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勇者
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「陛下、フランシス殿下にお会い出来ますか?」
「ここに呼ぼう」
国王が使用人に言ってフランシスを連れてきた。
「ハル……さん」
「あなたのした事は私にとって許すことのできない事です。感情のままに殺してしまおうとも思いました」
「ハルさん……」
エリオットが何か言いかけたが話を続ける。
「あなたを殺さなかったのは芽依が望まなかったからです」
私の家族に危害を加える者を生かしておくつもりはない。しかし死にかけた当人がこの国と争うの事を心配していた。
この国で知り合った良い人達の事を思ったのだろう。
だから私はフランシスを殺さない。
「芽依に謝罪できますか?」
「……はい」
「ならば一つ、私の考えを聞いていただけますか?」
私はラムド達にこれから行う事の提案をした。
☆★☆★☆★☆★
私達はカクカミとマカミの背に乗ってライアッド王国内を移動していた。生き残った巨人六人も一緒だ。
カクカミにはセロ、ミラ、リン、マイ、エレとフランシスが乗っていた。
マカミには私、芽依、ライブラ、エリオット。
ザムドはその巨体に見合った巨大な旗を持っている。
はためく旗には王家の紋章。
私は国王達にこう提案した。
『芽依を攻撃したのは手違いだった事をフランシス自身が述べて謝罪する事』
『巨人は魔物に襲われていてそれを助けた。その後安全な土地に住み替える為に国内を通って泉の精霊の管理する森に移動をしている』の二点だ。
一つ目は私達とその他の冒険者達に対して、二つ目は国民に対しての対応だ。
特に二つ目はフランシス自身が移動に加わる事で、フランシスが巨人を救ったという喧伝になる。
つまり私が提案したのは巨人の移動を認めれば国の手柄にして良いという事だ。
マカミを使ったのは颯太の提案で、これから始まる騎士団壊滅の聴取の際に良い印象を与える為だ。
背中にエリオットを乗せているのは、王子が使役しているかの様な印象を与え、心証を良くしようという考えから。
元々仲の悪かったエリオットとフランシスが仲良くしている様に見えて両派閥の者にも良い影響を与えるだろうという思惑もあった。
正直に言わせてもらうと王族同士の事など興味もないし、この国から離れる事も考えたが、芽依はこの国を気に入っているしセロ達にも申し訳ない。
少々手間だが全て丸く収まる方法を提示して実行することにした。
尚、フランシスの仲間達の内ヨアンだけは今回の事態の収め方に納得がいかなかったらしく、フランシスのパーティから脱退してしまった。
巨人達と共に街道沿いを進む。
今回は堂々と行けるので、日中に人目の付きやすい所を通ってウルゼイドへ向かう。王都の近くもわざと通る。そこでフランシスの仲間達と合流し、彼らは馬に乗って随伴する。
ウルゼイドには先回りした颯太とトコヤミが待っていてウルゼイド国内の移動については話をつけてくれている。
エリオットとフランシス達はここで別れてトコヤミに乗って王都へ帰ってもらう。
「出来る事ならハルさんの泉を見たかったです」
「それはまた今度、機会があれば」
普通王族は不用意に国外へ出る事は避けるべきだ。エリオットもそれを承知の上で行きたいと言っている様だった。
トコヤミの背に馬を乗せる事になるのだが、かなり怯えていたので私が話して聞かせると落ち着いてくれた。
『まったく手間の掛かる。我はお前達など喰うつもりはないわ』
トコヤミは不機嫌そうだ。
「人間達にも言っておく。我の背で争いなど始めたら全員空に放り出すからな」
本当にやる訳は無いと思うが、トコヤミにはくれぐれも丁重に扱う様に話しておいた。
ウルゼイドに入ってからは騎士団が護衛に着いてくれ、森へはすぐに辿り着く事が出来た。
巨人達は北部のトコヤミの住処となっている山の麓に住んでもらう事にした。
