277 / 453
勇者
道
しおりを挟む
エルフ、ダークエルフ、ドワーフ、巨人の四種族への報告と打ち合わせが済んだのでその他の種族の所へ順番に回っていく。
どの種族も先祖にあたる者達がディアブレルと戦った事があるだけなので同盟状態になる事に抵抗は無い様だ。
トコヤミに乗せてもらい森林中を飛び回って各種族の集落を往来したが、改めてかなり広いのだと実感した。空を飛んで移動しておるのにだ。
地上を行き来するのはかなり大変だろう。
「集落間に道があった方が良さそうね」
『それならば巨人達に命じてみては如何でしょう?奴らは木材を必要としているので丁度良いかと』
「そうね。余裕のある時だけで良いのでお願いしてみましょう」
トコヤミが良い提案をしてくれたので早速話をさせてもらう。
『私たちでお役に立てるのであれば喜んでやらせていただきます』
ザムドは快く引き受けてくれ、他の巨人達もやる気に満ち溢れていた。
くれぐれも無理をしない様にと念を押しておいた。
道を作る場所については颯太と相談して決めよう。
お昼になったので泉に戻ると、いい匂いがしてきた。
エルフのアルカとフェイが魚を獲ってきてくれたので、お昼は焼き魚が出てきた。折角なのでアルカ、フェイ、リリア、イルとも一緒に食べる事になった。
昼食をいただきながらディアブレルの用件と取り決めについて報告する。颯太は「母さんの決めた事ならその通りにするよ」と爽やかに笑っていた。
道についても相談すると、颯太は部屋の奥から森の地図を持ってきた。
「こんなものいつの間に?」
「時間だけはあるからね。かなり精度は高いと思うよ」
地図があるのは有難い。颯太と相談しながらどこに道を作ってもらうかを話して決めた。
「ディアブレルの技術提供についてだけど、建築関係を重点的に要請したいんだけどいいかい?」
「勿論よ。農業はどうするの?」
「そっちはウルゼイドと調整済みだよ」
流石颯太、抜かりはないわね。
「しかしルドガイアが勢力を拡大すればする程ここを目指してくる種族が増えるんじゃないかな」
「そうね。そろそろ何とかしないといけないわね」
何とかと言っても今の所出来る事は抗議くらいだろうか。それも効果はないだろう。
そもそも私達は国ではなく共同体だ。
ディアブレルかウルゼイドが攻撃を受ければ戦う理由にはなるが、ここに住まう者達を巻き込みたくないという気持ちもある。
しかしルドガイアの侵略の仕方を見ている限り穏便に済ませる事はまず無理だろう。
それにあの国には例の石がある。
あれだけは何としてでも排除せねばならない。
「お母さん怖い顔してる」
「そう?」
芽依が私の顔をじって見て言ってくる。
芽依は午後からは颯太が直してくれた服を試着するらしい。
まだ体の変化に戸惑っているが元気そうだ。
「メイお姉ちゃん大きくなって美人さんになったです」
「そ、そう?」
マイに言われて恥ずかしそうに頬に手を当てている芽依。
「セロはメイさんを見過ぎ」
「そ、そんなに見てないって!」
リンに言われて慌てるセロ。
「午後からはアルカさんに弓を教えてもらいます。よろしくお願いしますね」
「私で宜しければいつでもお教えします。宜しくお願いしますね」
ミラはアルカと仲良くなっていた。
「私はリリアさんに近接戦闘を教えてもらうんだ」
「はい。よろしくです」
リンはリリアに、セロはイルと模擬戦をするらしい。
このエルフ四人は山の麓のエルフ達よりも戦闘力が高いらしい。
颯太が教えた訳ではないそうだが、泉の周りの食べ物で育ってきた分、基礎身体能力が高くなっているらしい。
という事は芽依の身体能力もここで育ったから高いのだろうか。
「そういえば母さん、背丈の事を気にしていたけど、その身体は成長しないんじゃないかな?」
「そういえばそうかも知れないわね」
颯太が言いたいのは《実体化》で獲得した身体の事だ。
よく考えればこの身体は仮初のものだから成長しないのは当たり前か。
一度《実体化》を解いてみれば今の姿が分かるのだけど、ヴァンパイアソーンから吸収した膨大なエネルギーを捨てる事になってしまうので今はやめておいた。
どの種族も先祖にあたる者達がディアブレルと戦った事があるだけなので同盟状態になる事に抵抗は無い様だ。
トコヤミに乗せてもらい森林中を飛び回って各種族の集落を往来したが、改めてかなり広いのだと実感した。空を飛んで移動しておるのにだ。
地上を行き来するのはかなり大変だろう。
「集落間に道があった方が良さそうね」
『それならば巨人達に命じてみては如何でしょう?奴らは木材を必要としているので丁度良いかと』
「そうね。余裕のある時だけで良いのでお願いしてみましょう」
トコヤミが良い提案をしてくれたので早速話をさせてもらう。
『私たちでお役に立てるのであれば喜んでやらせていただきます』
ザムドは快く引き受けてくれ、他の巨人達もやる気に満ち溢れていた。
くれぐれも無理をしない様にと念を押しておいた。
道を作る場所については颯太と相談して決めよう。
お昼になったので泉に戻ると、いい匂いがしてきた。
エルフのアルカとフェイが魚を獲ってきてくれたので、お昼は焼き魚が出てきた。折角なのでアルカ、フェイ、リリア、イルとも一緒に食べる事になった。
昼食をいただきながらディアブレルの用件と取り決めについて報告する。颯太は「母さんの決めた事ならその通りにするよ」と爽やかに笑っていた。
道についても相談すると、颯太は部屋の奥から森の地図を持ってきた。
「こんなものいつの間に?」
「時間だけはあるからね。かなり精度は高いと思うよ」
地図があるのは有難い。颯太と相談しながらどこに道を作ってもらうかを話して決めた。
「ディアブレルの技術提供についてだけど、建築関係を重点的に要請したいんだけどいいかい?」
