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勇者
アドラス王都
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転生者シュウとアキオは死んだ。
私がエネルギーを吸い尽くして殺したのだ。
それはこの世界を守るため。だが、それを理由にしてはいけないだろう。世界を守ると言えば聞こえは良いが、それは私が見てきたこの世界を守りたいという願望だ。
例えば彼らが新しい技術を使ってより良くこの世界を導く可能性だってあったはずだ。それが僅かな可能性だったとしても、可能性を摘み取ってしまったの私。
それだけは胸に留めておかなければならない。
そして、だからこそ彼らの分まで生きてこの世界を守り続けなければならない。
もう一度全員の無事を確認した私達は、一度ライアッド軍本隊と合流してシュウ達を討ち取った事を報告する事にした。
ライアッド軍は街から離れた平地に陣を張っていた。ラムド、ギルバート、フランシスのいる天幕で事態の一部始終を私から説明した。
それからアキオの言っていた事をラムドに聞いてみる。
「勇者を召喚……か。私の所には無かったな」
ラムドは本当に知らない様だ。
シュウがアドラスに召喚された者だったとしたら全ての国に召喚の権利があるのかと思ったがそうではない様だ。
「シュウを倒すという目的は果たせましたが、これからどうしますか?」
「彼奴が全ての元凶であったとしても、アドラス王がこの後どう動くかが分からぬ。このまま進軍しつつ王都に遣いを出してみるつもりだ」
ラムドはアドラス王がこれ以上の戦闘を望まないと言うのであれば講和するつもりでいるそうだ。
「シュウがどこまでの権力を掌握していたか分からないけど、民にはこれ以上の被害を出したくないね」
ギルバートはそう言って柔らかく笑う。
「まずは相手の出方次第という事ですか」
フランシスはため息混じりに呟いた。
☆★☆★☆★☆★
それから一週間が経った。
私達はライアッド軍と共にアドラス王都までやって来ていた。
アドラス国の内部では混乱から政変が起きていた。
シュウのパーティと彼の作った武器を装備した部隊が全滅した事を知った国王は、ライアッドに降伏するつもりで使者を送ってきたのだが、その直後に軍部がクーデターを起こし、王族は皆殺しにされてしまったらしい。今は軍最高司令官の将軍が徹底抗戦を呼び掛けてライアッド軍と王都で戦闘になっている。
市街地戦になるとカクカミ達は戦わせられない。民間人が大勢街の中に残っているのだ。
避難させなかったのは将軍の指示らしく、どうやら私達が無差別に攻撃をしないだろうと踏んでとった行動の様だ。
その影響で数の少ないライアッド軍は苦戦を強いられている。
私達は後方で支援に徹していた。
重傷者には水を与え、後退してくる部隊には食事と休息をしっかりと与えてこの戦いが一日でも早く終わる様に努めた。
王都内での民間人の救助にも参加した。
逃げ出すこともできずに家に立て篭っていた人々だが、食料が尽きればいつまでもそうしてはいられない。
一人、また一人と保護を求めてライアッド軍に投降してくる人々は日増しに増えていった。
兵糧も心許なくなって来たのでトコヤミとエレには物資の輸送を頼んだ。彼らの巨体ならば一度にかなりの物資を運ぶことができる。
そして更に十日後、疲弊したアドラス軍は降伏した。
将軍は自決し、将校達も大多数が後を追った。
潔いと言えば格好が付くが、悪戯に戦火を広げて民衆を苦しめてきた者への罪は重い。遺体は焼き捨てられた。
アドラス軍の生き残った兵士達は兵舎に軟禁して様子を見る。
ラムドはこの国を自国に加える事はせず、次の指導者を国内から選定して新たな国王にするつもりの様だ。
ラムドとフランシスは国に帰り、暫定でギルバートと彼の部下達が残り国の復興をする事になった。
私達も帰ろう。
私がエネルギーを吸い尽くして殺したのだ。
それはこの世界を守るため。だが、それを理由にしてはいけないだろう。世界を守ると言えば聞こえは良いが、それは私が見てきたこの世界を守りたいという願望だ。
例えば彼らが新しい技術を使ってより良くこの世界を導く可能性だってあったはずだ。それが僅かな可能性だったとしても、可能性を摘み取ってしまったの私。
それだけは胸に留めておかなければならない。
そして、だからこそ彼らの分まで生きてこの世界を守り続けなければならない。
もう一度全員の無事を確認した私達は、一度ライアッド軍本隊と合流してシュウ達を討ち取った事を報告する事にした。
ライアッド軍は街から離れた平地に陣を張っていた。ラムド、ギルバート、フランシスのいる天幕で事態の一部始終を私から説明した。
それからアキオの言っていた事をラムドに聞いてみる。
「勇者を召喚……か。私の所には無かったな」
ラムドは本当に知らない様だ。
シュウがアドラスに召喚された者だったとしたら全ての国に召喚の権利があるのかと思ったがそうではない様だ。
「シュウを倒すという目的は果たせましたが、これからどうしますか?」
「彼奴が全ての元凶であったとしても、アドラス王がこの後どう動くかが分からぬ。このまま進軍しつつ王都に遣いを出してみるつもりだ」
ラムドはアドラス王がこれ以上の戦闘を望まないと言うのであれば講和するつもりでいるそうだ。
「シュウがどこまでの権力を掌握していたか分からないけど、民にはこれ以上の被害を出したくないね」
ギルバートはそう言って柔らかく笑う。
「まずは相手の出方次第という事ですか」
フランシスはため息混じりに呟いた。
☆★☆★☆★☆★
それから一週間が経った。
私達はライアッド軍と共にアドラス王都までやって来ていた。
アドラス国の内部では混乱から政変が起きていた。
シュウのパーティと彼の作った武器を装備した部隊が全滅した事を知った国王は、ライアッドに降伏するつもりで使者を送ってきたのだが、その直後に軍部がクーデターを起こし、王族は皆殺しにされてしまったらしい。今は軍最高司令官の将軍が徹底抗戦を呼び掛けてライアッド軍と王都で戦闘になっている。
市街地戦になるとカクカミ達は戦わせられない。民間人が大勢街の中に残っているのだ。
避難させなかったのは将軍の指示らしく、どうやら私達が無差別に攻撃をしないだろうと踏んでとった行動の様だ。
その影響で数の少ないライアッド軍は苦戦を強いられている。
私達は後方で支援に徹していた。
重傷者には水を与え、後退してくる部隊には食事と休息をしっかりと与えてこの戦いが一日でも早く終わる様に努めた。
王都内での民間人の救助にも参加した。
逃げ出すこともできずに家に立て篭っていた人々だが、食料が尽きればいつまでもそうしてはいられない。
一人、また一人と保護を求めてライアッド軍に投降してくる人々は日増しに増えていった。
兵糧も心許なくなって来たのでトコヤミとエレには物資の輸送を頼んだ。彼らの巨体ならば一度にかなりの物資を運ぶことができる。
そして更に十日後、疲弊したアドラス軍は降伏した。
将軍は自決し、将校達も大多数が後を追った。
潔いと言えば格好が付くが、悪戯に戦火を広げて民衆を苦しめてきた者への罪は重い。遺体は焼き捨てられた。
アドラス軍の生き残った兵士達は兵舎に軟禁して様子を見る。
ラムドはこの国を自国に加える事はせず、次の指導者を国内から選定して新たな国王にするつもりの様だ。
ラムドとフランシスは国に帰り、暫定でギルバートと彼の部下達が残り国の復興をする事になった。
私達も帰ろう。
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