私達も泉で休養をとって、頃合いを見て王都に戻る事にする。
「ここに呼ぼう」
国王が使用人に言ってフランシスを連れてきた。
「ハル……さん」
「あなたのした事は私にとって許すことのできない事です。感情のままに殺してしまおうとも思いました」
「ハルさん……」
エリオットが何か言いかけたが話を続ける。
「あなたを殺さなかったのは芽依が望まなかったからです」
私の家族に危害を加える者を生かしておくつもりはない。しかし死にかけた当人がこの国と争うの事を心配していた。
この国で知り合った良い人達の事を思ったのだろう。
だから私はフランシスを殺さない。
「芽依に謝罪できますか?」
「……はい」
「ならば一つ、私の考えを聞いていただけますか?」
私はラムド達にこれから行う事の提案をした。
☆★☆★☆★☆★
私達はカクカミとマカミの背に乗ってライアッド王国内を移動していた。生き残った巨人六人も一緒だ。
カクカミにはセロ、ミラ、リン、マイ、エレとフランシスが乗っていた。
マカミには私、芽依、ライブラ、エリオット。
ザムドはその巨体に見合った巨大な旗を持っている。
はためく旗には王家の紋章。
私は国王達にこう提案した。
『芽依を攻撃したのは手違いだった事をフランシス自身が述べて謝罪する事』
『巨人は魔物に襲われていてそれを助けた。その後安全な土地に住み替える為に国内を通って泉の精霊の管理する森に移動をしている』の二点だ。
一つ目は私達とその他の冒険者達に対して、二つ目は国民に対しての対応だ。
特に二つ目はフランシス自身が移動に加わる事で、フランシスが巨人を救ったという喧伝になる。
つまり私が提案したのは巨人の移動を認めれば国の手柄にして良いという事だ。
マカミを使ったのは颯太の提案で、これから始まる騎士団壊滅の聴取の際に良い印象を与える為だ。
背中にエリオットを乗せているのは、王子が使役しているかの様な印象を与え、心証を良くしようという考えから。
元々仲の悪かったエリオットとフランシスが仲良くしている様に見えて両派閥の者にも良い影響を与えるだろうという思惑もあった。
正直に言わせてもらうと王族同士の事など興味もないし、この国から離れる事も考えたが、芽依はこの国を気に入っているしセロ達にも申し訳ない。
少々手間だが全て丸く収まる方法を提示して実行することにした。
尚、フランシスの仲間達の内ヨアンだけは今回の事態の収め方に納得がいかなかったらしく、フランシスのパーティから脱退してしまった。
巨人達と共に街道沿いを進む。
今回は堂々と行けるので、日中に人目の付きやすい所を通ってウルゼイドへ向かう。王都の近くもわざと通る。そこでフランシスの仲間達と合流し、彼らは馬に乗って随伴する。
ウルゼイドには先回りした颯太とトコヤミが待っていてウルゼイド国内の移動については話をつけてくれている。
エリオットとフランシス達はここで別れてトコヤミに乗って王都へ帰ってもらう。
「出来る事ならハルさんの泉を見たかったです」
「それはまた今度、機会があれば」
普通王族は不用意に国外へ出る事は避けるべきだ。エリオットもそれを承知の上で行きたいと言っている様だった。
トコヤミの背に馬を乗せる事になるのだが、かなり怯えていたので私が話して聞かせると落ち着いてくれた。
『まったく手間の掛かる。我はお前達など喰うつもりはないわ』
トコヤミは不機嫌そうだ。
「人間達にも言っておく。我の背で争いなど始めたら全員空に放り出すからな」
本当にやる訳は無いと思うが、トコヤミにはくれぐれも丁重に扱う様に話しておいた。
ウルゼイドに入ってからは騎士団が護衛に着いてくれ、森へはすぐに辿り着く事が出来た。
巨人達は北部のトコヤミの住処となっている山の麓に住んでもらう事にした。
私達も泉で休養をとって、頃合いを見て王都に戻る事にする。
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