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勇者
難民
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ラシードとの取り決めは特に問題もなく終了する。
あまり興味がなかったので聞きそびれてしまっていた事を聞いてみる。
「以前私が会った国王のディレルレード・グランヴェルトはどうしたのですか?」
「彼は私の叔父にあたる者ですが、あの日精霊様がやって来てから国内に蔓延る不穏分子を徹底的に排除してから退位しました」
彼はダークエルフを操っていた者を突きとめて処刑。奴隷制を廃止するなどの大改革を進めてきた。
昨年から体調を崩し始め、全ての改革を終えた半年前に退位を表明。次期国王には自分の子供ではなく親戚筋のラシードを指名した。
彼はその三日後に亡くなったそうだ。
「国内では強硬に改革を進めて、多くの政敵を処刑した事から鮮血王などと言われていますが、私にとっては偉大な先王です」
「そうだったのね。いつの日かディレルレード王の墓前にお参りに行かせてもらいます」
「先王も喜びます」
あの後、彼は国の為に手を尽くしたのだ。敬意に値する。
口約束だけになったがこちらから約束を違える気はない。あちらもその気でいてくれればいいのだが。
技術提供については後日使者を送ってくる事になった。
私はすぐに人間の国に戻らなければならないので颯太に任せる事になる。
私とトコヤミは国王達を森の外まで見送って北の山麓に住むエルフ、ダークエルフ達に今話した事を報告しに行った。
彼らはディアブレルと関わり合いがある。エルフ達は私達に加勢してディアブレルと戦ったし、特にダークエルフ達は奴隷として扱われ捨て駒同然で私と芽依を襲撃させられた。彼らには一番に報告すべきだろう。
「ハル様のご意思ならば我々はそれに従うのみです」
「我らも同じです。精霊様に保護していただいている身でありますので」
エルフもダークエルフも私の決めた事に口出しする気はない様だ。
「巨人達はどう?」
「はい。自分達の住処を作る為に岩山を掘っています」
エルフの族長が答える。
洞窟で暮らす気かしら?
「大森林の木を倒すのは申し訳ないと言っておりまして、暫くはそこで暮らすと言っておりました」
「気にせずに木材を使う様に話してあげて」
「分かりました」
彼らの家を作るとなるとかなりの木材が必要になるだろう。しかし洞窟暮らしでは可哀想だ。
各種族が畑を作ったりする時に切り拓いた木で使わないものを巨人達に分けてやれる様に手配もしよう。
「族長、精霊様、北部よりドワーフの集団が接近してきております」
見回りに出ていたダークエルフが戻ってきて告げる。
「ドワーフ?」
「はい。ドワーフは背丈が我々の半分程ですが力は我々よりも遥かに強い種族です。住処を追われて逃げてきた様です」
「分かりました。私が行って話を聞きましょう」
トコヤミに乗って北の森の端に向かう。
見えたのは子供程の背丈の集団。森に入らずに座り込んでいた。
トコヤミを見て警戒していたが、私が載っているのを見て何やら互いに話し合い、その場に跪いた。
「大森林の長、泉の精霊のハル様とお見受けします」
一番前にいたドワーフが声をかけてくる。確かに身長は低いが筋肉質で顔も厳つい。立派な髭を蓄えていて子供には見えない風貌だ。
「そうよ。私がハル。あなたは?」
「俺はドワーフのガドルフです。精霊様に保護を求めてやって参りました」
彼らは北西にある山に住んでいたそうだが、ルドガイアから来た竜に街を破壊され、生き残った僅かな者を率いてここまで逃げてきたらしい。
「分かりました。保護します」
「ありがとうございます!」
取り敢えず巨人達と同じ山の麓に身を寄せてもらい、各種族と協議して彼らの住処を決めようと思う。
巨人達の所にドワーフ達を案内すると巨人達が何やら集まって話をしていた。
「どうしたの?」
『それが……横穴を掘っていたらこんなものが出てきまして』
ザムドが手のひらに乗せた岩石を見せてくれる。
虹色に輝く石が混ざっていた。
「そ、それは!オリハルコンじゃないか!」
ガドルフが見に来て驚いて大きな声を上げていた。
あまり興味がなかったので聞きそびれてしまっていた事を聞いてみる。
「以前私が会った国王のディレルレード・グランヴェルトはどうしたのですか?」
「彼は私の叔父にあたる者ですが、あの日精霊様がやって来てから国内に蔓延る不穏分子を徹底的に排除してから退位しました」
彼はダークエルフを操っていた者を突きとめて処刑。奴隷制を廃止するなどの大改革を進めてきた。
昨年から体調を崩し始め、全ての改革を終えた半年前に退位を表明。次期国王には自分の子供ではなく親戚筋のラシードを指名した。
彼はその三日後に亡くなったそうだ。
「国内では強硬に改革を進めて、多くの政敵を処刑した事から鮮血王などと言われていますが、私にとっては偉大な先王です」
「そうだったのね。いつの日かディレルレード王の墓前にお参りに行かせてもらいます」
「先王も喜びます」
あの後、彼は国の為に手を尽くしたのだ。敬意に値する。
口約束だけになったがこちらから約束を違える気はない。あちらもその気でいてくれればいいのだが。
技術提供については後日使者を送ってくる事になった。
私はすぐに人間の国に戻らなければならないので颯太に任せる事になる。
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彼らはディアブレルと関わり合いがある。エルフ達は私達に加勢してディアブレルと戦ったし、特にダークエルフ達は奴隷として扱われ捨て駒同然で私と芽依を襲撃させられた。彼らには一番に報告すべきだろう。
「ハル様のご意思ならば我々はそれに従うのみです」
「我らも同じです。精霊様に保護していただいている身でありますので」
エルフもダークエルフも私の決めた事に口出しする気はない様だ。
「巨人達はどう?」
「はい。自分達の住処を作る為に岩山を掘っています」
エルフの族長が答える。
洞窟で暮らす気かしら?
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「気にせずに木材を使う様に話してあげて」
「分かりました」
彼らの家を作るとなるとかなりの木材が必要になるだろう。しかし洞窟暮らしでは可哀想だ。
各種族が畑を作ったりする時に切り拓いた木で使わないものを巨人達に分けてやれる様に手配もしよう。
「族長、精霊様、北部よりドワーフの集団が接近してきております」
見回りに出ていたダークエルフが戻ってきて告げる。
「ドワーフ?」
「はい。ドワーフは背丈が我々の半分程ですが力は我々よりも遥かに強い種族です。住処を追われて逃げてきた様です」
「分かりました。私が行って話を聞きましょう」
トコヤミに乗って北の森の端に向かう。
見えたのは子供程の背丈の集団。森に入らずに座り込んでいた。
トコヤミを見て警戒していたが、私が載っているのを見て何やら互いに話し合い、その場に跪いた。
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「そうよ。私がハル。あなたは?」
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