「勿論よ。農業はどうするの?」
「そっちはウルゼイドと調整済みだよ」
流石颯太、抜かりはないわね。
「しかしルドガイアが勢力を拡大すればする程ここを目指してくる種族が増えるんじゃないかな」
「そうね。そろそろ何とかしないといけないわね」
何とかと言っても今の所出来る事は抗議くらいだろうか。それも効果はないだろう。
そもそも私達は国ではなく共同体だ。
ディアブレルかウルゼイドが攻撃を受ければ戦う理由にはなるが、ここに住まう者達を巻き込みたくないという気持ちもある。
しかしルドガイアの侵略の仕方を見ている限り穏便に済ませる事はまず無理だろう。
それにあの国には例の石がある。
あれだけは何としてでも排除せねばならない。
「お母さん怖い顔してる」
「そう?」
芽依が私の顔をじって見て言ってくる。
芽依は午後からは颯太が直してくれた服を試着するらしい。
まだ体の変化に戸惑っているが元気そうだ。
「メイお姉ちゃん大きくなって美人さんになったです」
「そ、そう?」
マイに言われて恥ずかしそうに頬に手を当てている芽依。
「セロはメイさんを見過ぎ」
「そ、そんなに見てないって!」
リンに言われて慌てるセロ。
「午後からはアルカさんに弓を教えてもらいます。よろしくお願いしますね」
「私で宜しければいつでもお教えします。宜しくお願いしますね」
ミラはアルカと仲良くなっていた。
「私はリリアさんに近接戦闘を教えてもらうんだ」
「はい。よろしくです」
リンはリリアに、セロはイルと模擬戦をするらしい。
このエルフ四人は山の麓のエルフ達よりも戦闘力が高いらしい。
颯太が教えた訳ではないそうだが、泉の周りの食べ物で育ってきた分、基礎身体能力が高くなっているらしい。
という事は芽依の身体能力もここで育ったから高いのだろうか。
「そういえば母さん、背丈の事を気にしていたけど、その身体は成長しないんじゃないかな?」
「そういえばそうかも知れないわね」
颯太が言いたいのは《実体化》で獲得した身体の事だ。
よく考えればこの身体は仮初のものだから成長しないのは当たり前か。
一度《実体化》を解いてみれば今の姿が分かるのだけど、ヴァンパイアソーンから吸収した膨大なエネルギーを捨てる事になってしまうので今はやめておいた。
2
お気に入りに追加
433
あなたにおすすめの小説
異世界転生はうっかり神様のせい⁈
りょく
ファンタジー
引きこもりニート。享年30。
趣味は漫画とゲーム。
なにかと不幸体質。
スイーツ大好き。
なオタク女。
実は予定よりの早死は神様の所為であるようで…
そんな訳あり人生を歩んだ人間の先は
異世界⁈
魔法、魔物、妖精もふもふ何でもありな世界
中々なお家の次女に生まれたようです。
家族に愛され、見守られながら
エアリア、異世界人生楽しみます‼︎
愛されイージーモードはサービスを終了しました。ただいまより、嫌われハードモードを開始します。
夕立悠理
恋愛
ベルナンデ・ユーズには前世の記憶がある。
そして、前世の記憶によると、この世界は乙女ゲームの世界で、ベルナンデは、この世界のヒロインだった。
蝶よ花よと愛され、有頂天になっていたベルナンデは、乙女ゲームのラストでメインヒーロ―である第一王子のラウルに告白されるも断った。
しかし、本来のゲームにはない、断るという選択をしたせいか、ベルナンデにだけアナウンスが聞こえる。
『愛されイージーモードはサービスを終了しました。ただいまより、嫌われハードモードを開始します』
そのアナウンスを最後に、ベルナンデは意識を失う。
次に目を覚ました時、ベルナンデは、ラウルの妃になっていた。
なんだ、ラウルとのハッピーエンドに移行しただけか。
そうほっとしたのもつかの間。
あんなに愛されていたはずの、ラウルはおろか、攻略対象、使用人、家族、友人……みんなから嫌われておりー!?
※小説家になろう様が一番早い(予定)です
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています
まさか転生?
花菱
ファンタジー
気付いたら異世界? しかも身体が?
一体どうなってるの…
あれ?でも……
滑舌かなり悪く、ご都合主義のお話。
初めてなので作者にも今後どうなっていくのか分からない……
農民の少年は混沌竜と契約しました
アルセクト
ファンタジー
極々普通で特にこれといった長所もない少年は、魔法の存在する世界に住む小さな国の小さな村の小さな家の農家の跡取りとして過ごしていた
少年は15の者が皆行う『従魔召喚の儀』で生活に便利な虹亀を願ったはずがなんの間違えか世界最強の生物『竜』、更にその頂点である『混沌竜』が召喚された
これはそんな極々普通の少年と最強の生物である混沌竜が送るノンビリハチャメチャな物語
ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ
雑木林
ファンタジー
現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。
第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。
この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。
そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。
畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。
斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる