。
どうやら回復魔法の効果を底上げして消費を抑える事ができる杖らしい。
「スゴい力を感じる……ありがとうハルさん」
「いいえ」
マイとエレ、それから今後一緒に冒険者をする事になったライブラにも装備を作っておく。
マイには防御効果と魔法攻撃時にダメージが増える様にした腕輪を二つ。
エレには鎧と大剣と長剣を用意した。
ライブラの戦闘スタイルはどうするべきだろう?
「近接戦闘に特化した方がいいんじゃない?魔法が使える訳じゃないんだよね?」
芽依の言う通りか。
「最近習得が可能になりました。微弱ながら魔法の行使もできます」
ライブラは機械でありながら魔法も使えるらしい。心強いが、本人が微弱と言っているので今は前衛を任せよう。
バランスが良いように鎧に長剣と盾を用意した。
全員の装備の更新が終わったので、昨日颯太が言っていた各種族長のところに行って話を聞く事にしよう。
みんなはここに残って新しい武具を試すそうなので私とカナエがトコヤミに乗って各地を回る事にした。
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