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勇者
合同任務
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城から帰ってきた私達は、そのまま冒険者ギルドへと向かった。
受付でフランシスからの依頼を確認すると、通常依頼と共に私達への指名依頼も出されていた。
報酬は前金で一人十万エルズ。後金でもう十万エルズ。
「流石王族……」
報酬を見て固まるセロ。
「こんなに破格だと何をさせられるのか心配になりますね」
ミラは警戒した様だ。
内容は南東部の農村に現れた巨人族の討伐。巨人の数は二体から三体。どれも十メートル程度の背丈で木と岩石でできた棍棒の様な武器を持っていたらしい。
「巨人の討伐って……本当にやる気なの?」
「そうみたいですよ。皆さんのパーティ以外で四十人募集をかけています」
リンの呟きに答える受付の女性。
「四十……」
「前回は東の山岳部に現れたレッサードラゴンの討伐でした。その時は五十人程連れて行かれましたね」
「ドラゴンを討伐……!?」
セロ達三人は驚いていた。
トコヤミ程の竜を倒したのなら驚くけれど、竜化状態のエレ程度の竜を退治しただけなら大した事ではない。
「ハルさん反応薄いね」
「レッサードラゴンというのはどれくらいの強さでしょう?エレ位ですか?」
「流石にエレさん程強くはないですよ」
それなら大した事はないわね。
万全の状態なら芽依一人でも勝てるのではないかしら?
ちなみに期間は十日間。
移動に四日、現地では二日滞在して討伐を行い帰還するそうだ。二日後の朝から出発するらしい。
「この仕事を受けるかい?期間的には問題なさそうだけど」
セロは全員に聞く。
リンとミラは受けたいと言っている。セロも同意見の様だ。
私としてはアドラス国の方を調べたい所だが……
「断らない方が良いと思いますよ」
考えていたら受付の女性が小声で言ってくる。
「何故ですか?」
「まずフランシス殿下からの指名依頼だからです。殿下を慕っている冒険者は多いですから、お誘いを断ったとなるとかなりの数の冒険者を敵に回す事になり兼ねません」
「他にも理由がありますか?」
「報酬が破格だという事です。それだけの条件を提示されて断るのは、余程腕に自信がないのだろうと馬鹿にされるでしょう」
成る程。私達は王都の冒険者ではないから、反感を買っても気にはならない。しかし私達の所為でセイランの冒険者全員が馬鹿にされる様な事は出来れば避けたい。
「巨人というのはどれくらいの強さなのでしょう?」
「個体差はありますが、十メートルともなると体を少し動かしただけでも私達には脅威です。それに知性があるので普通の魔物よりも厄介ですね」
ミラが答えてくれる。
「知性があるなら話せば分かってもらえるのでは?」
「残念ながら言葉が通じないからね」
そう言うセロだが、今の彼なら会話も出来るだろう。
「私は受けて良いと思います」
私達が行けば巨人から話を聞いて戦わずに解決するのも可能かもしれない。
「私も!」
芽依も私に賛成する。
エレとマイは私達に従うと言っていたので、全員依頼を受けるという事で一致した。
「分かりました。それではリーダーはサインを」
「はい」
こうして私達はフランシスの依頼を受ける事になった。
☆★☆★☆★☆★
次の日の夜、国王から呼び出しがあったので王城へ行く。
既に夕食もとり終えてお風呂にも入って眠るばかりのタイミングだったのだが、例の間者の事だろうから私一人で行く。
何かあれば颯太やカナエを呼べば良いだけだから問題ないだろう。
国王の私室で話を聞かせてもらう。
間者の男がアドラス国内の様子を話してくれたが、生活の様子はこちら側とあまり変わらないそうだ。
新しい武器を作っているのはシュウという名前の男で、何処からかやって来てアドラスの王都で鍛冶屋を始めたらしい。
しかし彼は普通の鍛冶屋ではなく、魔法を使って武具や調理道具の修理を行うそうで、例の武器も魔法を使って製造しているらしい。
