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勇者
深い森の中
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私達は森の入り口にやってきた。
「僕達は森の外まで巨人を誘き出して戦うつもりです」
「私は森に入って巨人と話をしてきます」
「待てよ、アンタが俺達の計画を巨人どもに伝えないって確証はあるのかよ?」
そう言ってきたのはゲルハルトだ。
「やめないか。僕はハルさんに話をする許可を出したんだよ」
「しかし殿下、泉の精霊は魔物の味方かも知れないんですぜ?」
なるほど。そう言われると確かにそう思われてもおかしくはないわね。
「罪を犯したのなら罰しなければなりませんが、理由があっての事なら話を聞いてからでも遅くはありません」
「化け物が人里に出てきたんだ、討伐されて当然だろう。これまでだってそうやって棲み分けてきた」
ゲルハルトは引き下がらない。
「ならばもしも巨人が明確に罪を犯していたのなら、私が一人で討伐しましょう」
「信用できるかよ。そのまま向こうにつくかも知れねえだろうが」
話をさせてもらえなければ真意が分からない。どうしたものか……
「いい加減にするんだゲルハルト。ハルさんすみません」
ゲルハルトを抑えながらフランシスが謝ってくる。
周りにいた冒険者は私を見ながらヒソヒソと話をしている。
どうやら冒険者達はゲルハルトの意見に賛同している様だ。
セロ達は私の側に立ってくれる。
皆は話を聞きにいく事に賛成してくれた。
「このままでは討伐どころではありませんね。ハルさん、僕達も一緒に行きます。話をしてみて敵対する様ならその場で倒しましょう」
「宜しいのですか?」
「ええ。元々ハルさんが話をしに行く事を賛成したのは僕ですから。しかし皆さんの考えも無視できません。それでいかがでしょうか?」
「ありがとうございます」
フランシスのパーティも同行すると言う。勿論セロ達もだ。
冒険者達は森の入り口で待機してもらうようにフランシスが指示を出していた。
皆フランシスの言う事には従順ね。
「さあ、行きましょう!」
フランシスが先頭に立って森の中へと入っていく。
私達もそれに続いた。
森は鬱蒼としていて起伏もあるため歩きにくい。
時折カーミラが何やら魔法の様なものを使って周囲を確認し方向を示している。
ヨアンは少し先行して索敵をしている様だ。左右にはルーウェンとゲルハルトが立って中央にフランシス。
私達はフランシスのすぐ後ろを歩いていた。
「被害に遭った行商人はどの様に殺されていたのですか?」
「岩石で馬車ごと潰されていました」
フランシス達はその現場を確認したそうだが、人間が持ち上げられない程大きな岩で、潰された行商人も即死だったらしい。
「事故の可能性はありませんか?」
「行商人が死んでいた所は平地だったのです」
「そうでしたか」
ならば崖崩れ等の災害に巻き込まれた可能性は無いと。
「アンタは巨人の肩を持つんだな」
「いいえ、公平に考えようとしているだけですよ」
顔はこちらに向けずに言ってくるゲルハルト。
話を詳しく聞いてみたが、村の近くに巨人が現れたのと、行商人が馬車ごと岩に潰されて死んだのとは別々の話だ。
巨人が岩を使って行商人を殺害した所を見たものは居ない。
馬車を潰すほどの岩を持ち上げる事が出来るのは巨人しかいないと必然的に考えてしまうが、魔法を使えば人間でも可能ではないか。
行商人は街道から外れた村と森の間で見つかったそうだが、何故そんな所にいたのかが分からない。
村で情報収集をするべきだったか。
森は更に深くなり、木々が日光を遮り薄暗くなってきた。
木の高さは五メートル程度。木と木の間も狭く隊列を組んで歩くのは難しい。
ここに巨人が隠れるのは無理だと思うが。
《遠隔視野》を使って先の方を見る。
……巨人ではない者が大勢いるわね。
武器を持った人間が大勢待ち構えている。
