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勇者

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マイの冒険者登録が終わる頃にセロ達がギルドへとやって来た。

「おはようハルさん。マイさ……マイちゃんの冒険者登録はどうだった?」
「おはようございますセロさん。無事に済みましたよ」

リン、ミラとも挨拶を交わす。

「マイさんは同じパーティでよろしいですね?」
「はい。登録をお願いします」

セロが答えてくれ、マイのパーティ加入手続きはすぐに完了した。

「これでマイさんはセロさん達のパーティに正式加入した事になります」
「ありがとうございます!お姉さん!」

ニコニコしながら元気に言うマイ。
何だか芽依の幼い頃を思い出すわね。

「マイちゃんよろしくね」
「はいです!リンお姉さん!」

リン、ミラ、セロにも挨拶をしている。
礼儀正しいのは良い事だわ。

「ところで、セロさんが身に付けている装備は遺跡で手に入れたものですよね?それを調べさせていただく事はできませんか?」

リフィナが目敏く聞いてくる。
そういえばそうだったわね。

「調べるだけなら構いませんよ」

そう言って装備を外すセロ。

「ありがとうございます。半日ほどお預かりさせていただきます」
「分かりました」

リフィナは装備一式を受け取ると奥へと運んでいった。

「セロさんは何でフル装備だったの?」
「早く身体に馴染ませようと思って、出来るだけ普段から身につけようと思っているんだよ」

芽依が聞くとセロが真面目に答えた。

「ホントは新しい装備が嬉しくて着けてるだけなんだよ」
「リン、言うなよ!」

新しい玩具を手に入れた子供みたいね。

「でもセロお兄さんのやっていることは良い事です。ヴォーリヤアステールと連動しているので、身体に馴染ませる為にも暫く身につけていた方がいいですよ」
「ほ、ほらな!マイちゃんがそう言うなら間違いないだろ?」
「マイちゃんは気遣いの出来る偉い子ですね」

ミラはそう言うとマイの頭を撫でていた。

「今日はどうしますか?装備も無いし、ギルドから離れるのも嫌だろうから訓練にしますか?」

愛着があるなら離れたくないだろうし、返却をここでろ待った方が良いだろう。

「私はそれでいいよ」
「はい、訓練大好きです」

芽依とエレは賛成の様だ。

「俺もそうしてもらえるならありがたいよ」

訓練場に行くことにした。

私達は立ち回りの確認をして、セロと芽依とエレは交代で模擬戦をしていると、訓練場に他の冒険者がやって来た。

見ればギルドでよく見かけるパーティだ。

「おーい!セロ、お前のパーティと俺のパーティ、どちらが強いかやってみようぜ」
「模擬戦か?みんながいいなら俺はやっても構わないけど」

そう言いながら芽依達を見るセロ。

「面白そう!」
「やりたいです」

「ハルさんはどう?」
「模擬戦ならいいですよ」

相手の数は6、剣士が三人槍使いが一人、回復術師と魔法使いのパーティの様だ。
こちらは前衛が三人後衛が四人。
連携を試す良い機会だろう。

「やってみたいです!」

マイもやる気の様だ。

「また女の子が増えてるじゃねーか。お前……」
「違うぞ!特に他意はないんだ。偶々なんだ!」

あちらのリーダーに言われて慌てて反論するセロ。
セロの言う事は事実なのだけど慌てて否定する所が怪しかったらしく、あちらのメンバーはヒソヒソと何か話している。

「……ジェイドさん、俺たちのパーティに入ってくれないかな」

肩を落としたセロはポツリとつぶやいた。

全員武器は訓練場の木製を使い、魔法攻撃は極力加減する形で模擬戦を行う。

「よし、始めるぞ!」

準備が整ったので模擬戦を始める。
セロ、芽依、エレがそれぞれ剣士と武器を打ち合わせる。
あちらの前衛が一人多いので後衛の私達の所に槍使いが向かって来た。

「お母さん、私が前に出るですよ!」
「待ちなさいマイ」

言う事を聞かずに槍使いの前に飛び出していくマイ。

「おいおい……こんな子供相手に攻撃なんてできねえよ」
「それなら何もせずに立っててくださいね、おにーさん!」

マイは土を身体に纏って鎧……いや、土人形を着た状態になる。
身長は成人男性の二倍程、その姿で拳を槍使いに振り下ろす。
槍使いは避けきれずに木槍で防ごうとするが、槍が耐えきれずに折れてしまい殴り飛ばされていった。
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