名前といいやる事といい、私と同じ転生者なのではないだろうか。
受付でフランシスからの依頼を確認すると、通常依頼と共に私達への指名依頼も出されていた。
報酬は前金で一人十万エルズ。後金でもう十万エルズ。
「流石王族……」
報酬を見て固まるセロ。
「こんなに破格だと何をさせられるのか心配になりますね」
ミラは警戒した様だ。
内容は南東部の農村に現れた巨人族の討伐。巨人の数は二体から三体。どれも十メートル程度の背丈で木と岩石でできた棍棒の様な武器を持っていたらしい。
「巨人の討伐って……本当にやる気なの?」
「そうみたいですよ。皆さんのパーティ以外で四十人募集をかけています」
リンの呟きに答える受付の女性。
「四十……」
「前回は東の山岳部に現れたレッサードラゴンの討伐でした。その時は五十人程連れて行かれましたね」
「ドラゴンを討伐……!?」
セロ達三人は驚いていた。
トコヤミ程の竜を倒したのなら驚くけれど、竜化状態のエレ程度の竜を退治しただけなら大した事ではない。
「ハルさん反応薄いね」
「レッサードラゴンというのはどれくらいの強さでしょう?エレ位ですか?」
「流石にエレさん程強くはないですよ」
それなら大した事はないわね。
万全の状態なら芽依一人でも勝てるのではないかしら?
ちなみに期間は十日間。
移動に四日、現地では二日滞在して討伐を行い帰還するそうだ。二日後の朝から出発するらしい。
「この仕事を受けるかい?期間的には問題なさそうだけど」
セロは全員に聞く。
リンとミラは受けたいと言っている。セロも同意見の様だ。
私としてはアドラス国の方を調べたい所だが……
「断らない方が良いと思いますよ」
考えていたら受付の女性が小声で言ってくる。
「何故ですか?」
「まずフランシス殿下からの指名依頼だからです。殿下を慕っている冒険者は多いですから、お誘いを断ったとなるとかなりの数の冒険者を敵に回す事になり兼ねません」
「他にも理由がありますか?」
「報酬が破格だという事です。それだけの条件を提示されて断るのは、余程腕に自信がないのだろうと馬鹿にされるでしょう」
成る程。私達は王都の冒険者ではないから、反感を買っても気にはならない。しかし私達の所為でセイランの冒険者全員が馬鹿にされる様な事は出来れば避けたい。
「巨人というのはどれくらいの強さなのでしょう?」
「個体差はありますが、十メートルともなると体を少し動かしただけでも私達には脅威です。それに知性があるので普通の魔物よりも厄介ですね」
ミラが答えてくれる。
「知性があるなら話せば分かってもらえるのでは?」
「残念ながら言葉が通じないからね」
そう言うセロだが、今の彼なら会話も出来るだろう。
「私は受けて良いと思います」
私達が行けば巨人から話を聞いて戦わずに解決するのも可能かもしれない。
「私も!」
芽依も私に賛成する。
エレとマイは私達に従うと言っていたので、全員依頼を受けるという事で一致した。
「分かりました。それではリーダーはサインを」
「はい」
こうして私達はフランシスの依頼を受ける事になった。
☆★☆★☆★☆★
次の日の夜、国王から呼び出しがあったので王城へ行く。
既に夕食もとり終えてお風呂にも入って眠るばかりのタイミングだったのだが、例の間者の事だろうから私一人で行く。
何かあれば颯太やカナエを呼べば良いだけだから問題ないだろう。
国王の私室で話を聞かせてもらう。
間者の男がアドラス国内の様子を話してくれたが、生活の様子はこちら側とあまり変わらないそうだ。
新しい武器を作っているのはシュウという名前の男で、何処からかやって来てアドラスの王都で鍛冶屋を始めたらしい。
しかし彼は普通の鍛冶屋ではなく、魔法を使って武具や調理道具の修理を行うそうで、例の武器も魔法を使って製造しているらしい。
名前といいやる事といい、私と同じ転生者なのではないだろうか。
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