先行していたヨアンが気付かない訳がないのだが、彼の姿も確認できない。
手の込んだ罠だったか。
「僕達は森の外まで巨人を誘き出して戦うつもりです」
「私は森に入って巨人と話をしてきます」
「待てよ、アンタが俺達の計画を巨人どもに伝えないって確証はあるのかよ?」
そう言ってきたのはゲルハルトだ。
「やめないか。僕はハルさんに話をする許可を出したんだよ」
「しかし殿下、泉の精霊は魔物の味方かも知れないんですぜ?」
なるほど。そう言われると確かにそう思われてもおかしくはないわね。
「罪を犯したのなら罰しなければなりませんが、理由があっての事なら話を聞いてからでも遅くはありません」
「化け物が人里に出てきたんだ、討伐されて当然だろう。これまでだってそうやって棲み分けてきた」
ゲルハルトは引き下がらない。
「ならばもしも巨人が明確に罪を犯していたのなら、私が一人で討伐しましょう」
「信用できるかよ。そのまま向こうにつくかも知れねえだろうが」
話をさせてもらえなければ真意が分からない。どうしたものか……
「いい加減にするんだゲルハルト。ハルさんすみません」
ゲルハルトを抑えながらフランシスが謝ってくる。
周りにいた冒険者は私を見ながらヒソヒソと話をしている。
どうやら冒険者達はゲルハルトの意見に賛同している様だ。
セロ達は私の側に立ってくれる。
皆は話を聞きにいく事に賛成してくれた。
「このままでは討伐どころではありませんね。ハルさん、僕達も一緒に行きます。話をしてみて敵対する様ならその場で倒しましょう」
「宜しいのですか?」
「ええ。元々ハルさんが話をしに行く事を賛成したのは僕ですから。しかし皆さんの考えも無視できません。それでいかがでしょうか?」
「ありがとうございます」
フランシスのパーティも同行すると言う。勿論セロ達もだ。
冒険者達は森の入り口で待機してもらうようにフランシスが指示を出していた。
皆フランシスの言う事には従順ね。
「さあ、行きましょう!」
フランシスが先頭に立って森の中へと入っていく。
私達もそれに続いた。
森は鬱蒼としていて起伏もあるため歩きにくい。
時折カーミラが何やら魔法の様なものを使って周囲を確認し方向を示している。
ヨアンは少し先行して索敵をしている様だ。左右にはルーウェンとゲルハルトが立って中央にフランシス。
私達はフランシスのすぐ後ろを歩いていた。
「被害に遭った行商人はどの様に殺されていたのですか?」
「岩石で馬車ごと潰されていました」
フランシス達はその現場を確認したそうだが、人間が持ち上げられない程大きな岩で、潰された行商人も即死だったらしい。
「事故の可能性はありませんか?」
「行商人が死んでいた所は平地だったのです」
「そうでしたか」
ならば崖崩れ等の災害に巻き込まれた可能性は無いと。
「アンタは巨人の肩を持つんだな」
「いいえ、公平に考えようとしているだけですよ」
顔はこちらに向けずに言ってくるゲルハルト。
話を詳しく聞いてみたが、村の近くに巨人が現れたのと、行商人が馬車ごと岩に潰されて死んだのとは別々の話だ。
巨人が岩を使って行商人を殺害した所を見たものは居ない。
馬車を潰すほどの岩を持ち上げる事が出来るのは巨人しかいないと必然的に考えてしまうが、魔法を使えば人間でも可能ではないか。
行商人は街道から外れた村と森の間で見つかったそうだが、何故そんな所にいたのかが分からない。
村で情報収集をするべきだったか。
森は更に深くなり、木々が日光を遮り薄暗くなってきた。
木の高さは五メートル程度。木と木の間も狭く隊列を組んで歩くのは難しい。
ここに巨人が隠れるのは無理だと思うが。
《遠隔視野》を使って先の方を見る。
……巨人ではない者が大勢いるわね。
武器を持った人間が大勢待ち構えている。
先行していたヨアンが気付かない訳がないのだが、彼の姿も確認できない。
手の込んだ罠だったか。
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